台湾島で発生したマグニチュード6.2の地震2025年01月21日 19:23

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【概要】

 2025年1月21日、台湾島で発生したマグニチュード6.2の地震により、27名が負傷したと報じられている。地震は北京時間午前0時17分に発生したものであり、震源地は北緯23.24度、東経120.51度、深さ14キロメートルであったと中国地震台網センター(CENC)が発表した。

 地元の衛生福利部の緊急医療管理システムによれば、負傷者27名は医療機関で治療を受けている。負傷者の内訳は台南市が16名と最も多く、次いで高雄市が3名、雲林県が4名、嘉義市が3名、嘉義県が1名とされる。

 台南市では建物の倒壊が確認され、一部の住民が閉じ込められている模様である。台湾島の消防部門によれば、15名が病院に搬送されている。また、現地メディアは台南市で救助活動が進行中であると報じている。

 嘉義県大埔郷ではマグニチュード6.4の地震も発生しており、深さは9.7キロメートルであった。この震源地は嘉義県政府から南東37.9キロメートルの地点に位置し、台湾全土で揺れが感じられた。この地震により、福建省の泉州、厦門、福州、浙江省の寧波や杭州、さらに上海でも揺れが観測された。

 台北市の住民である「朱」という姓の人物は、現地で自身と家族が無事であることを述べており、「台北では数回揺れを感じたが、大きな影響はない」と話している。一方、台南市の一部では大きな被害が出ているという。

 現地の気象当局は、地震後に複数の余震を観測しており、特に台南市では12時21分から12時32分の間にマグニチュード4以上の余震が複数回発生した。また、台湾島内の20以上の県市に対し警報が発令されている。

 福建省福州市の住民「陳」という姓の人物は、揺れによってベッドや窓が動いたと語り、友人たちがソーシャルメディア「WeChat」で地震の体験を共有している様子を述べている。

 台南市で特に被害が深刻である地域では、住民が自宅の清掃や修理を行うため、学校や職場が1日休業となると地元メディアが報じている。

【詳細】

 2025年1月21日午前0時17分(北京時間)、台湾島で発生したマグニチュード6.2の地震により、少なくとも27名が負傷した。地震の震源地は北緯23.24度、東経120.51度、深さ14キロメートルであると中国地震台網センター(CENC)が発表した。この地震は、台湾全土および中国本土の複数地域で広く揺れが観測された。

 負傷者の詳細

 台湾島内では、負傷者の総数が27名と確認されている。各地域の内訳は以下の通りである。

 ・台南市:16名
 ・高雄市:3名
 ・雲林県:4名
 ・嘉義市:3名
 ・嘉義県:1名

 これらの負傷者はすべて医療機関で治療を受けている。また、台南市では建物の倒壊が確認されており、一部の住民が閉じ込められている状況である。台湾島の消防部門は、少なくとも15名が病院へ搬送されたことを明らかにした。

 地震の影響範囲

 震源地の近隣地域では特に強い揺れが感じられたほか、以下のような広範囲で揺れが報告されている。

 ・中国本土:福建省(泉州、厦門、福州)、浙江省(寧波、杭州)、上海市
 ・台湾島全域:特に台南市で被害が集中

 被害状況と救助活動

 台南市では建物が倒壊し、一部の住民が閉じ込められている。消防や救助隊が現場で活動を続けており、負傷者の救出と被害の全容把握に努めている。また、台南市を中心に複数の余震が発生しており、特に12時21分から12時32分の間にマグニチュード4以上の余震が確認された。

 居住者の証言

 台北市に住む住民「朱」という姓の人物は、「台北では数回揺れを感じただけで大きな影響はなく、現在のところ平常通りである」と述べている。一方、台南市では被害が深刻であることが報告されている。

