制裁迂回の7nmチップ2023年09月05日 20:55

日本風俗図絵 第1輯(国立国会図書館デジタルコレクション)
 中国の半導体メーカーであるSemiconductor Manufacturing International Corp(SMIC)が、アメリカの制裁を迂回して、Huawei Technologiesに7ナノメートルのチップを供給していることを示している。

 SMICの技術向上と供給

 SMICは、アメリカの制裁を回避するために台湾のエンジニアを雇用し、中古の設備を使用して、Appleの製品と同等の性能を持つ7ナノメートルのチップを供給しているとされている。

 Huawei Mate60 Proのチップセット

 Huaweiは、2020年9月にアメリカの制裁が発効する前に、TSMCによって製造されたか、あるいはSMICの最新技術によって製造された可能性があると一部のアナリストが予測していた。結論として、SMICが最新の技術を用いて製造したことが判明した。

 速度と性能テスト

 カナダの研究会社TechInsightsによる速度と性能のテストでは、Mate60 Proは350メガビット/秒の速度に達し、これはAppleのiPhoneと同等であることが示された。また、5Gワイヤレス機能とSMICによって製造されたシステムオンチップ(SoC)プロセッサが搭載されていることも確認された。

 SMICの技術的な突破

 これらの情報が正確であれば、SMICは7ナノメートルチップ技術において重要な進展を遂げたことを意味する。これは、半導体産業において注目すべき発展であるとされている。

 制裁回避の背景

 アメリカはHuaweiへの制裁を2019年に発表し、TSMCも2020年9月に制裁に従い、Huawei向けのチップ製造を停止した。中国は制裁に対処するためにさまざまな方法を模索しており、SMICはその一部を担っているとされている。

 ASMLのDUVリソグラフィ装置

 アメリカはASMLの極端紫外線(EUV)リソグラフィ装置の輸出を制限し、これが3-7ナノメートルのチップを製造するために必要な技術であるとされている。しかし、中国はDUVリソグラフィ装置を入手し、7ナノメートルチップの生産を可能にした。

 未来の展望

 中国は電子設計自動化(EDA)ソフトウェアの改良を通じて、半導体技術を向上させたとされており、将来的には5ナノメートル以下のチップを自前で製造できる可能性があるとの見方も示されている。

 中国のSMICがアメリカの制裁を回避し、Huawei向けに7ナノメートルの半導体チップを供給していることを示しており、中国の半導体産業における進展と、制裁回避の方法についての注目すべき展開を伝えている。

【要点】

米国は、先進的な半導体製造技術へのアクセスを制限するよう中国に圧力をかけている。2019年、米国はファーウェイによる米国からのハードウェアとソフトウェアの購入を禁止し、オランダ政府に対してもASMLの最先端極紫外(EUV)リソグラフィーの中国への輸出を禁止するよう求めた。EUV リソグラフィーは、最小かつ最先端のチップを製造するための重要な技術である。

SMIC はこれらの制限を回避する方法を見つけることができた。同社は中古のDUVリソグラフィ装置を入手することができた。この装置はEUVリソグラフィほど先進技術ではないが、7ナノメートルのチップの製造には依然として使用できる。SMICは米国の制裁を受けていない台湾人技術者を雇用することもできた。

SMICがこの技術を使用してHuaweiのMate60 Proスマートフォン用の7ナノメートルチップを製造したと報告している。これは中国がチップ製造の自給自足に向けた取り組みが前進していることを示す重要な進展である。

中国が将来的に独自のEUVリソグラフィー技術を開発する可能性についても論じている。これは中国が最小かつ最先端のチップを製造できるようになるため、大きな進歩となるだろう。

上海に拠点を置くチップメーカーであるセミコンダクター・マニュファクチャリング・インターナショナル・コーポレーション(SMIC)が、どのようにして米国の制裁を回避してファーウェイ・テクノロジーズ向けの7ナノメートルチップを製造したかについてのものである。

