米移民・関税執行局(ICE):37歳の米国市民で3児の母である女性を射殺 ― 2026-01-10 12:50
【概要】
2026年1月、米ミネソタ州ミネアポリスにおいて、米移民・関税執行局(ICE)の捜査官が37歳の米国市民で3児の母である女性を射殺する事件が発生した。この事件は米国内で大規模な抗議行動を引き起こし、連邦政府と州・地方政府、与野党間の深刻な対立を浮き彫りにした。また、米国外のメディアやSNSでも広く報じられ、国際的な注目を集めている。
【詳細】
射殺されたのはレネー・ニコール・グッドであり、事件は彼女がミネアポリスの小学校に末子を送り届けた直後に起きたと報じられている。AP通信によれば、現場の映像には、ICE職員が彼女の車に近づきドアを開けるよう要求し、車が前進し始めた直後に、別のICE職員が至近距離から少なくとも2発発砲する様子が映っている。事件全体は10秒未満であったとされる。
事件現場は、2020年にジョージ・フロイドが警察に殺害された場所から1マイル未満の距離にあり、当時と同様に警察・法執行機関の在り方をめぐる議論が再燃した。
トランプ大統領はSNS上で、被害者側が職員を轢こうとしたと主張し、職員の行為は正当防衛であると述べた。国土安全保障長官クリスティ・ノームも、職員への危害を企図した「国内テロ行為」であった可能性に言及している。
これに対し、ミネアポリス市長ジェイコブ・フライは、連邦政府側の説明を「虚偽である」と強く非難した。ミネソタ州知事ティム・ウォルズは、治安維持のため州兵を待機させる措置を取ったと報じられている。
事件後、ミネアポリスをはじめ、ワシントンD.C.、サンフランシスコ、オークランドなど全米各地でICEに抗議するデモが発生した。一部では連邦捜査官が抗議者を拘束し、化学刺激剤を使用したとの証言も報じられている。
また、ニューヨーク・タイムズは、過去4カ月間でICE職員が5州とワシントンD.C.において少なくとも9人に発砲しており、いずれも車両内にいた人物に対するもので、当局はすべて正当防衛を主張していると伝えている。
事件は米国のみならず、英国、ドイツなどの主要メディアでも報道され、中国のSNSを含む海外のネット空間でも多くの反応を呼んだ。米国の著名人や一般市民からも、ICEの訓練や組織文化を疑問視する声が上がっている。
【要点】
・ミネソタ州でICE職員が37歳の米国市民女性を射殺する事件が発生した。
・連邦政府は正当防衛と主張し、州・地方政府はその説明を強く否定している。
・事件は全米各地で大規模な抗議行動を引き起こした。
・ICEによる車両内の人物への発砲事例が近年相次いでいることが指摘されている。
・本件は米国内の政治的分断と法執行を巡る緊張を象徴する出来事として、国際的にも注目されている。
【桃源寸評】🌍
現時点で整理できる「理由に関する基本的事実」
(1)連邦側の主張
・ICE職員は「自衛のため」に発砲したと説明している。
・「車両を武器化し職員に危害を加えようとした」との主張がされている。
(2)地元当局/映像との矛盾
・ミネアポリス市当局は、この主張を否定している。
・公開された映像には、職員と女性との間で重大な接触・危険があったことを裏付ける明確な証拠は見られないとの指摘がある。
(3)裁判的・捜査的評価は未確定
・事件は現在も捜査中であり、発砲の正当性や判断の妥当性について公式な結論は出ていない。
【寸評 完】 💚
【引用・参照・底本】
Fatal shooting of 37-year-old mother by ICE agent in Minnesota sparks division, outcry, at home and abroad GT 2026.01.09
https://www.globaltimes.cn/page/202601/1352785.shtml
New video filmed by ICE agent emerges of Minnesota woman’s killing FRANCE24 2026.01.10
https://www.france24.com/en/americas/20260110-new-video-filmed-by-ice-agent-emerges-of-minnesota-woman-s-killing?utm_medium=email&utm_campaign=newsletter&utm_source=f24-nl-quot-en&utm_email_send_date=%2020260110&utm_email_recipient=263407&utm_email_link=contenus&_ope=eyJndWlkIjoiYWU3N2I1MjkzZWQ3MzhmMjFlZjM2YzdkNjFmNTNiNWEifQ%3D%3D
2026年1月、米ミネソタ州ミネアポリスにおいて、米移民・関税執行局(ICE)の捜査官が37歳の米国市民で3児の母である女性を射殺する事件が発生した。この事件は米国内で大規模な抗議行動を引き起こし、連邦政府と州・地方政府、与野党間の深刻な対立を浮き彫りにした。また、米国外のメディアやSNSでも広く報じられ、国際的な注目を集めている。
【詳細】
射殺されたのはレネー・ニコール・グッドであり、事件は彼女がミネアポリスの小学校に末子を送り届けた直後に起きたと報じられている。AP通信によれば、現場の映像には、ICE職員が彼女の車に近づきドアを開けるよう要求し、車が前進し始めた直後に、別のICE職員が至近距離から少なくとも2発発砲する様子が映っている。事件全体は10秒未満であったとされる。
事件現場は、2020年にジョージ・フロイドが警察に殺害された場所から1マイル未満の距離にあり、当時と同様に警察・法執行機関の在り方をめぐる議論が再燃した。
トランプ大統領はSNS上で、被害者側が職員を轢こうとしたと主張し、職員の行為は正当防衛であると述べた。国土安全保障長官クリスティ・ノームも、職員への危害を企図した「国内テロ行為」であった可能性に言及している。
これに対し、ミネアポリス市長ジェイコブ・フライは、連邦政府側の説明を「虚偽である」と強く非難した。ミネソタ州知事ティム・ウォルズは、治安維持のため州兵を待機させる措置を取ったと報じられている。
事件後、ミネアポリスをはじめ、ワシントンD.C.、サンフランシスコ、オークランドなど全米各地でICEに抗議するデモが発生した。一部では連邦捜査官が抗議者を拘束し、化学刺激剤を使用したとの証言も報じられている。
また、ニューヨーク・タイムズは、過去4カ月間でICE職員が5州とワシントンD.C.において少なくとも9人に発砲しており、いずれも車両内にいた人物に対するもので、当局はすべて正当防衛を主張していると伝えている。
事件は米国のみならず、英国、ドイツなどの主要メディアでも報道され、中国のSNSを含む海外のネット空間でも多くの反応を呼んだ。米国の著名人や一般市民からも、ICEの訓練や組織文化を疑問視する声が上がっている。
【要点】
・ミネソタ州でICE職員が37歳の米国市民女性を射殺する事件が発生した。