 福建省福州市では、住民「陳」という人物が「揺れによってベッドや窓が動いた」と語り、多くの友人がソーシャルメディア「WeChat」で地震体験を共有している様子を伝えている。厦門市の住民「何」という人物は、「窓ガラスが軽く揺れる音が聞こえただけで、大きな揺れは感じなかった」と述べている。

 過去の地震との比較

 嘉義県彰化県に住む「簡秀」という姓の住民は、自身の村の家屋が損壊を免れたと述べている。この家屋は2024年4月に発生したマグニチュード7.3の地震にも耐えた実績がある。「今回は揺れを感じたが、特に問題はなく母親が少し心配している」とのことである。

 その他の影響

 地元の気象当局は、台湾島内の20以上の県市に警報を発令した。さらに、台南市の特に被害が大きい地域では、住民が自宅の清掃や修理を行うために、学校や職場が1日休業となることが発表された。

 救助活動や被害の評価は現在も進行中であり、状況の変化に応じて追加の措置が講じられる可能性がある。

【要点】
 
 1.地震の発生情報

 ・発生日時:2025年1月21日午前0時17分(北京時間)
 ・マグニチュード:6.2
 ・震源地:北緯23.24度、東経120.51度
 ・深さ:14キロメートル(中国地震台網センター発表)

 2.負傷者数

 ・総数:27名
 ・地域別内訳

  台南市:16名
  高雄市:3名
  雲林県:4名
  嘉義市:3名
  嘉義県:1名

 3.建物の倒壊と被害状況

 ・台南市では建物が倒壊し、一部住民が閉じ込められる。
 ・消防部門によると、少なくとも15名が病院に搬送。

 4.地震の影響範囲

 ・台湾島全域で強い揺れを観測。
 ・中国本土(福建省、浙江省、上海市)でも揺れを感知。

 5.余震情報

 ・台南市でマグニチュード4以上の余震が複数発生(12:21~12:32)。

 6.住民の証言

 ・台北市:「揺れは数回感じたが大きな影響はなし」(住民:朱)
 ・福州市:「窓やベッドが揺れたが深刻ではない」(住民:陳)
 ・嘉義県:「家屋に損害はなく、過去の大地震にも耐えた」(住民:簡秀)

 7.警報と対応

 ・台湾島内20以上の県市で警報発令。
 ・台南市の被害が大きい地域では学校・職場が1日休業。

 8.救助活動

 ・現在も被害状況の確認と救助活動が進行中。

【引用・参照・底本】

27 injured in 6.2-magnitude earthquake in Taiwan GT 2025.01.21
https://www.globaltimes.cn/page/202501/1327284.shtml

中国の民間宇宙企業ギャラクティック・エナジー2025年01月21日 20:02

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【概要】

 中国の民間宇宙企業であるギャラクティック・エナジーは、2025年1月20日(月曜日)に2025年初となる打ち上げミッションを完了し、北西部甘粛省の酒泉衛星発射センターから5基の衛星を太陽同期軌道に投入した。

 今回の打ち上げでは、「Yunyao」星座の第37号から第40号衛星、および「Jitianxing」星座のA-05衛星が搭載されたと同社が発表している。

 「Yunyao」星座の4基の衛星は、気象観測および四川省に拠点を置くK-Space Aerospace Technology Coが開発した星間採掘ネットワークの検証を目的としている。「Jitianxing」A-05衛星にはハイパースペクトルカメラが搭載されており、リモートセンシング画像の取得を通じて環境監視、森林管理、都市計画など複数の分野でのモニタリングを可能にしている。

 このミッションでは、ギャラクティック・エナジーが自社開発した固体燃料ロケット「セレス1」リモート16号が使用された。このロケットは四川省資陽市にある同社の新しい固体燃料宇宙機研究開発および製造施設で製造されたものである。

 2025年1月20日時点で、「セレス1」シリーズのキャリアロケットは合計16回の打ち上げミッションを成功させ、63基の衛星を軌道に投入している。この実績により、「セレス1」は民間宇宙産業における最も頻繁に打ち上げられる信頼性の高い商業用キャリアロケットとしての地位を確立しているとギャラクティック・エナジーは述べている。

