プーチンの「東方への転換」2024年10月27日 09:59

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【概要】

 ギルバート・ロズマンの記事、プーチンの「東方への転換」における北朝鮮の重要性は、ロシアのアジアへの基軸における北朝鮮の役割について詳細に分析している。ロズマンは、北朝鮮のロシアとの戦略的連携は、ウクライナ戦争への支持にとどまらず、米国の同盟に挑戦し、北東アジアにおけるロシアの影響力を強化するというプーチンの広範な野望において重要な役割を果たしていると主張している。この連携はイデオロギー的かつ実践的であり、北朝鮮はロシアの「グランド戦略トライアングル」の要として位置付けられており、モスクワが北京とワシントンの間の戦略的関連性を維持しようとした冷戦の力学を思い起こさせる配置である。

 ロズマンは、ロシアが北朝鮮に働きかける4つの主要な動機を強調している:戦略的均衡の強化、日米同盟と米韓同盟への挑戦、相互安全保障上の利益の推進、ユーラシアにおける主権大国としてのロシアの国家アイデンティティの強化だ。ロシアが最近、経済連携の可能性を含め、北朝鮮との関係を強化しようとする動きは、他のアジア諸国の影響力の衰えや、日本や韓国とのキャンプデービッド三国間など、この地域での米国主導のミニラテラルの取り組みの高まりに対する対応として位置付けられている。

 ロズマンはまた、このパートナーシップを中露関係の進化する力学の中で文脈化し、両国が西側の影響力を制限するという目標を共有している一方で、根底にある不信感と相反する地域の野心が根強く残っていることを指摘している。彼は、ロシアと北朝鮮の関係が、東アジアの指導的大国としての地位を確固たるものにしながらも、中国からの独立をうわべだけ維持することを可能にしていると主張している。

【詳細】

 ロズマンの記事は、プーチンが東アジアで北朝鮮を重視する理由を詳述し、主に以下の4つの要因に分けて説明している。

 1. 「戦略的三角関係」の再構築

 冷戦期の「戦略的三角関係」には、米国・中国・ロシアがあり、それぞれが互いの影響力を利用しつつ対抗していた。プーチンの「東方転換」は、これを再現することを目指している。ロシアは北朝鮮との協力を強化することで、中国と米国への交渉力を得る狙いがある。北朝鮮は中国に依存しつつも独自の外交方針を持つ国家であり、ロシアは北朝鮮を戦略的なパートナーとして扱うことで、地域における影響力を強化し、バランスを取ろうとしている。

 2. 米国のアジア同盟に対する圧力

 ロシアは、米国と同盟関係にある日本と韓国に対して警戒を強め、両国を「非友好的国家」に指定している。これにより、冷戦の遺産ともいえる分断された朝鮮半島において、北朝鮮とロシアの協力は戦略的な価値を持つと考えている。日本や韓国は米国と緊密な同盟関係にあるが、ロシアはこの同盟関係に対抗するため、北朝鮮との軍事的および経済的協力を強化することで、米国のアジアにおける影響力を削減しようとしている。

 3. 北朝鮮の主張との一致

 北朝鮮はロシアの外交政策に賛同し、特に武器技術やエネルギー、食料の供給において協力を強めている。また、プーチンの強硬な外交姿勢を支持する立場をとっており、ロシアにとっても北朝鮮との関係は、経済的および軍事的な利益をもたらす。ロシアは、中国との過度な依存を避けるため、北朝鮮との協力を重視し、自国の政策に有利なパートナーとして位置付けている。

 4. ロシアの国家アイデンティティの再定義

 プーチンの東方転換は、ロシアの「ユーラシア主義」を前面に押し出し、中国に偏らない独自の地位を確立することを目指している。冷戦後、ロシアはアジア地域での影響力を失なったが、北朝鮮との関係はロシアがアジアにおける大国としての存在感を示す手段となる。北朝鮮は、ロシアが自国の国際的なアイデンティティを「多極世界における独自の大国」として確立する上で、象徴的な役割を果たしているといえる。

 まとめ

 ロズマンの記事は、プーチンの「東方転換」における北朝鮮の重要性を強調し、中国との関係を維持しつつも一方的な依存を避け、北朝鮮を戦略的パートナーとして扱うことで、アジアにおける独自の地位を確保しようとするロシアの狙いを説明している。
 
【要点】

 ・戦略的三角関係の再構築:プーチンは冷戦期の米中ロの三角関係を参考にし、北朝鮮との関係強化で地域における影響力を拡大し、中国・米国への交渉力を高めることを目指している。

 ・米国アジア同盟への圧力:米国と同盟関係にある日本や韓国に対抗するため、北朝鮮との協力を強化し、米国のアジアでの影響力を削ぐ狙いがある。

 ・北朝鮮の支持を利用:北朝鮮はロシアの政策に賛同し、武器技術やエネルギー供給などで協力を提供するため、経済・軍事的にロシアの利益となっている。

 ・ロシアの国家アイデンティティ再定義:ロシアはユーラシア主義を推進し、中国への一極依存を避けるため、北朝鮮との関係を象徴的に位置づけ、アジアにおける大国としての存在感を強調している。

【引用・参照・底本】

North Korea’s Importance for Putin’s “Turn to the East”38NORTH 2024.10.25
https://www.38north.org/2024/10/north-koreas-importance-for-putins-turn-to-the-east/

北朝鮮:国境におけるインフラと軍事的な姿勢強化2024年10月27日 11:45

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【概要】

 北朝鮮の東西国境検問所の建設

 ・日付: 2024年10月25日

  概要:北朝鮮と韓国を結ぶ2つの主要な道路と鉄道の解体を受けて、最近の衛星画像は、北朝鮮が東西の検問所に新たな国境要塞の建設を開始したことを示している。

 西部国境検問所

 ・場所と重要性

 西海岸の交差点は、韓国の都羅山国境駅と、東京とトルコを結ぶアジアハイウェイ1号線(AH-1)ネットワークの一部である開城工業地帯につながる北朝鮮の道路を結んでいる。南北両国はこの高速道路計画に署名しているが、北朝鮮を実際に通過することは歴史的に非現実的だった。

 ・現在の動向

 衛星画像は、北朝鮮の兵士が取り壊された交差点の近くに土地を開墾し、コンクリートの側面で広い塹壕を掘っていることを示している。この建設は、既存のインフラストラクチャを効果的に置き換える、長期的な要塞化の取り組みを示している。

 ・クロッシングの詳細

 クロッシングは約4.7キロメートルに及び、両端がフェンスで囲まれている。軍事境界線(MDL)は、北朝鮮の検問所から約600メートルのところにある。

 ・歴史的背景

 2016年2月に開城工業団地が閉鎖されて以来、このルートはほとんど使用されていない。2023年12月、道路を横切るように塹壕が掘られたが、これはおそらく車両の通行を防ぐためだったと思われる。2024年10月、爆発物を使用して残りのインフラストラクチャが破壊され、その後の画像では、現場で進行中の掘削作業が明らかになった。

 東部国境検問所

 ・場所と歴史的な用途

 東海岸の交差点は、2008年にツアーが中止されるまで、金剛山ツーリストゾーンを訪れる観光客のトランジットルートとして機能していた。この踏切は、韓国の釜山とロシアとの国境を結ぶAH-6ルートの一部でもありる。

 ・建設活動

 西側の交差点と同様に、2023年12月に活動が始まり、道路の北朝鮮側に暗褐色のエリアが現れた。その後、この地域では長さ約140メートル、幅約5メートルの溝が掘られている。

