ウクライナ紛争の終結には2023年09月05日 17:44

日本風俗図絵 第1輯(国立国会図書館デジタルコレクション)
 Scott Ritterによって書かれたもので、ウクライナとロシアの現在の紛争に関する彼の視点と意見を反映している。

 日本の降伏と歴史的な教訓

 第二次世界大戦中の日本の降伏を例に挙げ、日本が無条件降伏し、戦争が終結したことを強調している。この事例を通じて、敗北の姿勢についての歴史的な教訓を強調し、ウクライナ政府に同様の検討を促している。

 ウクライナの紛争の原因

 ・原因の反省

 ウクライナ政府に対して、紛争の原因について誠実に反省する必要があると主張している。つまり、ウクライナ政府はなぜこの紛争が勃発したのか、その要因を正直に検討すべきだとしている。

 ・デナチフィケーション

 デナチフィケーション(Denazification)とは、ロシア政府がウクライナに対して設定した目標の一つである。この言葉は、「ナチス主義を排除する」という意味を持つ。ロシアはウクライナの一部の政治家やナショナリスト団体がナチス協力者のステパン・バンデラを賞賛し、その遺産を称賛していると主張しており、それが紛争の一因だと考えている。

 ・ステパン・バンデラ(註)

 ステパン・バンデラは、第二次世界大戦中にナチス・ドイツと連携し、ウクライナ独立を目指すウクライナ民族主義者の指導者であった。バンデラはその過去において暴力行為を行い、多くの人々の死に関与しており、「大量殺人者」として広く非難されている。一方で、現代のウクライナ国民主義者たちによって英雄視され、国家の創設者とみなされている。ウクライナ政府とウクライナ国内のナショナリスト団体が、バンデラを英雄視することによって、紛争の原因としての一因を挙げている。彼は、バンデラの遺産がウクライナ政府の基盤に悪影響を及ぼしており、これがロシアの主張する「デナチフィケーション」の一部であると主張している。

 ウクライナ紛争の原因について議論し、ウクライナ政府が「デナチフィケーション」(ナチスの影響を排除すること)というロシア政府の主張を拒否することについて触れている。ウクライナがナチス協力者であるステパン・バンデラを称賛し、その影響を受けていることを非難し、ウクライナ政府の信憑性に疑問を呈している。

 ロシアの紛争の目標

 ロシアの紛争の目標を「デナチフィケーション」「非武装化」「ウクライナのNATO加盟阻止」と明確に述べている。また、ロシアはウクライナに対する兵力と装備の破壊を進行中であり、ウクライナとその西側の同盟国にはこれを阻止できる手段が限られていると主張している。

 ウクライナの現状と将来展望

 ウクライナが現在の紛争を長引かせることはできるが困難な状況に陥る可能性を強調し、ウクライナがさらなる領土の喪失の危険にさらされていると警告している。

 ロシアの交渉への態度

 ロシアの指導部が交渉を行う意欲が限定的であり、ウクライナとその西側の同盟国がロシアの主張に従うことが難しいと述べている。

 平和と復興への呼びかけ

 ウクライナとその西側の同盟国に対し、紛争を終結し、現実を受け入れて平和と復興に向かうよう呼びかけている。

 ウクライナとロシアの現在の紛争についての見解と、ウクライナが直面している困難についての主張を示している。ウクライナには敗北を認め、紛争を終結させる必要があると主張しており、その過程で歴史的な教訓を強調している。

【要点】

元アメリカ海兵隊情報将校で作家のスコット・リッターによって書かれている。同氏は記事の中で、ウクライナはロシアとの紛争で全面的な敗北を喫するだろうと主張している。彼はこの議論を次のようないくつかの要素に基づいている。

・紛争における現代のバンダリストの役割:暴力と過激主義の歴史を持つウクライナの民族主義団体であるバンデリストがウクライナ東部の流血事件の多くに責任があると主張している。平和を達成するためには、ウクライナがバンデリストとそのイデオロギーを一掃しなければならないと信じている。

・ミンスク合意の失敗:ミンスク合意は、2015年にフランスとドイツが仲介した和平協定である。この協定はウクライナ東部の紛争を終わらせることを目的としていたが、完全に履行されたことはない。ウクライナがミンスク合意を遵守していないことが現在の紛争の一因になっていると主張する。

・ロシアの軍事的優位性:ロシアはウクライナよりもはるかに大規模で装備の充実した軍隊を持っている。ロシアは最終的にはウクライナ軍を圧倒し、目的を達成すると信じている。

