中国:緊急救援艦隊に2機の多用途消防機 ― 2024年08月28日 15:34
【概要】
中国は、緊急救援艦隊に2機の多用途消防機を新たに追加した。この新型機は、AVIC(中国航空工業集団)が製造した固定翼のMA60型で、災害対応能力を向上させるために導入された。
これらの航空機は、6トンの水を運搬することができ、28名の消防士や3.7トンの貨物も輸送可能である。さらに、水滴投下、火災監視、通信指揮、輸送などの複数の任務に使用できると、緊急管理部は発表している。
MA60型航空機は、ソビエト時代のAn-24をベースにしたXian Y7-200Aを改良したもので、過酷な条件下でも運用可能であり、短距離離着陸が可能である。AVICによれば、この新型機は3年をかけて開発され、中国国内で開発された火災観測システムと消火剤精密投下システムが装備されている。
また、AVICが開発中の大型水陸両用機AG600 Kunlongも、今年中に認証される予定で、2025年から納入が開始される見込みである。この機体は、20秒で最大12トンの水を収集でき、火災鎮圧や海上での救助活動に使用される予定である。
今年上半期、中国では204件の森林火災が記録されたが、これは過去最低の数であった。しかし、北部、東北部、南西部では依然として火災のリスクが高いとされている。
【詳細】
中国は緊急対応能力の向上を目指し、2機の新型多用途消防機を緊急管理部の艦隊に加えた。この新しい航空機は、AVIC(中国航空工業集団)によって製造された大型固定翼機で、Xian MA60をベースにした「新舟60(Xinzhou 60)」というモデルである。これらは中国で初めての大型固定翼の消防機であり、様々な災害対応任務に使用されることが期待されている。
機体の能力と設計
新舟60は、1度に最大6トンの水を搭載して空中からの消火活動を行えるほか、28名の消防士を輸送することや3.7トンの貨物を運ぶことができる。この航空機は、水の投下、火災の監視、通信指揮、輸送など、複数の任務に適した設計がされている。特に、遠隔地での災害対応において、その長距離飛行能力が強みとされている。
機体は中国独自の空力設計が施されており、消火用の水投下に用いる加圧タンクの設計も中国国内で開発されている。火災状況を観察するシステムや、消火剤を精密に投下するシステムも装備しており、これらのシステムは全て中国国内で開発されたものである。
開発の背景と技術的進展
この新型機の開発には3年が費やされた。新舟60は、ソビエト時代のAntonov An-24を基にしたXian Y7-200Aを改良した機体で、厳しい地形や限定的な地上支援しかない状況でも運用できるように設計されている。また、短距離離着陸能力も備えており、迅速な災害対応が可能である。
今後の展望と他の開発プロジェクト
AVICは、さらに大型の消防機であるAG600 Kunlongの開発も進めており、この機体は現在、民間航空局による耐空証明のテスト飛行を開始している。AG600は、水陸両用の大型機で、20秒以内に最大12トンの水を集めることができるため、広範囲の森林火災に対して迅速な消火活動が可能である。また、この機体は、海上での捜索救助活動にも使用され、最大50名の人々を救助できるとされている。AG600は2025年からの納入が予定されている。
中国の森林火災状況
中国国内の森林火災に関しては、今年の上半期に204件が記録されたが、これは過去最低の件数である。しかし、特に北部、東北部、南西部の地域では依然として火災リスクが高い状況にある。具体的には、今年の4月と5月に内モンゴル地域で3件の草原火災が発生しており、これが上半期に報告された全ての草原火災となっている。
さらに、4月には貴州省南西部で発生した森林火災に関連して、過失により火災を引き起こした5名が最大18ヶ月の懲役刑を言い渡されるなど、火災予防と対策が強化されている。
これらの新型機導入や開発プロジェクトは、中国が今後も自然災害への対応能力を強化し、国内外の災害救助活動において更なる役割を果たすことを目指していることを示している。
【要点】
1.新型消防機の導入: 中国は、緊急管理部の艦隊に新たに2機の多用途消防機「新舟60(Xinzhou 60)」を追加。これらは中国初の大型固定翼消防機で、AVIC(中国航空工業集団)によって製造。