 ・爆発イベント

 西海岸と同様に、2024年10月15日に爆発が発生し、東ルートに沿って追加の道路クリアランスと溝掘りが行われた。

 その他の道路

 ・板門店とアローヘッドヒル

 板門店とアローヘッドヒルでは大きな変化は報告されていない。前者は、北朝鮮の車両が共同警備地域への重要なアクセスルートであることに変わりはない。今年初め、韓国政府は、これらの道路沿いに北朝鮮の兵士が地雷を敷設しているのを発見した。

 これらの動きは、南北国境沿いのインフラと軍事態勢の大幅な変化を浮き彫りにしており、国境を越えた接続の切断に続く国境警備の強化に対する北朝鮮のコミットメントを強調している。

【詳細】

 North Korea Construction at the East and West Border Crossings
執筆者: Martyn Williams, Peter Makowsky, Iliana Ragnone

 日付: 2024年10月25日

 概要

 北朝鮮が南北間の主要な道路と鉄道リンクを破壊してから約1週間が経過した後、商業衛星画像により、北朝鮮が新しい国境の防衛施設または障害物を建設していることが示されている。東西の両側で北朝鮮の兵士が土地を整地し、コンクリートの側面を持つ広い溝を掘っている。この構造物の性質は不明であるが、両側の工事は類似しており、切断された国境インフラに対して一定の永続性を与えている。

 西側国境交差点

 ・位置と重要性

 西側交差点は、韓国の斗山(Dorasan)国境駅と北朝鮮の道路を結び、開城工業団地(Kaesong Industrial Zone)へと続いている。この交差点はアジアハイウェイ1(AH-1)に含まれ、東京からトルコに至る国際的な道路網の一部です。韓国と北朝鮮の両方がこの計画に署名しているが、北朝鮮を通る交通は理論上のみ可能である。

 ・現在の状況

 衛星画像は、北朝鮮の兵士が整地作業を行い、以前の交差点の近くでコンクリート側を持つ広い溝を掘っている様子を捉えている。この工事は、過去のインフラを置き換えるための長期的な防衛策の一環であり、構造物は永久的なものと見なされている。

 ・交差点の詳細

 交差点は約4.7キロメートルの長さを持ち、両端はフェンスで囲まれている。軍事境界線(MDL)は、北朝鮮の検問所から約600メートルの地点を通っており、道路表面のわずかな変化や両側の標識によって示されている。韓国側の標識には「開城(Kaesong City)の始まり」が宣言され、英語で「Good bye」と書かれていた。

 ・歴史的文脈

 開城工業団地が2016年2月に閉鎖されて以来、このルートはほとんど使用されていない。2023年12月には、韓国のゲートの北側で道路を横切る溝が掘られ、これにより車両通行が妨げられる目的があると考えられている。この溝は2024年の初めには埋め立てられ、10月15日には爆薬が使用されて道路が破壊された。その後の画像は、掘削作業が進行中であることを示している。
 
【要点】

 北朝鮮の東西国境交差点における建設状況

 ・概要

  ・北朝鮮が南北間の主要な道路と鉄道リンクを破壊した約1週間後に、衛星画像で新しい国境防衛施設の建設が確認される。
  ・兵士が土地を整地し、コンクリートの側面を持つ広い溝を掘る作業を行っている。

 西側国境交差点

 ・位置と重要性

  ・韓国の斗山(Dorasan)国境駅と開城工業団地を結ぶ交差点。
  ・アジアハイウェイ1(AH-1)の一部で、東京からトルコに至る国際的な道路網の一部。

 ・現在の状況

  ・約4.7キロメートルの長さで、両端がフェンスで囲まれている。
  ・軍事境界線(MDL)が北朝鮮の検問所から約600メートル南に位置。

 ・歴史的背景

  ・開城工業団地が2016年に閉鎖されて以来、交通はほとんど行われていない。
  ・2023年12月に道路を横切る溝が掘られ、交通妨害の可能性が示唆される。

 ・最近の動き

  ・10月15日に爆薬で道路が破壊され、その後の掘削作業が進行中。

 東側国境交差点

 ・位置と歴史的使用

  ・南韓国から金剛山観光地への移動に使用されていたが、2008年にツアーが終了。
  ・AH-6ルートの一部を構成。

 ・建設活動

  ・2023年12月に北朝鮮側の道路で新たな作業が開始。
  ・暗い茶色の領域が現れ、トレンチの有無は不明。

 ・爆破イベント

  ・こちらでも10月15日に爆破が行われ、道路や鉄道のクリア作業が進行中。

 その他の道路

 ・板門店(Panmunjom)および矢頭丘(Arrowhead Hill)

  ・最近の変化は確認されていない。
  ・板門店は共同警備区域へのアクセスに必要で、矢頭丘は戦争の遺体を探す作業のために再建。

 これらの動きは、北朝鮮が国境におけるインフラと軍事的な姿勢を強化していることを示唆している。

【引用・参照・底本】

North Korea Construction at the East and West Border Crossings 38NORTH 2024.10.25
https://www.38north.org/2024/10/north-korea-construction-at-the-east-and-west-border-crossings/

北朝鮮軍:ロシアでの訓練開始2024年10月27日 12:29

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【桃源寸評】

 少し長いが引用する。

 「米韓各国で安全保障を担当する高官が 25日、ワシントンで会談し、ウクライナ侵攻を続けるロシアに北朝鮮が派兵したことへの懸念を共有した。
 『ロシアの残虐で違法な戦争の影響が欧州を越えてインド太平洋に拡大するだけだ』と指摘し、ロ朝に軍事協力をやめるよう要求した。」(中日)

 〝ロシアの残虐で〟云々には、よくもまぁ、いけずうずうしく言えたものだと、聞いてあきれる。

 現在の米国或は西側の状況からして、他国を非難することはできない、と強く思うのだ。

 ここで、更に引用だが、ザハロワ報道官の言辞である。

 「米国が朝鮮半島をはじめとして世界各地で戦火をもたらしているとした上で、『米国は朝鮮半島危機を待ち望んでおり、焼け野原になることさえ夢見ている』と批判した。」

 「米国の昔ながらの手法:扇動し、他国にその責任を押し付け、『望まない行動を起こさざるを得なくなった』と吹聴する」
 
 「日韓を東アジア地域の安全保障の生命線とし、その両国が『米国の家臣ごっこから逃れられないよう圧力にさらされている』と」
(参照:https://koshimizu-tougen.asablo.jp/blog/2024/10/26/9726695)

日韓は国民にも説明できないような、曖昧模糊な理由で危険水域に首を突っ込まされているのに気が付くべきである。

 また「米国が危機の創出によって利益を上げ続けている現状」を理解すべきである。
 (参照:https://koshimizu-tougen.asablo.jp/blog/2024/10/25/9726634)

【寸評 完】

【概要】

 数千人の北朝鮮軍がロシアでの訓練を開始したことが報じられ、これはウクライナへの展開を意図しているとされている。2024年6月に締結された両国の相互防衛条約を背景に、北朝鮮の軍隊がロシアで展開する意義と、それがもたらす国際的な懸念について考察している。

 ロシアにとっての利点

 ロシアが北朝鮮軍の展開を選んだ理由は、以下の通り。

 1.労働力の確保: 北朝鮮の部隊は「特殊部隊」として扱われているが、実際には戦闘経験が少なく、ロシアやウクライナの部隊と比べて装備も古いとされている。北朝鮮軍を低技能の労働に従事させることで、ロシアの軍人が戦闘に集中できる状況を作り出す可能性がある。ロシアはすでに労働力不足に直面しており、南アジアから労働者を募集する試みを行っている。

