ショルツを「史上最も不人気な首相」2024年12月18日 18:31

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【概要】

 2024年12月16日、ドイツのオラフ・ショルツ首相は議会(連邦議会)での信任投票に敗北し、来年2月23日に予定されている早期総選挙への道を開いた。この結果は、11月にショルツ政権が予算問題をめぐる対立で崩壊したことから予想されていたものである。

 信任投票では、394票がショルツ不信任に投じられ、賛成票は207票、棄権は116票であった。

 ショルツ首相は、自身の所属する社会民主党(SPD)を率いて来年2月の総選挙に臨む予定である。結果発表時、ショルツは微笑みながら副首相ロベルト・ハーベックと握手を交わしたと報じられている。

 ショルツは2021年12月以来、緑の党および自由民主党(FDP)とともに「信号機連立」と呼ばれる政権を率いていた。しかし、経済政策や財政政策をめぐる意見の相違から、ショルツが財務相のクリスティアン・リントナーを解任したことで、先月連立は崩壊した。これを受けて、ショルツは早期総選挙の実施に向けた手続きとして信任投票を呼びかけた。これにより、2025年秋に予定されていた選挙が前倒しとなった。ショルツは連邦大統領フランク=ヴァルター・シュタインマイヤーに議会解散を要請し、新たな総選挙を実施する見通しである。選挙日はすでに2025年2月23日に決定されている。

 SPDと緑の党は、少数与党として政権を維持しているが、法案を成立させるための議会の過半数を持たない状況である。

 主要な政敵であるキリスト教民主同盟(CDU)の党首で、次期首相候補であるフリードリヒ・メルツはこの結果を歓迎し、ショルツを「弱い指導者」であると非難した。メルツは「あなたが欧州連合で示した行動は恥ずべきものである」と述べたと伝えられている。

 ショルツの人気は低下しており、多くのドイツ国民が彼の首相としての業績に不満を示しているという世論調査結果が報じられている。一部のメディアはショルツを「史上最も不人気な首相」と評している。

 経済面では、ドイツは過去2年間で経済が縮小しており、中央銀行は2025年の成長予測を従来の1.1%から0.2%に引き下げた。また、2024年の経済成長率も0.2%の縮小が予測されており、これにより2年連続の経済縮小となる。2023年にはGDPが0.3%縮小しており、その原因として持続的なインフレ、高いエネルギー価格、外国需要の弱さが挙げられている。

 過去のドイツ首相や政党は信任投票を選挙での立場を強化するために利用した例がある。最新の世論調査では、CDU/CSUが32%、ドイツのための選択肢(AfD)が18%、SPDが16%、緑の党が14%の支持を得ているとされている。

【詳細】
 
 2024年12月16日、ドイツのオラフ・ショルツ首相は連邦議会で信任投票に敗れた。この信任投票はショルツ首相自らが求めたものであり、早期総選挙への手続きを進める目的があった。信任投票の結果、394票が不信任に投じられ、賛成票は207票、棄権票が116票であった。この結果により、ドイツ連邦議会は解散される見通しとなり、2024年2月23日に総選挙が実施されることが決定した。

 背景

 ショルツ首相は2021年12月に首相に就任し、社会民主党(SPD)、緑の党(Bündnis 90/Die Grünen)、自由民主党(FDP)による「信号機連立(Ampelkoalition)」を率いてきた。しかし、2024年11月に連立内の深刻な対立が表面化した。主要な問題は財政政策と経済政策に関するものであり、ショルツ首相はFDP出身の財務相クリスティアン・リントナーを解任した。この解任を契機に、FDPは連立を離脱し、政権は機能不全に陥った。

 連立崩壊後、SPDと緑の党は少数与党として政権を維持していたが、議会の過半数を失ったため法案の成立が困難になった。この状況を受けて、ショルツ首相は信任投票を実施することで早期総選挙に道を開く決断を下した。

 今後の見通し
 
 信任投票に敗れたショルツ首相は、連邦大統領フランク=ヴァルター・シュタインマイヤーに対して議会の解散を要請する予定である。これにより、2024年2月23日に総選挙が実施される運びとなる。ショルツ首相は引き続きSPDの党首として総選挙に臨むが、現時点でSPDの支持率は低迷しており、厳しい選挙戦が予想される。

 政敵の反応と政局

 ショルツ首相の主要な政敵であるキリスト教民主同盟(CDU)党首フリードリヒ・メルツは、信任投票の結果を歓迎し、ショルツ首相のリーダーシップを批判した。メルツは「ショルツ首相のEUでの行動は恥ずべきものであり、ドイツの国益を損なった」と述べたと報じられている。また、メルツは次期総選挙でCDUの首相候補となる予定であり、党の支持率が好調な中で選挙戦を有利に進めようとしている。