2.機体の能力
・最大6トンの水を搭載して消火活動を実施。
・28名の消防士や3.7トンの貨物を輸送可能。
・水の投下、火災の監視、通信指揮、輸送など多用途に対応。
3.技術的特長
・中国独自の空力設計と消火用加圧タンクを装備。
・火災観測システムと精密消火剤投下システムも中国で開発。
4.開発背景
・開発に3年を要し、ソビエト時代のAn-24をベースにしたXian Y7-200Aの改良型。
5.今後の展望
・AVICが開発中の大型水陸両用機「AG600 Kunlong」も耐空証明テスト飛行中。2025年から納入予定。
・AG600は、20秒で最大12トンの水を集め、最大50名の救助が可能。
6.森林火災状況
・今年上半期に204件の森林火災を記録、過去最低の件数。
・北部、東北部、南西部で火災リスクが依然高い。
・4月と5月に内モンゴル地域で3件の草原火災が発生。
・貴州省では、火災を引き起こした5名が懲役刑を受ける。
・総括: これらの新型機の導入は、中国が災害対応能力を強化し、国内外での救助活動をより効果的に実施することを目指していることを示す。
【引用・参照・底本】
China adds 2 new multi-use firefighting planes to emergency fleet scmp 2024.08.27
https://www.scmp.com/news/china/science/article/3276076/china-adds-2-new-multi-use-firefighting-planes-emergency-fleet?utm_medium=email&utm_source=cm&utm_campaign=enlz-china&utm_content=20240827&tpcc=enlz-china&UUID=5147fda4-c483-4061-b936-ccd0eb7929aa&next_article_id=3276088&article_id_list=3276076,3276088,3276072,3275990,3276031,3275890,3276025,3276015&tc=5
中国は、緊急救援艦隊に2機の多用途消防機を新たに追加した。この新型機は、AVIC(中国航空工業集団)が製造した固定翼のMA60型で、災害対応能力を向上させるために導入された。
これらの航空機は、6トンの水を運搬することができ、28名の消防士や3.7トンの貨物も輸送可能である。さらに、水滴投下、火災監視、通信指揮、輸送などの複数の任務に使用できると、緊急管理部は発表している。
MA60型航空機は、ソビエト時代のAn-24をベースにしたXian Y7-200Aを改良したもので、過酷な条件下でも運用可能であり、短距離離着陸が可能である。AVICによれば、この新型機は3年をかけて開発され、中国国内で開発された火災観測システムと消火剤精密投下システムが装備されている。
また、AVICが開発中の大型水陸両用機AG600 Kunlongも、今年中に認証される予定で、2025年から納入が開始される見込みである。この機体は、20秒で最大12トンの水を収集でき、火災鎮圧や海上での救助活動に使用される予定である。
今年上半期、中国では204件の森林火災が記録されたが、これは過去最低の数であった。しかし、北部、東北部、南西部では依然として火災のリスクが高いとされている。
【詳細】
中国は緊急対応能力の向上を目指し、2機の新型多用途消防機を緊急管理部の艦隊に加えた。この新しい航空機は、AVIC(中国航空工業集団)によって製造された大型固定翼機で、Xian MA60をベースにした「新舟60(Xinzhou 60)」というモデルである。これらは中国で初めての大型固定翼の消防機であり、様々な災害対応任務に使用されることが期待されている。
機体の能力と設計
新舟60は、1度に最大6トンの水を搭載して空中からの消火活動を行えるほか、28名の消防士を輸送することや3.7トンの貨物を運ぶことができる。この航空機は、水の投下、火災の監視、通信指揮、輸送など、複数の任務に適した設計がされている。特に、遠隔地での災害対応において、その長距離飛行能力が強みとされている。