・連邦政府は正当防衛と主張し、州・地方政府はその説明を強く否定している。
・事件は全米各地で大規模な抗議行動を引き起こした。
・ICEによる車両内の人物への発砲事例が近年相次いでいることが指摘されている。
・本件は米国内の政治的分断と法執行を巡る緊張を象徴する出来事として、国際的にも注目されている。
【桃源寸評】🌍
現時点で整理できる「理由に関する基本的事実」
(1)連邦側の主張
・ICE職員は「自衛のため」に発砲したと説明している。
・「車両を武器化し職員に危害を加えようとした」との主張がされている。
(2)地元当局/映像との矛盾
・ミネアポリス市当局は、この主張を否定している。
・公開された映像には、職員と女性との間で重大な接触・危険があったことを裏付ける明確な証拠は見られないとの指摘がある。
(3)裁判的・捜査的評価は未確定
・事件は現在も捜査中であり、発砲の正当性や判断の妥当性について公式な結論は出ていない。
【寸評 完】 💚
【引用・参照・底本】
Fatal shooting of 37-year-old mother by ICE agent in Minnesota sparks division, outcry, at home and abroad GT 2026.01.09
https://www.globaltimes.cn/page/202601/1352785.shtml
New video filmed by ICE agent emerges of Minnesota woman’s killing FRANCE24 2026.01.10
https://www.france24.com/en/americas/20260110-new-video-filmed-by-ice-agent-emerges-of-minnesota-woman-s-killing?utm_medium=email&utm_campaign=newsletter&utm_source=f24-nl-quot-en&utm_email_send_date=%2020260110&utm_email_recipient=263407&utm_email_link=contenus&_ope=eyJndWlkIjoiYWU3N2I1MjkzZWQ3MzhmMjFlZjM2YzdkNjFmNTNiNWEifQ%3D%3D
カナダ国内では対中好感度や貿易拡大支持が上昇し、世論の変化が背景にある ― 2026-01-10 17:17
【概要】
カナダのマーク・カーニー首相が2026年1月13日から17日にかけて中国を訪問し、貿易、エネルギー、国際安全保障について協議する予定である。本訪問は2017年以来となるカナダ首相の中国公式訪問であり、両国関係の「再設定」や「慎重なリセット」としてカナダ国内で期待が高まっている。世論調査では対中好感度や貿易拡大支持が上昇しており、こうした世論の変化が関係改善の土壌となっていると論じられている。
【詳細】
カナダ首相府は、カーニー首相が中国側と貿易、エネルギー、国際安全保障を議題に協議するため中国を訪問すると発表した。カナダの主要メディアはこの訪問を両国関係の「リセット」と位置づけ、特に農業関係者の間で期待が高いと報じている。サスカチュワン州の農家にとっては、訪問が待ち望まれていたものであると表現されている。
世論面では、カナダ国内で中国に好意的な見方を持つ割合が2025年初頭の16%から27%へ上昇したとの調査結果が示されている。また、中国が対抗措置を解除することを条件に、中国製電気自動車への関税を完全撤廃すべきだとする意見が6割を超え、対中貿易拡大を支持する割合も2023年の7%から31%へ増加した。これらは対中認識の「再均衡」を示すものとされている。
近年、カナダが米国に追随して中国製電気自動車や鉄鋼・アルミ製品に関税を課した結果、中国がカナダ産のカノーラ、水産物、豚肉などに報復関税を課し、両国関係は低迷した。特に農業分野への影響が大きく、州首相らは関税撤廃を求める共同声明を出し、サスカチュワン州首相は自ら中国を訪問して問題解決を模索したとされる。農家にとって今回の訪問は外交以上に、取引や安定への期待を伴うものであると述べられている。
また、米国がUSMCAを顧みずにカナダ製品へ追加関税を課したことや、西半球への影響力を強める動きが、カナダに貿易多角化と対米依存低減を意識させたと指摘されている。中国は長年カナダにとって第2の貿易相手国であり、ブリティッシュコロンビア州のフェリー会社が中国企業に建造契約を発注した事例や、中国の団体観光再開への好意的反応も紹介されている。
外交面では、2025年6月のカーニー首相と李強首相の電話会談、9月の国連総会に合わせた再会、10月の外相訪中、さらにAPEC首脳会議での習近平国家主席との会談など、段階的な関与の流れが整理されている。これらは首脳外交を軸に、理性的かつ実務的な協力への回帰を示す動きとして描かれている。
【要点】
・カーニー首相の訪中は2017年以来であり、両国関係改善の節目と位置づけられている。
・カナダ国内では対中好感度や貿易拡大支持が上昇し、世論の変化が背景にあるとされている。
・関税問題により農業分野が大きな影響を受け、農家の期待が訪中を後押ししている。
・米国との関係変化が、カナダの貿易多角化志向を強めたと論じられている。
・近年の首脳・閣僚級交流の積み重ねが、理性的で実務的な協力再構築の兆しとして示されている。
【引用・参照・底本】
Public expectations ‘warm up’ Canadian PM’s visit to China: Global Times editorial GT 2026.01.10
https://www.globaltimes.cn/page/202601/1352804.shtml
カナダのマーク・カーニー首相が2026年1月13日から17日にかけて中国を訪問し、貿易、エネルギー、国際安全保障について協議する予定である。本訪問は2017年以来となるカナダ首相の中国公式訪問であり、両国関係の「再設定」や「慎重なリセット」としてカナダ国内で期待が高まっている。世論調査では対中好感度や貿易拡大支持が上昇しており、こうした世論の変化が関係改善の土壌となっていると論じられている。
【詳細】
カナダ首相府は、カーニー首相が中国側と貿易、エネルギー、国際安全保障を議題に協議するため中国を訪問すると発表した。カナダの主要メディアはこの訪問を両国関係の「リセット」と位置づけ、特に農業関係者の間で期待が高いと報じている。サスカチュワン州の農家にとっては、訪問が待ち望まれていたものであると表現されている。
世論面では、カナダ国内で中国に好意的な見方を持つ割合が2025年初頭の16%から27%へ上昇したとの調査結果が示されている。また、中国が対抗措置を解除することを条件に、中国製電気自動車への関税を完全撤廃すべきだとする意見が6割を超え、対中貿易拡大を支持する割合も2023年の7%から31%へ増加した。これらは対中認識の「再均衡」を示すものとされている。