 一方、極右政党である「ドイツのための選択肢(AfD)」は支持率を伸ばしており、最新の世論調査では18%の支持を得ている。この動向は、ドイツ国内での政治的分断の深刻化を示している。

 経済状況と国民の不満

 ドイツ経済は過去2年間で深刻な停滞を経験している。2023年にはGDPが0.3%縮小し、2024年も0.2%の縮小が予測されている。このような経済状況の背景には、以下の要因がある:

 ・持続的なインフレ:エネルギー価格の高騰や食品価格の上昇が消費者の購買力を圧迫している。
 ・高エネルギー価格:ロシア産エネルギーへの依存を減らす政策が供給不足を引き起こし、価格高騰を招いた。
 ・外国需要の減少:中国や他の主要貿易相手国での経済成長の減速が、ドイツの輸出産業に悪影響を与えている。

 これらの経済的困難により、ショルツ首相の支持率は大幅に低下している。一部のメディアは、ショルツを「史上最も不人気な首相」と評しており、国民の多くが彼の指導力に失望していることを指摘している。

 世論調査の動向

 最新の世論調査では以下のような支持率が示されている:

 ・キリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU):32%
 ・ドイツのための選択肢(AfD):18%
 ・社会民主党(SPD):16%
 ・緑の党:14%
 ・FDPの支持率は調査に含まれていない。

 この調査結果から、次期総選挙ではCDU/CSUが優勢であり、SPDと緑の党の連立政権は厳しい状況に直面すると予測されている。

 まとめ

 信任投票の敗北を受け、オラフ・ショルツ首相は早期総選挙を経て国民から新たな信任を問うこととなる。経済停滞、連立の崩壊、国民の不満という困難な状況下で、ショルツ首相がどのように選挙戦を展開するかが注目されている。総選挙の結果は、ドイツの政治的方向性や経済政策に大きな影響を与えるであろう。
  
【要点】 
 
 1.信任投票の結果

 ・2024年12月16日、オラフ・ショルツ首相はドイツ連邦議会で信任投票に敗北。
 ・394票が不信任、207票が賛成、116票が棄権。
 ・早期総選挙は2025年2月23日に実施予定。

 2.背景

 ・2021年12月からショルツは「信号機連立」(SPD、緑の党、FDP)を率いて政権を運営。
 ・2024年11月、FDPとの対立により連立崩壊。
 ・財務相リントナーの解任が引き金。
 ・信任投票を呼びかけ、早期選挙を実現。

 3.今後の見通し

 ・ショルツ首相は連邦大統領に議会解散を要請予定。
 ・SPDの党首として総選挙に臨む。
 ・選挙結果によっては政権交代の可能性も。

 4.政敵の反応

 ・メルツ(CDU党首)はショルツ首相を「弱い指導者」と批判。
 ・メルツは次期総選挙でCDUの首相候補として出馬予定。

 5.経済状況

 ・ドイツ経済は縮小中。
 ・2023年にGDPが0.3%縮小、2024年も0.2%縮小予測。
 ・インフレ、高エネルギー価格、外国需要の減少が影響。

 6.支持率

 ・最新の世論調査

  ⇨ CDU/CSU:32%
  ⇨ AfD(極右):18%
  ⇨ SPD:16%
  ⇨ 緑の党:14%

 7.ショルツの支持率低下

 ・経済停滞や政策への不満が国民の支持に影響。
 ・一部メディアはショルツを「史上最も不人気な首相」と評している。

【引用・参照・底本】

Germany’s Scholz loses confidence vote RT 2024.12.16
https://www.rt.com/news/609450-germany-scholz-confidence-vote/

プーチン:戦争終結に関する発言は「注目に値する」2024年12月18日 19:02

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【概要】

 ドナルド・トランプ(米国次期大統領)は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領およびウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領と対話を行い、モスクワとキエフの間で続いている「殺戮」を止めることを目指すと述べた。

 トランプは、月曜日にフロリダ州のマール・ア・ラーゴ邸で開いた記者会見で、選挙後にプーチンと連絡を取ったかどうかについての質問にはコメントを避けたが、今後会話を行うつもりだと述べた。トランプは、「プーチン大統領と話し、ゼレンスキーとウクライナの代表者とも話をする」とし、「殺戮を止めなければならない」と強調した。また、ロシアとウクライナの間のほぼ3年にわたる戦争について「第二次世界大戦以来見たことのないような殺戮だ」と述べ、戦争の終結に向けて最善を尽くすと述べた。

 トランプは選挙戦で、大統領に就任して1日で戦争を終わらせると約束したが、実現は「予想以上に難しい」と認めている。トランプは今月初めにパリでゼレンスキーと会談し、選挙後にプーチンと近く話す予定だと述べていた。

