ベトナムの「竹の外交」2024年06月22日 20:19

国立国会図書館デジタルコレクション「新吉原京町一丁目角海老屋内・角海老屋内・角ゑひやうち」を加工して作成
【概要】

 ベトナムにおけるロシアの最近の外交努力について論じ、プーチン大統領の訪問と両国間の戦略的協力を強調している。特にベトナムのロシアとの歴史的に強い結びつきと多国間外交の政策に照らして、これらの展開に対するワシントンの不満を強調している。

 歴史的・戦略的関係:ベトナムとロシアは冷戦以来、政治的、経済的、軍事的に緊密な関係を維持してきた。ベトナムは国際パートナーシップを多様化しているが、ロシアは依然として防衛装備品の重要な供給国であり、ユーラシア経済連合などのイニシアチブを通じて重要な経済パートナーである。

 ベトナムの外交政策:ベトナムは、多国間関係と独立性を優先する「竹外交」政策を堅持している。このアプローチにより、ベトナムは中国、米国、日本、ロシア、インドなどの大国と対等な条件で関与し、国益と主権を守ることを目指している。

 米国の懸念と判断ミス:米国は、ベトナムの主要な貿易相手国であり同盟国であるが、ベトナムのロシアとの関係が悪化していることに不満を表明している。この感情は、ベトナムの外交戦略、ロシアとの歴史的なつながり、内政への外部からの干渉に対する抵抗に対する米国の誤った判断を反映している。

 米越関係への影響:こうした緊張にもかかわらず、米国はインド太平洋地域におけるベトナムの戦略的重要性を理由に、ベトナムに対する懲罰的措置を取ることに慎重である。米国主導のインド太平洋戦略におけるベトナムの役割は、ロシアとの関係深化に対する米国の対応を複雑にしており、米国政府の微妙なアプローチを示唆している。

 要約すると、ベトナムの外交姿勢を独立性があり、外圧に強いものとして描写し、国益に基づいて関係を育む主権的権利を強調している。同報告書は、ベトナムの歴史的結びつきと戦略的自律性を見落とす米国の視点を批判し、東南アジアの地政学的力学が進化する中で、ワシントンが影響力を維持するために慎重に舵取りをしなければならないことを示唆している。

【詳細】

 ロシアのプーチン大統領がベトナムを訪問し、両国の戦略的協力の深化を示す重要なイベントであることを取り上げている。

 ロシアとベトナムの歴史的な結びつきと協力関係

 ・冷戦中、ベトナムはソビエト連邦と密接な政治的・経済的・軍事的関係を維持してきた。冷戦後も、両国の関係は強固であり、ロシアは今日でもベトナムに対して防衛装備の主要供給国であり、ユーラシア経済連合(EAEU)との自由貿易協定を含む幅広い経済協力を推進している。

 ベトナムの外交政策と「竹の外交」

 ・ベトナムは「竹の外交」と称される外交政策を採用している。これは多極化した外交関係を重視し、中国、米国、日本、ロシア、インドなど主要国との平等で友好的な関係を構築することを目指している。ベトナムは一国に依存せず、自らの国益を守るために外交政策を展開している。

 米国の懸念と誤解

 ・米国はベトナムがロシアとの関係強化に対して不満を表明している。しかし、この不満はベトナムの歴史的な関係や外交政策の自主性を理解しないことに基づく誤解に基づいている。ベトナムの外交政策の中核をなすのは、自主性と国益の保護であり、外部の介入には抵抗する。

 米国とベトナムの関係の将来展望

 ・米国はベトナムとの関係を重視しているが、ベトナムがロシアとの協力を深める中で、米国のインド太平洋戦略との調整が必要である。ベトナムのインド太平洋戦略における重要性から、米国はベトナムに対して厳しい措置を取ることは控えており、より繊細な外交手段を模索している。

 ベトナムが独立した外交政策を展開し、その歴史的なパートナーシップと戦略的自律性を強調している。また、米国がこのような複雑な地政学的状況において、如何にして影響力を維持するかを模索している点も示唆している。

【要点】

 1.ロシアとベトナムの歴史的な結びつきと協力関係

 ・冷戦中からソビエト連邦との密接な関係があり、それが今日でも続いている。
 ・ロシアはベトナムにとって重要な防衛装備の供給国であり、EAEUとの貿易協定など経済的なつながりも強い。

 2.ベトナムの外交政策と「竹の外交」

 ・多極化を重視し、中国、米国、日本、ロシア、インドなどとの平等で友好的な関係を目指す。
 ・一国に依存せず、自主的かつ国益を重視した外交政策を展開している。

 3.米国の懸念と誤解

 ・米国はベトナムがロシアとの関係を深めることに対し不満を表明している。
 ・これはベトナムの歴史的なパートナーシップや外交政策の独立性を理解しない誤解に基づいている。

 4.米国とベトナムの関係の将来展望

 ・米国はベトナムとの関係を重視し、インド太平洋戦略の一環として位置付けている。
 ・ベトナムがロシアとの関係を強化する中で、米国は慎重な外交手段を模索し、影響力を維持しようとしている。

【参考】

「竹の外交」という比喩は、ベトナムの外交政策の特性を示す表現である。

柔軟性と堅固さ: 竹は柔軟で曲がりやすい一方で、その茎は非常に堅固である。この比喩は、ベトナムが外交政策で柔軟性を持ちながらも、その基盤となる原則や主張を堅く守る姿勢を示していることを表している。つまり、ベトナムは国際社会での様々な関係を柔軟に構築し、同時に自国の主権や国益を守るための基本的な原則を厳守している。

多極化と独立性: 竹の外交は、一国に依存することなく、複数の大国との関係をバランスよく保つことを目指している。これにより、ベトナムは外部からの圧力に屈せず、自主的かつ主権的な外交政策を実践している。

外交戦略の進化: 1980年代の改革開放以降、ベトナムは外交政策を進化させ、周辺国や世界主要国との協力関係を築いてきた。この過程で「竹の外交」が強調され、ベトナムが外交戦略においてどれほど柔軟かつ戦略的に行動しているかが示されている。

この比喩は、ベトナムの外交政策が持つ特性を的確に捉えたものであり、国際社会におけるベトナムの立ち位置や対外政策の方針を理解するのに役立つ。

【参考はブログ作成者が付記】

【引用・参照・底本】

Washington cannot stop the continued advancement of Russia-Vietnam cooperation GT 2024.06.21
https://www.globaltimes.cn/page/202406/1314601.shtml

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