ウクライナ:長距離兵器「パリアニツィア」→火遊びになる2024年08月28日 15:59

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【概要】

 ウクライナが新たに発表した長距離兵器「パリアニツィア」について述べている。この兵器は、その技術的な効果よりも、アメリカの制限を緩和させるための心理的な手段としての役割が大きいとしている。ウクライナの指導者たちは、この兵器を使用してロシア国内深くを攻撃するための制限をアメリカに解除させることを狙っているようである。

 ウクライナがこの兵器を完全に独自で開発したと主張しているが、実際にはNATO諸国の技術者が関与している可能性があるとも指摘している。さらに、ウクライナがこの兵器の使用によってロシアが「過剰反応」しなかったと見せかけることで、アメリカがより強力な兵器の使用を許可するように促す意図があるとも述べている。

 しかし、このような主張は、ウクライナが自力で兵器を開発できるなら、なぜさらなるアメリカの支援が必要なのかという疑問を引き起こし、また、ウクライナが戦争に勝利しているならば、なぜ制限の解除が緊急なのかという矛盾も生じさせている。

 最終的に、「パリアニツィア」が心理的な武器としての役割を果たす一方で、それが実際の軍事的な状況を大きく変えることはないだろうと結論付けている。

【詳細】
 
 ウクライナが発表した新しい長距離兵器「パリアニツィア」の戦略的意図とその影響について詳しく説明している。以下に、記事の内容をさらに詳しく解説する。

 「パリアニツィア」の目的

 1.心理的な武器としての役割

 ・目的: 「パリアニツィア」は、実際の戦術的な利点よりも、心理的な効果を狙った兵器とされている。ウクライナはこの兵器を使って、アメリカに対してATACMS(長距離弾道ミサイル)の使用制限を解除させることを目的としている。具体的には、アメリカに対してウクライナが深くロシア国内を攻撃するための制限を緩和するように圧力をかけることが意図されている。

 2.メディアの反応と戦略

 ・メディアの報道: 記事によれば、メディアは「パリアニツィア」が西側の制限を突破するための重要な兵器であると報じている。この報道は、ウクライナが自国の兵器を用いて西側の兵器の使用制限を緩和させる狙いを持っていると示唆している。

 3.西側諸国の関与

 ・技術的支援の可能性: ウクライナはこの兵器を完全に独自に開発したと主張しているが、記事はNATO諸国の技術者が関与している可能性があると指摘している。これは、技術的支援が行われたが、それが公に認められていない可能性を示唆している。

 ロシアと西側諸国の反応

 1.ロシアの反応

 ・批判的な見解: ロシアの外交官であるラブロフ氏は、ウクライナが西側諸国を「脅迫している」と批判し、もし制限が解除されれば「火遊びになる」と警告している。これにより、ロシアはウクライナの兵器使用拡大を警戒し、対抗措置を取る可能性がある。

 2.西側諸国の立場

 ・制限の維持: アメリカはウクライナに対して、ロシア深部への攻撃を許可していない。この遅れは、ロシアとのエスカレーションをコントロールし、最適な支援を行うための戦略的な判断とされている。アメリカは、兵器を直ちに提供しても大きな変化がなければ次に備える必要があると考えている。

 ウクライナの戦略と国際的な影響

 1.援助の必要性と疑問

 援助の必要性: ウクライナが「パリアニツィア」を独自に開発したとするならば、なぜさらにアメリカの支援が必要なのかという疑問が生じると指摘している。また、ウクライナが戦争に勝利しているならば、制限解除の必要性が低いのではないかとも問いかけている。

 2.戦略的な影響

 軍事的な状況: ウクライナが「パリアニツィア」を使用しても、ロシアの戦術的な勝利には大きな変化をもたらさないとしている。ロシアはドンバス地域で地道に領土を拡大しており、ポクロフスクの占領が今後の勝利を導く可能性があると述べている。

 全体として、「パリアニツィア」が戦略的には限定的な効果しか持たない可能性があり、その真の狙いはアメリカに対する政治的な圧力であると分析している。

【要点】

 1.「パリアニツィア」の目的

 ・心理的な効果: この兵器は、アメリカに対してATACMSの使用制限を解除させるための心理的な手段として使用される。
 ・制限解除の圧力: ウクライナはこの兵器を使い、ロシア国内深くを攻撃するための制限を緩和させるようアメリカに圧力をかけることを狙っている。

 2.メディアの反応と戦略

 ・メディア報道: メディアは「パリアニツィア」が西側の制限を突破するための重要な兵器であると報じている。
 ・ウクライナの意図: ウクライナはこの兵器の使用によって、アメリカがより強力な兵器の使用を許可するように促す意図がある。

 3.西側諸国の関与

 ・技術的支援の可能性: ウクライナが完全に独自に開発したと主張する一方で、NATO諸国の技術者が関与している可能性も指摘されている。

 4.ロシアと西側諸国の反応

 ・ロシアの批判: ロシアの外交官ラブロフ氏は、ウクライナの兵器使用拡大を「脅迫」と批判し、制限解除が「火遊び」と警告している。
 ・アメリカの立場: アメリカはウクライナに対してロシア深部への攻撃を許可しておらず、エスカレーションをコントロールするために慎重に対応している。

 5.ウクライナの戦略と国際的な影響

 ・援助の必要性: ウクライナが独自に兵器を開発できるならば、さらにアメリカの支援が必要なのかという疑問が生じる。
 ・戦略的影響: 「パリアニツィア」の使用が戦術的に大きな変化をもたらす可能性は低いとされ、ロシアの進展に対する影響も限られていると分析されている。

【引用・参照・底本】

Ukraine’s New Long-Range Weapon Won’t Be The Wunderwaffe That Some Imagine
Andrew Korybko's Newsletter 2024.08.28
https://korybko.substack.com/p/ukraines-new-long-range-weapon-wont?utm_source=post-email-title&publication_id=835783&post_id=148214005&utm_campaign=email-post-title&isFreemail=true&r=2gkj&triedRedirect=true&utm_medium=email

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