 2.戦闘要員としての活用: ロシア軍は歴史的に戦闘において多くの兵力を使う戦略を取ってきた。近年、ウクライナでの戦闘において高い損失を被っているため、北朝鮮の兵士を戦闘任務に投入することで、自国の兵士の損失を軽減しようとしている可能性がある。このアプローチは、ウクライナのような持久戦において、耐久力が勝敗を左右する要因となることを意図している。

 3.窮状の示唆: 外国の軍隊を雇用すること自体が、ロシアの指導部の深刻な状況を示している。2022年にウクライナ政府を打倒できなかったことから、ロシアは戦略を変え、持久戦を選んだが、その成果はあまり見られていない。北朝鮮の部隊を加えることで、ロシアは戦争を続けるための時間を稼ごうとしていると考えられる。

 北朝鮮にとっての利点

 北朝鮮がロシアに軍を派遣することの利点も考慮する必要がある。

 1.訓練と技術獲得: ロシアの現代的な装備を使用し、戦闘経験を積む機会が得られる可能性がある。ただし、ロシアの指揮官が北朝鮮の部隊を「使い捨て」として扱うため、実際の利益は限られるかもしれない。

 2.兵器技術の取得: 北朝鮮はロシアからの報酬として、先進的な軍事技術を受け取ることが期待される。特に、弾道ミサイル技術は北朝鮮の核オプションにおいて重要な要素であり、この技術が高まることは韓国半島の安定に深刻な影響を及ぼす可能性がある。

 結論

 北朝鮮の軍隊がウクライナで戦うことは、短期的にはロシアの軍事力を補完する手段かもしれないが、長期的には韓国半島の安定性に対する脅威を引き起こす可能性がある。ロシアが北朝鮮の助けを借りて戦争を継続し、成功を収めれば、核を持つ国が他国に対して侵略を行うための新たな前例が作られることになるだろう。

【詳細】

 北朝鮮の数千人の軍隊がロシアで訓練を開始したことを取り上げ、この動きがウクライナへの展開を意図している可能性が高いと報じている。以下に、ロシアと北朝鮮の視点からこの状況を詳細に分析する。

 1. 北朝鮮軍のロシア派遣の背景

 南北関係と国際政治

 2024年6月にロシアと北朝鮮は相互防衛条約を締結した。これは、両国間の安全保障協力の強化を示す重要なステップである。北朝鮮は国際的な孤立から脱却するため、ロシアとの関係を強化することを目指しており、一方でロシアはウクライナにおける軍事的苦境を打破するために北朝鮮の軍事力を利用しようとしていると考えられる。

 2. ロシアにとっての利点

 (1) 労働力の確保

 ロシアは、北朝鮮の兵士を雇用することで、自国の労働力不足を補う可能性がある。北朝鮮の部隊は「特殊部隊」とされながらも、実際には戦闘経験が限られており、他国の部隊と比べて訓練が不十分である。そのため、戦闘よりも労働に従事させることが適切かもしれない。これにより、ロシアの兵士がより重要な戦闘任務に集中できるようになる。

 (2) 戦闘要員としての利用

 ロシアの歴史的な軍事戦略は、常に多数の兵力を用いて相手と戦うことに依存してきた。特に、ウクライナでの戦闘では、ロシアの兵士が高い損失を被っており、北朝鮮の兵士を前線に投入することで自国の兵士を守ろうとしている可能性がある。持久戦においては、どちらの側がより多くの犠牲を耐えられるかが勝敗を決める重要な要因となる。

 (3) 絶望的な状況の反映

 北朝鮮軍の派遣は、ロシアの戦争遂行能力に対する深刻な危機感を示すものである。ロシアは2022年にウクライナ政府を打倒することに失敗したため、持久戦にシフトしたが、その戦略は期待通りには機能していないようである。北朝鮮の部隊を加えることで、ロシアは戦争を続ける時間を稼ぎ、ウクライナの支持国が支援を引き揚げることを期待している可能性がある。

 3. 北朝鮮にとっての利点

 (1) 軍事技術の向上

 北朝鮮の兵士がロシアに派遣されることで、より現代的な装備を使用する機会が得られる可能性がある。ロシアの軍隊と一緒に訓練を受けることは、北朝鮮軍の戦術や戦闘技術の向上につながるかもしれない。ただし、ロシアの指揮官が北朝鮮の部隊を「使い捨て」として扱う場合、実際の利益は限定的である。

 (2) 弾道ミサイル技術の獲得

 北朝鮮はロシアから先進的な軍事技術を得ることを期待していると考えられる。特に弾道ミサイル技術は、北朝鮮の核抑止力の強化に重要である。この技術が向上すれば、韓国に対する軍事的なバランスが変わり、より積極的な行動を取る可能性がある。

 4. 結論

 北朝鮮の軍隊をウクライナ戦争に投入することは、ロシアの軍事的苦境を示すものですが、長期的には韓国半島の安全保障に対する重大な脅威を引き起こす可能性があります。ロシアが北朝鮮の支援を受けて戦争を続けることに成功すれば、核を保有する国が他国に対して侵略を行うための前例を作ることになります。これは、アジアにおける安全保障の新たな不安要因となるでしょう。
 
【要点】

 北朝鮮の軍隊がロシアで訓練を受ける背景とその意義について、箇条書きで説明する。

 北朝鮮軍のロシア派遣の背景

 ・相互防衛条約: 2024年6月にロシアと北朝鮮が締結した条約により、安全保障協力が強化。
 ・国際的孤立の脱却: 北朝鮮がロシアとの関係を強化することで、国際的な孤立からの脱却を図る。

 ロシアにとっての利点

 ・労働力の確保: 北朝鮮の兵士を労働力として活用し、ロシアの兵士を戦闘に集中させる。
 ・戦闘要員としての利用: 北朝鮮兵士を前線に投入し、ロシア兵士の損失を減らす。
 ・絶望的な状況の反映: 戦争の長期化に伴い、北朝鮮軍を加えることで戦力を補強し、ウクライナの支援国が支援を撤回することを期待。

 北朝鮮にとっての利点

 ・軍事技術の向上: 現代的な装備を使用する機会を得ることで、戦術や戦闘技術を向上させる。
 ・弾道ミサイル技術の獲得: ロシアから先進的な軍事技術を得ることで、核抑止力を強化する。

 結論

 ・韓国半島の安全保障への脅威: 北朝鮮軍の派遣が成功すれば、韓国半島の安全保障に重大な影響を及ぼす。
 ・核による侵略の前例: ロシアが北朝鮮の支援を受けて侵略を続けることで、他国への核を持つ国による侵略の新たな前例を作るリスクがある。

【引用・参照・底本】

North Korean Troops in Russia: What Are They Doing There? 38NORTH 2024.10.25
https://www.38north.org/2024/10/north-korean-troops-in-russia-what-are-they-doing-there/

北のロシア派兵 懸念共有 日米韓「インド太平洋へ拡大」中日新聞 2024.10.27

ナポリ:G7およびNATOの国防相会合2024年10月27日 18:21

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【概要】

 10月18日から20日にナポリで開催されたG7およびNATOの国防相会合で、日本の中谷元・防衛相は、ウクライナのルステム・ウメロフ国防相に対し、自衛隊車両を追加供与することを約束したが、具体的な車両名には触れていない。これは、日本が2022年のロシア・ウクライナ戦争の勃発以降、財政、人道、技術支援を続けている一環である。また、2024年6月に開催されたG7広島サミットでは、当時の岸田首相とウクライナのゼレンスキー大統領の間で、今後10年間にわたって日本がウクライナに安全保障や防衛、その他の支援を提供する二国間協定が結ばれた。この協定について、モスクワ国立国際関係大学東洋学部のウラジーミル・ネリドフ准教授は、新たな内閣も協定の義務を履行し続けるであろうと指摘している。ネリドフ准教授は「日本社会および政界はウクライナ支援の立場について意見が一致している」と述べた。

