ロシア:非武装化地域の設定と平和維持部隊の導入2025年01月18日 18:11

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【概要】

 アンドリュー・コリブコ氏が2025年1月17日に提案した「非西側の平和維持部隊が管理する非武装化された『ドニエプル川以東』地域の利点」について説明する。

 停戦後の平和維持のために最も現実的な手段として、この提案を評価している。

 ロシアの要求内容に関する報道

 ブルームバーグは、クレムリンの考えに詳しいとされる匿名の情報源を引用し、ロシアがウクライナに以下を要求する可能性があると報じた。

 ・憲法上の中立の回復
 ・NATOとの軍事的な結びつきの大幅な削減
 ・軍隊の規模の制限
 ・前線の凍結(ただし一部の領土交換を含む)

 また、個別のNATO加盟国がウクライナに武器を供与する場合でも、これらの武器がロシアへの攻撃や領土奪還に使用されないよう求めているとされた。これらの要求は、ロシアが実際に和平交渉で提起する可能性があるが、ブルームバーグの情報が不正確である可能性も否定できない。

 提案の詳細

 コリブコ氏は、ウクライナの軍事力を制限するための効果的な監視および執行メカニズムが不可欠であると主張する。書面や口頭の保証のみでは信頼性が乏しく、将来的にウクライナが再武装し、ロシアに攻撃を仕掛ける可能性が排除できないためである。この問題を解決するためには、西側諸国を除外し、非西側諸国のみが監視および平和維持活動に関与するべきであると提案している。

 具体的には、以下のような措置が含まれる。

 1.非武装地帯(DMZ)の設定

 ドニエプル川以東および接触線(LOC)北側の地域を非武装化し、この地域を非西側の平和維持部隊が管理する。これにより、ウクライナが一方的に停戦を破る可能性を抑制する。

 2.領土交換の合法化

 ロシアがハリコフ州の一部を返還し、ウクライナがクルスク州の一部を返還する形で、両国が領土を交換することを提案している。これにより、両国の憲法上の領土割譲禁止条項に抵触することなく、前線を固定できるとされる。

 3.監視と執行の強化

 非西側の平和維持部隊に以下の権限を与えることを提案している。

 ・ドニエプル川を越える列車や車両の検査
 ・違反者の拘束および違法な武器の押収
 ・必要に応じて武力を行使する権限

 また、違反が発見された場合には、事前に合意されたプロトコルに基づいて解決を図り、それが不可能な場合はドローンやミサイルによる精密攻撃を行う選択肢が考慮される。

 提案の目的

 この提案の目標は、ドニエプル川以東を緩衝地帯とすることである。この地域を軍事活動のない「無人地帯」として設定し、住民が移住を希望する場合にはロシアまたはウクライナの他地域への移動を支援する。これにより、停戦後の平和が維持されるとされる。

 メリット

 ・非西側諸国が関与することで、西側の影響を排除し、公平な監視体制を構築できる。
 ・双方の軍事的行動を抑制することで、新たな衝突の発生を防ぐ。
 ・ロシアとウクライナがそれぞれの領土要求を法的に維持しながら、停戦を実現する可能性が高まる。

 結論

 本提案は、ロシアとウクライナの停戦後の平和維持のために現実的かつ実行可能な手段であるとされる。ロシアがブルームバーグで報じられた以上の要求を交渉で掲げ、この提案を実現することが望ましいと考えられる。これにより、双方にとって持続可能な平和の基盤が構築されるであろう。

【詳細】

 Andrew Korybko氏の提案に基づいて、より詳しく忠実に説明した内容である。

 背景と提案の目的

 この提案は、ロシアとウクライナ間での停戦後、長期的な平和を維持する現実的な手段として提示されている。特に、ドニエプル川以東の地域(便宜上「トランス・ドニエプル地域」と呼ばれる)を非武装化し、西側諸国に属さない平和維持部隊による管理を行うことを目的としている。提案は、両国間で合意される休戦ライン(LOC)と河川を基盤に、国際的な監視と抑止力を確保する仕組みを整えることを目指している。

 ロシアの要求と提案の背景

 Bloombergによれば、ロシアはウクライナに以下を要求する可能性があるとしている。

 1.憲法上の中立性の回復。
 2.NATOとの軍事関係の大幅な縮小。
 3.軍備の制限。
 4.前線の凍結(ただし、領土交換を含む場合あり)。

 これらに加え、個別のNATO加盟国がウクライナに武器を供与することは容認されるものの、それらがロシアやその支配地域に対して使用されないという条件が求められる。しかし、この要求だけでは長期的な平和の維持が不確実であるとして、提案者は追加的な具体策を提案している。