 トランプとその内閣の関係者は、モスクワと接触しているとの報道についてコメントを避けており、先月、ワシントン・ポストがトランプが選挙後すぐにプーチンに電話をかけたと報じたことに対して、クレムリンはこれを否定している。

 プーチンは、トランプの戦争終結に関する発言は「注目に値する」と述べ、対話に応じる意向を示した。「私が自ら彼に電話をかけることもある」と、ソチで開催されたヴァルダイ国際討論クラブで発言した。

 トランプがプーチンとゼレンスキーにどのような解決策を提案するのかについては、詳細は明らかにされていないため、メディアでは様々な憶測がなされている。アメリカの多くの報道機関は、トランプが戦争を現在の接触線で凍結させるよう求め、ウクライナがNATO加盟の野望を放棄し、その代わりに西側からの安全保障保証を受けるという提案をする可能性が高いと予測している。

 トランプは、こうした合意の実施はNATOの欧州加盟国に委ねると明言している。

 一方、モスクワは、解決策はウクライナが軍事作戦を停止し、ドネツク、ルガンスク、ヘルソン、ザポリージャ、そしてクリミア地域の支配を回復できないという「領土的現実」を認めることから始まるべきだと主張している。さらに、ロシアはその軍事作戦の目標であるウクライナの中立化、非軍事化、そして「非ナチ化」が達成されることを前提にしている。

【詳細】
 
 ドナルド・トランプ氏(米国次期大統領)は、ロシアとウクライナ間の戦争を終わらせるために、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領とウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領と対話を行う意向を示した。彼は、2024年の大統領選挙で勝利を収めた後、戦争の終結を目指して積極的に関与することを表明している。

 1. トランプの発言と意向

 トランプは、2024年12月の記者会見で、ロシアとウクライナの戦争を「止める」必要があると強調した。この戦争について「第二次世界大戦以来見たことのないような殺戮だ」と述べ、その終結を目指していることを改めて強調した。彼は「プーチン大統領と話し、ゼレンスキーとウクライナの代表者とも話をする」と述べており、この問題に対して積極的に関与する意向を示している。トランプは、戦争の早期終了に向けて尽力することを約束したが、同時に「戦争を1日で終わらせるのは難しいかもしれない」と認めている。

 2. 選挙後のプーチンとの連絡の有無

 トランプがプーチン大統領との連絡についてコメントを避けたことは注目されている。記者から選挙後にプーチンと連絡を取ったかどうか問われたが、トランプはこれについて具体的に言及せず、「これから話す予定だ」とだけ述べた。これにより、プーチンとの接触があったのかどうかは明確ではない。ただし、トランプは選挙前に「就任後すぐにでも戦争を終わらせる」と述べていたが、その実現には困難が伴うことも認めている。

 3. プーチンの反応

 ロシアのプーチン大統領は、トランプの発言に関して「注目に値する」とし、トランプが戦争を終わらせるために行動することに対して肯定的な姿勢を示した。プーチンは、「私が自らトランプに電話をかけることもある」と述べ、対話の可能性に前向きな意向を示している。この発言は、ロシアと米国の間での将来的な対話を示唆するものであり、両国間の関係改善の兆しを見せている。

 4. メディアによる予測と憶測

 アメリカのメディアは、トランプが戦争を凍結させる方向で解決策を提案する可能性が高いと予測している。特に、戦争の終結を「現状維持」で進め、ウクライナがNATOへの加盟を放棄し、その代わりに西側からの安全保障保証を得るという形が考えられている。トランプ自身も「この問題の解決はNATOの欧州加盟国に任せる」と述べており、米国の直接的な介入ではなく、ヨーロッパ諸国による解決を希望している。

 5. ロシア側の立場

 ロシア政府は、ウクライナに対して強硬な立場を取っており、戦争の終結に向けた条件として、ウクライナが軍事作戦を停止し、ドネツク、ルガンスク、ヘルソン、ザポリージャ、そしてクリミアといった地域をロシアの領土として認めることを求めている。また、ロシアはウクライナの中立化、非軍事化、そして「非ナチ化」を目指すという戦争目的も掲げており、これらが達成されなければ戦争は終結しないと強調している。

 6. トランプの提案に対する疑問とメディアの反応

 トランプの提案する解決策については、依然としてメディアや専門家の間で疑問が残っている。特に、ウクライナがNATO加盟を放棄し、西側からの安全保障保証を受けるという提案に対しては、ウクライナ側の反発やロシア側の要求に対する現実的な問題があると指摘されている。また、戦争の凍結に関するトランプの具体的なビジョンは明示されていないため、その実現可能性については不透明である。