近年、カナダが米国に追随して中国製電気自動車や鉄鋼・アルミ製品に関税を課した結果、中国がカナダ産のカノーラ、水産物、豚肉などに報復関税を課し、両国関係は低迷した。特に農業分野への影響が大きく、州首相らは関税撤廃を求める共同声明を出し、サスカチュワン州首相は自ら中国を訪問して問題解決を模索したとされる。農家にとって今回の訪問は外交以上に、取引や安定への期待を伴うものであると述べられている。
また、米国がUSMCAを顧みずにカナダ製品へ追加関税を課したことや、西半球への影響力を強める動きが、カナダに貿易多角化と対米依存低減を意識させたと指摘されている。中国は長年カナダにとって第2の貿易相手国であり、ブリティッシュコロンビア州のフェリー会社が中国企業に建造契約を発注した事例や、中国の団体観光再開への好意的反応も紹介されている。
外交面では、2025年6月のカーニー首相と李強首相の電話会談、9月の国連総会に合わせた再会、10月の外相訪中、さらにAPEC首脳会議での習近平国家主席との会談など、段階的な関与の流れが整理されている。これらは首脳外交を軸に、理性的かつ実務的な協力への回帰を示す動きとして描かれている。
【要点】
・カーニー首相の訪中は2017年以来であり、両国関係改善の節目と位置づけられている。
・カナダ国内では対中好感度や貿易拡大支持が上昇し、世論の変化が背景にあるとされている。
・関税問題により農業分野が大きな影響を受け、農家の期待が訪中を後押ししている。
・米国との関係変化が、カナダの貿易多角化志向を強めたと論じられている。
・近年の首脳・閣僚級交流の積み重ねが、理性的で実務的な協力再構築の兆しとして示されている。
【引用・参照・底本】
Public expectations ‘warm up’ Canadian PM’s visit to China: Global Times editorial GT 2026.01.10
https://www.globaltimes.cn/page/202601/1352804.shtml
「窰洞の問い」とは、政権がいかに長期的に腐敗や衰退を避けるかという根本的問題 ― 2026-01-10 19:28
【概要】
中国が1945年に提示された「窰洞(洞窟)での問い」、すなわち政権がいかにして長期的に腐敗や衰退を避け、持続的に統治を行うかという問題を、2026年という国際的に不安定な時代にあらためて問い直していることを論じたものである。中国共産党が人民による監督と自己革命という二つの方法を通じて自らを律し続けてきた点を強調し、米国や欧州に見られる統治の停滞や分断と対比しながら、自己改革能力こそが現代の体制競争において重要であると指摘している。
【詳細】
2026年の新年のメッセージにおいて、習近平国家主席は、延安の窰洞で提起された「長期的統治をいかに維持するか」という問いに引き続き良い答えを出していく必要性を述べた。この問いは1945年、黄炎培が毛沢東に対して政権の長期的成功の条件を尋ねたことに由来し、毛沢東は「人民による監督」と「公職者の自覚と勤勉」を答えとした。
その後、中国共産党はこれに加えて「自己革命」、すなわち党が自らを改革し、規律を強化し続ける能力を第二の答えとして位置付けた。この問いは一見単純であるが、あらゆる政治体制が直面する極めて困難な問題であり、中国の平和的発展とも密接に関わっている。
国際情勢を長年取材してきた立場から、民主主義国家や覇権的体制が機能不全や硬直化に陥る様子を目の当たりにしてきたと述べ、とりわけ米国では政治的分断が深刻化し、その混乱が国際社会にも波及していると指摘する。米国では選挙や三権分立、自由な報道といった制度は存在するものの、相互不信と対立によって機能不全に陥っているとし、レビツキーとジブラットの議論を引用して現状を説明している。
欧州においても、ポピュリズムの台頭、制度の停滞、統治への信頼低下が見られ、民主主義世界全体で自己修正機能が停滞や衰退を生み出しているとの認識が示されている。こうした国内問題は対外政策にも転化され、保護主義や主権介入の傾向を強めていると述べられる。
このような世界情勢の中で、外的衝撃が激しさを増す時代には内部の強靱性が決定的であり、国家は外圧よりも内部の腐敗が危機によって露呈することで崩壊すると指摘する。中国の「人民の監督」と「制度化された自己規律」という答えは普遍的なモデルではないとしつつも、実践的に自己改革できる体制こそが重要であると論じている。
さらに、中国がこの問いを問い続ける姿勢は自己責任と統治の正当性を強化し、混乱する世界において安定的な存在となり得ると述べる。2026年は第15次五カ年計画の初年度であり、中国が全面的な現代化を進め、平和的発展への姿勢を一層強化する重要な時期であると位置付けている。
【要点】
・「窰洞の問い」とは、政権がいかに長期的に腐敗や衰退を避けるかという根本的問題である。
・中国は人民による監督と自己革命を通じて、この問いへの答えを発展させてきた。
・米国や欧州では政治的分断や制度の停滞により、自己修正機能が弱体化していると指摘されている。
・現代の体制競争では、理念の優劣ではなく、実際に自己改革できる能力が重要である。
・中国が自己改革を重視し続けることは、国内統治の安定だけでなく、国際社会における安定要因ともなり得ると論じられている。
【桃源寸評】🌍
I.「窰洞(洞窟)での問い」
「窰洞(yáodòng:洞窟 日本語読み:ようどう)での問い」は、中国共産党の歴史において重要な概念である。
これは1942年から1945年にかけて、延安の窰洞(ヤオドン:黄土高原に掘られた横穴式住居)で毛沢東と民主人士の黄炎培が交わした対話に由来する。
・黄炎培の問い
黄炎培は「歴代王朝が興亡を繰り返してきた歴史的サイクル」について毛沢東に尋ねた。つまり、「共産党も権力を握った後、腐敗し、衰退する運命から逃れられるのか」という問いである。
・毛沢東の答え
毛沢東は「我々は新しい道を見つけた。それは民主である。人民による監督があれば、政府は緩むことはない」と答えた。
・現代的意義
習近平政権下で、この「窰洞での問い」は繰り返し言及されており、共産党が長期政権を維持する中で腐敗を防ぎ、歴史的な興亡のサイクルから脱却できるかという課題を象徴する言葉として使われている。自己革命や党の規律強化を正当化する文脈でも引用される。
II.レビツキーとジブラットの議論
レビツキー(Steven Levitsky)とジブラット(Daniel Ziblatt)は、ハーバード大学の政治学者で、民主主義の衰退と崩壊について重要な議論を展開している。
1.主著:『民主主義の死に方』(How Democracies Die, 2018年)
2.主要な論点
(1)民主主義の崩壊様式の変化
・現代では、軍事クーデターではなく、選挙で選ばれた指導者によって民主主義が内部から徐々に侵食される。
(2)独裁者の4つの警告サイン
・民主的ルールへの拒否・軽視
・政敵の正当性の否定
・暴力の容認・奨励
・メディアや反対派の市民的自由の制限意欲
(3)民主主義を守る「ガードレール」
・相互的寛容: 政敵を正当な競争相手として認める
