Nippon SteelがアメリカのUS Steelを買収2024年09月18日 16:34

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【概要】

 日本のNippon SteelがアメリカのUS Steelを買収しようとしていることに対して、アメリカの主要な政治家たちが反対している状況を説明している。特にジョー・バイデン、カマラ・ハリス、ドナルド・トランプ、J.D.ヴァンスなどが、この取引がアメリカの産業や安全保障に悪影響を与える可能性があると主張していることが強調されている。彼らは選挙戦において、アメリカ国内の支持を集めるために強い反対意見を表明している。

 しかし、このようなアメリカ側のナショナリスティックな発言は、日本の信頼を損なっていると日本側は見ている。日本の石破茂元防衛大臣や河野太郎デジタル担当大臣は、アメリカの発言や行動が同盟国に不安をもたらしていると懸念を示している。

 さらに、記事では、日本の自民党総裁選挙の主要候補者として石破茂や河野太郎などが挙げられ、彼らが日米同盟の重要性を強調しながらも、日本の防衛能力を強化し、アジア太平洋地域での自立した安全保障体制の構築が必要だと主張していることが紹介されている。

 また、日本国内では憲法第9条の改正に対する支持が増加しており、多くの国民が防衛力の現実的な役割を認識し始めている。記事は、日本がより自主的な国防体制を確立し、国際的な脅威に対処するために動いている状況を詳述している。

【詳細】

 日本のNippon Steelによる米国US Steelの買収提案が、米国の政治家たちの反発を招き、日本と米国の関係に影響を与えている状況を詳細に解説している。米国では2024年の選挙を控え、ジョー・バイデン大統領、カマラ・ハリス副大統領、ドナルド・トランプ元大統領、J.D.ヴァンス上院議員などが、日本企業による米国の主要企業買収に対して強い反対を表明している。

 米国政治家の発言

 バイデン大統領やハリス副大統領は、US Steelが「歴史的な米国企業」であり、米国の労働者によって運営され続けるべきだと強調している。彼らは、アメリカの製鉄業界が国内に所有され、管理されることが国家の利益にかなうと主張している。トランプ元大統領はさらに強硬な姿勢を見せ、「日本がUS Steelを買収することを即座に阻止する」と述べている。J.D.ヴァンス上院議員も、米国の防衛産業基盤が「外国に売り渡される」と批判している。

 さらに、米国上院銀行委員会の委員長であるシェロッド・ブラウンは、日本企業の中国政府との関係を疑問視し、この買収が米国の国家安全保障や経済にリスクをもたらす可能性があると懸念を示している。

 日本側の反応

 米国の政治家たちの反発に対して、日本側では失望が広がっている。元防衛大臣である石破茂は、米国の発言が同盟国である日本との信頼を損なう可能性があると懸念している。彼は、最近の米国が同盟国に対して取引や脅威を押し付ける傾向が強まっていると指摘し、公正な対応が求められると主張している。また、河野太郎デジタル担当大臣は、米国が市場経済の原則を守ると信じてきたが、この買収に経済的または安全保障上の脅威はないと述べている。

 日米同盟と日本の防衛政策

 記事はさらに、日米同盟に対する日本の政治家の見解や、日本の今後の防衛政策についても触れている。河野は、米国の政治が不安定な状態になるとき、日本は「重層的な防衛」へのさらなる保証が必要だと述べている。これは、アジア太平洋地域やヨーロッパの他の同盟国との協力、財政的に強化された国内の防衛産業、そして長距離ミサイルや無人機、原子力潜水艦の導入を含むものである。

 石破は、日米同盟の重要性を認めつつも、日本がすべての米国の要求に応える必要はないと強調し、自国の防衛力を増強する必要があるとしている。また、彼はウクライナの状況に触れ、「今日のウクライナは明日の東アジアになるかもしれない」と警鐘を鳴らし、中国の侵略に対する抑止力を強化することが急務だと述べている。

 自民党総裁選と防衛政策

 石破茂や河野太郎を含む9人の自民党総裁選候補者が、防衛政策や憲法改正を巡る議論を展開している。特に、石破や河野、さらには高市早苗経済安全保障担当相などが、安全保障の観点から日米同盟の強化と同時に、アジア太平洋地域における日本の自立した防衛力の確立を目指している。

 高市早苗は、中国が日本の尖閣諸島付近に設置したブイの撤去や、「自由で開かれたインド太平洋」の推進、さらには日本への核兵器持ち込みの議論を支持しており、他の候補者に比べて最も強硬な姿勢をとっている。彼女は首相に選ばれた場合、靖国神社を訪問することも約束しており、これは中国や韓国との外交的な摩擦を引き起こす可能性がある。

 憲法第9条と防衛力強化の議論

 この記事はまた、日本の憲法第9条、特に「戦争放棄」を謳った第2項に対する世論の変化についても詳述している。日本国民の間で防衛力の強化を支持する声が増えており、5月に実施された読売新聞の調査によると、53%の人々が第9条第2項の改正を支持しており、これは過去最高の数字である。

 一方で、75%の人々は憲法第9条の第1項、つまり戦争放棄そのものには賛成しており、日本国民は国際関係の現実を直視しつつも、決して「戦争支持」には向かっていないことがわかる。

 結論

 総じて、この記事は、米国の選挙期間中におけるナショナリズム的な言説が、日本との信頼関係に亀裂をもたらしていること、そして日本国内で防衛力強化や憲法改正の議論が進んでいることを描いている。特に日米同盟の未来に対する日本の政治家たちの見解が多様であり、日本がより自立した防衛政策を模索している現状を示している。
 
【要点】

 ・日本のNippon SteelによるUS Steelの買収提案に対し、米国の政治家(バイデン、ハリス、トランプ、J.D.ヴァンス)が強く反発。
 ・バイデンとハリスは、US Steelが米国内で運営されるべきと主張。
 ・トランプは即座に買収を阻止すると表明。
 ・J.D.ヴァンスは、米国の防衛産業基盤が「外国に売られた」と批判。
 ・米上院銀行委員長のシェロッド・ブラウンは、日本企業の中国政府との関係を懸念。
 ・日本の石破茂元防衛大臣は、米国の発言が日本との信頼関係を損なうと指摘。
 ・河野太郎デジタル担当大臣は、買収に経済的・安全保障上の脅威はないと述べる。
 ・日本では日米同盟の重要性が強調される一方、防衛政策において自立を求める声が高まる。
 ・石破は、中国の脅威に対する抑止力強化を提唱し、ウクライナ情勢を東アジアに当てはめた警告を発する。
 ・自民党総裁選候補者は、防衛力強化や憲法改正について議論。高市早苗は最も強硬な防衛政策を主張。
 ・憲法第9条の改正を支持する日本国民が増加しており、防衛力強化の世論が高まっている。
 ・米国の政治的発言が日米関係に悪影響を与え、日本は自国の防衛力を強化しようとしている。

【引用・参照・底本】

Japan’s faith in US eroded by impolitic election rhetoric ASIA TIMES 2024.09.16
https://asiatimes.com/2024/09/japans-faith-in-us-eroded-by-impolitic-election-rhetoric/

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