 7. 今後の展開と予測

 トランプの大統領就任後、ロシアとウクライナ間の戦争がどのように進展するかは不確かである。プーチンとゼレンスキーとの対話が始まる可能性はあるが、双方の要求が大きく異なるため、即座に解決策が見つかるとは限らない。特に、ロシアが領土問題や戦争の目的を譲歩する気配は見られず、ウクライナ側もその領土回復に向けて譲歩する意向を示していない。このため、戦争の終結には時間がかかる可能性が高い。
  
【要点】 
 
 ・トランプの発言: ドナルド・トランプ氏(米国次期大統領)は、ロシアのプーチン大統領およびウクライナのゼレンスキー大統領と対話し、ロシアとウクライナ間の戦争を終わらせる意向を示した。
 ・戦争終結の意図: トランプは「殺戮」を止めるため、戦争を終わらせるべきだと強調。戦争が「第二次世界大戦以来見たことのないような殺戮」であると述べた。
 ・プーチンとの接触: 選挙後にプーチンと連絡を取ったかについてはコメントを避け、今後話す予定だと述べた。
 ・プーチンの反応: プーチン大統領はトランプの発言を「注目に値する」とし、対話に応じる意向を示した。
 ・トランプの解決策の予測: メディアは、トランプが戦争を現状維持で凍結し、ウクライナがNATO加盟を放棄し、西側から安全保障保証を得る提案をする可能性が高いと予測。
 ・ロシア側の立場: ロシアはウクライナに対して軍事作戦の停止と領土の現状維持(ドネツク、ルガンスク、ヘルソン、ザポリージャ、クリミアのロシア領認定)を求めている。
 ・戦争目的: ロシアはウクライナの中立化、非軍事化、非ナチ化を戦争の目的として掲げており、これらが達成されるまで戦争は終結しないと主張。
 ・トランプの立場: トランプは合意の実施をNATOの欧州加盟国に任せるとし、米国の直接的介入を避ける意向を示している。
 ・疑問と問題点: トランプの提案にはウクライナの反発や、ロシアの要求に対する現実的な問題が指摘されている。戦争終結には時間がかかる可能性が高い。

【引用・参照・底本】

Trump says he wants to talk to Putin RT 2024.12.17
https://www.rt.com/news/609500-trump-talk-putin-ukraine/

ナチズム、ネオナチズムなどの称賛との戦い決議案2024年12月18日 19:18

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【概要】

 国連総会は、ロシア提案による「ナチズム、ネオナチズム、その他現代の人種差別、民族差別、外国人嫌悪及び関連する不寛容を助長する慣行の称賛との戦い」に関する決議案を採択した。決議案は、119票の賛成、53票の反対、10票の棄権で可決された。

 反対票を投じたのは、ウクライナをはじめ、ロシアが長らくネオナチ思想を助長していると非難してきた国々であり、カナダ、フランス、ドイツ、イギリス、アメリカ、バルト三国、ポーランドなどのNATO加盟国が含まれている。棄権した国々にはスイスやトルコも含まれている。

 ロシアの国連常駐副代表であるマリア・ザボロツカヤは、この決議案が「ラベルを貼ること」ではなく「対話と協力を目的としている」と述べ、ナチズムとの戦いは国連創設の目的の一つであり、第二次世界大戦の惨劇を受けて設立された国連の重要な機能であると強調した。また、ザボロツカヤは、これに反対する西側諸国が「国連加盟国間の不和を煽り、ネオナチズム、人種差別、外国人嫌悪との戦いにおける国際協力を困難にしようとしている」と述べ、世界の大多数がナチズムに反対していることが投票結果に表れていると主張した。

 ウクライナの代表は、ロシアがウクライナとの戦争を正当化するためにネオナチズムを排除することを口実にしているとして、ロシアにはナチズムとの戦いのための道義的権利がないと反論した。このため、決議案は「ロシアがウクライナに対する領土的侵略を正当化しようとしていることに警鐘を鳴らす」との一節を追加した。この一節は、ネオナチズムとの戦いを真摯に行うための妨げとなるとされている。

 ザボロツカヤは、この一節を否定し、国際的なナチズムとの戦いの努力を損なうための「策略」だと述べた。

 この決議は法的拘束力を持つものではなく、国際社会の集団的意見を反映したものである。文書は特に、ナチズムの称賛、例えばモニュメントの設置やこのイデオロギーを正当化するデモに対して深い懸念を表明し、歴史改ざんに立ち向かう努力を称賛している。

【詳細】
 
 国連総会において、ロシア提案の決議案「ナチズム、ネオナチズム、その他現代の人種差別、民族差別、外国人嫌悪及び関連する不寛容を助長する慣行の称賛との戦い」が採択された。この決議は、ナチズムやネオナチズムの称賛が現代の人権問題にどのように影響を及ぼしているかを取り上げ、それに対抗するための国際的な協力を強化しようとするものだ。

