自身を映す鏡を持たぬ国、米国2025年06月02日 20:41

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【概要】

 2025年6月1日、シンガポールで開催された第22回シャングリラ・ダイアローグにおいて、アメリカ国防長官が中国に対して否定的な発言を行い、「中国の脅威」論を誇張したことに対し、中国国防部の報道官であるZhang Xiaogang氏は、中国国防部の公式WeChatアカウントを通じてコメントを発表した。

 Zhang氏は、アメリカはシャングリラ・ダイアローグの場を利用して争いを作り、対立を煽り、自己の利益を追求することに慣れていると指摘した。アメリカ国防長官の発言は、覇権主義的な論理、いじめのような行動、冷戦的な思考に満ちており、中国の主権と利益を著しく挑発し、中国の政策的立場を歪曲し、地域諸国が繁栄と安定を維持しようとする共同の努力を著しく無視するものであると述べた。こうしたアメリカの姿勢は、世界各国が平和と発展を求める共通の願いとかけ離れており、中国はこれに対し強い不満と断固たる反対を表明するものであるとした。

 またZhang氏は、アメリカの行動は国際社会に明らかであると述べ、アメリカは自己中心的な利益に基づいて、関税戦争や貿易戦争を仕掛け、世界中に高額な関税を課していると指摘した。さらに、排他的な同盟を形成し、陣営対立を助長しており、多くの国々に深刻な懸念を引き起こしているとも述べた。アメリカはアジア太平洋地域における軍事展開を強化し、他国の内政に対する干渉を繰り返し、緊張を煽っている。こうした事実は繰り返し証明されており、アメリカが時代の流れに逆行し、単独行動をとっていることは、最終的にアメリカ自身に跳ね返る結果になるとZhang氏は強調した。

 さらに、台湾問題については純然たる中国の内政問題であり、アメリカに対して無責任な発言や、台湾問題を中国封じ込めの交渉材料として利用する権利はないと主張した。中国人民解放軍は国家の主権と領土の完全性を断固として守り、「台湾独立」の分裂行為およびいかなる外部勢力の干渉も粉砕する強い決意を持ち、その能力と手段も信頼に足るものであると述べた。

 またZhang氏は、南シナ海が国際的に最も繁忙かつ安全な海上輸送ルートの一つであるとした上で、中国は関係国との対話と協議を通じて問題を解決し、法律に基づき領土主権と海洋権益を守り、地域諸国とともに平和、友情、協力の海を築いていくと述べた。これに対し、アメリカは同盟を結成し混乱を引き起こそうとしており、地域の平和と安定に対する最大の脅威となっていると非難した。

 最後にZhang氏は、中国はアジア太平洋地域における平和と発展の擁護者かつ推進者であると強調し、中国軍は地域諸国と協力して、アジア太平洋を害する覇権主義に反対し、地政学的対立の持ち込みに反対し、混乱を引き起こすいかなる国や勢力にも抵抗すると表明した。また、中国は「人類運命共同体」の理念および「三大全球イニシアティブ」の積極的な実行を通じて、アジア太平洋地域の長期的な平和、安定、繁栄の維持に努めるとしている。

【詳細】 

 概要と背景

 本声明は、2025年5月31日から6月2日までシンガポールで開催された第22回アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)において、アメリカ国防長官が中国に対する批判的発言を行ったことに対する、中国側の公式な反応である。会議は地域安全保障に関するハイレベルな多国間対話の場であり、アメリカと中国の間の戦略的対立の舞台ともなっている。

 中国国防部報道官 Zhang Xiaogang氏の発言内容の詳細

 1. 米国の「中国脅威論」への批判

 Zhang氏は、米国国防長官の発言が「根深い覇権主義的思考」「いじめ的行為」「冷戦的発想」によって貫かれており、中国の主権・安全保障・発展利益を著しく損なうものであると非難した。こうした発言は中国の政策や立場を歪曲し、地域諸国が共同で築こうとしている平和・安定の努力を侮辱するものであり、極めて無責任かつ危険であるとの認識を示した。

 注解:ここで言う「覇権主義」とは、米国が国際秩序を自国中心で構築しようとする態度を指し、「冷戦的思考」は敵対する陣営同士の対立構造を現代に持ち込もうとする姿勢を意味する。

 また、中国政府としては、このような米国の態度は世界の多数の国々が望む「平和と発展」という時代の潮流と大きく乖離しており、強い不満と断固たる反対を表明するとした。

 2. 米国の国際行動と「自己利益優先主義」への批判

 Zhang氏は、米国が自己中心的利益に基づき、以下のような国際的行動を取っていると列挙した:

 ・関税戦争・貿易戦争の主導:特定国に対し高関税を課し、経済的圧力を行使。

 ・排他的な同盟形成:NATOやAUKUSなどの軍事同盟を通じて他国を囲い込み、敵味方の二分構造を創出。

 ・アジア太平洋地域への軍事的前方展開:軍艦や戦闘機の展開、合同軍事演習の増加。

 ・他国の内政干渉:民主主義・人権を理由に他国の内政に介入。

 ・地域の緊張煽動:南シナ海や台湾海峡などのホットスポットで意図的に対立を激化。

 これらは「一国主義」的であり、国際社会の多極化や協調的秩序構築の流れに反するものであると非難している。最終的には、こうした行動が「ブーメランのように」アメリカ自身の不利益となって跳ね返ってくるであろうと強調した。

 3. 台湾問題に対する断固たる立場

 Zhang氏は、台湾問題が「純粋に中国の内政問題」であり、米国に口出しする資格も権利も一切存在しないと明言した。また、米国が台湾を「交渉のカード」として利用することは決して許容できず、断固反対する姿勢を明らかにした。

 軍事的警告の要素も含まれており、「中国人民解放軍は国家の主権と領土の完全性を断固として守る」「いかなる『台湾独立』分裂行為や外部勢力の干渉も粉砕する」としたうえで、「われわれの意志は揺るがず、能力と手段は信頼に足る」と軍事的抑止力の行使を仄めかしている。

 4. 南シナ海問題に対する立場と対米批判

 Zhang氏は、南シナ海について、国際的に「最も重要かつ安全な海上交通路の一つ」とされた上で、中国は関係諸国との「対話と協議による平和的解決」を堅持し、「国際法に基づく領土主権と海洋権益の維持」を継続すると述べた。

一方、米国は同地域において同盟関係を利用し「混乱を意図的に引き起こしている」と非難し、「地域の平和と安定に対する最大の脅威」だと断じた。

 5. 中国のアジア太平洋地域における役割と展望

 最後にZhang氏は、中国がアジア太平洋地域において「平和と発展の守護者および推進者」であると強調した。

 ・覇権主義への反対

 ・地政学的対立の導入への反対

 ・混乱を引き起こすいかなる国・勢力への抵抗

を中国軍が地域諸国と連携して実行する方針を示した。

 さらに、習近平国家主席が提唱した理念である「人類運命共同体」や、「グローバル発展イニシアティブ」「グローバル安全保障イニシアティブ」「グローバル文明イニシアティブ」という三大イニシアティブを積極的に実行し、アジア太平洋の「長期的かつ安定的な繁栄の構築」に貢献することを表明した。

 総括

 この声明は、米中対立が深まる中で、中国が国際社会および地域諸国に対し、アメリカに対抗する立場を鮮明に打ち出したものである。軍事的側面、外交的原則、法的主張、そして理念的価値観のすべてにおいて、主導権を握ろうとする中国の姿勢が全面に表れている。声明はまた、中国の内政に対する干渉や地域の不安定化に対し、必要な場合は強硬な対応も辞さないという抑止的メッセージを国際社会に対して発信するものである。

【要点】 

 米国の「中国脅威論」への批判

 ・アメリカ国防長官の発言は「覇権主義的論理」「いじめ的行為」「冷戦思考」に基づいていると指摘。

 ・中国の主権・安全保障・政策立場を歪曲し、地域諸国の平和・安定への努力を無視している。

 ・世界の国々が望む「平和と発展」という共通の願いと著しく乖離している。

 ・中国はこのような発言に対して強い不満と断固たる反対を表明する。

 米国の一方的行動への非難

 ・米国は自己の利益を最優先し、国際秩序に混乱をもたらしている。

  ➢関税戦争・貿易戦争を仕掛け、世界各国に不当な関税を課している。

  ➢排他的な同盟(例:AUKUS)を形成し、陣営対立を煽っている。

  ➢アジア太平洋地域への軍事展開を強化している。

  ➢他国の内政に干渉し、緊張と対立を引き起こしている。

 ・米国のこうした行為は「時代の潮流に逆行する」ものであり、最終的に米国自身に不利益をもたらす。

 台湾問題に対する断固たる立場

 ・台湾問題は中国の内政問題であり、米国に発言権はない。

 ・米国が台湾を対中牽制の「交渉材料」に使うことは断じて許されない。

 ・中国人民解放軍は国家の主権・領土の一体性を守る責任を負っている。

 ・「台湾独立」勢力や外部からの干渉は断固として粉砕される。

 ・中国の決意は揺るがず、能力・手段は信頼に値する。

 南シナ海問題における立場と米国批判

 ・南シナ海は国際的に重要かつ安全な海上交通路である。

 ・中国は関係諸国との対話と協議により問題を解決する方針である。

 ・中国は国際法に基づき、領土主権と海洋権益を堅持する。

 ・米国は同盟を組んで対立を煽り、地域の平和と安定に最大の脅威を与えている。

 アジア太平洋地域における中国の役割と展望

 ・中国はアジア太平洋における「平和と発展の守護者・推進者」である。

 ・中国軍は地域諸国と共に以下の行動を取る:

  ➢覇権主義に反対。

  ➢地政学的対立の導入に反対。

  ➢外部勢力による混乱の創出に抵抗。

 ・習近平国家主席が提唱する「人類運命共同体」や「三大全球イニシアティブ」(発展・安全保障・文明)を積極的に実行する。

 ・アジア太平洋地域の「長期的平和・安定・繁栄」の構築に貢献する意志を強調。

【桃源寸評】💚

 自身を映す鏡を持たぬ国、米国

 歴代および現行の米国政権の行動に見られる「卑しさ」や「品性の低さ」と見做され得る側面について、以下に忌憚なく、厳正かつ系統的に詳述する。

 Ⅰ. 利己的覇権主義の露骨な展開

 ・米国は自国の政治的・経済的利益を最優先するあまり、他国の主権や国際的合意をしばしば無視してきた。

 ・「自由」や「民主主義」の名の下に、実際には自国に有利な体制や政権の樹立を画策し、対米従属を強いる行為が常態化している。

 ・他国の政変・内戦・選挙に対してあからさまな干渉を行い、民意を踏みにじることを厭わない。

 Ⅱ. 経済制裁とドル覇権による脅迫外交

 ・国際通貨としてのドルの地位を武器に、米国は制裁措置や金融封鎖を通じて、政敵と見なす国家を経済的に締め上げてきた。

 ・これらの措置は、しばしば民間人に対する深刻な影響(食料・医療不足等)を伴い、国際人道法上の疑義も生じ得る。

 ・制裁の根拠は米国内法に基づくものであり、主権国家に対する「越権行為」「経済的覇権の乱用」にほかならない。

 Ⅲ. 軍事介入と武力による威圧

 ・アフガニスタン、イラク、リビア、シリアなどに対する軍事侵攻は、「大量破壊兵器の存在」や「テロとの戦い」といった偽りの大義名分の下で実施された。

 ・結果として、数百万の民間人が死傷・避難を余儀なくされ、国家機能の崩壊と無秩序の拡大をもたらした。

 ・「正義」を標榜しつつも、実際には地政学的利権や軍需産業の利益が介在していることが多く、道義的正当性に大いなる疑問が残る。

 Ⅳ. 同盟と価値観の「恫喝的運用」

 ・同盟国に対しても、米国はしばしば「パートナーシップ」とは名ばかりの従属的関係を強要している。

 ・対中・対露戦略に協調しない国に対しては、安全保障・貿易・技術などあらゆる分野で圧力を加え、「踏み絵」を迫る傾向が強い。

 ・「価値観外交」の名の下に、自国に都合のよい「民主」「人権」の定義を押し付け、他国の文化的・政治的多様性を軽視している。

 Ⅴ. 偽善的言動と二重基準

 ・自国に不都合な国や勢力に対しては「人権侵害」を声高に叫ぶが、同時に自国の同盟国による抑圧・弾圧には目をつむるという典型的な二重基準を示している。

 ・例:サウジアラビア、イスラエル、ウクライナなどに対しては極めて寛容であり、同様の行為を行う国々に対しては厳しく糾弾。

 ・言行不一致は国際社会における信用失墜を招き、「価値観の輸出」が空虚なスローガンに堕している。

 Ⅵ. 内政の腐敗と品性劣化の外部化

 ・自国社会における格差、警察暴力、人種差別、政治分断など、根深い問題を抱えながら、それを他国批判の材料に転嫁する傾向がある。

 ・内政不安や政権支持率低下を補うために、対外的に敵を作り出すという「外部スケープゴート戦略」が恒常化している。

 ・国際舞台での発言や行動において、尊大で尊重を欠いた姿勢がしばしば露呈し、品格と謙抑を欠く態度が国際的反感を招いている。

 総括

 米国政権は、「自由と民主」を旗印に掲げつつも、その実態は利己主義・覇権主義・偽善主義の複合体であり、しばしば他国の尊厳と安定を踏みにじる傲慢な振る舞いに終始している。

 こうした振る舞いは、「世界の警察」ではなく「世界の干渉者」としての実像を露呈させ、国際秩序に対する真の脅威となっている。

【寸評 完】

【引用・参照・底本】

US will only harm itself: Chinese defense ministry slams US defense chief for hyping ‘China threat’ at Shangri-La Dialogue GT 2025.06.01
https://www.globaltimes.cn/page/202506/1335227.shtml

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