・制度的自制: 権力を持っていても、それを最大限に行使しない節度
(4)規範の重要性
・成文化された制度だけでなく、不文律の規範が民主主義維持に不可欠
この議論は、トランプ政権下のアメリカや世界各地のポピュリズムの台頭を分析する文脈で広く参照されている。
III.『民主主義の死に方』
1.基本的な主張
民主主義崩壊の新しいパターン
・20世紀は軍事クーデターが主流だったが、冷戦後は選挙で選ばれた指導者が合法的手段で民主主義を破壊するパターンが主流に
・ベネズエラのチャベス、トルコのエルドアン、ハンガリーのオルバンなどを事例として分析
2.独裁者の4つの警告サイン
(1)民主的ルールの拒否・軽視
・選挙結果の受け入れ拒否
・憲法違反の示唆
・クーデターや権威主義的手段の正当化
(2)政敵の正当性の否定
・対立候補を犯罪者扱い
・陰謀論の流布
・反対派を「国家の敵」と位置づける
(3)暴力の容認・奨励
・支持者の暴力を黙認または称賛
・反対派への物理的攻撃の奨励
(4)メディアや反対派への市民的自由の制限
・報道の自由への攻撃
・批判的メディアの「国民の敵」扱い
・反対派の抗議活動の制限
3.民主主義を守る「ガードレール」
(1)相互的寛容(Mutual Toleration)
・政治的対立相手を正当な競争者として認める
・対立候補を「存亡の脅威」とみなさない
・イデオロギーが違っても、民主的ルール内での競争を受け入れる
(2)制度的自制(Institutional Forbearance)
・憲法上可能でも、権力の最大限行使を控える
・例: 最高裁判事の増員、フィリバスターの乱用、大統領令の多用などを自制「できること」と「すべきこと」の区別
4.民主主義侵食の具体的手法
(1)審判の捕獲(Capturing the Referees)
・裁判所、検察、監査機関などの独立機関を支配下に置く
・味方を任命し、批判的な人物を排除
(2)政敵の側面攻撃(Sidelining Political Opponents)
・法的手段での迫害(税務調査、汚職捜査など)
・メディアや企業への圧力で対立候補の資金源を断つ
・選挙制度の変更で不利にする
(3)ルールの書き換え(Rewriting the Rules)
・憲法改正で権力集中
・選挙制度の操作
・メディア規制法の制定
4.アメリカの歴史的文脈
(1)規範が機能していた時代
・建国当初は奴隷制と人種排除の上に成立
・1960年代の公民権運動後、真の民主主義への移行
・しかし政治的二極化の進行で規範が崩壊
(2)規範崩壊の兆候
・党派的対立の激化
・最高裁判事承認プロセスの政治化
・ゲリマンダリングの悪化
・オバマ政権時の共和党の徹底抗戦戦略
(3)トランプ政権の分析
著者たちはトランプを4つの警告サインすべてに該当するとして分析。
・選挙結果への疑義表明
・「ヒラリーを投獄せよ」の扇動
・支持者の暴力容認
・メディアへの「国民の敵」発言
5.民主主義を守るために
(1)政党の門番機能(Gatekeeping)
・極端な候補者を排除する政党の責任
・歴史的に機能した例と失敗した例
(2)市民社会の役割
・多様な連合の形成
・規範の重要性の認識
・短期的政治的勝利より民主主義の保護を優先
(3)制度改革の提案
・自動有権者登録
・独立した選挙区画定委員会
・最高裁の任期制限の検討
この著作は、民主主義が一度確立されれば永続するものではなく、常に維持する努力が必要であることを強調している。
【寸評 完】 💚
【引用・参照・底本】
In a turbulent world, China revisits an 80-year-old question GT 2026.01.09
https://www.globaltimes.cn/page/202601/1352794.shtml
中国が1945年に提示された「窰洞(洞窟)での問い」、すなわち政権がいかにして長期的に腐敗や衰退を避け、持続的に統治を行うかという問題を、2026年という国際的に不安定な時代にあらためて問い直していることを論じたものである。中国共産党が人民による監督と自己革命という二つの方法を通じて自らを律し続けてきた点を強調し、米国や欧州に見られる統治の停滞や分断と対比しながら、自己改革能力こそが現代の体制競争において重要であると指摘している。
【詳細】
2026年の新年のメッセージにおいて、習近平国家主席は、延安の窰洞で提起された「長期的統治をいかに維持するか」という問いに引き続き良い答えを出していく必要性を述べた。この問いは1945年、黄炎培が毛沢東に対して政権の長期的成功の条件を尋ねたことに由来し、毛沢東は「人民による監督」と「公職者の自覚と勤勉」を答えとした。
その後、中国共産党はこれに加えて「自己革命」、すなわち党が自らを改革し、規律を強化し続ける能力を第二の答えとして位置付けた。この問いは一見単純であるが、あらゆる政治体制が直面する極めて困難な問題であり、中国の平和的発展とも密接に関わっている。
国際情勢を長年取材してきた立場から、民主主義国家や覇権的体制が機能不全や硬直化に陥る様子を目の当たりにしてきたと述べ、とりわけ米国では政治的分断が深刻化し、その混乱が国際社会にも波及していると指摘する。米国では選挙や三権分立、自由な報道といった制度は存在するものの、相互不信と対立によって機能不全に陥っているとし、レビツキーとジブラットの議論を引用して現状を説明している。
欧州においても、ポピュリズムの台頭、制度の停滞、統治への信頼低下が見られ、民主主義世界全体で自己修正機能が停滞や衰退を生み出しているとの認識が示されている。こうした国内問題は対外政策にも転化され、保護主義や主権介入の傾向を強めていると述べられる。
このような世界情勢の中で、外的衝撃が激しさを増す時代には内部の強靱性が決定的であり、国家は外圧よりも内部の腐敗が危機によって露呈することで崩壊すると指摘する。中国の「人民の監督」と「制度化された自己規律」という答えは普遍的なモデルではないとしつつも、実践的に自己改革できる体制こそが重要であると論じている。
さらに、中国がこの問いを問い続ける姿勢は自己責任と統治の正当性を強化し、混乱する世界において安定的な存在となり得ると述べる。2026年は第15次五カ年計画の初年度であり、中国が全面的な現代化を進め、平和的発展への姿勢を一層強化する重要な時期であると位置付けている。
【要点】
・「窰洞の問い」とは、政権がいかに長期的に腐敗や衰退を避けるかという根本的問題である。
・中国は人民による監督と自己革命を通じて、この問いへの答えを発展させてきた。
・米国や欧州では政治的分断や制度の停滞により、自己修正機能が弱体化していると指摘されている。
・現代の体制競争では、理念の優劣ではなく、実際に自己改革できる能力が重要である。
・中国が自己改革を重視し続けることは、国内統治の安定だけでなく、国際社会における安定要因ともなり得ると論じられている。
【桃源寸評】🌍
I.「窰洞(洞窟)での問い」
「窰洞(yáodòng:洞窟 日本語読み:ようどう)での問い」は、中国共産党の歴史において重要な概念である。