【詳細】

 中国の民間宇宙企業であるギャラクティック・エナジー(Galactic Energy)は、2025年1月20日に同年初の衛星打ち上げミッションを成功させた。このミッションでは、北西部甘粛省の酒泉衛星発射センターから、自社開発のキャリアロケット「セレス1」リモート16号(Ceres-1 Y16)を使用して、5基の衛星を太陽同期軌道(SSO)に投入した。

 打ち上げ内容の詳細

 今回打ち上げられた5基の衛星は、次のように分類される。

 1.「Yunyao」星座(Yunyao Constellation)

 ・第37号から第40号までの4基の衛星が含まれる。
 ・主に以下の目的で設計されている。

  ➢気象観測データの取得
  ➢K-Space Aerospace Technology Coが進める「星間採掘ネットワーク」の技術検証
  ➢K-Space Aerospace Technology Coは四川省に拠点を置く企業であり、宇宙資源利用の分野に注力している。

 2.「Jitianxing」星座(Jitianxing Constellation)

 ・A-05衛星が含まれる。
 ・ハイパースペクトルカメラを搭載しており、次のような多岐にわたる分野で利用されるリモートセンシング画像を取得する。
  ➢環境モニタリング(大気や水質の監視)
  ➢森林管理(伐採や植林活動の追跡)
  ➢都市計画(土地利用やインフラ管理)
  ➢農業(作物の成長状況や土壌の分析)

 使用されたロケット

 「セレス1」リモート16号は、ギャラクティック・エナジーが独自に設計・製造した固体燃料ロケットである。このロケットは、四川省資陽市にある同社の新しい研究開発・製造施設で製造された。固体燃料ロケットは、液体燃料ロケットに比べて構造が簡単で、低コストかつ迅速な準備が可能である。

 達成された成果

 「セレス1」シリーズのキャリアロケットは、2020年の初打ち上げ以来、2025年1月20日までに合計16回のミッションを成功させている。この期間に合計63基の衛星を軌道に投入した。これにより、「セレス1」は中国の民間宇宙産業における最も信頼性の高いキャリアロケットとしての地位を確立している。特に、以下の点が評価されている:

 ・高い打ち上げ成功率
 ・商業衛星打ち上げ市場におけるコスト競争力
 ・ミッションの柔軟性と多様性

 ギャラクティック・エナジーの戦略的意義

 ギャラクティック・エナジーは、中国の民間宇宙産業の発展を牽引する存在である。同社は、商業衛星打ち上げだけでなく、以下の分野でも活動を拡大している:

 1.研究開発の強化

 ・資陽市の施設では、固体燃料ロケットの製造に加え、次世代技術の研究も進行中である。

 2.市場競争力の強化

 低コストで信頼性の高いサービスを提供することで、国内外の顧客からの需要を取り込んでいる。

 3.応用分野の拡大

 ・気象、農業、資源探査、都市計画など、多様な分野におけるデータ需要に対応する衛星を提供している。

 このように、ギャラクティック・エナジーの活動は、宇宙開発分野における中国の競争力をさらに高める重要な役割を果たしている。

【要点】
 
 ギャラクティック・エナジーの2025年初打ち上げミッションの詳細

 打ち上げ内容

 ・打ち上げ日時: 2025年1月20日
 ・発射場所: 甘粛省酒泉衛星発射センター
 ・ロケット: 自社開発の固体燃料ロケット「セレス1」リモート16号
 ・衛星数: 5基
 
  ➢「Yunyao」星座: 第37号~第40号(4基)
  ➢「Jitianxing」星座: A-05衛星(1基)

 衛星の目的

 1.「Yunyao」星座衛星(4基)

 ・気象観測データの取得
 ・星間採掘ネットワーク技術の検証(四川省K-Space Aerospace Technology Coが開発)

