トランプと「ディープステート」の対立2025年01月21日 21:00

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【概要】

 2025年1月21日、プーチン大統領の最高顧問であるニコライ・パトルシェフ氏が、アメリカ合衆国の元大統領ドナルド・トランプ、そして中国や東欧情勢について予測を行った。パトルシェフ氏は、FSB(連邦保安局)を10年間率い、その後も安全保障会議の議長を15年以上にわたって務めてきた人物であり、国際情勢に対する深い洞察を持っているとされている。

トランプと「ディープステート」の対立

パトルシェフ氏は、トランプが「ディープステート」と呼ばれる米国の恒久的な軍事、情報、外交の官僚機構との継続的な対立を続けることになると予測している。この「ディープステート」は、トランプ政権に対する内部抵抗を強めており、彼の政策に対して強く反発しているとされる。パトルシェフ氏は、トランプがバイデン政権とは異なる、より実利的でアメリカ国民の利益に直結した政策を実行しようとするが、その成功を疑問視している。この点から、トランプの再選は厳しいものになるだろうと見ており、今回の闘いの結果が世界に大きな影響を与える可能性があると述べている。

 トランプの対中政策とロシアの立場

 次に、パトルシェフ氏はトランプ政権が中国に対して圧力を強化し、両国間の緊張を意図的に悪化させようとすることを予測している。一方で、パトルシェフ氏は、ロシアが中国との関係を「特別な戦略的協力」として維持する意向を示しており、ロシアは中国を裏切ることはないだろうと述べている。中国は、ロシアへの制裁に応じる金融機関を持つなど、一定の行動を取っており、ロシアとしても対立を避けつつ、中国と利害関係を維持する姿勢を保っている。

 モルドバとウクライナの存続

 最後に、パトルシェフ氏はモルドバとウクライナが反ロシア政策を貫いた結果、存続が危ぶまれる可能性があると警告している。モルドバについては、ルーマニアに統合される可能性を示唆し、ウクライナについては反ロシア政策が都市の繁栄を奪い、経済的に崩壊させつつあると語った。これは、紛争のさらなる激化が両国にとって「存在の危機」をもたらす可能性があることを意味しており、モルドバとウクライナが反ロシア政策を堅持する限り、今後の存続が危うくなると見ている。

 トランプ政権との交渉

 パトルシェフ氏は、ロシアはトランプ政権と交渉を行う意思があり、欧州連合や英国などとは交渉しないと改めて強調している。ロシアは自国の目標を達成し、領土を放棄しない姿勢を見せており、交渉が実を結ぶかどうかが今後の情勢に大きな影響を及ぼすと述べている。この点で、トランプが「ディープステート」との対立を乗り越えられるか否かが、モルドバやウクライナの運命に影響を与えることになる。

 パトルシェフ氏の予測は、国際関係に対する深い理解に基づいており、その動向が今後の情勢に大きな影響を与えると考えられる。トランプの対「ディープステート」戦が世界中にどのような影響を及ぼすのか、そしてロシアがどのように動くのかに注目が集まる。

【詳細】

 ニコライ・パトルシェフの予測と背景

 2025年1月21日、ロシアのプーチン大統領の最高顧問であり、FSB(連邦保安局)の長を10年間、さらに安全保障会議の議長を15年以上にわたり務めたニコライ・パトルシェフ氏が、ロシアの外交政策と国際関係について新たな見解を示した。その中で特に注目されたのが、アメリカの元大統領ドナルド・トランプの政策、そして中国・東欧におけるロシアの戦略に関する見解である。

 トランプと「ディープステート」の対立

 パトルシェフ氏は、トランプの再選に関して「ディープステート」と呼ばれる米国の恒久的な軍事、情報、外交官僚機構との対立が今後も続くと予測している。ディープステートとは、アメリカの主要な軍・情報機関、外交官僚機構を指し、トランプ政権への内部抵抗勢力とされている。この対立がトランプ政権にとって大きな困難をもたらし、バイデン政権と異なる、より実利的で国民の利益に直結した政策を実行しようとするが、成功を疑問視している。パトルシェフ氏は、トランプの第一次政権の実績が良くなく、今後の政策もディープステートによる妨害を受ける可能性が高いと考えている。このため、トランプ政権が内部抵抗を乗り越えられるか否かが今後の世界に大きな影響を与えると見ている。

