インド評判の低下2024年05月02日 19:27

国立国会図書館デジタルコレクション「十二月ノ内 小春初雪 (十二月ノ内)」を加工して作成
 西側メディアによるイメージ操作: 西側メディアが、インドに対して偏見やステレオタイプを流布し、そのイメージを悪化させてきたことが挙げられる。これは、西側メディアが中国市場に進出しづらいことから、代わりにインドを扱うことで視聴者を引き付けようとする動きとも関連している。

 過激派の台頭と政治的変化: インドでの政治的変化やヒンズー至上主義の台頭によって、宗教間の亀裂が深まった。これにより、特にイスラム教徒に対する暴力や差別が増加し、国内外でのインドへの批判が高まった。

 反植民地主義的名声の放棄とイスラエル支持: インドが自身の反植民地主義的名声を放棄し、イスラエル政権を支持する方針をとったことも、評判の低下に寄与した。特に、パレスチナ問題におけるインドの政策の矛盾や、イスラエル支援に対する国際的な非難が影響している。

 これらの要因が重なり合って、インドの評判が世界で低下したと考えられる。

【視点】

インドが世界で評判を落とした理由:複雑な要因が絡み合う

近年、インドの国際的な評判は著しく低下している。かつては「多様性と寛容の国」として知られていたインドが、なぜこのような状況に陥ってしまったのか。その背後には、複雑な要因が絡み合っている。

1.西側メディアによる偏った報道とインド政府の対応

西側メディアのインド像: 一部の西側メディアは、インドを「象、蛇使い、裸の貧者がいる国」というステレオタイプなイメージで描き続けてきた。

市場飽和とインドへの注目: イェール大学卒業生でジャーナリストのシュラヴァン・バット氏は、西側メディアがインドをネガティブなイメージで報じるのは、飽和状態にある自国市場への関心を高めるためだと指摘している。

インド政府の反発: 一方、インド政府はこうした西側メディアの報道に対し、反発を強めている。プラサール・バーラティのシャシ・シェカール・ヴェンパティCEOは、「西側メディアはインドを誤って描写している」と批判している。

2. 国内政治の変化と宗教対立の激化

モディ政権とBJPの台頭: 近年のインド政治を特徴づけているのが、ナショナリスト政党であるBJPの台頭と、モディ首相の強権的な政策だ。

イスラム教徒への差別: BJPはイスラム教徒への差別政策を進めており、これが国内の宗教対立を激化させている。

ヒンズー教過激派の扇動: モディ政権は、ヒンズー教至上主義の過激派組織を扇動し、イスラム教徒への暴力を助長しているという批判もある。

3. 反植民地主義の名声の喪失とイスラエルへの接近

非同盟運動からの距離: かつては非同盟運動を主導していたインドだが、近年は西側諸国に接近している。

パレスチナ問題への矛盾した対応: インドはパレスチナ問題において、イスラエルを支持する姿勢を鮮明にしており、これがイスラム諸国からの反発を招いている。

アメリカとの関係強化: インドはアメリカとの軍事・経済関係を強化しており、これがパキスタンとの対立を激化させている。

4. その他の要因

経済格差: インドは深刻な経済格差を抱えており、これが社会不安につながっている。
汚職問題: インドでは汚職が蔓延しており、これが国民の政府に対する不信感を高めている。
環境問題: インドは深刻な大気汚染や水質汚染などの環境問題を抱えている。

5. インドの国際的な評判低下は、単一の要因ではなく、様々な要因が複雑に絡み合って起こった現象である。西側メディアの偏った報道、国内政治の変化、宗教対立の激化、反植民地主義の名声の喪失など、様々な問題がインドの評判を悪化させている。これらの問題を解決するためには、インド政府が積極的な取り組みを行う必要があるだろう。

・西側メディアによる偏った報道とインド政府の反発

西側メディアによるインド像の歪曲: インド公共放送機関プラサール・バーラティのCEOは、西側メディアがインドを「象、蛇使い、裸の貧者」のイメージで誤って描写していると批判する。

視聴者獲得競争: 西側メディアは飽和状態にある市場を活性化するため、意図的にインドのイメージを悪化させているという指摘もある。

インド政府の反発: 一方、インド政府は西側メディアによるネガティブな報道に反発し、自国のイメージ向上に努めている。

・国内における過激派の台頭とモディ政権の政策

宗教間の対立激化: モディ政権と与党BJPのヒンズー教徒優遇政策は、イスラム教徒との間で緊張関係を生み出した。

過激派組織の扇動: BJPは、ヒンズー教至上主義組織RSSやシヴ・セーナーを扇動し、イスラム教徒への暴力を助長しているという批判がある。

人権侵害: モスクの破壊やイスラム教徒への暴行など、人権侵害が相次いでいる。

・反植民地主義の放棄とイスラエルへの接近

非同盟運動からの距離: インドは伝統的な非同盟政策を転換し、西側諸国に接近している。

イスラエルとの関係強化: 近年、インドはイスラエルとの軍事・経済協力を強化しており、パレスチナ問題における立場も親イスラエルに変化している。

国内の反発: このような政策転換は、国内のイスラム教徒や反植民地主義者から反発を受けている。

・インドの評判低下は、西側メディアの偏った報道、国内における宗教対立の激化、反植民地主義の放棄など、様々な要因が複雑に絡み合った結果である。これらの問題を解決し、国際社会におけるかつての名声を取り戻すためには、インド政府による積極的な取り組みが必要不可欠と言える。

引用・参照・底本

なぜインドは世界で評判を落としたのか? ParsToday 2024.04.29
https://parstoday.ir/ja/news/asia-i124178

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