国内総生産(GDP)、マイナス成長2024年02月15日 22:20

国立国会図書館デジタルコレクション「当盛十花撰 牡丹」を加工して作成
 2023年10月から12月までの国内総生産(GDP)は、前期比0.1%減、年率換算で0.4%減となり、2期連続でマイナス成長となりった。この期間、個人消費や設備投資が低迷し、内需全体が落ち込んでいる。

 個人消費は特に0.2%減少し、3期連続のマイナス成長となった。衣料品の売上が伸び悩み、新型コロナウイルスの影響もあり、外食産業も減少した。また、物価の上昇も消費に影響を与え、アルコール飲料や野菜、ガソリンなどの需要が減少した。

 設備投資も0.1%減少し、3期連続でマイナス成長となった。航空機用の発動機部品や通信ネットワークなどに使われるデジタル伝送装置の需要が低迷した。企業の設備投資意欲は高いものの、人手不足や供給面での制約が響いたとされている。

 一方で、輸出は2.6%増加し、3期連続でプラス成長となった。特にサービスの輸出が大幅に伸び、大手製薬会社の新型抗がん剤の開発による知的財産関連の使用料が増加したことが影響している。また、インバウンド(訪日外国人)の日本国内での消費も増加し、輸出を支えた。

 一方で輸入は1.7%増加し、2期連続でプラス成長となった。これは原油や液化天然ガス(LNG)などの鉱物性燃料の輸入が増加したことによるものである。

 名目GDPは前期比0.3%増、年率換算で1.2%増となり、2期ぶりのプラス成長となった。しかし、国内の総合的な物価動向を示すGDPデフレーター(註1)は前年同期比で3.8%上昇し、5期連続でプラスとなった。

 総じて、内需の低迷が続く中、輸出が一定の成長を示しているものの、経済全体の回復は緩やかなものとなっている。

【視点】

2023年10〜12月期GDP速報値:2期連続マイナス、内需の弱さが顕著

内閣府が発表した2023年10〜12月期の国内総生産(GDP)速報値は、前期比0.1%減、年率換算で0.4%減となった。これは2四半期連続のマイナス成長であり、民間予測の中心値(年率1.0%増)を大きく下回った。

内需の弱さが顕著で、個人消費は3四半期連続、設備投資は3四半期連続でマイナスとなった。

個人消費は暖冬の影響で衣料品が振るわず、新型コロナウイルス禍からの回復が一服したことや物価高の影響で外食も落ち込んた。

設備投資は、人手不足による工場建設の遅れなど供給面での制約に加え、世界的な半導体市場の低迷の影響を受けた。

一方、輸出は3四半期連続のプラスとなり、特にサービス輸出が大きく伸びた。これは、大手製薬会社が新型抗がん剤の開発で提携した米国企業から知的財産関連の使用料を受け取った一時的な要因が大きいと考えられる。

名目GDPは前期比0.3%増、年率換算で1.2%増と2四半期ぶりのプラスとなり、GDPデフレーターは前年同期比で3.8%上昇し、5四半期連続のプラスとなった。

2023年暦年の実質GDPは前年比1.9%増、名目は5.7%増でともに3年連続のプラスとなっが、2024年に入っても景気回復の勢いは鈍化しているようである。

今後の景気回復には、個人消費の回復が鍵となる。そのためには、物価高対策や賃金上昇などが重要となる。また、設備投資の回復には、人手不足の解消やサプライチェーンの混乱の収束などが求めらる。

政府は、2023年度第2次補正予算を編成するなど、景気対策を講じているが、その効果がどこまで現れるかが注目される。

・2024年2月15日、内閣府は2023年10〜12月期の国内総生産(GDP)速報値を発表した。物価変動の影響を除いた実質の季節調整値は前期比0.1%減、年率換算で0.4%減となり、2四半期連続のマイナス成長となった。これは、民間予測の中心値(年率1.0%増)を大きく下回る結果である。

・今回のGDP減少は、内需の弱さが主な原因である。

個人消費:前期比0.2%減、3四半期連続のマイナス
暖冬の影響による衣料品不振、コロナ収束一服による外食減少、物価高による嗜好品・日用品消費減
設備投資:前期比0.1%減、3四半期連続のマイナス
人手不足による工場建設遅延、半導体市場低迷による半導体製造装置減少
民間住宅:前期比1.0%減、2四半期連続のマイナス
住宅資材・人件費高騰による着工・出来高減少
公共投資:前期比0.7%減、2四半期連続のマイナス
22年度補正予算効果一巡
政府最終消費支出:0.1%減、2四半期ぶりのマイナス
医療費減少
輸出は増加

