ロシアとパキスタン2024年09月19日 18:57

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【概要】
 
 アンドリュー・コリブコによる分析では、ロシアとパキスタンの関係が戦略的な次元を持ちつつあるという内容が述べられている。要点は以下の通り。

 1.ロシアの代表団の訪問: ロシアのアレクセイ・オヴェルチュク副首相のパキスタン訪問は、両国の関係において重要な節目となった。彼の訪問中に、貿易、産業、エネルギー、科学技術、教育など幅広い分野で協力することが合意された。また、ロシアはパキスタンの農業の近代化を支援する契約を結び、新しい製鉄所の建設も話し合われている。

 2.防衛および地域安全保障: オヴェルチュク副首相はパキスタンの軍最高指導者アシム・ムニールと防衛や地域の安全保障問題についても議論した。ロシア製のドローンの販売が報じられており、テロリズムの激化を背景にしている。

 3.中央ユーラシア回廊: パキスタンは、ベラルーシ、ロシア、カザフスタン、ウズベキスタン、アフガニスタンを結ぶ中央ユーラシア回廊の既存の覚書に参加した。ロシアはパキスタンのBRICS加盟を支援する意向を示し、自由貿易協定(FTA)の交渉も進めている。

 4.今後の課題: パキスタンのタリバンとの関係悪化やインドのBRICS加盟に対する拒否権、アルメニアの認識拒否などが、これらの目標の達成を妨げる可能性がある。

 5.両国の戦略的な意図: 両国は現在、目立った主要な合意には至っていないが、経済協力を通じて相互の利益を追求している。ロシアはパキスタンとのエネルギー取引を進めたいと考えており、パキスタンは中国やアメリカからより良い条件を引き出そうとしている。

 6.印象と実態: パキスタンとの関係強化は、ロシアが西側の封じ込め政策の失敗を示したい意図があり、パキスタンはロシアとの関係を利用して他国からのより良い取引を引き出そうとしている。現時点では大きな成果はなく、両国の関係は今後の展開次第で戦略的なものになる可能性がある。

 この分析は、ロシアとパキスタンの関係が広がりを見せているが、現状では大きな成果には至っていないと指摘している。

【詳細】

 アンドリュー・コリブコによる分析の詳細は以下の通りです:

 1. ロシアのパキスタン訪問

 ロシアのアレクセイ・オヴェルチュク副首相がパキスタンを訪れたことが、両国関係の重要な節目とされている。この訪問中、両国は以下の分野で協力することに合意した。

 ・貿易と産業: 両国の貿易促進と産業協力。
 ・エネルギー: エネルギー分野での協力。
 ・科学技術と教育: 科学技術および教育分野での連携。
 ・農業: ロシアがパキスタンの農業を近代化するために機械や肥料プラントの更新を行うことが決定された。
 ・製鉄所建設: カラチに新しい製鉄所を建設する可能性についても話し合われている。

 2. 防衛および地域安全保障

 オヴェルチュク副首相はパキスタンの軍最高指導者アシム・ムニールと防衛および地域安全保障の問題についても議論した。特に、パキスタンでのテロリズムの増加を背景に、ロシア製のドローンが販売されたことが報じられている。

 3. 中央ユーラシア回廊の推進

 パキスタンは、ベラルーシ、ロシア、カザフスタン、ウズベキスタン、アフガニスタンを結ぶ中央ユーラシア回廊の既存の覚書に参加した。この回廊は、中央アジアとヨーロッパを結ぶ重要な交通ルートであり、ロシアはパキスタンのBRICS加盟を支援する意向を示し、自由貿易協定(FTA)の交渉も進めている。

 4. 今後の課題

 以下の課題が両国関係の進展を妨げる可能性がある。

 ・パキスタン・タリバン関係の悪化: タリバンとの関係悪化が、アフガニスタンを通る貿易の障害となる可能性がある。
 ・インドのBRICS加盟拒否権: BRICSの加盟には既存メンバーの同意が必要であり、インドがパキスタンの加盟を拒否する可能性がある。
 ・アルメニアの認識拒否: パキスタンがユーラシア連合の一員であるアルメニアを認識していないため、これが障害となる可能性がある。

 5. 両国の戦略的意図

 ロシアとパキスタンは、現在のところ目立った主要な合意には至っていないが、以下の戦略的な意図が見られる。

 ・ロシア: パキスタンとのエネルギー取引を進めたいと考えており、他国との関係においてロシアの存在感を示したいと考えている。ロシアは、パキスタンがアメリカとの関係を見直す可能性を考慮し、エネルギー取引の進展を図っている。
 ・パキスタン: ロシアとの関係を利用して、中国やアメリカからより有利な取引条件を引き出そうとしている。ロシアとの関係強化は、パキスタンにとって他国との交渉での優位性を高めるための手段である。

 6. 現状と展望

 現時点では、両国の関係において大きな成果はまだ得られていない。両国の協力はまだ低レベルであり、他の国との関係に比べると目立たないものである。ただし、ロシアとパキスタンの関係が戦略的なものになる可能性はあり、今後の政治的意志や状況次第で変化が見込まれるとしている。
 
【要点】

 アンドリュー・コリブコによるロシアとパキスタンの関係に関する詳細な説明を箇条書きでまとめる。

 1.ロシア副首相の訪問

 ・ロシアのアレクセイ・オヴェルチュク副首相がパキスタンを訪問。
 ・貿易、産業、エネルギー、科学技術、教育分野での協力に合意。

 2.農業と製鉄所

 ・ロシアがパキスタンの農業を近代化するための機械と肥料プラントの更新を支援。
 ・カラチに新しい製鉄所の建設が検討されている。

 3.防衛と地域安全保障:

 ・オヴェルチュク副首相がパキスタンの軍最高指導者アシム・ムニールと防衛および地域安全保障について議論。
 ・ロシア製ドローンの販売が報じられ、テロリズムの増加に対応。
 
 4.中央ユーラシア回廊

 ・パキスタンが中央ユーラシア回廊の既存の覚書に参加。
 ・ロシアはパキスタンのBRICS加盟を支持し、自由貿易協定(FTA)についても話し合いを進めている。

 5.今後の課題

 ・パキスタン・タリバン関係の悪化がアフガニスタンを通る貿易に影響。
 ・BRICSの加盟にはインドの同意が必要で、インドが拒否する可能性。
 ・パキスタンがアルメニアを認識していないため、障害となる可能性。

 6.戦略的意図

 ・ロシア: パキスタンとのエネルギー取引を進めたい。西側の封じ込め政策に対する挑戦の一環として、パキスタンとの関係強化を図る。
 ・パキスタン: ロシアとの関係を利用して、中国やアメリカからより良い取引条件を引き出す意図がある。

 7.現状と展望:

 ・現時点では目立った主要な合意はない。
 ・両国の関係は低レベルであり、他国との関係に比べると目立たない。
 ・今後の政治的意志や状況によって戦略的な関係に発展する可能性がある。

【引用・参照・底本】

Russian-Pakistani Relations Are Surprisingly Taking On Strategic Dimensions Andrew Korybko's Newsletter 2024.09.19
https://korybko.substack.com/p/russian-pakistani-relations-are-surprisingly?utm_source=post-email-title&publication_id=835783&post_id=149092477&utm_campaign=email-post-title&isFreemail=true&r=2gkj&triedRedirect=true&utm_medium=email

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