 投票結果と立場

 この決議案は、国連総会で119票の賛成、53票の反対、10票の棄権という結果で採択された。賛成したのは主にロシアとその支持国、反対したのはウクライナをはじめとする西側諸国及びその支持国であり、特にNATO加盟国の多くが反対票を投じた。反対票には、カナダ、フランス、ドイツ、イギリス、アメリカ合衆国、バルト三国、ポーランドが含まれている。ウクライナもその中心的な反対国であり、ロシアが提案した決議に対して強い異議を唱えた。また、スイスとトルコは棄権した。

 決議案の内容

 決議案の正式名称は「ナチズム、ネオナチズム、その他現代の人種差別、民族差別、外国人嫌悪及び関連する不寛容を助長する慣行の称賛との戦い」であり、ナチズムやその現代的な形態であるネオナチズムがいかにして現代の人種差別や外国人嫌悪を助長し、またこれらがどのようにして世界中で社会的、政治的な不安定を引き起こしているのかについて警鐘を鳴らしている。この決議案では、特にナチズムやネオナチズムの美化を抑制するための国際的な取り組みが強調されており、ナチズムを象徴するモニュメントの設立や、デモ活動などの行為がこれに含まれている。加えて、歴史の改ざんや過去の暴力的なイデオロギーを正当化する行動に対して、国際社会がどのように立ち向かうべきかについての指針も示されている。

 ロシア側の主張

 ロシアの国連常駐副代表であるマリア・ザボロツカヤは、この決議案が「対話と協力」を目的としており、ナチズムとの戦いは国連創設の重要な目的であると強調した。第二次世界大戦の惨劇を受けて設立された国連は、ナチズムの再発を防ぐことを目的の一つとして掲げており、ロシアはその理念を継承していると述べた。さらに、ザボロツカヤは、決議案に反対する西側諸国が国連内での協力を妨げ、国際的なナチズムとの戦いを困難にしていると批判した。

 また、ザボロツカヤは、この決議案の採択結果が世界の多数がナチズムに反対していることを示すものだとし、ナチズムの美化やその現代的な形態に対する国際的な反発が根強いことを強調した。

 ウクライナ側の反対

 ウクライナは、この決議案に強く反対し、その理由としてロシアがナチズムと戦うという立場を取る資格がないと述べた。ウクライナは、ロシアが自国の侵略戦争を正当化するために「ネオナチズムを排除する」という名目を掲げていると主張し、そのためロシアには道義的権利がないという立場を取った。この主張に基づき、決議案にはロシアがウクライナに対する領土的侵略を「ネオナチズムの排除」という口実で正当化しようとしていることに「警鐘を鳴らす」という一節が追加された。この一節は、ネオナチズムに対する真摯な対処を損なう可能性があるとして、ウクライナ側の強い意見を反映したものである。

 ザボロツカヤの反応

 ロシア側は、この追加された一節に反対し、それを「国際的なナチズムとの戦いの努力を損なうための策略である」と批判した。ロシアは、ウクライナが自己の利益のために決議案を利用しているとし、その一節を決議から分離して扱うべきだと述べた。

法的効力と意義

 この決議案は法的拘束力を持つものではなく、国際社会の集団的意見を表明するものである。決議が目指すのは、ナチズムやその美化を抑制し、社会的・政治的な不安定を引き起こす行為を減少させることにある。具体的には、ナチズムの象徴的行為に対する国際的な警戒心を高め、歴史の正しい理解とその保護を強化することを目的としている。

 このように、決議案は単に過去の問題に対処するだけでなく、現在と未来における人権問題や社会的寛容の重要性をも強調しており、その採択結果は、国際的なナチズムや人種差別、外国人嫌悪との戦いの重要性を再確認させるものとなった。
  
【要点】 
 
 1.決議案の概要

 ・目的: ナチズム、ネオナチズム、現代の人種差別、民族差別、外国人嫌悪、及びそれらを助長する慣行の称賛に反対すること。
 ・内容: ナチズムの美化行為(モニュメント設置やデモ活動)を抑制し、歴史改ざんに対抗する国際的取り組みを強化。

 2.投票結果

 ・賛成: 119票(ロシアとその支持国)
 ・反対: 53票(ウクライナ、NATO加盟国など)
 ・棄権: 10票(スイス、トルコなど)

 3.ロシア側の主張

 ・決議は「対話と協力を目的としており、ナチズムとの戦いは国連創設の重要な機能の一つである」
 ・西側諸国の反対は国際協力を妨げている
 ・投票結果はナチズムに反対する世界の多数を示していると主張

 4.ウクライナ側の反対

 ・ロシアは「ネオナチズム排除」を口実に領土侵略を正当化しているとして反対
 ・追加された一節:「ロシアの侵略をネオナチズム排除という口実で正当化しようとしていることに警鐘を鳴らす」