 2.「Jitianxing」A-05衛星

 ・ハイパースペクトルカメラを搭載
 ・主な用途

  ➢環境モニタリング
  ➢森林管理
  ➢都市計画
  ➢農業や資源探査

 ロケット「セレス1」の特徴

 ・固体燃料を使用した自社製ロケット
 ・製造拠点: 四川省資陽市の新しい研究開発・製造施設
 ・特徴

  ➢低コスト
  ➢構造がシンプルで迅速な準備が可能
  ➢高い信頼性

 達成された成果

 ・実績: 2020年の初打ち上げ以降、16回連続成功
 ・投入衛星数: 合計63基
 ・評価ポイント

  ➢高い打ち上げ成功率
  ➢商業打ち上げ市場でのコスト競争力
  ➢ミッションの柔軟性

 ギャラクティック・エナジーの戦略的意義

 1.宇宙産業の牽引

 ・民間宇宙企業として中国の技術力向上に貢献

 2.多様な分野への応用

 ・環境、農業、都市計画、資源探査などの分野でデータを提供

 3.国際競争力の強化

 ・低コストで信頼性の高いサービスを国内外に提供

 今後の展望

 ・次世代ロケット技術の研究開発を継続
 ・衛星運用の拡大により新たな市場を開拓
 ・宇宙資源利用やデータ応用技術へのさらなる注力

【引用・参照・底本】

China’s private rocket firm Galactic Energy completes first launch mission in 2025 GT 2025.01.21
https://www.globaltimes.cn/page/202501/1327243.shtml

中国:初の国産大型ドローン「鴻雁(HY100)」の量産化2025年01月21日 20:23

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【概要】

 中国は初の国産大型ドローン「鴻雁(HY100)」の量産化と引き渡しに成功した。この機体は新疆ウイグル自治区石河子市に所在する北京天域航通科技有限公司の生産拠点で製造され、1月20日にその成果が発表された。同日に3機が顧客に引き渡され、農業や林業の植物保護、航空物流といった分野で活用される予定である。

「鴻雁(HY100)」は固定翼型の大型ドローンであり、最大離陸重量が5.25トン、最大積載量が1.9トンである。航続距離は最大1800キロメートル、最長飛行時間は10.6時間で、真高度4メートルでの長時間安定飛行が可能である。この機体は、ドローン本体と地上管制ステーションから構成されており、独自の知的財産権を有する。

 大型ドローンは最大離陸重量が150キログラムを超える無人航空機を指し、農林業の植物保護や物流輸送、空中投下や緊急救助など、さまざまな用途で利用されている。「鴻雁(HY100)」の量産化は、中国の無人航空技術の発展を示す重要な一歩である。

【詳細】

 中国初の国産大型ドローン「鴻雁(HY100)」の量産化と引き渡しは、中国の無人航空技術分野における画期的な出来事である。この機体は、北京天域航通科技有限公司が開発した固定翼型の大型ドローンシステムであり、以下のような特徴と背景を持つ。

 技術的特徴

 1.設計と性能

 「鴻雁(HY100)」は固定翼型の設計を採用し、効率的で長距離飛行が可能である。最大離陸重量は5.25トンであり、最大商用積載量は1.9トンに達する。これは、農業・林業の作業や物流輸送など、重い荷物を運ぶ用途に適している。また、最大航続距離は1800キロメートル、最長飛行時間は10.6時間に及び、長距離および長時間の作業に対応できる。

 2.高度と飛行安定性

 真高度4メートルでの長時間飛行が可能であり、高度な制御技術による安定した飛行を実現している。これにより、過酷な環境下でも信頼性の高い運用が可能である。

 3.システム構成

 ドローン本体と地上管制ステーションで構成されており、操縦者は遠隔からドローンを制御できる。地上管制ステーションには高度な通信技術が採用されており、飛行中のデータ収集や即時操作が可能である。