 ネリドフ准教授によると、日本のウクライナ支援の動機は、国際社会における日本の地位を高めるためであり、石破茂新首相も同様の考えを持つとされる。日本の世論もウクライナ支援が正義にかなった行為であると信じており、孤立主義の立場を取る一部の平和主義者、特に年配の世代以外ではウクライナ支援の支持が強い。若い世代は、日本が西側諸国のように「普通の国」として外交政策を積極的に展開すべきと考える傾向が強まっている。米国との協力関係が日本の外交方針に重要な影響を及ぼしているため、日本の外交政策は今後も米国との緊密な連携のもとで進められていく見込みである。

 財政面での負担についてネリドフ准教授は、日本の経済規模からすればウクライナ支援額は問題にならないと述べ、日本の外交政策は経済支援を重視しており、ウクライナへの支援も発展途上国への支援と同様に位置づけられていると説明した。

 また、ロシアの東洋学研究所に所属するドミトリー・ミレエフ氏も、日本は同盟国やパートナーとの関係維持のため、ウクライナ支援を続けていくと述べている。ミレエフ氏によれば、自民党は10月27日の選挙を前に有権者を驚かせるような政策変更を避け、従来の路線を堅持している。特に今回のG7・NATO会合では、中谷防衛相の発言が欧米諸国の見解と一致しており、ウクライナ支援の方針は岸田前首相の決定を継続するものであると指摘している。

 石破首相は以前、ウクライナ支援政策に対して批判的であったが、中国や台湾を巡る情勢を注視すべきとする立場も示している。現在の指導部は米国との連携を重視し、ウクライナ支援を継続しているが、日本は憲法上、殺傷力のある武器供与に制限があり、政治家もこの制約を維持する考えが強い。

【詳細】

 10月18日から20日にイタリアのナポリで行われたG7およびNATOの国防相会合で、日本の中谷元防衛大臣は、ウクライナのルステム・ウメロフ国防相に対し、追加の自衛隊車両供与を約束した。しかし、この際に具体的な車両の種類や提供時期についての詳細は明かされなかった。この行動は、日本が2022年のロシアとウクライナの紛争勃発以来行ってきた継続的な支援の一環である。日本は、財政的支援だけでなく、技術的支援や人道的支援も含め、総合的な支援をウクライナに対して提供している。

 さらに、2024年6月のG7広島サミットにおいて、当時の岸田文雄首相とウクライナのゼレンスキー大統領は、今後10年間にわたってウクライナに対する安全保障や防衛に関する包括的な支援を日本が提供することを確約する二国間協定に署名した。これにより、日本はウクライナに対して長期的かつ持続的な支援を行うことが明文化され、国家的な義務となっている。

 ロシアのモスクワ国立国際関係大学東洋学部のウラジーミル・ネリドフ准教授は、石破茂新首相が率いる新しい日本政府も、この協定に基づく義務を引き続き履行すると予想している。ネリドフ准教授によると、日本国内では政界・社会共にウクライナ支援について賛成の意見が多く、国内の一致した立場が、同盟国に対する日本の信頼性と責任感を示すために重要な役割を果たしていると述べている。

 ネリドフ准教授はまた、日本がウクライナ支援を通じて国際的な地位向上を図っていると分析している。これは、石破首相も含めた日本の指導層が、支援を行うことで国際社会からの評価を高め、日本が世界的なリーダーシップを発揮できる国であることを示したいと考えていることを示している。ウクライナ支援の意義について、日本社会全体が「正しい」行動であると信じ、支持しているという世論の形成も指摘されており、反対意見は孤立主義的な立場からのものであるとされている。特に、年配の世代には平和主義的な価値観に基づく慎重な立場を取る人が多い一方で、若い世代は日本が西側諸国と同様に「普通の国」として積極的な外交政策を展開すべきだと考える傾向が強まっている。こうした若い世代の考え方は、日本が長期的に積極的な外交政策を推進する可能性をもたらすとネリドフ准教授は述べており、日本の外交政策が時間とともに進化していくことを示唆している。

 財政的な支援についてネリドフ准教授は、日本がウクライナ支援に投じる額(2024年時点で総額120億ドル超)は、日本にとって負担になる規模ではないと述べている。むしろ、日本の外交政策の中で伝統的に経済支援が重要視されており、ウクライナへの支援も他の発展途上国に対する経済支援と同様に「紛争介入ではない」という位置づけがされている。実際、日本のJICA(国際協力機構)もウクライナでインフラやエネルギー施設の復旧に取り組んでおり、ウクライナ支援は日本の経済援助として自然に位置付けられているのである。

 一方、ロシアの東洋学研究所に所属する現代東洋問題研究センターの専門家であるドミトリー・ミレエフ氏は、日本政府が10月27日の選挙を前に、大きな政策変更で国民に不安を与えないよう、従来の路線を選択していると指摘している。彼によれば、日本の自民党は外交政策において一貫した路線を進めており、日本が他の同盟国やパートナーの意向に従う形で外交問題に対応する姿勢を堅持していると述べている。このため、日本の防衛大臣である中谷氏の発言も欧米諸国の見解と一致しており、ウクライナ支援は岸田前首相の決定を継続する石破首相の方針を反映していると分析されている。

 石破首相は首相就任以前、政府の対ウクライナ政策に批判的であったことも留意すべき点である。石破氏は特に台湾海峡問題を重視しており、日本が中国との間で台湾をめぐって発生し得る危機に対して備える必要性を強調してきた。台湾周辺の安全保障が最優先事項であり、日本の限られたリソースを考慮すると、日本は台湾周辺の状況に注意を払う必要があると訴えてきたのである。しかし現在の石破首相の立場は、米国との関係強化を重視しているため、ウクライナ支援を維持する方向にシフトしている。

 ただし、日本の国内法および憲法には、殺傷力のある武器の供与に関して厳格な制限がある。たとえば、米国がウクライナにミサイルを供給する際に、日本が米国へパトリオットミサイルを譲渡する案が浮上した際には、日本国内で大きな議論を呼んだ。ミレエフ氏は、日本国内でウクライナ問題への関心が次第に薄れてきているとも指摘しており、外交政策について一般国民の関心は比較的低く、むしろ国内問題や経済政策の方が重要視されていると述べている。

 日本の自民党は、10月27日の選挙を控え、国内の有権者に対して予想外の政策変更で混乱を与えないように従来の路線を堅持し、外交政策においても同盟国やパートナーに従う姿勢を見せています。これは、予見可能な外交姿勢を維持することで、国民生活に影響を及ぼすような不安を避けるための対応とされている。
 