・一方、輸出は前期比2.6%増、3四半期連続のプラスとなり、全体を押し上げた。特に、サービス輸出が前期比11.3%伸び、全体を押し上げた。これは、大手製薬会社が新型抗がん剤開発で提携した米国企業から知的財産関連の使用料を受け取った一時的な要因が大きいと考えられる。

・名目GDPは2四半期ぶりのプラス

名目GDPは前期比0.3%増、年率換算で1.2%増と2四半期ぶりのプラスとなった。これは、国内の総合的な物価動向を示すGDPデフレーターが前年同期比で3.8%上昇しているためである。

・23年暦年GDPは3年連続プラス

2023年の実質GDPは前年比1.9%増、名目は5.7%増でともに3年連続のプラスとなった。暦年ではコロナ禍からの経済回復が緩やかに進んでいると言える。

・今後の見通し

2024年1-3月期のGDPは、欧米経済の減速や物価高の影響を受け、さらにマイナス成長となる可能性がある。しかし、政府は景気対策を講じており、下半期以降は徐々に回復に向かうと見込まれている。

・内閣府が15日に発表した2023年10-12月期のGDP速報値は、前期比0.1%減、年率換算で0.4%減と2期連続のマイナス成長となった。 民間予測の中心値(年率1.0%増)を大きく下回り、内需の弱さが顕著となった。

・主な要因は以下の通り。

個人消費: 前期比0.2%減、3四半期連続のマイナス。暖冬による衣料品販売の低迷、物価高による節約志向の高まり、外食の落ち込みなどが影響。
設備投資: 前期比0.1%減、3四半期連続のマイナス。人手不足による工場建設の遅れ、半導体製造装置や省力化ソフトウエア投資を除くと低迷。
民間住宅: 前期比1.0%減、2四半期連続のマイナス。住宅資材の高騰や人件費上昇による建設・建築活動の低迷。
公共投資: 前期比0.7%減、2四半期連続のマイナス。22年度補正予算による押し上げ効果が終了。
一方、輸出は前期比2.6%増、3四半期連続のプラスとなった。 特にサービス輸出が前期比11.3%伸び、全体を押し上げました。これは大手製薬会社が新型抗がん剤の開発で提携した米国企業から知的財産関連の使用料を受け取った一時的な要因が大きいと考えられる。

・名目GDPは前期比0.3%増、年率換算で1.2%増と2四半期ぶりのプラスとなった。 これは国内の総合的な物価動向を示すGDPデフレーターが前年同期比で3.8%上昇していることを反映している。

・2023年の実質GDPは前年比1.9%増、名目は5.7%増でともに3年連続のプラスとなった。 暦年ではコロナ禍からの経済回復が緩やかに進んでいるものの、足元の景気は減速傾向にある。今後の経済動向に注意が必要である。

・今後、景気回復に向けた課題としては、以下の点が挙げられる。

物価高への対応: 欧米の中央銀行による金融引き締めの影響で、物価上昇がさらに加速する可能性があります。政府は物価高対策を継続する必要がある。
内需の回復: 個人消費や設備投資の低迷が続いているため、内需の回復に向けた政策が必要である。
国際経済情勢: ウクライナ情勢や米中貿易摩擦などの国際経済情勢は、日本の経済にも大きな影響を与える。

(註1)
GDPデフレーターは、国内総生産(GDP)を通じて測定される一般的な物価水準の指標である。具体的には、名目GDPと実質GDPの比率を通じて計算される。

名目GDPは、現行の価格水準で測定された国内総生産の総額を示す。一方、実質GDPは、物価変動を考慮に入れ、基準年の価格水準で測定された国内総生産の総額である。

GDPデフレーターは、以下のように計算される。

GDPデフレーター=(名目GDP/実質GDP)×100

この指標は、物価水準の変動を考慮に入れた経済の成長率や景気の動向を正確に把握するために使用される。GDPデフレーターが上昇すると、物価水準が上昇していることを示し、インフレーションが進行していることを示唆す。一方、GDPデフレーターが下降すると、デフレーションが進行していることを示し、物価水準が下がっていることを示唆する。

(註はブログ作成者が参考の為に付記した。)

引用・参照・底本

GDP年率0.4%減で2期連続マイナス 10〜12月、消費不振 日本経済新聞 2024.02.15

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