これは1942年から1945年にかけて、延安の窰洞(ヤオドン:黄土高原に掘られた横穴式住居)で毛沢東と民主人士の黄炎培が交わした対話に由来する。
・黄炎培の問い
黄炎培は「歴代王朝が興亡を繰り返してきた歴史的サイクル」について毛沢東に尋ねた。つまり、「共産党も権力を握った後、腐敗し、衰退する運命から逃れられるのか」という問いである。
・毛沢東の答え
毛沢東は「我々は新しい道を見つけた。それは民主である。人民による監督があれば、政府は緩むことはない」と答えた。
・現代的意義
習近平政権下で、この「窰洞での問い」は繰り返し言及されており、共産党が長期政権を維持する中で腐敗を防ぎ、歴史的な興亡のサイクルから脱却できるかという課題を象徴する言葉として使われている。自己革命や党の規律強化を正当化する文脈でも引用される。
II.レビツキーとジブラットの議論
レビツキー(Steven Levitsky)とジブラット(Daniel Ziblatt)は、ハーバード大学の政治学者で、民主主義の衰退と崩壊について重要な議論を展開している。
1.主著:『民主主義の死に方』(How Democracies Die, 2018年)
2.主要な論点
(1)民主主義の崩壊様式の変化
・現代では、軍事クーデターではなく、選挙で選ばれた指導者によって民主主義が内部から徐々に侵食される。
(2)独裁者の4つの警告サイン
・民主的ルールへの拒否・軽視
・政敵の正当性の否定
・暴力の容認・奨励
・メディアや反対派の市民的自由の制限意欲
(3)民主主義を守る「ガードレール」
・相互的寛容: 政敵を正当な競争相手として認める
・制度的自制: 権力を持っていても、それを最大限に行使しない節度
(4)規範の重要性
・成文化された制度だけでなく、不文律の規範が民主主義維持に不可欠
この議論は、トランプ政権下のアメリカや世界各地のポピュリズムの台頭を分析する文脈で広く参照されている。
III.『民主主義の死に方』
1.基本的な主張
民主主義崩壊の新しいパターン
・20世紀は軍事クーデターが主流だったが、冷戦後は選挙で選ばれた指導者が合法的手段で民主主義を破壊するパターンが主流に
・ベネズエラのチャベス、トルコのエルドアン、ハンガリーのオルバンなどを事例として分析
2.独裁者の4つの警告サイン
(1)民主的ルールの拒否・軽視
・選挙結果の受け入れ拒否
・憲法違反の示唆
・クーデターや権威主義的手段の正当化
(2)政敵の正当性の否定
・対立候補を犯罪者扱い
・陰謀論の流布
・反対派を「国家の敵」と位置づける
(3)暴力の容認・奨励
・支持者の暴力を黙認または称賛
・反対派への物理的攻撃の奨励
(4)メディアや反対派への市民的自由の制限
・報道の自由への攻撃
・批判的メディアの「国民の敵」扱い
・反対派の抗議活動の制限
3.民主主義を守る「ガードレール」
(1)相互的寛容(Mutual Toleration)
・政治的対立相手を正当な競争者として認める
・対立候補を「存亡の脅威」とみなさない
・イデオロギーが違っても、民主的ルール内での競争を受け入れる
(2)制度的自制(Institutional Forbearance)
・憲法上可能でも、権力の最大限行使を控える
・例: 最高裁判事の増員、フィリバスターの乱用、大統領令の多用などを自制「できること」と「すべきこと」の区別
4.民主主義侵食の具体的手法
(1)審判の捕獲(Capturing the Referees)
・裁判所、検察、監査機関などの独立機関を支配下に置く
・味方を任命し、批判的な人物を排除
(2)政敵の側面攻撃(Sidelining Political Opponents)
・法的手段での迫害(税務調査、汚職捜査など)
・メディアや企業への圧力で対立候補の資金源を断つ
・選挙制度の変更で不利にする
(3)ルールの書き換え(Rewriting the Rules)
・憲法改正で権力集中
・選挙制度の操作
・メディア規制法の制定
4.アメリカの歴史的文脈
(1)規範が機能していた時代
・建国当初は奴隷制と人種排除の上に成立
・1960年代の公民権運動後、真の民主主義への移行
・しかし政治的二極化の進行で規範が崩壊
(2)規範崩壊の兆候
・党派的対立の激化
・最高裁判事承認プロセスの政治化
・ゲリマンダリングの悪化
・オバマ政権時の共和党の徹底抗戦戦略
(3)トランプ政権の分析
著者たちはトランプを4つの警告サインすべてに該当するとして分析。
・選挙結果への疑義表明
・「ヒラリーを投獄せよ」の扇動
・支持者の暴力容認
・メディアへの「国民の敵」発言
5.民主主義を守るために
(1)政党の門番機能(Gatekeeping)
・極端な候補者を排除する政党の責任
・歴史的に機能した例と失敗した例
(2)市民社会の役割
・多様な連合の形成
・規範の重要性の認識
・短期的政治的勝利より民主主義の保護を優先
(3)制度改革の提案
・自動有権者登録
・独立した選挙区画定委員会
・最高裁の任期制限の検討
この著作は、民主主義が一度確立されれば永続するものではなく、常に維持する努力が必要であることを強調している。
【寸評 完】 💚
【引用・参照・底本】
In a turbulent world, China revisits an 80-year-old question GT 2026.01.09
https://www.globaltimes.cn/page/202601/1352794.shtml
中国と韓国の半導体分野における協力関係 ― 2026-01-10 21:06
【概要】
世界的な半導体供給網の再編が進む中で、中国と韓国の半導体分野における協力関係がいかに重要であるかを論じたものである。サムスン電子やSKハイニックスの好業績を背景に、両国の産業連携が長年にわたり深化してきた事実を示しつつ、米国の輸出規制や競争環境の変化があっても、相互補完的な産業構造に基づく協力は不可欠であると指摘している。
【詳細】
サムスン電子がAI関連需要の拡大を背景に、2025年第4四半期の営業利益が大幅に増加したとの報道を紹介し、これを2025年の半導体産業全体の活況を象徴する事例として位置付けている。韓国産業通商資源部の統計によれば、2025年の半導体輸出は前年比22.2%増の1,734億ドルに達し、韓国の輸出全体を大きく押し上げたとされている。
中国は長年にわたり韓国にとって重要な半導体貿易相手国であり、両国間の年間貿易額は3,000億ドルを超え、その中で半導体中間財が大きな比重を占めている。中国におけるDRAMやNANDフラッシュメモリ需要の拡大は、韓国の半導体企業にとって重要な成長要因となってきた。
また、李在明韓国大統領がサムスンを含む主要財閥の経営陣を伴って中国を公式訪問したことが紹介され、特に半導体関連企業幹部の参加が、中国市場の重要性を強く示すものとして注目されたと述べられている。これは一時的な動きではなく、長年にわたり形成されてきた中韓半導体サプライチェーンの相互依存関係を背景とするものである。