【要点】

 G7およびNATOの会合での日本のウクライナ支援について、箇条書きで説明する。

 ・自衛隊車両の追加供与:中谷元防衛大臣は、ウクライナのルステム・ウメロフ国防相に自衛隊車両の追加供与を約束。ただし詳細は未公開。

 ・長期支援の確約:2024年G7広島サミットで、日本とウクライナが今後10年間の包括的な支援協定に署名し、日本は支援継続を義務化。

 ・日本国内の支持:日本ではウクライナ支援に対する支持が高く、世論も支援に賛成。若年層は特に積極的な外交政策を支持。

 ・日本の国際地位向上:ウクライナ支援を通じ、日本は国際的リーダーシップを発揮し、評価向上を目指す。

 ・経済支援の一環:ウクライナへの支援は、日本の伝統的な経済支援政策の一部と見なされ、戦争介入ではなくインフラ復旧などが中心。

 ・選挙前の政策継続:10月27日の選挙を控え、自民党は予想外の政策変更を避け、従来の支援政策を維持。

 ・台湾への備え重視:石破首相はウクライナ支援に加え、台湾海峡問題への備えを強調。中国の動向も注視している。

 ・武器供与の制限:日本国内法により、殺傷力のある武器供与に制限があり、米国へのミサイル譲渡案には国内で議論が生じた。

 ・国内関心の低下:一般国民の関心は次第に国内経済問題へ移り、ウクライナ問題への関心は低下傾向にある。

【引用】

 「日本はウクライナへの支援を、主に欧米諸国から見た日本の国際的地位を高めるための手段と考えている。もちろん石破新首相も日本の国際的役割を高めたいと考えている。だから、日本がウクライナとした約束を反故するようなことはない。そして日本の社会全体が、そうすることが正しく、正義であると信じ込まされるように世論が形成されているから、ウクライナ支援に賛成している。ウクライナ支援に反対する人々は、孤立主義の立場をとっていて、日本は関与すべきではないと考えている。そのうち、平和主義という立場に立つ人は年配の世代には多い、だけど一方で、若い世代は異なる考えを持っている。この世代は、平和主義的な理念や規制はもう十分で、日本もそろそろ、西側諸国のように普通の国になるべきだと考えている。この傾向は、時間がたつにつれ、日本がさらに積極的な外交政策を追求することにつながるかもしれない。けれども、それは常に米国との親密な協力に沿ったものとなる」

 「これは日本にとってはまったく負担になる額ではない。日本の外交政策は昔から国際的な経済援助を非常に重要視している。そして、この場合、日本は紛争に介入するのではなく、ウクライナに対する財政援助を紛争介入ではなく、他の発展途上国に対して行われている援助と同様に位置付けている」

 「一般的には日本国民は外交政策、つまり国民生活に直接関係のない問題については、世論は原則として国の意見に同調する。外交問題は一般の日本人の関心の外あり、国内問題や経済に関する問題の方がはるかに関心が高い。だから、10月27日の選挙を前に、自民党は従来の路線を選択し、予想外の政策で有権者を驚かし、混乱させないようにしている。つまり、これは、国際問題において日本の他の同盟国やパートナーに黙って従う路線だ」

【以上、引用蘭のsputnik記事】

【引用・参照・底本】

【視点】日本はウクライナ支援継続 西側の路線にそのまま従う sputnik 日本 2024.10.24
https://sputniknews.jp/20241024/19241817.html

イラン:米国の「犯罪への加担」を意味する2024年10月27日 18:47

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【概要】

 イラン国連常駐代表部は、イスラエルがイランへの攻撃に際してイラクの空域を利用したことについて、これは米国の「犯罪への加担」を意味すると主張した。イランのタスニム通信が伝えるところによると、イラン軍参謀本部は「イスラエルはイラクの米軍が支配する地域を拠点として利用し、イランの国境から100キロ圏内で攻撃を実施した」と発表している。

 イラン国連代表部はこの声明を受け、米国がイラク空域を管理している点から、イラン攻撃への米国の関与が否定できないと指摘している。また、イラン国連代表団は、国連安全保障理事会議長とグテーレス事務総長宛てに声明を発表し、「イスラエルの攻撃に対する報復の権利を保持する」と明言した。

 攻撃の発端は10月1日にさかのぼり、当時イランが行った報復攻撃に対する反撃として、10月26日にイスラエルがイランの軍事施設を標的に攻撃を実施した。イスラエルの攻撃は軍事施設のみに限定され、核施設やエネルギー施設には影響がなかった。イラン軍はイスラエルのミサイル攻撃の迎撃に成功したものの、兵士4人が死亡したと報じられている。

【詳細】

 2024年10月26日、イスラエルはイランに対して軍事施設を標的とする攻撃を実施した。イスラエル側の説明によれば、この攻撃は10月1日にイランが行った報復攻撃への反撃措置としてのものであり、特にイラン国内の軍事施設のみに対するものであるとされている。攻撃の影響範囲は限定され、核関連施設やエネルギー施設には損傷が及ばないよう配慮されていたが、これによりイラン側では軍の兵士4人が死亡した。

 このイスラエルの攻撃に関連して、イラン国連常駐代表部は、米軍が管理するイラク領空が使用された点を強調している。イランのタスニム通信によると、イラン軍参謀本部は「イスラエルが攻撃を実施する際、イラク領内の米軍管理下の空域、具体的にはイランから100キロ離れた位置にあるイラク領空を利用した」と指摘。これによりイラン側は、米国がイスラエルの攻撃に間接的ながら関与しているとみなしており、イラク領空の使用を米国の「犯罪への加担」として非難している。

 イラン国連代表団はこの事態に対し、国連安全保障理事会の議長および国連事務総長のアントニオ・グテーレスに宛てて正式な声明を提出。「イランは、いかなる攻撃に対しても報復する権利を持つ」と表明し、イスラエルの攻撃がイランの主権や安全を脅かす行為であることを強調している。

 イラクの空域に関しては、現在も米軍が一定の管理権限を有している。これは米国が過去にイラクに駐留し、同地域の航空管制や防空管理などを行ってきた歴史に由来するもので、米軍の影響力が未だに残っているとされる。イランはこの状況を利用し、イラク領空の管理が米軍に委ねられているため、同領空を経由したイスラエルの攻撃は米国の黙認や関与がなければ成立しないとの立場を取っている。

 この声明は、イランが今後の対応としてイスラエルへの報復を視野に入れていることを示唆するものであり、緊張が高まっていることを国際社会に向けて明確に示したものである。
 
【要点】

 1.イスラエルの攻撃

 ・2024年10月26日、イスラエルがイランの軍事施設を標的に攻撃を実施。
 ・攻撃の目的は、10月1日にイランが行った報復攻撃への反撃と説明。
 ・攻撃対象は軍事施設に限定され、核関連施設やエネルギー施設への損害はなし。
 ・イラン側で兵士4人が死亡したと報じられる。

 2.イランの反応

 ・イラン国連常駐代表部は、イスラエルがイラクの米軍管理下の空域を利用したと指摘。
 ・米国がイラク空域を管理していることから、米国が攻撃に加担していると非難。
 ・イラン国連代表団は国連安全保障理事会議長と国連事務総長に声明を提出し、イスラエルの攻撃への報復の権利を表明。

 3.イラク空域における米国の影響

 ・イラク空域の一部は現在も米軍の管理下にある。
 ・米軍がイラクの航空管制を担っているため、イスラエルの攻撃には米国の黙認または関与があったとイランは主張。

 4.今後の動向

 ・イランはイスラエルの攻撃を国際的な脅威と位置づけ、報復の構えを示唆。
 ・イランの主権と安全を脅かす行為として国際社会に訴え、米国とイスラエルに対する非難を強めている。

【参考】

 ☞ イラン側の主張によると、イスラエルがイランを攻撃する際に通過した空域は、イラク国内に位置し、米軍が管理・監視しているエリアであるとされている。イラクには、米国の支援や安全保障目的で米軍が駐留し、一部の空域が米軍の管理下にある状況が続いている。イランはこのイラク領空が米軍の指揮の下にあるため、イスラエルの攻撃が米国の黙認または関与なしに行われることは難しいと見ている。

