米国の逆行:公共教育と教会と国家の分離に挑戦2024年07月01日 07:48

【概要】

 Truthoutの記事は、特に公教育において、教会と国家の分離を侵食しようとする米国のキリスト教ナショナリストの取り組みについて論じています。重要なポイントは次のとおり。

 1.National Prayer in School Act:フロリダ州下院議員のマット・ゲーツが提出したこの法律は、学校での祈りを認めることを目的としており、長年の禁止事項に異議を唱えている。

 2.州レベルの法律: さまざまな州が次の法案を可決したか、検討している。

 ・教室に「In God We Trust」を掲示するなど、学校での宗教活動を許可または要求する。
 ・無免許の牧師が学生にカウンセリングすることを許可する。
 ・私立宗教学校の授業料のバウチャーを提供します。

 3.最高裁判所の判決:いくつかの判決は、宗教学校や学生主導の祈りへの公的資金提供を認めるなど、教会と国家の分離を弱めた。

 4.オクラホマ州事件:州最高裁判所は、公教育と宗教教育の区別を維持しながら、カトリックのチャータースクールが州の資金を使用することを阻止した。

 5.バウチャー:これらのプログラムは、公立学校から私立の宗教施設に資金を流用し、公教育を弱体化させる可能性がある。

 6.クリスチャン・ナショナリスト組織:プロジェクト・ブリッツやファミリー・リサーチ・カウンシルなどのグループは、宗教的価値観を公共生活に統合するためのより広範なアジェンダの一環として、これらのイニシアチブを推進している。

 キリスト教ナショナリズムの影響力の高まりと、米国の教育システムにおける教会と国家の分離を維持するための進行中の法的および政治的戦いを強調している。

【詳細】

 アメリカ合衆国におけるキリスト教ナショナリストの活動が、公共教育と教会と国家の分離に対する影響を強調している。

 国全体の動向

 National Prayer in School Act

 ・フロリダ州のマット・ゲーツ議員が提案したこの法案は、学校での祈りを許可するものであり、過去50年以上禁止されていた教会と国家の分離に挑戦するものである。
 ・ゲーツ議員は、インスタグラムの投稿でこの法案を支持し、現在の教育政策が宗教の自由を制限し、不道徳なLGBTQ+プロパガンダを推進していると主張した。

 州レベルの立法

 教会と国家の分離を侵害する法律

 ・多くの州が、学校での「任意の」祈りを復活させたり、「In God We Trust」の標語を教室に掲示することを許可または義務化したり、無資格のチャプレン(宗教指導者)によるカウンセリングを認めたりしている。
 ・一部の州では、生徒が授業時間中に宗教教育を受けるための時間を確保するための法律も成立している。

 オクラホマ州のケース

 ・オクラホマ州では、カトリック教区が公的資金を使って宗教的なチャータースクールを開設する試みが、州最高裁判所によって阻止された。このケースでは、納税者のお金を宗教教育に使うことが第一修正に違反するかどうかが争点となった。

 最高裁判所の判決

 ・Santa Fe Independent School District v. Doe(2000): 学生主導の任意の祈りを学校敷地内で認める。
 ・Trinity Lutheran v. Comer(2017): 宗教団体が運営する幼稚園への公的資金の提供を認める。
 ・Espinoza v. Montana(2020) および Carson v. Makin(2022): 公的資金を利用して私立宗教学校に通うことを認める。
 ・Kennedy v. Bremerton(2022): 高校のフットボールコーチが試合後に生徒の前で祈る権利を認める。
 ・これらの判決により、州ごとに異なる宗教と公共教育の関係が生じており、多くの教育者が何が許されるのか混乱している。

 バウチャー制度

 公的資金の私立学校への流出

 ・バウチャー制度は、公立学校の資金を私立の宗教学校に移転させるものであり、多くの州でこれが拡大している。例えば、2023-24学年度には、全米の学生人口の約10%(約470万人)がバウチャーを利用して私立学校に通っている。
 ・この制度は、元々は低所得者層や特別教育を必要とする子供たちに公平な教育の機会を提供するために始まったが、現在では多くの州で普遍的な権利として拡大され、あらゆる所得層の家庭が利用できるようになっている。

 キリスト教ナショナリストの組織

 Project Blitz

 ・2016年に結成されたこの組織は、宗教を公的生活に注入し、LGBTQ+の平等を攻撃し、公教育を弱体化させ、妊娠中絶の権利を縮小し、宗教的自由の名の下にこれらの目標を推進している。

 これらの動きは、アメリカの世俗的民主主義に対する重大な脅威と見なされ、多くの市民権団体や人権団体がこれに対抗して活動を続けている。

【要点】

 1.国全体の動向

 ・National Prayer in School Act

  .フロリダ州のマット・ゲーツ議員が提案。
  .学校での祈りを許可し、教会と国家の分離に挑戦するもの。
  .現在は下院司法委員会に審議中。

 2.州レベルの立法

  .祈りの復活: 学校での「任意の」祈りの復活。
  .「In God We Trust」の掲示: 多くの州で教室に標語を掲示することを許可または義務化。
  .チャプレンのカウンセリング: 無資格のチャプレンによる生徒のカウンセリングを許可。
  .宗教教育のための授業時間の確保: 授業時間中に宗教教育を受けるための時間を確保する法律の成立。

 3.オクラホマ州のケース

 ・カトリックチャータースクール: 公的資金を使った宗教的なチャータースクール開設の試みが州最高裁判所で阻止。
 ・法的争点: 納税者のお金を宗教教育に使うことの合法性が争点。

 4.最高裁判所の判決

 ・Santa Fe Independent School District v. Doe(2000): 学生主導の任意の祈りを学校敷地内で認める。
 ・Trinity Lutheran v. Comer((2017): 宗教団体が運営する幼稚園への公的資金の提供を認める。
 ・Espinoza v. Montana (2020) および Carson v. Makin (2022): 公的資金を利用して私立宗教学校に通うことを認める。
 ・Kennedy v. Bremerton(022): 高校のフットボールコーチが試合後に生徒の前で祈る権利を認める。

 5.バウチャー制度

 ・公的資金の私立学校への流出: バウチャー制度により、公立学校の資金が私立宗教学校に移転。
 ・普遍的な権利としての拡大: 多くの州でバウチャー制度が拡大され、あらゆる所得層の家庭が利用可能。

 6.キリスト教ナショナリストの組織

 ・Project Blitz

  .2016年結成。
  .宗教を公的生活に注入し、LGBTQ+の平等を攻撃し、公教育を弱体化させることを目指す。
  .宗教的自由の名の下にこれらの目標を推進。

 7.市民権団体の対抗

 ・活動内容: 教会と国家の分離を維持するための法的闘争と啓発活動を展開。

【引用・参照・底本】

Christian Nationalists Accelerate Their Plan to Dismantle Public Education truthout 2024.06.30
https://truthout.org/articles/christian-nationalists-accelerate-their-plan-to-dismantle-public-education/?utm_source=feedotter&utm_medium=email&utm_campaign=FO-06-30-2024&utm_content=httpstruthoutorgarticleschristiannationalistsacceleratetheirplantodismantlepubliceducation&utm_source=Truthout&utm_campaign=7b62196edf-EMAIL_CAMPAIGN_2024_06_30_07_13&utm_medium=email&utm_term=0_bbb541a1db-7b62196edf-%5BLIST_EMAIL_ID%5D

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