 4.知的財産権

 「鴻雁(HY100)」は完全に自主開発されており、中国独自の知的財産権を有している。これにより、海外技術への依存を減らし、国産化の推進を象徴している。

 5.生産と引き渡し

 生産拠点は新疆ウイグル自治区石河子市に設置され、量産体制が整備されている。今回ラインオフした5機のうち、3機がその場で顧客に引き渡された。これらのドローンは農業・林業分野における植物保護や航空物流の作業に利用される予定であり、それぞれの分野での効率向上が期待されている。

 応用分野

「鴻雁(HY100)」は以下のような幅広い分野での利用が見込まれている。

 ・農林業

  大規模農地や森林における植物保護、農薬散布、肥料散布など。

 ・物流輸送

  遠隔地への物資輸送や航空物流の効率化。

 ・緊急救助

  災害時の救援物資投下、被災地の調査。

 ・空中投下・配送

  商業用途での無人配送や特定地域への空中投下。

 背景と意義

 中国は無人航空機の開発と運用において世界的に重要な地位を確立しつつある。「鴻雁(HY100)」の量産化は、中国が大型ドローン技術の分野で新たな段階に進んだことを示しており、輸送や農業などの産業基盤に対する影響も大きい。これにより、国際市場での競争力を強化するとともに、国内の無人航空機産業全体の発展を促進する。

 このように、「鴻雁(HY100)」の成功は中国の技術力と製造能力を示す象徴的な出来事であると言える。

【要点】
 
 中国初の大型ドローン「鴻雁(HY100)」の概要と詳細

 技術的特徴

 ・最大離陸重量:5.25トン
 ・最大積載量:1.9トン
 ・航続距離:最大1800キロメートル
 ・最長飛行時間:10.6時間
 ・飛行高度:真高度4メートルで安定した飛行が可能
 ・システム構成:ドローン本体と地上管制ステーションで構成され、遠隔操作が可能
 ・知的財産権:完全自主開発で中国独自の技術を採用

 生産と引き渡し

 ・生産拠点:新疆ウイグル自治区石河子市の北京天域航通科技有限公司の施設
 ・初期生産数:5機(うち3機が引き渡し済み)
 ・用途:農業・林業の植物保護、航空物流など

 応用分野

 ・農林業:農薬散布や肥料散布などの植物保護作業
 ・物流輸送:遠隔地への物資輸送や航空物流の効率化
 ・緊急救助:災害時の物資投下や被災地調査
 ・空中投下・配送:特定地域への無人配送や商業利用

 背景と意義

 ・国産化の進展:海外技術への依存を低減し、中国独自の無人航空機産業を強化
 ・産業基盤への影響:輸送や農業など、多岐にわたる分野での効率向上を期待
 ・国際競争力の向上:大型ドローン分野での中国の地位向上

 意義の総括

 「鴻雁(HY100)」の量産化と引き渡しは、中国の無人航空機技術の発展と産業拡大を象徴する成果である。

【引用・参照・底本】

中国の国産大型ドローン、初の量産化と引き渡しを実現 人民網日本語版 2025.01.21
http://j.people.com.cn/n3/2025/0121/c94476-20268783.html

トランプと「ディープステート」の対立2025年01月21日 21:00

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【概要】

 2025年1月21日、プーチン大統領の最高顧問であるニコライ・パトルシェフ氏が、アメリカ合衆国の元大統領ドナルド・トランプ、そして中国や東欧情勢について予測を行った。パトルシェフ氏は、FSB(連邦保安局)を10年間率い、その後も安全保障会議の議長を15年以上にわたって務めてきた人物であり、国際情勢に対する深い洞察を持っているとされている。