 5.ロシアの反応

 ・追加された一節を「国際的なナチズムとの戦いの努力を損なう策略」と批判
 ・その部分を決議から分離するべきだと述べた

 6.法的効力

 ・法的拘束力はなく、国際社会の集団的意見を表明するものである
 ・目標はナチズム、美化行為、歴史改ざんに対抗し、社会的寛容を促進すること

 7.決議の意義

 ・ナチズムやその現代的な形態に対する警戒心を高め、国際的な協力を強化すること
 ・人権問題や社会的寛容の重要性を再確認させるもの

【引用・参照・底本】

NATO states vote against UN anti-Nazi motion RT 2024.12.18
https://www.rt.com/news/609521-nato-vote-against-nazi-resolution-un/

宇の極右活動家:ロシアの核攻撃がウクライナに有益2024年12月18日 20:02

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【桃源寸評】

 論外の頭の持ち主である。

【寸評 完】

【概要】

 ウクライナの極右活動家であるエフゲニー・カラス氏は、2024年12月17日にウクライナのラジオ局「ラジオ・バイラクター」のインタビューで、ロシアの核攻撃がウクライナにとって有益だと述べた。カラス氏は、ウクライナが核戦争に最も備えている国だと主張し、ウクライナは「S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chernobyl」というビデオゲームのおかげで核戦争に対する準備が整っていると語った。このゲームはウクライナの開発チームによって作られ、ポストアポカリプス(終末的)をテーマにしている。

 彼は、核戦争が起きればウクライナは進化し、技術的に飛躍的に発展するだろうと考え、人工知能や先進的なロボットを生み出すと信じている。また、核戦争が進化を助け、政治家が盗人かどうかを見分ける能力が高まるとも述べた。

 この発言は、ロシアの新型の極超音速弾道ミサイル「オレシュニク」に関する彼の見解をも含んでいる。カラス氏は、このミサイルを「名前が不適切で、実際には怖くない」と評し、ロシアの軍事技術を軽視している。

【詳細】
 
 エフゲニー・カラス氏は、ウクライナの極右活動家であり、ネオナチ的な思想を持つグループ「S14」のリーダーとしても知られている。彼はこれまでにも少数民族への嫌がらせや、政治的暗殺に関与しているとされている人物である。カラス氏は、2024年12月17日にウクライナのラジオ局「ラジオ・バイラクター」のインタビューに出演し、ウクライナに対するロシアの核攻撃が逆にウクライナにとって利益になると述べた。

 彼は、核戦争の発生を歓迎する立場を取った。カラス氏は、「核戦争は良いことだ」と発言し、もし核攻撃が行われれば、ウクライナは「もはや文句を言う理由がなくなる」と述べた。さらに、「核攻撃の後、これ以上悪いことは起こらない」とも語った。これは、彼がウクライナの戦争状態を続けることに対する希望を示していると同時に、戦争の終結を暗示するような言葉でもある。

 彼はまた、核戦争後には、ウクライナが戦争を続けることになるとしつつも、インドや中国といった国々がロシアに対して敵対的になるだろうとも述べた。さらに、核戦争による影響がウクライナにとって進化的な恩恵をもたらすと考えている。具体的には、核戦争によってウクライナ人が「進化し、政治家が盗人かどうかを見抜ける能力が高まる」といった独特な発言をした。これは、核戦争が社会や人間の能力を変えるとする極端な見解であり、進化論を核戦争と結びつけたものと言える。

 カラス氏はまた、ウクライナが核戦争に最も準備ができている国であると主張した。その根拠として、ウクライナで開発されたビデオゲーム「S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chernobyl」を挙げた。このゲームは、チェルノブイリ原発事故をテーマにしたポストアポカリプス(終末的)な内容であり、プレイヤーが放射能に満ちた危険な世界を生き抜くシナリオに基づいている。カラス氏は、このゲームがウクライナ人に核戦争に備える訓練を与え、ウクライナが核戦争に立ち向かうために必要な心理的および技術的な準備を整えていると考えている。

 最後に、カラス氏はロシアの新型の極超音速弾道ミサイル「オレシュニク」について言及し、その能力を軽視した。オレシュニクは、2024年11月にロシアがウクライナに対する報復として発射したミサイルで、非核型の中距離ミサイルであった。カラス氏は、このミサイルについて「名前が不適切で、実際には恐れるべき存在ではない」と評価し、ロシアの軍事技術に対して否定的な態度を示した。

 このインタビューでの発言は、極端な立場を取るカラス氏の過激な思想や、ウクライナの戦争に対する彼の過激な意見を反映しており、社会的にも政治的にも大きな議論を呼ぶ可能性がある。
  