・西側からの支援の欠如: 西側諸国はウクライナに軍事援助を提供しているが、この援助は戦争の流れを変えるには十分ではないと主張する。西側諸国はロシアとの直接紛争に巻き込まれることを望んでいないため、最終的にはウクライナが敗北する運命にあると信じている。

ウクライナは敗北を受け入れ、ロシアと和平交渉をしなければならないと述べて記事を締めくくっている。 代替案は長く血なまぐさい戦争であり、さらなる苦しみをもたらすだけだと信じている。

これはまた、西側諸国が勝てない戦争に巻き込まれないように注意すべきであることを思い出させるものでもある。

指摘している追加点は次のとおり。

・ウクライナは全面的な敗北に直面している。
・交渉による解決は不可能である。
・ロシアは戦争に勝ちつつある。
・西側諸国は、ウクライナが戦争に勝つのを助けることができると考えて、自分自身を欺いている。
・西側諸国はウクライナへの軍事援助を継続することで間違いを犯している。
・彼はウクライナの状況を第二次世界大戦での日本の降伏に喩え、ウクライナは敗北を受け入れ、社会の非ナチス化に取り組む必要があると主張した。
・彼は西側メディアの戦争報道がウクライナに有利に偏っていると信じて批判している。
・米国とその同盟国がウクライナを勝ち目のない戦争に追い込んでおり、これがロシアと西側諸国との間のより広範な紛争につながる可能性があると主張している。

リッター氏の記事は物議を醸しており、一部からは親ロシア的すぎると批判されている。しかし、リッター氏はこの地域への深い理解を持つ尊敬される元情報将校であることに留意することが重要である。彼の記事は、現在の紛争とその予想される結果についての貴重な視点を提供している。

【桃源寸評】

 皮肉なことに、第二次世界大戦での日本の無条件降伏が戦争終結の例として
参考になるようだ。そうであるならば、岸田首相、大いに勉強して、"仲を取り持つ"ことである。
 残念ながら、"冗談から駒"も出ないか。
 
 心して聞くべか、日本。ジョージ・サンタヤナ、アメリカの哲学者が指摘するように、"過去を覚えていない者は、それを繰り返す運命にある"ということを。
 
 <風雲急を告げる>事態を起こさないように、矢鱈に"戦う覚悟"などと口走那ない事だ。それこそ、"駒"が出るかも知れない。

(註)
ステパン・バンデラ(Stepan Bandera)は、ウクライナの民族主義運動の指導者で、20世紀のウクライナの歴史において重要な役割を果たした人物である。彼についての詳細な説明は以下の通り。

生い立ちと初期の活動

ステパン・バンデラは1909年にウクライナのガリツィア地域で生まれた。彼はウクライナの独立を強く信じ、ウクライナ独立運動に参加した。彼の活動は、ウクライナがポーランド、ソビエト連邦、そしてナチス・ドイツによる支配に晒された20世紀の複雑な政治状況の中で展開した。

ウクライナ独立運動

バンデラは、ウクライナ独立を実現するために暴力的な手段を支持し、ウクライナ独立軍(UPA)と呼ばれるゲリラ組織の指導者として知られている。彼の指導下でUPAは、ウクライナの独立を回復しようとし、ソビエト政権やポーランド政権に対して武力闘争を展開した。

ナチス・ドイツとの連携

第二次世界大戦中、バンデラと彼の支持者は一時的にナチス・ドイツと協力した。バンデラはウクライナ独立のためにナチスと協力することを選び、ウクライナ国家の独立を実現するためにドイツの支援を受けた。この連携は一部の人々によって非難されており、彼が「ナチス協力者」と見なされる主要な理由の一つである。

後半生と死

バンデラは戦後もウクライナ独立運動を続けたが、1959年にキエフでソ連の秘密警察によって暗殺された。

ウクライナ国内での評価

ステパン・バンデラはウクライナ国内で賛否両論の評価を受けている。一部のウクライナ国民主義者は彼を英雄視し、ウクライナの独立運動の象徴として尊敬している。一方で、彼のナチスとの連携や暴力行為により、彼は他の人々からは非難され、その遺産について議論が続いている。ステパン・バンデラは、ウクライナの歴史において複雑な人物であり、彼の役割と影響は歴史的な文脈に応じて異なる評価がされている。

引用・参照・底本

「Scott Ritter: A comprehensive Ukrainian defeat is the only possible outcome of its conflict with Russia」 RT 2023.09.03

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