中国のAI関連枠組みか、米国主導のAI連合に加わるか2026-08-21 19:29

Dolaで作成   
【概要】

 米国が複数の国に対し、中国のAI関連枠組みとの提携を選ぶか米国主導のAI連合に加わるかの二者択一を迫る文書案が存在することが明らかとなった。米国のこの「陣営分け」の方針に対し、中国の専門家らは、AI技術の発展には多国間の開かれた協力が不可欠であり、分断を強いる米国のやり方はサプライチェーンの分断や技術進歩の停滞を招くと指摘。対照的に中国は、開放性・実務的協力・共通の発展を軸とした国際的なAI協力構想を提示しており、こちらがより広範な利益にかなう道であるとの見方を示している。また、米国の一方的な要求は自国企業の事業活動にも矛盾を生じさせている実情も報じられている。
  
【詳細】 

 米国国務省の作成した文書案によれば、6月に米国の「AIに関する機会声明」に署名した35か国に対し、米国主導の枠組み「パックス・シリカ」への署名は他の紛争する枠組みへの参加と両立できないと明記し、いずれかを選択するよう迫る内容となっている。パックス・シリカはAI基盤モデル、半導体、鉱物資源の分野で西側諸国の優位性を固めることを目的とし、日本・韓国・オーストラリアなど約20か国が参加している。

 中国側の分析者は、この動きを「ゼロサム的な地政学的戦略」と位置づける。背景には、中国のオープンソースAI技術の急速な進展への懸念があり、米国は技術協力を政治化し、サプライチェーンを利用して中国の発展を抑え込もうとしているとの見方を示す。また、このような分断政策は、AI開発に不可欠な世界的なサプライチェーンを分断し、重複する基準・生態系を生み出すことで技術進歩の速度を落とし、世界全体にコストを転嫁する結果になると指摘する。

 この米国の方針には矛盾も生じている。米政府はアップルに対し中国製メモリーチップの調達を禁じるよう求めているが、世界的なAI向け半導体不足から、アップルは安定調達の選択肢として中国メーカー製品の検討を進めていると報じられている。専門家は、米中の経済は補完的関係にあり、米国の技術開発には中国の製造基盤や多様な応用シーンが不可欠であり、一方的な分断は現実的に実施困難であるとも指摘する。

 対照的に中国は、開かれた協力を旗印に複数の国際構想を推進している。7月には29か国の参加を得て「世界人工知能協力機構(WAICO)」を設立し、AIの安全性・公正性を確保しつつ全世界での発展を目指すとした。今後5年間で途上国向けに5000件のAI研修機会を提供し、ASEAN・アフリカ連合・BRICSなど地域機構と共同で応用センターを設置、30か国に気象警報AIシステムを供与するなどの計画を表明している。

 また、AIモデルの実績では、中国企業製の基盤モデルが国際的なプラットフォームのランキング上位を占め始めており、その背景には米国企業の閉鎖的な戦略と異なり、オープンなモデル戦略を採用している点があるとの分析も示されている。

【要点】

 ・米国は参加国に対し、米中いずれのAI枠組みを選ぶかの二者択一を迫る方針を示し、両立を認めない立場を明らかにした。

 ・中国の専門家は、この方針を技術を地政学的に利用する一方的な戦略と批判し、世界のAIサプライチェーンと協力関係を分断すると指摘。

 ・AI技術の商業化・発展には広範な連携と多極的な環境が不可欠であり、分断を強いる米国の戦略は現実にそぐわず、企業活動にも矛盾を生じさせている。

 ・中国側は開放性と共通の利益を原則とした国際協力路線を提示し、技術格差の是正や途上国支援を含む構想を打ち出している。

 ・中国製AIモデルの国際的な実績向上には、開放的な技術戦略が寄与しているとの見方が示されている。

【引用・参照・底本】

US AI take-sides push risks tech split, seen as futile gamble amid need for greater openness: experts GT 2026.08.16
https://www.globaltimes.cn/page/202608/1368309.shtml

コメント

トラックバック