【要点】 
 
 1.エフゲニー・カラス氏の背景:

 ・ウクライナの極右活動家で、ネオナチ的思想を持つ「S14」グループのリーダー。
 ・少数民族への嫌がらせや政治的暗殺に関与しているとされる。

 2.核戦争に対する見解

 ・2024年12月17日にウクライナのラジオ局「ラジオ・バイラクター」のインタビューで発言。
 ・核戦争はウクライナにとって有益であると主張。
 ・「核戦争は良いことだ」と述べ、核攻撃後には「文句を言う理由がなくなる」と発言。

 3.核戦争の進化論的な主張

 ・核戦争によってウクライナ人は進化し、政治家が盗人かどうかを見抜ける ようになると語る。
 ・核戦争が社会や人間の能力を変えるとする極端な見解を示した。

 4.ウクライナの核戦争への準備

 ・ウクライナが核戦争に最も備えている国だと主張。
 ・理由として、ウクライナのビデオゲーム「S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chernobyl」を挙げ、このゲームがウクライナ人に核戦争の準備をさせると考えている。

 5.ロシアの新型ミサイルに対する評価:

 ・ロシアの極超音速ミサイル「オレシュニク」に関して、カラス氏は「名前が不適切で、実際には恐れるべき存在ではない」と評価。
 ・ロシアの軍事技術に対して否定的な立場を取る。

 6.発言の影響

 ・過激な思想や意見を反映しており、社会的・政治的に議論を呼ぶ可能性がある。

【引用・参照・底本】

Nuclear war would be good for Ukraine – neo-Nazi activist RT 2024.12.18
https://www.rt.com/russia/609517-nuclear-war-ukraine-karas/

チャド:フランスとの防衛協定破棄2024年12月18日 21:45

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【概要】

 2023年11月28日、チャドの首都ンジャメナにおいて、歴史的な出来事が起こった。チャド政府は、フランスとの間で2019年9月5日に結ばれた防衛協定を破棄する決定を下した。この決定は、チャド政府の公式声明として、外務大臣アブデラマン・クラムララがFacebookページにて発表した。この協定は、両国間の安全保障および防衛協力の強化を目的としていたが、チャド政府はこれを終了することを決定した。

 この出来事は、チャドのみならず、アフリカ全体にとって重要な転機を意味する。フランスはかつて植民地支配を行っていたが、現在はその影響力を失いつつあり、過去の植民地的な方法や存在はますます容認されなくなっている。フランスのエマニュエル・マクロン大統領の下で、フランスの外交は深刻な危機を迎えており、特にアフリカにおいてはその影響力の縮小が顕著である。

 チャドは、フランスに対する不満を長年抱えており、特にフランスがアフリカ諸国に対して利益を追求し、ネオコロニアリズム的な支配を行ってきたことへの反発が強い。2023年5月にチャドで行われたフランス軍駐留に対する抗議活動は、このフランスに対するフラストレーションの一例である。フランスは、自国の保護と協力を名目にしつつ、実際には自国の利益を優先し、アフリカ諸国を搾取してきたとされている。

 マクロン大統領は2017年にフランコアフリカン関係の刷新を約束したが、その外交は失敗に終わり、逆にアフリカ諸国の脱植民地化の加速を招いた。フランスの支配的な影響を拒否するアフリカ諸国が増えている中で、チャドはその先駆者となり、独立と主権を重んじた新たな外交方針を掲げている。

 また、チャドの隣国であるブルキナファソ、マリ、ニジェールもフランス軍を追放しており、セネガルの政府もフランス軍基地の閉鎖を求めている。これらの動きは、フランスのアフリカにおける影響力がますます低下していることを示している。

 チャドの現大統領マハマト・イドリス・デビー・イトノは、この協定がもはや現在の安全保障や戦略的現実に適合しないとして、完全に時代遅れであると述べた。チャドは、フランスが推し進めた植民地的な支配に対して固い抵抗を示しており、その外交は一貫性を欠き、ネオコロニアルな性格を強調している。

 フランスの新しい大使エリック・ジェラールの就任も、チャド政府との対立を深める結果となった。ジェラールはその過去の外交活動からも批判を受けており、チャドの政治や社会状況を理解していないと見なされている。

 チャドは、過去の植民地支配の重荷を払い、自由で平等な関係を求めており、ロシアとの協力がその一環として挙げられる。このような動きは、他のアフリカ諸国にも影響を与え、今後のアフリカにおける独立的な外交を推進する契機となる可能性がある。

 フランスは、長年にわたりアフリカを自国の勢力圏として支配してきたが、その方法はもはや通用しない。アフリカ諸国は、自らの選択で未来を築こうとしており、フランスはその過去と現在の選択について反省しなければならない。