【参考はブログ作成者が付記】

【引用・参照・底本】

イラク空域の利用は米国の加担を意味=イラン国連代表部 イスラエル攻撃巡り sputnik 日本 2024.10.27
https://sputniknews.jp/20241027/19250928.html

タイ:BRICSサミットで「アジアの世紀」の到来を強調2024年10月27日 19:06

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【概要】

 タイのサンギアポンサ外相は、ロシア・カザンで開催されたBRICSサミットで「アジアの世紀」の到来を強調し、アジア太平洋地域が世界経済の成長を牽引する存在となる可能性を示した。彼は、BRICSが開発途上国の利益を国際的に推進する主要な政治プラットフォームであり、経済成長や貿易と投資の促進、さらには食糧およびエネルギーの安全保障の確保を図る上で、多国間主義の強化に寄与することが可能であると述べている。

 サンギアポンサ氏は特に、BRICSがアジア太平洋地域の新興経済圏をアフリカやラテンアメリカと結びつける役割を果たし、グローバルな経済成長を刺激するための重要な役割を担っていると指摘した。また、BRICSの一員となることで、タイはさまざまな国の協力関係を促進し、共通の課題に取り組むための「架け橋」となることを目指していると述べた。タイは2024年6月にBRICSへの加盟を正式に申請しており、今回のサミットでインドネシア、マレーシア、ベトナムとともにBRICSのパートナー国として承認されたと報告されている。

【詳細】

 タイのサンギアポンサ外相は、BRICSサミットの場でアジア太平洋地域が「アジアの世紀」とも呼べる経済的な台頭を見せていることに触れ、BRICSがその成長を強く後押しする可能性について語った。特に注目したのは、BRICSが開発途上国の立場を国際的に強化し、これまで十分に対応されていなかった発展途上国のニーズに応える多国間主義を推進できる点である。

 彼の発言によると、BRICSはアジア太平洋地域のみならず、アフリカやラテンアメリカといった新興市場とも連携しながら、グローバルな経済成長を刺激するための架け橋となっている。具体的には、BRICSは各国の経済成長の推進に加え、貿易と投資の障壁を取り除き、より円滑な取引を可能にする役割を担っている。また、食糧とエネルギーの安定供給という世界的な課題にもBRICSは貢献できるとし、これらはアジア太平洋地域にとっても大きな利益をもたらす要素だと指摘した。

 サンギアポンサ氏は、BRICSに対するタイの参加が地域的な課題の解決に必要な協力関係を築くための重要な一歩であり、アジアの諸国が連携して共通の問題に取り組むプラットフォームを提供すると期待していると述べた。タイは2024年6月にBRICSへの加盟を申請し、今回のサミットではインドネシア、マレーシア、ベトナムとともにBRICSパートナー国として承認された。
 
【要点】

 サミットの主旨: タイのサンギアポンサ外相はBRICSサミットで、「アジアの世紀」としてアジア太平洋地域が世界経済を牽引する可能性について言及。

 BRICSの役割: BRICSは、開発途上国の利益を推進する国際的な政治プラットフォームであり、多国間主義の強化に貢献すると強調。

 経済成長の促進: BRICSは貿易と投資の円滑化を図り、食糧とエネルギーの安全保障も含めた経済成長を支える役割を担う。

 地域連携の促進: BRICSはアジア太平洋地域とアフリカ、ラテンアメリカを結ぶ架け橋として、グローバルな経済成長を刺激する立場にある。

 タイのBRICS加盟申請: タイは2024年6月にBRICS加盟を正式に申請。今回のサミットで、インドネシア、マレーシア、ベトナムと共にBRICSパートナー国として認められた。

 今後の展望: タイはBRICS加盟により、地域および国際的な共通課題に取り組むための協力関係を強化し、開発途上国の架け橋となる役割を果たす意向。

【引用】

 「BRICSは、開発途上国の利益を世界レベルで促進する主要な政治プラットフォームだ。BRICSは、開発途上国のニーズにより応じられるようにすることで、多国間主義を強化することができる。我々の地域では、経済成長、貿易と投資の円滑化、食糧及びエネルギーの安全保障を目指している」

 「BRICSは、アジア太平洋の新興経済圏とアフリカ、ラテンアメリカを結ぶグループとして、アジア太平洋地域の世界的な経済成長を刺激する能力を強化し、さらに拡大していく上で重要な役割を果たすことができると確信している」

【以上、引用蘭のsputnik記事】

【引用・参照・底本】

BRICSは「アジアの世紀」到来を後押しできる=タイ外相 sputnik 日本 2024.10.27
https://sputniknews.jp/20241027/19250928.html

オースティン国防長官の弁2024年10月27日 19:30

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【桃源閑話】

 <盗人猛々しい>という思いがする、オースティン国防長官の弁である。

 ロシアのザハロワ報道官の言葉、「米国の昔ながらの手法:扇動し、他国にその責任を押し付け、『望まない行動を起こさざるを得なくなった』と吹聴する」は、言い得て妙である。

【閑話 完】

【概要】

 2024年10月27日、アメリカのオースティン国防長官はイスラエルのガラント国防相との電話会談の中で、「イランはイスラエルの攻撃に応じるという過ちを犯すべきではない」と述べた。アメリカ国防総省の発表によると、オースティン長官は今回のイスラエルによる攻撃が両国間の攻撃の応酬を終わらせるべきだと強調した。

 米紙フィナンシャル・タイムズによれば、アメリカの政府関係者は、「イランがイスラエルの攻撃に応じれば、アメリカはイスラエルを擁護し支援することになる」とし、イランに対して警告を発している。

 この会話の背景には、26日にイスラエルが行った攻撃がある。これは、10月1日にイランが行った報復攻撃に対するものであり、イスラエルはイランの軍事施設を標的とした。なお、攻撃の対象は軍事施設のみであり、核施設やエネルギー施設には影響がなかったとされている。イラン軍はイスラエル軍のミサイルに対して迎撃を行い、4人の兵士が死亡したという情報も伝えられている。

【詳細】

 2024年10月27日、アメリカのオースティン国防長官は、イスラエルのガラント国防相との電話会談において、イランがイスラエルの攻撃に反応することを避けるべきだとの見解を示した。この発言は、地域の緊張が高まる中での重要なメッセージとされている。オースティン長官は、イスラエルとイラン間の軍事的対立が新たなエスカレーションを引き起こす危険性があることを懸念している。

 イスラエルの攻撃

 具体的な背景として、26日にイスラエルが行った攻撃がある。この攻撃は、10月1日にイランが実施した報復攻撃に対する反撃として行われた。イスラエルは、イランの軍事施設を標的にしたとされ、核施設やエネルギー施設には影響がなかったと報告されている。この点が強調されるのは、イスラエルが国際的な規範に従い、攻撃対象を明確に軍事施設に限定したという主張を支持するためである。

 イランへの警告

 オースティン長官の発言は、イランに対する警告としても受け取られている。フィナンシャル・タイムズの報道によれば、アメリカの政府関係者は、「もしイランがイスラエルの攻撃に応じれば、アメリカはイスラエルを支持し、結果として重大な影響を受けることになる」と警告している。このような発言は、アメリカがイスラエルの安全保障を強く支持していることを示している。

