宇宙での核使用禁止安保理決議提案:米国の時間稼ぎか2024年04月07日 21:56

国立国会図書館デジタルコレクション「月百姿 廓の月 (つきの百姿)」を加工して作成
 米国が今、宇宙での核使用禁止安保理決議を提案する背景には、いくつかの要因が考えられる。

 国際的な状況の変化: 最近の国際情勢の変化や地政学的な動向により、宇宙における安全保障上の懸念が高まっている可能性がある。このような状況下では、核兵器の宇宙での使用に対する国際的な取り組みが必要とされる。

 技術の進歩と脅威の増大: 宇宙における技術の進歩に伴い、大量破壊兵器や衛星キラーなどの宇宙兵器の開発や配備が進んでいる。これにより、宇宙空間が安全保障上の脆弱な領域と見なされ、それに対処するための取り組みが求められている。

 米国の安全保障戦略の一環としての動き: 米国は、自国の安全保障戦略を見直し、宇宙を含む新たな領域での脅威に対処するための取り組みを強化している。このような中で、宇宙での核兵器の使用を制限することは、米国の安全保障政策の一環として位置付けられる可能性がある。

 国際的な協調の重要性: 宇宙における安全保障に関する取り組みは、国際的な協調が不可欠である。米国が宇宙での核使用禁止を提案することで、国際社会全体に対し、この問題に真剣に取り組む必要性を呼びかける意図があるかもしれい。

 以上の要因を考慮すると、米国が今、宇宙での核使用禁止安保理決議を提案する理由は、国際情勢の変化や技術の進歩による新たな脅威への対処、および安全保障政策の一環としての行動が挙げられる。

【視点】

米国が今、宇宙での核使用禁止安保理決議を提案する理由は、いくつかの要因が考えられる。

1. 宇宙空間の軍事化への懸念

近年、中国やロシアなどの国々が宇宙開発を加速させており、宇宙空間の軍事化が懸念されている。米国は、これらの国々が宇宙空間で核兵器や大量破壊兵器を使用する可能性を警戒し、それを阻止するための措置として安保理決議案を提案する可能性がある。

2. 既存条約の不備

1967年に締結された「宇宙条約」は、宇宙空間での核兵器や大量破壊兵器の配備を禁止しているが、その後の技術進歩により、条約の抜け穴が生じている可能性がある。安保理決議案は、これらの抜け穴を塞ぎ、宇宙空間での軍拡競争を抑制することを目的としている可能性がある。

3. 中国・ロシアへの牽制

米国は、中国やロシアが宇宙空間での軍事力強化を図っていることに対抗するため、安保理決議案を提案することで、国際社会の協調を呼びかける可能性がある。

4. 米国自身の戦略

米国自身も宇宙空間での軍事力強化を進めており、安保理決議案を提案することで、自国の活動を正当化しようとしている可能性もある。

5. 世論への配慮

近年、宇宙空間での核使用禁止を求める世論が高まっている。米国は、安保理決議案を提案することで、世論の支持を得ようとしている可能性もある。

提案のタイミング

安保理決議案の提案時期については、いくつかの見方がある。

1. ロシアのウクライナ侵攻

ロシアによるウクライナ侵攻は、国際社会に核兵器使用の可能性を改めて認識させた。米国は、このタイミングで安保理決議案を提案することで、宇宙空間での核使用の危険性を訴え、国際社会の協調を呼びかける狙いがある可能性がある。

2. 米中間選挙

2022年11月に行われる米中間選挙を前に、バイデン政権は外交面での成果をアピールしたいという思惑がある可能性がある。安保理決議案の採択は、外交面での成果の一つとしてアピールできる可能性がある。

・奇妙なタイミング

2024年4月7日、米国は日本と共同で、宇宙空間への核兵器や大量破壊兵器の配備を禁止する安保理決議案を提出する予定である。しかし、宇宙空間での核兵器使用を禁止する「宇宙条約」は既に1967年に締結されているため、このタイミングで決議案を提出する理由は奇妙に思える。

・元米陸軍中佐の見解

元米陸軍中佐のアール・ラスムセン氏は、この決議案の提出時期は「好奇心をそそる」と指摘している。ラスムセン氏は、決議案の真の狙いは、以下の3点にあると推測している。

高度な宇宙兵器の開発・配備を阻止する

近年、米国、中国、ロシアなどの国々は、宇宙空間での軍事活動を活発化させている。これらの国々は、宇宙空間での攻撃能力を持つ高度な宇宙兵器の開発を進めており、その実戦配備が懸念されている。今回の決議案は、これらの国々による宇宙兵器の開発・配備を阻止するための措置と見られる。

米国の戦略的軍備管理外交

米国は近年、ロシアとのINF条約やイランとの核合意など、主要な軍備管理条約から脱退している。今回の決議案は、米国が軍備管理外交に依然として関心を持っていることを示すパフォーマンスである可能性がある。

EMP攻撃への対策

EMP攻撃とは、電磁波によって電子機器を破壊する攻撃である。近年、EMP攻撃は新たな脅威として注目されており、米国は特に衛星へのEMP攻撃を懸念している。今回の決議案は、EMP攻撃に対抗するための国際的な枠組みを作るための第一歩と見られる。

・今回の決議案が安保理で採択されるかどうかは、中国やロシアなどの反対意見があるため、不透明である。しかし、今回の決議案は、宇宙空間での軍備競争を抑制し、平和と安定を維持するための重要な一歩となる可能性がある。

・米国が宇宙での核使用禁止安保理決議を提案する「奇妙なタイミング」

・米国は来週、日本と共同で、宇宙空間に核兵器や大量破壊兵器を配備しないよう求める安保理決議案を提出する予定である。しかし、元米陸軍中佐のアール・ラスムセン氏は、この決議案がこの時期に出されることは「好奇心をそそる」上、その詳細は極めて重要と指摘している。

・宇宙条約の存在

ラスムセン氏は、宇宙空間への核兵器配備を禁止する「宇宙条約」は1967年にすでに締結されている事実を挙げ、今回の決議案の必要性を疑問視している。

・高度な宇宙兵器への懸念

一方で、ラスムセン氏は、安保理決議の対象が、数か国が開発を終えたものの実戦配備には至っていない高度な宇宙兵器である可能性を否定していない。

・米国の戦略的軍備管理外交

ラスムセン氏は、米国が過去に戦略的軍備管理条約を脱退した例を挙げ、今回の決議案も他国の行動を抑制するための戦略的な外交工作である可能性を指摘している。

・EMPへの懸念

さらに、ラスムセン氏は、米国が敵対国によるEMP攻撃(電磁パルス攻撃)を懸念している可能性も指摘している。米軍は作戦が衛星に大きく依存しているため、衛星キラーなどに対抗できる防衛能力不足を懸念していると考えられる。

・結論

米国が宇宙での核使用禁止安保理決議を提案する理由は、宇宙条約の存在や過去の条約脱退事例など、複雑な背景が絡み合っていると考えられる。決議案の詳細が明らかになるまで、その真意を判断するのは難しい。

引用・参照・底本

「奇妙なタイミング」 米国はなぜ今、 宇宙での核使用禁止安保理決議を提案するのか? sputnik 2024.04.07

https://sputniknews.jp/20240407/---18131289.html

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