 トランプの対中政策とロシアの立場

 さらにパトルシェフ氏は、トランプが中国に対して積極的に圧力を強化し、両国間の緊張を高めようとすることを予測している。しかし、同時にロシアは中国との関係を「特別な戦略的協力」として維持し、裏切ることはないだろうと述べている。ロシアと中国の関係は、戦略的協力という枠組みを超えて、共に経済、軍事、エネルギーなど幅広い分野で連携を深めてきた。特に、ロシアは中国を経済的に支援し、中国にとって重要な市場となっている一方で、制裁に応じる金融機関も存在するなど、双方に一定の「溝」も生じている。パトルシェフ氏は、トランプの対中政策が「中国との関係を分裂させる」ことには失敗すると予測しており、ロシアとしては中国との関係を安定的に維持する姿勢を見せている。

 モルドバとウクライナの未来

 パトルシェフ氏は、モルドバとウクライナに対しても強い警告を発している。モルドバについては、反ロシア政策が続けば、ルーマニアに統合される可能性があると指摘し、ウクライナについても反ロシア政策が続けば、さらなる都市の繁栄が奪われることになると述べている。これらは、モルドバとウクライナが反ロシア政策を続ける限り、内政不安定やロシアからの圧力によって存続が困難になる可能性があるという意味である。モルドバに関しては、ルーマニアとの統合を望むナショナリストもいるため、今後の動向によってはモルドバが別の国家に吸収される可能性も否定できない。

 ロシアの外交政策とトランプ政権との交渉

 パトルシェフ氏は、ロシアは今後もアメリカと交渉を進め、トランプ政権との協力を模索すると強調している。一方で、EUや英国など他国とは交渉しない方針を示しており、トランプ政権との間での合意を模索する姿勢を見せている。ロシアはその主権を堅持し、領土を放棄しない方針であり、交渉が成功するかどうかが今後の情勢に大きな影響を及ぼすと考えている。しかし、トランプがディープステートの影響を乗り越えられない場合、モルドバやウクライナの運命は大きく変わる可能性もある。

 総括

 パトルシェフ氏の予測は、国際関係に対する深い理解に基づいており、その発言からは今後の情勢に対する具体的な警告が読み取れる。特にトランプ政権の対ディープステート戦とロシアの外交方針が今後の国際政治において重要な要素になると予測しており、その動向が世界にどのような影響を与えるのか、注目が集まることになる。

【要点】
 
 ・ニコライ・パトルシェフは、プーチン大統領の最高顧問であり、FSB(連邦保安局)の長を10年間、さらに安全保障会議の議長を15年以上にわたり務めた経験を持つ。
 ・2025年1月21日、パトルシェフはKomsomolskaya Pravdaとのインタビューで、国際関係についての予測を述べた。
 ・パトルシェフは、トランプが「ディープステート」と呼ばれる米国の恒久的な軍・情報・外交機構と今後も対立することを予測している。
 ・トランプの対中政策について、パトルシェフは中国との関係を安定させるとともに、トランプの試みが失敗すると指摘している。
 ・ロシアと中国の関係は「特別な戦略的協力」として維持され、ロシアは中国との連携を保つ姿勢を見せている。
 ・モルドバとウクライナについて、パトルシェフは反ロシア政策を続ければ、モルドバはルーマニアに統合される可能性があると警告している。
 ・ウクライナに対しても反ロシア政策が続けば、都市の繁栄が奪われると述べている。
 ・ロシアはトランプ政権と交渉を進める姿勢を見せており、他国(EU、英国など)とは交渉しない方針を示している。
パトルシェフは、ロシアが自国の主権を堅持し、領土を放棄しないと強調している。
 ・今後の国際情勢は、トランプ政権がディープステートの影響をどれだけ克服できるかにかかっており、ロシアの外交方針がその鍵を握ると見ている。

【引用・参照・底本】

Putin’s Senior Aide Patrushev Made Some Predictions About Trump, China, & Eastern Europe Andrew Korybko's Newsletter 2025.01.21
https://korybko.substack.com/p/putins-senior-aide-patrushev-made?utm_source=post-email-title&publication_id=835783&post_id=155316096&utm_campaign=email-post-title&isFreemail=true&r=2gkj&triedRedirect=true&utm_medium=email

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