トランプと「ディープステート」の対立

パトルシェフ氏は、トランプが「ディープステート」と呼ばれる米国の恒久的な軍事、情報、外交の官僚機構との継続的な対立を続けることになると予測している。この「ディープステート」は、トランプ政権に対する内部抵抗を強めており、彼の政策に対して強く反発しているとされる。パトルシェフ氏は、トランプがバイデン政権とは異なる、より実利的でアメリカ国民の利益に直結した政策を実行しようとするが、その成功を疑問視している。この点から、トランプの再選は厳しいものになるだろうと見ており、今回の闘いの結果が世界に大きな影響を与える可能性があると述べている。

 トランプの対中政策とロシアの立場

 次に、パトルシェフ氏はトランプ政権が中国に対して圧力を強化し、両国間の緊張を意図的に悪化させようとすることを予測している。一方で、パトルシェフ氏は、ロシアが中国との関係を「特別な戦略的協力」として維持する意向を示しており、ロシアは中国を裏切ることはないだろうと述べている。中国は、ロシアへの制裁に応じる金融機関を持つなど、一定の行動を取っており、ロシアとしても対立を避けつつ、中国と利害関係を維持する姿勢を保っている。

 モルドバとウクライナの存続

 最後に、パトルシェフ氏はモルドバとウクライナが反ロシア政策を貫いた結果、存続が危ぶまれる可能性があると警告している。モルドバについては、ルーマニアに統合される可能性を示唆し、ウクライナについては反ロシア政策が都市の繁栄を奪い、経済的に崩壊させつつあると語った。これは、紛争のさらなる激化が両国にとって「存在の危機」をもたらす可能性があることを意味しており、モルドバとウクライナが反ロシア政策を堅持する限り、今後の存続が危うくなると見ている。

 トランプ政権との交渉

 パトルシェフ氏は、ロシアはトランプ政権と交渉を行う意思があり、欧州連合や英国などとは交渉しないと改めて強調している。ロシアは自国の目標を達成し、領土を放棄しない姿勢を見せており、交渉が実を結ぶかどうかが今後の情勢に大きな影響を及ぼすと述べている。この点で、トランプが「ディープステート」との対立を乗り越えられるか否かが、モルドバやウクライナの運命に影響を与えることになる。

 パトルシェフ氏の予測は、国際関係に対する深い理解に基づいており、その動向が今後の情勢に大きな影響を与えると考えられる。トランプの対「ディープステート」戦が世界中にどのような影響を及ぼすのか、そしてロシアがどのように動くのかに注目が集まる。

【詳細】

 ニコライ・パトルシェフの予測と背景

 2025年1月21日、ロシアのプーチン大統領の最高顧問であり、FSB(連邦保安局)の長を10年間、さらに安全保障会議の議長を15年以上にわたり務めたニコライ・パトルシェフ氏が、ロシアの外交政策と国際関係について新たな見解を示した。その中で特に注目されたのが、アメリカの元大統領ドナルド・トランプの政策、そして中国・東欧におけるロシアの戦略に関する見解である。

 トランプと「ディープステート」の対立

 パトルシェフ氏は、トランプの再選に関して「ディープステート」と呼ばれる米国の恒久的な軍事、情報、外交官僚機構との対立が今後も続くと予測している。ディープステートとは、アメリカの主要な軍・情報機関、外交官僚機構を指し、トランプ政権への内部抵抗勢力とされている。この対立がトランプ政権にとって大きな困難をもたらし、バイデン政権と異なる、より実利的で国民の利益に直結した政策を実行しようとするが、成功を疑問視している。パトルシェフ氏は、トランプの第一次政権の実績が良くなく、今後の政策もディープステートによる妨害を受ける可能性が高いと考えている。このため、トランプ政権が内部抵抗を乗り越えられるか否かが今後の世界に大きな影響を与えると見ている。