一方で、米国による対中輸出規制は、中国の半導体自給化を加速させ、韓国企業との競争関係を生み出していると指摘されている。しかし、それにもかかわらず、中国は依然として韓国最大の半導体輸出市場であり、2024年には中国本土だけで韓国半導体輸出の約30%を占めたと報じられている。
さらに、サムスンの西安にあるNANDフラッシュ工場や、SKハイニックスの無錫および大連の生産拠点が紹介され、これらが同社の世界生産において大きな割合を占めていることから、両国の産業協力の深さと相互利益が具体的に示されている。
世界の半導体産業を取り巻く環境が変化する中でも、韓国は高性能メモリや先端材料に強みを持ち、中国は巨大な市場と完全な産業支援体制を有しているとし、この補完関係こそが協力を不可欠なものにしていると論じている。そのため、産業対話や協調メカニズムを強化し、サプライチェーン再編や外部リスクに共同で対応する必要性が強調されている。
【要点】
・サムスン電子や韓国全体の半導体輸出の好調は、2025年の産業全体の活力を示している。
・中国は韓国にとって最大級の半導体貿易相手国であり、需要面・生産面の双方で重要な役割を果たしている。
・米国の輸出規制により競争環境は変化しているが、中韓の半導体産業は依然として強い相互依存関係にある。
・韓国の先端技術力と中国の巨大市場・製造基盤は相互補完的である。
・中韓が産業対話と協力を強化することは、供給網再編への対応と地域競争力の維持に不可欠である。
【引用・参照・底本】
GT Voice: Why closer China-SK chip co-op is essential amid supply-chain shifts GT 2026.01.08
https://www.globaltimes.cn/page/202601/1352707.shtml
世界的な半導体供給網の再編が進む中で、中国と韓国の半導体分野における協力関係がいかに重要であるかを論じたものである。サムスン電子やSKハイニックスの好業績を背景に、両国の産業連携が長年にわたり深化してきた事実を示しつつ、米国の輸出規制や競争環境の変化があっても、相互補完的な産業構造に基づく協力は不可欠であると指摘している。
【詳細】
サムスン電子がAI関連需要の拡大を背景に、2025年第4四半期の営業利益が大幅に増加したとの報道を紹介し、これを2025年の半導体産業全体の活況を象徴する事例として位置付けている。韓国産業通商資源部の統計によれば、2025年の半導体輸出は前年比22.2%増の1,734億ドルに達し、韓国の輸出全体を大きく押し上げたとされている。
中国は長年にわたり韓国にとって重要な半導体貿易相手国であり、両国間の年間貿易額は3,000億ドルを超え、その中で半導体中間財が大きな比重を占めている。中国におけるDRAMやNANDフラッシュメモリ需要の拡大は、韓国の半導体企業にとって重要な成長要因となってきた。
また、李在明韓国大統領がサムスンを含む主要財閥の経営陣を伴って中国を公式訪問したことが紹介され、特に半導体関連企業幹部の参加が、中国市場の重要性を強く示すものとして注目されたと述べられている。これは一時的な動きではなく、長年にわたり形成されてきた中韓半導体サプライチェーンの相互依存関係を背景とするものである。
一方で、米国による対中輸出規制は、中国の半導体自給化を加速させ、韓国企業との競争関係を生み出していると指摘されている。しかし、それにもかかわらず、中国は依然として韓国最大の半導体輸出市場であり、2024年には中国本土だけで韓国半導体輸出の約30%を占めたと報じられている。
さらに、サムスンの西安にあるNANDフラッシュ工場や、SKハイニックスの無錫および大連の生産拠点が紹介され、これらが同社の世界生産において大きな割合を占めていることから、両国の産業協力の深さと相互利益が具体的に示されている。
世界の半導体産業を取り巻く環境が変化する中でも、韓国は高性能メモリや先端材料に強みを持ち、中国は巨大な市場と完全な産業支援体制を有しているとし、この補完関係こそが協力を不可欠なものにしていると論じている。そのため、産業対話や協調メカニズムを強化し、サプライチェーン再編や外部リスクに共同で対応する必要性が強調されている。
【要点】
・サムスン電子や韓国全体の半導体輸出の好調は、2025年の産業全体の活力を示している。
・中国は韓国にとって最大級の半導体貿易相手国であり、需要面・生産面の双方で重要な役割を果たしている。
・米国の輸出規制により競争環境は変化しているが、中韓の半導体産業は依然として強い相互依存関係にある。
・韓国の先端技術力と中国の巨大市場・製造基盤は相互補完的である。
・中韓が産業対話と協力を強化することは、供給網再編への対応と地域競争力の維持に不可欠である。
【引用・参照・底本】
GT Voice: Why closer China-SK chip co-op is essential amid supply-chain shifts GT 2026.01.08
https://www.globaltimes.cn/page/202601/1352707.shtml
米ミネアポリス:母親の射殺事件 ― 2026-01-10 22:46
【概要】
米ミネアポリスで起きた米移民・関税執行局(ICE)職員による母親の射殺事件をめぐり、新たに公開された映像により論争が一層深まっている。ICE職員が携帯電話で撮影していた映像が公開・拡散され、事件が正当防衛であったとするトランプ政権の主張に対し、地方自治体関係者や一部メディア、専門家から疑問が呈されている。事件は全米で抗議や追悼集会を引き起こし、移民取締り政策をめぐる社会的分断を浮き彫りにしている。
【詳細】
2026年1月、ミネアポリスの住宅街で、37歳の母親レニー・ニコル・グッドがICE職員により射殺された。事件当日、ICE職員ジョナサン・ロスは車に乗ったグッドに接近し、携帯電話で撮影を行っていた。公開された47秒の映像では、グッドが落ち着いた様子で「私は怒っていない」と話す様子が記録されており、その直後にロスが発砲している。
トランプ政権は、グッドが車を発進させたため職員が自衛行為として発砲したと説明している。一方、ミネアポリス市長ジェイコブ・フライはこの説明を否定している。CNNによる分析では、国土安全保障省が主張する「車両による進路妨害」があったとされる状況下でも、複数の車両がグッドの車を回避して通行していたことが示された。
現場では、住民や通行人が撮影した映像も存在し、医師を名乗る人物が救命措置を申し出たが、ICE職員に制止された場面も記録されている。さらに、携帯電話で撮影しながら発砲した行為について、専門家は、職員の判断や対応能力に影響を与えた可能性があると指摘している。
問題の映像は保守系メディア「アルファ・ニュース」により公開され、その後、国土安全保障省やホワイトハウスが再投稿した。副大統領JD・バンスは、この映像を共有し、職員の行動は正当防衛であると主張するとともに、報道機関の報道姿勢を強く批判した。
事件後、全米各地で抗議活動や追悼集会が続いており、トランプ政権の移民取締り政策をめぐる緊張が高まっている。
【要点】