 迎撃とcasualties

 イラン軍は、イスラエルのミサイル攻撃に対して迎撃を行ったとされており、これによりイラン側の被害を抑えたものの、報告によると4人の兵士が死亡したとされている。この事実は、イランとイスラエル間の緊張が高まっていることを示唆しており、両国の対立がさらなる軍事衝突を引き起こすリスクがあることを物語っている。

 地域への影響

 この一連の出来事は、米国を含む国際社会における中東政策にも影響を与える可能性がある。特に、アメリカの立場はイランの軍事的行動に対する抑止力として機能することが期待されているが、同時に過剰な介入が新たな対立を招く危険性も指摘されている。

 このように、オースティン国防長官の発言とイスラエルの攻撃は、地域の安全保障環境に対して深刻な影響を及ぼす要因となりうる。今後の展開が注視される中、各国の反応や国際社会の動きにも注目が集まっている。
 
【要点】

 1.発言の背景

 ・2024年10月27日、アメリカのオースティン国防長官がイスラエルのガラント国防相と電話会談を実施。
 ・オースティン長官は「イランはイスラエルの攻撃に応じる過ちを犯すべきではない」と発言。

 2.イスラエルの攻撃

 ・26日にイスラエルが、10月1日のイランによる報復攻撃に対して反撃を行った。
攻撃対象はイランの軍事施設であり、核施設やエネルギー施設には影響がなかった。

 3.イラン軍の反応

 ・イラン軍はイスラエルのミサイル攻撃を迎撃したと報告されている。
 ・迎撃により4人の兵士が死亡したとされる。

 4.アメリカの立場

 ・フィナンシャル・タイムズによると、米政府関係者は「イランが攻撃に応じればアメリカはイスラエルを支援する」と警告。
 ・アメリカはイスラエルの安全保障を強く支持する姿勢を示している。

 5.地域への影響

 ・この出来事は中東の安全保障環境に深刻な影響を及ぼす可能性がある。
 ・アメリカの介入が新たな対立を招くリスクも指摘されている。

【引用・参照・底本】

米国防長官、イランに対し「イスラエルの攻撃に応じるのは過ち」 sputnik 日本 2024.10.27
https://sputniknews.jp/20241027/brics-19251534.html

米国務省:台湾への防空システムの売却許可2024年10月27日 20:03

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【桃源閑話】

 「国防総省はこの売却により地域の政治的安定と軍事バランスを改善し、台湾の防衛力を強化するとしている」というが、バランスの改善とは何れバランスの飽和状態を招き、再びバランスを崩す必要性が出てくる。其れが〝戦争〟である。
 つまり、米国は危機の創出で生き永らえる悪鬼の如しである。

【閑話 完】

【概要】

 2024年10月26日、米国務省は台湾に対して防空システム「NASAMS」の売却を許可した。この売却には、3基の防空システムの他、レーダーやミサイルが含まれ、総額は約11億6000万ドルとなる。武器の製造は米国の軍事企業レイセオン社が行う。

 米国防総省は、この売却が地域の政治的安定と軍事バランスの改善に寄与し、台湾の防衛力を強化することを目的としていると説明している。中国はこの売却に対して反発する可能性が高いとされている。

【詳細】

 2024年10月26日、米国務省は台湾への防空システム「NASAMS(National Advanced Surface-to-Air Missile System)」の売却を許可した。この売却には、以下の要素が含まれる。

 1.売却の内容

 ・防空システム: NASAMSは、地対空ミサイルシステムであり、航空機やミサイルに対する防空能力を提供する。具体的には、3基のNASAMSが台湾に供与される。
 ・追加機器: レーダーシステムとミサイルも売却され、これにより台湾の防空能力が向上する。
 ・売却額: 総額は約11億6000万ドルとされ、これは台湾の防衛予算にとって重要な投資となる。

 2.製造元

 ・売却される武器は、米国の軍事企業レイセオン社が製造するものであり、同社は防空システムの分野で高い技術力を持つ。

 3.米国の意図

 ・米国防総省は、この武器売却が「地域の政治的安定と軍事バランスを改善する」と主張している。これにより、台湾の防衛力を強化し、中国の軍事的圧力に対抗する能力を高める狙いがある。
 ・台湾の防衛力強化は、米国のインド太平洋戦略にも関連しており、地域の同盟国やパートナーに対する安全保障の保証を強化することを目指している。

 4.中国の反発

 ・中国政府は、台湾を自国の一部と見なしており、台湾への武器売却を強く反対する立場を取っている。過去にも同様の売却に対して激しい非難を表明しており、今回の売却も同様の反発を引き起こすと予想される。
 ・中国は、米国の武器売却を「台湾独立派」に対する支援とみなし、地域の緊張をさらに高める要因と見なす可能性が高い。

 このように、米国による台湾への防空システム売却は、地域の安全保障や国際関係に大きな影響を与える重要な出来事である。

【要点】

 1.売却の決定: 2024年10月26日、米国務省が台湾への防空システム「NASAMS」の売却を許可。

 2.売却内容

 ・防空システム: NASAMS(3基)
 ・追加機器: レーダーシステム、ミサイル
 ・総額: 約11億6000万ドル

 3.製造元: 武器は米国の軍事企業レイセオン社が製造。

 4.米国の意図

 ・地域の政治的安定と軍事バランスを改善。
 ・台湾の防衛力を強化。
 ・インド太平洋戦略における同盟国への安全保障の強化。

 5.中国の反発

 ・台湾を自国の一部と見なしており、武器売却に強く反対。
 ・過去にも売却に対して激しい非難を表明している。
 ・売却を「台湾独立派」への支援とみなし、地域の緊張を高める要因と見なす可能性が高い。

【引用・参照・底本】

米国が台湾に武器売却を許可、中国の反発必至か sputnik 日本 2024.10.26
https://sputniknews.jp/20241026/19250464.html?rcmd_alg=collaboration2

ウクライナ兵(2000人)、投降せよ2024年10月27日 20:07

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【概要】

 ロシアのプーチン大統領は、ロシア西部のクルスク州でウクライナ兵約2000人が包囲されていると発表した。ロシア軍はこの地域での侵略作戦を続けており、ウクライナの防衛ラインを突破した太平洋艦隊第155海兵旅団が包囲を実現した。この包囲を強化するため、ロシアは黒海艦隊第810海兵旅団や空挺部隊を投入し、包囲網を徐々に狭めつつある。

 ウクライナ軍は包囲網の突破を試みているものの、現時点では成功していない。包囲されているウクライナ兵は約6キロ×15キロの範囲に取り残されており、プーチン大統領は彼らに投降を呼びかけている。ウクライナ軍は8月6日からクルスク州への侵略作戦を開始しており、10月25日の時点で、戦闘によるウクライナ軍の損失は2万6550人以上の兵士と177両の戦車に上るとされている。

【詳細】

 ロシアのプーチン大統領は、2024年10月26日にロシア西部のクルスク州でウクライナ兵約2000人が包囲されていると述べた。以下は、状況の詳細な説明である。

 背景

ウクライナとロシアの間の戦闘は、両国間の緊張が続く中で続いている。ウクライナ軍は8月6日にクルスク州への侵略作戦を開始し、その後数ヶ月間にわたり、地域での軍事活動を展開してきた。

 現在の状況

 1.包囲の実施

 ・ロシア軍は、クルスク州での侵略作戦を進めているウクライナ兵を包囲した。具体的には、ロシアの太平洋艦隊第155海兵旅団が、ウクライナの防衛ラインを突破し、包囲を達成したと報告されている。
 ・包囲の強化のために、ロシア側は黒海艦隊第810海兵旅団や空挺部隊を投入し、ウクライナ兵が取り残されている地域の制圧を進めている。