 トランプの対中政策とロシアの立場

 さらにパトルシェフ氏は、トランプが中国に対して積極的に圧力を強化し、両国間の緊張を高めようとすることを予測している。しかし、同時にロシアは中国との関係を「特別な戦略的協力」として維持し、裏切ることはないだろうと述べている。ロシアと中国の関係は、戦略的協力という枠組みを超えて、共に経済、軍事、エネルギーなど幅広い分野で連携を深めてきた。特に、ロシアは中国を経済的に支援し、中国にとって重要な市場となっている一方で、制裁に応じる金融機関も存在するなど、双方に一定の「溝」も生じている。パトルシェフ氏は、トランプの対中政策が「中国との関係を分裂させる」ことには失敗すると予測しており、ロシアとしては中国との関係を安定的に維持する姿勢を見せている。

 モルドバとウクライナの未来

 パトルシェフ氏は、モルドバとウクライナに対しても強い警告を発している。モルドバについては、反ロシア政策が続けば、ルーマニアに統合される可能性があると指摘し、ウクライナについても反ロシア政策が続けば、さらなる都市の繁栄が奪われることになると述べている。これらは、モルドバとウクライナが反ロシア政策を続ける限り、内政不安定やロシアからの圧力によって存続が困難になる可能性があるという意味である。モルドバに関しては、ルーマニアとの統合を望むナショナリストもいるため、今後の動向によってはモルドバが別の国家に吸収される可能性も否定できない。

 ロシアの外交政策とトランプ政権との交渉

 パトルシェフ氏は、ロシアは今後もアメリカと交渉を進め、トランプ政権との協力を模索すると強調している。一方で、EUや英国など他国とは交渉しない方針を示しており、トランプ政権との間での合意を模索する姿勢を見せている。ロシアはその主権を堅持し、領土を放棄しない方針であり、交渉が成功するかどうかが今後の情勢に大きな影響を及ぼすと考えている。しかし、トランプがディープステートの影響を乗り越えられない場合、モルドバやウクライナの運命は大きく変わる可能性もある。

 総括

 パトルシェフ氏の予測は、国際関係に対する深い理解に基づいており、その発言からは今後の情勢に対する具体的な警告が読み取れる。特にトランプ政権の対ディープステート戦とロシアの外交方針が今後の国際政治において重要な要素になると予測しており、その動向が世界にどのような影響を与えるのか、注目が集まることになる。

【要点】
 
 ・ニコライ・パトルシェフは、プーチン大統領の最高顧問であり、FSB(連邦保安局)の長を10年間、さらに安全保障会議の議長を15年以上にわたり務めた経験を持つ。
 ・2025年1月21日、パトルシェフはKomsomolskaya Pravdaとのインタビューで、国際関係についての予測を述べた。
 ・パトルシェフは、トランプが「ディープステート」と呼ばれる米国の恒久的な軍・情報・外交機構と今後も対立することを予測している。
 ・トランプの対中政策について、パトルシェフは中国との関係を安定させるとともに、トランプの試みが失敗すると指摘している。
 ・ロシアと中国の関係は「特別な戦略的協力」として維持され、ロシアは中国との連携を保つ姿勢を見せている。
 ・モルドバとウクライナについて、パトルシェフは反ロシア政策を続ければ、モルドバはルーマニアに統合される可能性があると警告している。
 ・ウクライナに対しても反ロシア政策が続けば、都市の繁栄が奪われると述べている。
 ・ロシアはトランプ政権と交渉を進める姿勢を見せており、他国(EU、英国など)とは交渉しない方針を示している。
パトルシェフは、ロシアが自国の主権を堅持し、領土を放棄しないと強調している。
 ・今後の国際情勢は、トランプ政権がディープステートの影響をどれだけ克服できるかにかかっており、ロシアの外交方針がその鍵を握ると見ている。

【引用・参照・底本】

Putin’s Senior Aide Patrushev Made Some Predictions About Trump, China, & Eastern Europe Andrew Korybko's Newsletter 2025.01.21
https://korybko.substack.com/p/putins-senior-aide-patrushev-made?utm_source=post-email-title&publication_id=835783&post_id=155316096&utm_campaign=email-post-title&isFreemail=true&r=2gkj&triedRedirect=true&utm_medium=email