機体は中国独自の空力設計が施されており、消火用の水投下に用いる加圧タンクの設計も中国国内で開発されている。火災状況を観察するシステムや、消火剤を精密に投下するシステムも装備しており、これらのシステムは全て中国国内で開発されたものである。
開発の背景と技術的進展
この新型機の開発には3年が費やされた。新舟60は、ソビエト時代のAntonov An-24を基にしたXian Y7-200Aを改良した機体で、厳しい地形や限定的な地上支援しかない状況でも運用できるように設計されている。また、短距離離着陸能力も備えており、迅速な災害対応が可能である。
今後の展望と他の開発プロジェクト
AVICは、さらに大型の消防機であるAG600 Kunlongの開発も進めており、この機体は現在、民間航空局による耐空証明のテスト飛行を開始している。AG600は、水陸両用の大型機で、20秒以内に最大12トンの水を集めることができるため、広範囲の森林火災に対して迅速な消火活動が可能である。また、この機体は、海上での捜索救助活動にも使用され、最大50名の人々を救助できるとされている。AG600は2025年からの納入が予定されている。
中国の森林火災状況
中国国内の森林火災に関しては、今年の上半期に204件が記録されたが、これは過去最低の件数である。しかし、特に北部、東北部、南西部の地域では依然として火災リスクが高い状況にある。具体的には、今年の4月と5月に内モンゴル地域で3件の草原火災が発生しており、これが上半期に報告された全ての草原火災となっている。
さらに、4月には貴州省南西部で発生した森林火災に関連して、過失により火災を引き起こした5名が最大18ヶ月の懲役刑を言い渡されるなど、火災予防と対策が強化されている。
これらの新型機導入や開発プロジェクトは、中国が今後も自然災害への対応能力を強化し、国内外の災害救助活動において更なる役割を果たすことを目指していることを示している。
【要点】
1.新型消防機の導入: 中国は、緊急管理部の艦隊に新たに2機の多用途消防機「新舟60(Xinzhou 60)」を追加。これらは中国初の大型固定翼消防機で、AVIC(中国航空工業集団)によって製造。
2.機体の能力
・最大6トンの水を搭載して消火活動を実施。
・28名の消防士や3.7トンの貨物を輸送可能。
・水の投下、火災の監視、通信指揮、輸送など多用途に対応。
3.技術的特長
・中国独自の空力設計と消火用加圧タンクを装備。
・火災観測システムと精密消火剤投下システムも中国で開発。
4.開発背景
・開発に3年を要し、ソビエト時代のAn-24をベースにしたXian Y7-200Aの改良型。
5.今後の展望
・AVICが開発中の大型水陸両用機「AG600 Kunlong」も耐空証明テスト飛行中。2025年から納入予定。
・AG600は、20秒で最大12トンの水を集め、最大50名の救助が可能。
6.森林火災状況
・今年上半期に204件の森林火災を記録、過去最低の件数。
・北部、東北部、南西部で火災リスクが依然高い。
・4月と5月に内モンゴル地域で3件の草原火災が発生。
・貴州省では、火災を引き起こした5名が懲役刑を受ける。
・総括: これらの新型機の導入は、中国が災害対応能力を強化し、国内外での救助活動をより効果的に実施することを目指していることを示す。
【引用・参照・底本】
China adds 2 new multi-use firefighting planes to emergency fleet scmp 2024.08.27
https://www.scmp.com/news/china/science/article/3276076/china-adds-2-new-multi-use-firefighting-planes-emergency-fleet?utm_medium=email&utm_source=cm&utm_campaign=enlz-china&utm_content=20240827&tpcc=enlz-china&UUID=5147fda4-c483-4061-b936-ccd0eb7929aa&next_article_id=3276088&article_id_list=3276076,3276088,3276072,3275990,3276031,3275890,3276025,3276015&tc=5