・ICE職員による射殺事件を記録した新たな映像が公開され、論争が激化している。
・政権は正当防衛を主張する一方、地元自治体やメディアはその説明に疑問を示している。
・携帯電話で撮影しながらの発砲行為について、専門家が問題点を指摘している。
・事件は全米的な抗議と社会的分断を引き起こしている。
【桃源寸評】🌍
参照:米移民・関税執行局(ICE):37歳の米国市民で3児の母である女性を射殺
https://koshimizu-tougen.asablo.jp/blog/2026/01/10/9829639
【寸評 完】 💚
【引用・参照・底本】
Controversy surrounding ICE killing incident in Minneapolis deepens as new footage of deadly encounter released GT 2026.01.10
https://www.globaltimes.cn/page/202601/1352821.shtml
米ミネアポリスで起きた米移民・関税執行局(ICE)職員による母親の射殺事件をめぐり、新たに公開された映像により論争が一層深まっている。ICE職員が携帯電話で撮影していた映像が公開・拡散され、事件が正当防衛であったとするトランプ政権の主張に対し、地方自治体関係者や一部メディア、専門家から疑問が呈されている。事件は全米で抗議や追悼集会を引き起こし、移民取締り政策をめぐる社会的分断を浮き彫りにしている。
【詳細】
2026年1月、ミネアポリスの住宅街で、37歳の母親レニー・ニコル・グッドがICE職員により射殺された。事件当日、ICE職員ジョナサン・ロスは車に乗ったグッドに接近し、携帯電話で撮影を行っていた。公開された47秒の映像では、グッドが落ち着いた様子で「私は怒っていない」と話す様子が記録されており、その直後にロスが発砲している。
トランプ政権は、グッドが車を発進させたため職員が自衛行為として発砲したと説明している。一方、ミネアポリス市長ジェイコブ・フライはこの説明を否定している。CNNによる分析では、国土安全保障省が主張する「車両による進路妨害」があったとされる状況下でも、複数の車両がグッドの車を回避して通行していたことが示された。
現場では、住民や通行人が撮影した映像も存在し、医師を名乗る人物が救命措置を申し出たが、ICE職員に制止された場面も記録されている。さらに、携帯電話で撮影しながら発砲した行為について、専門家は、職員の判断や対応能力に影響を与えた可能性があると指摘している。
問題の映像は保守系メディア「アルファ・ニュース」により公開され、その後、国土安全保障省やホワイトハウスが再投稿した。副大統領JD・バンスは、この映像を共有し、職員の行動は正当防衛であると主張するとともに、報道機関の報道姿勢を強く批判した。
事件後、全米各地で抗議活動や追悼集会が続いており、トランプ政権の移民取締り政策をめぐる緊張が高まっている。
【要点】
・ICE職員による射殺事件を記録した新たな映像が公開され、論争が激化している。
・政権は正当防衛を主張する一方、地元自治体やメディアはその説明に疑問を示している。
・携帯電話で撮影しながらの発砲行為について、専門家が問題点を指摘している。
・事件は全米的な抗議と社会的分断を引き起こしている。
【桃源寸評】🌍
参照:米移民・関税執行局(ICE):37歳の米国市民で3児の母である女性を射殺
https://koshimizu-tougen.asablo.jp/blog/2026/01/10/9829639
【寸評 完】 💚
【引用・参照・底本】
Controversy surrounding ICE killing incident in Minneapolis deepens as new footage of deadly encounter released GT 2026.01.10
https://www.globaltimes.cn/page/202601/1352821.shtml
CAC:個人情報の収集・利用を規制する新たな規則案を策定し、意見募集を開始 ― 2026-01-10 23:10
【概要】
中国のインターネット規制当局である国家インターネット情報弁公室(CAC)は、モバイルアプリによる個人情報の収集・利用を規制する新たな規則案を策定し、意見募集を開始した。これは、利用者の権利を保護しつつ、デジタル分野における合理的なデータ利用を促進することを目的とするものである。
【詳細】
CACが公表した「インターネットアプリ個人情報収集・利用規定(意見募集案)」では、アプリ運営者に対し、個人情報の収集・利用方法を利用者に明確に説明し、処理にあたって事前に同意を得ることを求めている。特に機微な個人情報については、法律に別段の定めがある場合を除き、個別かつ明示的な同意が必要とされる。
また、個人情報の収集・利用は、サービス提供に必要最小限の範囲に限定され、個人の権利や利益への影響が最も小さくなる方法で行われなければならない。必要性を超えた収集や利用は禁止される。
具体例として、カメラやマイクの権限は、写真撮影や音声送信、録画などの機能を利用者が能動的に使用する場合にのみ起動でき、機能の使用を停止した後や無関係な場面での起動は認められないとされている。
さらに、顔情報、指紋、音声認証といった生体情報を収集する場合には、明確な目的と十分な必要性が求められ、個人の権利への影響が最小となる手法を採用し、厳格な保護措置を講じる必要がある。
専門家のWang Sixin氏は、この草案が個人情報保護制度の実施を進める重要な一歩であり、アプリ事業者による二次的・三次的な過度利用を防ぐ狙いがあると指摘している。
【要点】
・CACがアプリの個人情報収集・利用に関する新規則案を公表し、意見募集を開始した。
・個人情報の収集・利用には明確な説明と利用者の同意が必要である。
・機微情報や生体情報には、特に厳格な条件と保護措置が求められる。
・データ利用は必要最小限に限定され、過度な利用や権限行使は禁止される。
・規則は個人情報の過剰利用を防ぎ、健全なデジタル環境の形成を目指すものである。
【引用・参照・底本】
China drafts new rules on app data collection; expert says move targets over-exploitation of personal information GT 2026.01.10
https://www.globaltimes.cn/page/202601/1352832.shtml
中国のインターネット規制当局である国家インターネット情報弁公室(CAC)は、モバイルアプリによる個人情報の収集・利用を規制する新たな規則案を策定し、意見募集を開始した。これは、利用者の権利を保護しつつ、デジタル分野における合理的なデータ利用を促進することを目的とするものである。
【詳細】
CACが公表した「インターネットアプリ個人情報収集・利用規定(意見募集案)」では、アプリ運営者に対し、個人情報の収集・利用方法を利用者に明確に説明し、処理にあたって事前に同意を得ることを求めている。特に機微な個人情報については、法律に別段の定めがある場合を除き、個別かつ明示的な同意が必要とされる。