 提案の詳細

 1. 非武装化と平和維持部隊の導入

 トランス・ドニエプル地域を非武装化し、非西側諸国(例: インドなど)の平和維持部隊を配備する。この部隊は、以下の役割を担う。

 ・LOCおよびロシア-ウクライナ国境沿いの監視。
 ・ドニエプル川を通過する車両や貨物の検査。
 ・違反行為に対する拘束、物資押収、必要に応じた武力行使の権限。

 2. キエフ周辺の特別措置

 キエフはドニエプル川の両岸に位置するため、通常の非武装化措置を適用することが難しい。このため、キエフの北東部、東部、南東部をフェンスで囲い、その外縁で検査を実施する特別な管理体制が提案されている。

 3. 領土交換

 ロシアがハリコフ州の占領地域を返還し、ウクライナがクルスク州の占領地域を返還するなどの形で領土交換を行う。これにより、両国は憲法上の領土譲渡禁止条項を遵守しながらも、現状に適応した形で国境を再設定できる。

 4. 違反行為への対応

 ウクライナが非武装化地域で重火器の再配備や違法行為を行うリスクを考慮し、以下の対応プロセスを整備する。

 1.非西側平和維持部隊による調査と報告。
 2.証拠を基にした正式な抗議。
 3.必要に応じた限定的な無人機攻撃やミサイル攻撃。

 地上での軍事行動は禁止され、違反した場合には経済的・金融的制裁などが自動的に発動される仕組みを導入する。

 利点と現実性

 ・安全保障の強化: 非西側平和維持部隊の配備により、両国の停戦違反を抑止する。特に、ウクライナが西側の支援を受けて再軍備する可能性を最小化できる。
 ・国際的な信頼性: 非西側諸国が関与することで、西側に対するロシアの警戒感を緩和しつつ、公正な監視体制を確保する。
 ・長期的な安定: ドニエプル川を天然の障壁として活用し、東西の分断による衝突リスクを低減する。

 結論

 この提案は、ロシアにとって最大限の安全保障を確保しつつ、ウクライナが領土主張を維持する現実的な妥協点である。仮にロシアがBloombergの報じる要求に留まる場合、将来的な紛争の再発を避けられない可能性があるため、このような包括的な提案を求めることが重要であると考えられる。 

【要点】
 
 背景と目的

 ・ドニエプル川以東(トランス・ドニエプル地域)を非武装化し、平和維持部隊で管理することで長期的な平和を実現。
 ・ロシアとウクライナの停戦合意後の紛争再発を防止する現実的な枠組みを構築。

 ロシアの要求(Bloomberg報道)

 1.ウクライナ憲法上の中立性の回復。
 2.NATOとの軍事関係の縮小。
 3.軍備制限の導入。
 4.前線の凍結(必要に応じて領土交換を含む)。
 5.西側の武器供与容認(ただしロシアや占領地域への使用禁止)。

 提案の詳細

 1.非武装化地域の設定と平和維持部隊の導入

 ・トランス・ドニエプル地域を非武装化。
 ・非西側諸国(例: インド)の平和維持部隊がLOCや国境を監視。
 ・車両や貨物の検査、違反行為への対応権限を付与。

 2.キエフ周辺の特別管理

 ・キエフ東部を特別管理区域として設定し、フェンスで囲む。
 ・物資や人の検査を行い、非武装化地域の原則を間接的に適用。

 3.領土交換

 ・ロシアがハリコフ州の占領地域を返還。
 ・ウクライナがクルスク州の占領地域を返還する形で領土を調整。

 4.違反行為への対応

 ・非武装化地域での違反行為は非西側平和維持部隊が調査・報告。
 ・必要に応じて無人機攻撃や経済制裁を発動。
 ・地上での軍事行動は禁止。

 提案の利点

 ・安全保障強化: 非西側平和維持部隊の導入により停戦違反を抑止。
 ・国際的信頼性: 非西側諸国の関与で公平性を確保。
 ・長期安定: ドニエプル川を自然の障壁として活用し、東西の衝突を回避。

 結論

 ・本提案は、ロシアの安全保障を確保しつつ、ウクライナの主権を尊重する妥協案である。
 ・ロシアの要求のみでは将来的な紛争再発を防げないため、包括的な停戦監視体制の構築が必要。

【引用・参照・底本】

The Merits Of A Demilitarized “Trans-Dnieper” Region Controlled By Non-Western Peacekeepers Andrew Korybko's Newsletter 2025.01.17
https://korybko.substack.com/p/the-merits-of-a-demilitarized-trans?utm_source=post-email-title&publication_id=835783&post_id=154996040&utm_campaign=email-post-title&isFreemail=true&r=2gkj&triedRedirect=true&utm_medium=email

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