米国は中国による先進的なチップ製造技術へのアクセスを制限しようとしてきたが、SMICはこれらの制限を回避する方法を見つけることができた。1つの方法は、Liang Monsong氏のような、最新のチップ製造技術の経験を持つ台湾人エンジニアを雇用することだ。もう一つの方法は、中国に転売された中古機器を使用することである。

SMIC がチップの設計と製造に不可欠な独自のEDAソフトウェアを開発していることにも言及している。このソフトウェアはまだ開発中であるが、最終的には中国がチップ製造の自給自足を達成するのに役立つ可能性がある。

今後数年のうちに中国が自社開発のEUVリソグラフィーで5nm以下のチップを製造できるようになる可能性があると結んでいる。EUVリソグラフィーは現在利用可能な最も先進的なチップ製造技術であるため、これは大きな進歩となるだろうう。

中国の技術力の成長を示している。中国はチップ製造の自給自足に向けた取り組みを進めており、将来的には独自のEUVリソグラフィ技術を開発できる可能性がある。これは大きな進歩であり、世界のチップ市場で中国に大きな優位性をもたらすだろう。

中国がチップ製造の自給自足をさらに高めるためにどのように取り組んでいるかを示す良い例である。米国は中国によるこの技術へのアクセスを制限しようとしてきたが、中国はこうした制限を回避する方法を模索している。これは両国にとって重要な戦略的問題であり、今後も緊張の原因となり続ける可能性が高い。

・SMIC は中国の大手チップメーカーであるが、世界最大のチップメーカーである TSMC ほど先進的ではあない。
・米国の制裁により、SMICが最新のチップ製造技術を入手することが困難になった。
・SMICは中古機器を使用し、台湾人技術者を雇用することで制裁を回避することに成功した。
・Mate60 Proは、SMIC製の7nmチップを搭載した初の市販スマートフォンである。
・7nmチップの開発はSMICにとって重要なマイルストーンであり、同社がTSMCの技術力に近づくことになる。
・中国はチップ製造に多額の投資を行っており、将来的には独自のEUVリソグラフィー技術を開発する可能性がある。
・SMICによる7nmチップの開発は、中国が自給自足のチップメーカーになる努力を進めていることを示すものであり、米国にとっては後退だ。
・これは中国のチップメーカーとの競争激化につながる可能性があり、世界のチップ市場に影響を与える可能性がある。
・SMICは台湾人技術者を雇用し、中古機器を使用し、独自のEDAソフトウェアを開発することで米国の制裁を回避することに成功している。
・中国は半導体製造技術の進歩を遂げており、数年以内に自給自足を達成できる可能性がある。
・自社開発のEUVリソグラフィーによる5nm以下のチップの開発は、中国にとって大きな進歩となるだろう。

【桃源寸評】

 “制裁”は中国の内製化を鼓舞することに直結する。
 オバマ政権時の2015年、アメリカ商務省がCPUの中国への輸出禁止をした結果、中国製CPUの開発が急速に進み中国製CPUによる最速スーパーコンピュータの誕生となったことは記憶に残る。

 もし、どうしても中国を<自家薬籠中の物>にしたいのなら、寧ろ最新技術の製品を、中国に製造する隙を与えずに、中国にどんどん売って使わせるべきなのだ。
 が、時既に遅し。中国は生産技術基盤・応用技術・開発スピード・開発者の育成・国家目標に於て、其の何れをとっても、他国を凌駕しているのだ。
 前進あるのみ、の状態である。
 
 『ジャパン アズ ナンバーワン』、原題は『Japan as Number One Lessons for America』は云う。引用する。

 「アメリカは今や他の国々から学び、新しい状況に適応し、これまでのやり方を検討しなければならない時期にきているのだ。それなのに過剰なるプライドゆえにアメリカにとっても、世界にとっても悲劇的な結末に突入するのではないかという危惧を、私は拭いさることができない」と。

 同じことを繰返すのは歴史を忘却するからだ。

引用・参照・底本

「SMIC bypasses US curbs to make 7nm chips」 ASIATIMES 2023.09.05

「入手困難のファーウェイ「Mate 60 Pro」 人気の理由は?」 人民網日本語版 2023.09.06

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