また、個人情報の収集・利用は、サービス提供に必要最小限の範囲に限定され、個人の権利や利益への影響が最も小さくなる方法で行われなければならない。必要性を超えた収集や利用は禁止される。
具体例として、カメラやマイクの権限は、写真撮影や音声送信、録画などの機能を利用者が能動的に使用する場合にのみ起動でき、機能の使用を停止した後や無関係な場面での起動は認められないとされている。
さらに、顔情報、指紋、音声認証といった生体情報を収集する場合には、明確な目的と十分な必要性が求められ、個人の権利への影響が最小となる手法を採用し、厳格な保護措置を講じる必要がある。
専門家のWang Sixin氏は、この草案が個人情報保護制度の実施を進める重要な一歩であり、アプリ事業者による二次的・三次的な過度利用を防ぐ狙いがあると指摘している。
【要点】
・CACがアプリの個人情報収集・利用に関する新規則案を公表し、意見募集を開始した。
・個人情報の収集・利用には明確な説明と利用者の同意が必要である。
・機微情報や生体情報には、特に厳格な条件と保護措置が求められる。
・データ利用は必要最小限に限定され、過度な利用や権限行使は禁止される。
・規則は個人情報の過剰利用を防ぎ、健全なデジタル環境の形成を目指すものである。
【引用・参照・底本】
China drafts new rules on app data collection; expert says move targets over-exploitation of personal information GT 2026.01.10
https://www.globaltimes.cn/page/202601/1352832.shtml
米国商務省:中国製ドローン(DJI製品を含む)に対する制限措置の計画を撤回 ― 2026-01-10 23:31
【概要】
米国商務省は、中国製ドローン(DJI製品を含む)に対する制限措置の計画を撤回した。これについて中国側の専門家は、米国の政策方針が変化したのではなく、経済的現実が判断の背景にあるとの見解を示している。
【詳細】
ロイターによると、米国商務省は「国家安全保障上の懸念」を理由に検討していた中国製ドローンなど外国製ドローンへの規制計画を撤回した。
一方、米連邦通信委員会(FCC)は前月、新型の外国製ドローンおよび重要部品(DJIやAutelを含む)の輸入を禁止していたが、今週になって一部の非中国製ドローンを規制対象から除外したと報じられている。
これに先立ち、中国外交部の林剣報道官は、米国が国家安全保障の概念を拡大解釈し、中国企業を標的とする差別的なリストを作成していることに対し、強く反対する姿勢を示していた。
中国WTO研究会の理事であるLi Yong氏は、今回の米商務省の決定は、国家安全保障を理由に通常の経済協力を制限する米国の基本的な考え方が変わったものではなく、経済的現実に直面した結果であると指摘した。
Li氏によれば、中国製の高品質かつ価格競争力のあるドローンは、米国の商業分野や公共部門の幅広い用途で不可欠な存在となっており、米国の政治的な貿易制限は米国企業の利益を損ない、市場からの反発も招いているという。
ロイターの報道では、米国の商業用ドローン販売の大部分は中国製であり、そのうち半数以上が世界最大のドローンメーカーであるDJIによるものであるとされている。
Li氏は、ドローン分野は中米両国の産業が相互依存関係にあり、幅広い協力の余地があることを示していると述べ、両国の国民に利益をもたらす協力が重要であるとした。
【要点】
・米国商務省は、中国製ドローンへの規制計画を撤回した。
・FCCによる輸入制限は依然存在するが、一部非中国製ドローンは例外とされた。
・中国側は、米国の国家安全保障を理由とした規制に反対している。
・中国の専門家は、今回の撤回は政策転換ではなく、経済的現実による判断と分析している。
・米国の商業用ドローン市場では中国製、特にDJI製品が大きな割合を占めている。
【引用・参照・底本】
US drops plan to restrict Chinese-made drones; Chinese expert says economic realities behind the change GT 2026.01.10
https://www.globaltimes.cn/page/202601/1352830.shtml
米国商務省は、中国製ドローン(DJI製品を含む)に対する制限措置の計画を撤回した。これについて中国側の専門家は、米国の政策方針が変化したのではなく、経済的現実が判断の背景にあるとの見解を示している。
【詳細】
ロイターによると、米国商務省は「国家安全保障上の懸念」を理由に検討していた中国製ドローンなど外国製ドローンへの規制計画を撤回した。
一方、米連邦通信委員会(FCC)は前月、新型の外国製ドローンおよび重要部品(DJIやAutelを含む)の輸入を禁止していたが、今週になって一部の非中国製ドローンを規制対象から除外したと報じられている。
これに先立ち、中国外交部の林剣報道官は、米国が国家安全保障の概念を拡大解釈し、中国企業を標的とする差別的なリストを作成していることに対し、強く反対する姿勢を示していた。
中国WTO研究会の理事であるLi Yong氏は、今回の米商務省の決定は、国家安全保障を理由に通常の経済協力を制限する米国の基本的な考え方が変わったものではなく、経済的現実に直面した結果であると指摘した。
Li氏によれば、中国製の高品質かつ価格競争力のあるドローンは、米国の商業分野や公共部門の幅広い用途で不可欠な存在となっており、米国の政治的な貿易制限は米国企業の利益を損ない、市場からの反発も招いているという。
ロイターの報道では、米国の商業用ドローン販売の大部分は中国製であり、そのうち半数以上が世界最大のドローンメーカーであるDJIによるものであるとされている。
Li氏は、ドローン分野は中米両国の産業が相互依存関係にあり、幅広い協力の余地があることを示していると述べ、両国の国民に利益をもたらす協力が重要であるとした。
【要点】
・米国商務省は、中国製ドローンへの規制計画を撤回した。
・FCCによる輸入制限は依然存在するが、一部非中国製ドローンは例外とされた。
・中国側は、米国の国家安全保障を理由とした規制に反対している。
・中国の専門家は、今回の撤回は政策転換ではなく、経済的現実による判断と分析している。
・米国の商業用ドローン市場では中国製、特にDJI製品が大きな割合を占めている。
【引用・参照・底本】
US drops plan to restrict Chinese-made drones; Chinese expert says economic realities behind the change GT 2026.01.10
https://www.globaltimes.cn/page/202601/1352830.shtml