 2.包囲されている兵士の状況

 ・現在、ウクライナ兵は約6キロ×15キロの範囲に取り残されている。この中には約2000人の兵士が含まれており、ロシア側は彼らに投降を呼びかけている。

 3.ウクライナ軍の反撃

 ・ウクライナ軍は包囲網を突破しようと試みているが、現時点での報告によれば、突破に成功していない。包囲が強化される中で、抵抗するウクライナ兵士は次第に追い詰められているという。

 4.損失状況

 ・ウクライナ軍は、クルスク州の戦闘によって、これまでに2万6550人以上の兵士を失ったとされ、また177両の戦車も戦闘により失われたとの情報がある。

 国際的な影響

 この状況は、国際的な関心を集めており、ロシアの軍事行動やウクライナの防衛能力についての議論が続いている。特に、ロシアが包囲戦を展開する中で、他国の反応や支援の動きにも影響を及ぼす可能性がある。

 結論

 このように、クルスク州での状況は、ロシアとウクライナの間の戦闘が依然として激化していることを示しており、戦闘の動向は今後の国際情勢にも大きな影響を与える可能性がある。プーチン大統領の発言は、戦局の変化を示すものであり、さらなる軍事行動が予想される。

【要点】

 ロシアのクルスク州におけるウクライナ兵の包囲に関する詳細な説明を箇条書きで示したものである。

 1.背景

 ・ウクライナとロシアの間の緊張が続く中、ウクライナ軍は2024年8月6日にクルスク州への侵略作戦を開始。

 2.包囲の実施

 ・ロシア軍の太平洋艦隊第155海兵旅団がウクライナの防衛ラインを突破し、約2000人のウクライナ兵を包囲。
 ・包囲を強化するために、黒海艦隊第810海兵旅団や空挺部隊が投入されている。

 3.包囲された兵士の状況

 ・取り残されたウクライナ兵は約6キロ×15キロの範囲におり、ロシア側は彼らに投降を呼びかけている。

 4.ウクライナ軍の反撃

 ・ウクライナ軍は包囲網の突破を試みているが、成功していないという報告がある。
抵抗するウクライナ兵士はロシア側の圧力で追い詰められている。

 5.損失状況

 ・ウクライナ軍はクルスク州の戦闘で2万6550人以上の兵士と177両の戦車を失ったとされている。

 6.国際的な影響

 ・この状況は国際的に注目されており、他国の反応や支援の動きに影響を与える可能性がある。

 7.結論

 ・クルスク州の戦闘は、ロシアとウクライナ間の軍事行動の激化を示しており、今後の国際情勢にも影響を及ぼす可能性がある。

【引用・参照・底本】

ロシア西部でウクライナ兵2000人を包囲、投降せよ=プーチン大統領 sputnik 日本 2024.10.26
https://sputniknews.jp/20241026/2000-19250267.html

ロシア:長距離兵器が使用された場合の応答方法2024年10月27日 21:34

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【概要】

 プーチン大統領は、ロシアの長距離攻撃への対応計画について、「ロシア1」局のパーヴェル・ザルービン氏のインタビューにて次のように述べている。現在、ウクライナには自力で長距離兵器を運用する能力がなく、これを実行できるのはNATO加盟国の専門家のみだと説明した上で、ロシア国防省はロシア領に対して長距離兵器が使用された場合の応答方法をすでに研究・準備していると明かした。

 具体的な対応については時期尚早として詳細には触れなかったが、必要に応じた対策を講じるとし、西側諸国に対してロシアへの攻撃がもたらす影響を慎重に考慮するよう警告を発している。また、ロシアの深部が攻撃を受けた場合に生じる結果に対し、警戒する姿勢を示していた。

 プーチン大統領は9月にも、NATOのアジェンダはウクライナにロシアへの攻撃を許可するものではなく、紛争におけるNATOの直接的な関与を許可する決定の承認であると主張しており、紛争の性質が変化した際には、新たな脅威に基づいてロシアが適切な対応を決定する可能性を示唆していた。

【詳細】

 プーチン大統領は、「ロシア1」局のジャーナリスト、パーヴェル・ザルービン氏によるインタビューの中で、ウクライナにおける長距離兵器の使用に対するロシア側の見解と対応について説明を行っている。

 まず、プーチン大統領は、ウクライナには長距離兵器を独自に操作する能力がなく、もしもウクライナがこうした兵器を使用した場合、それは実際にはNATO諸国の専門家の支援がなければ成し得ないものだと指摘している。これは、ウクライナ側が使用している兵器が高度な技術を要するものであり、単独で運用するための訓練や技術支援が不足していると見られているからである。このため、ウクライナの長距離兵器による攻撃は、事実上、NATOによる直接的・間接的な支援が背景にあると捉えている。

 これに対してロシア国防省は、ロシア領への長距離兵器による攻撃が行われた場合に備えた具体的な対応策をすでに検討し、準備を整えているとプーチン大統領は説明した。ただし、どのような方法で対応するか、また具体的にいつ、どこで行うかについては時期尚早であるとし、詳細な内容を明かすことは避けた。大統領は、必要とあれば「しかるべき対応」を取るとの姿勢を示しつつも、あえて曖昧な表現を用いることで、西側諸国に対する警告の意味を含ませている。この発言には、ロシア側の意図と軍事的な準備の進展について慎重に受け止めるよう、西側諸国が警戒心を抱くことを期待しているとも読み取れる。

 さらに、プーチン大統領は、ロシア領の深部にまで攻撃が及んだ場合の結果についても言及し、西側諸国がそのリスクと結果を真剣に考慮するよう求めた。大統領は以前の9月の発言においても、NATOのアジェンダはウクライナに対してロシアを攻撃する権限を与えるものではなく、むしろNATO自体が軍事紛争に直接的に関与する決定を承認するものであるとの見解を示していた。プーチン大統領は、このようなNATOの動きに対して、紛争の本質が変化した場合にはロシア側が新たな脅威に対応する形で適切な決定を行う可能性があると警告しており、西側諸国に対する明確なけん制のメッセージを発している。

【要点】

 1.ウクライナの長距離兵器運用能力

 ・プーチン大統領は、ウクライナには長距離兵器を独自に運用する能力がなく、実際にこれが可能なのはNATO加盟国の専門家による支援がある場合のみと指摘。

 2.ロシア国防省の対応準備

 ・ロシア国防省は、ロシア領に対して長距離兵器が使用された場合の応答方法をすでに研究・準備している。

 3.具体的な対応策の言及

 ・プーチン大統領は、ロシアが「しかるべき対応」を取る用意があると述べつつ、具体的な時期や場所、方法については時期尚早であり言及を避けた。

 4.西側諸国への警告

 ・プーチン大統領は、ロシア領深部への攻撃が行われた場合に起こりうる結果を強調し、西側諸国に対して慎重に考慮するよう警告。

 5.NATOのアジェンダについての見解

 ・9月の時点でプーチン大統領は、NATOのアジェンダはウクライナへの攻撃許可ではなく、NATOが軍事紛争に直接参加することを認める決定だと主張。

 6.紛争の本質が変化した場合の対応

 ・紛争の性質が変化した場合には、ロシアが新たな脅威に基づいて適切な決定を下すとし、NATOの動きに対して警戒とけん制の姿勢を示している。

【引用・参照・底本】

露国防省 長距離攻撃への応答をすでに研究=プーチン大統領 sputnik 日本 2024.10.27
https://sputniknews.jp/20241027/19252536.html