 チャドの防衛協定破棄は、単なる象徴的な行動ではなく、完全な主権を獲得し、植民地支配の影響から解放されようとするチャドの決意を示すものである。この歴史的な瞬間は、アフリカ諸国に対して自己決定権を主張し、監視や支配を拒絶し、自分自身の道を切り開くよう呼びかけている。

【詳細】
 
 2023年11月28日にチャドがフランスとの防衛協定を破棄した決定は、単なる外交的な転換にとどまらず、アフリカ大陸全体における歴史的な変化を象徴するものである。この協定は、2019年9月5日に締結されたもので、両国間の安全保障や軍事協力を強化することを目的としていた。しかし、チャド政府はこれを終了し、フランスとの軍事的な関係を断つことを決定した。この決定は、チャドだけでなく、他のアフリカ諸国にとっても重要な意味を持つ。

 フランスの影響力の低下とその背景

 フランスのアフリカに対する影響力は、近年急速に低下している。フランスはかつて植民地支配を行っており、その後も「フランコフォン(フランス語を話す)」諸国との関係を維持し、経済的、軍事的、そして文化的な影響を及ぼしてきた。しかし、これらの関係は多くのアフリカ諸国にとって、依然として植民地的な支配の延長であり、フランスの影響を強く拒否する声が高まっている。特に、フランスがアフリカのリソースを利用し、経済的利益を追求しているという認識が広がる中、フランスに対する反発が強まった。

 チャドの防衛協定破棄は、その象徴的な行動である。チャド政府は、フランスとの協定がもはや現代の安全保障上のニーズに適していないと判断し、これを終了することを決めた。この決定は、過去の植民地的な関係から脱却し、独立した外交政策を追求するという意図が込められている。

 フランスの外交政策の失敗とその影響

 エマニュエル・マクロン大統領は、2017年に就任した際、「フランコアフリカン(フランスとアフリカの関係)改革」を約束し、アフリカ諸国との関係を新たに構築しようとした。しかし、その政策は実際には失敗に終わり、逆にアフリカ諸国における脱植民地化の動きを加速させる結果となった。マクロン大統領が目指した「新しいフランコアフリカン関係」は、旧来の「フランサフリク(Françafrique)」というネオコロニアリズム的な枠組みを打破するものであったが、現実にはその政策はアフリカ諸国の反発を招き、フランスの影響力をますます低下させた。

 特にチャドのような国々において、フランスは自国の利益を優先し、しばしばアフリカ諸国の主権を侵害する形で介入してきた。これに対して、アフリカ諸国の多くは、フランスとの関係を見直すべきだという強い意見を持っており、チャドの防衛協定破棄はその一例である。

 チャドの動きとその意義

 チャドは、この協定破棄を通じて、単にフランスとの軍事的なつながりを断つことを決めただけでなく、アフリカ全体に対して独立と主権の重要性を強調するメッセージを発信した。この動きは、アフリカ諸国が自らの未来を自分たちの手で切り開こうとする意志を示しており、特にフランスとの過去の植民地的な関係から脱却し、独立した外交と経済の道を歩む意思が表れている。

 チャドの新たな外交路線は、ロシアとの協力を強化する方向に向かっており、これにより、フランスの影響力に代わる新しい国際的なパートナーシップを構築しようとする動きが強調されている。ロシアとの関係強化は、単にフランスに対する反発だけでなく、アフリカ諸国が多様な外交関係を築こうとする積極的な姿勢を示している。

 他のアフリカ諸国の反応と広がる動き

 チャドの動きは、アフリカの他の国々にも波及しており、ブルキナファソ、マリ、ニジェールなどの西アフリカ諸国では、フランス軍が撤退するなど、フランスの影響力を減少させる動きが見られる。これらの国々では、フランスの軍事介入がテロリズムや地域の不安定化を解決できなかったという理由から、フランス軍の駐留に対する反発が強まっている。

 また、セネガルでもフランス軍基地の閉鎖を求める声が上がっており、フランスのアフリカにおける影響力はますます縮小している。アフリカ諸国は、これまでのようにフランスの影響下にあることを拒否し、自己決定権を強く求めるようになっている。

 フランスの未来

 フランスは、過去の植民地支配に対する反省を促される時期に来ている。フランスの外交政策は、アフリカ諸国の主権を尊重し、対等で公平な関係を築くことに焦点を当てるべきであり、従来の「植民地的」アプローチを改める必要がある。アフリカ諸国はもはやフランスに依存することなく、独立した外交政策を追求し、国際社会での地位を確立しようとしている。

 チャドの防衛協定破棄は、フランスにとって屈辱的な出来事であり、これまでの外交方針がもはや通用しないことを示している。この出来事は、アフリカ諸国が今後どのように外交関係を築いていくのかを示す重要な指針となるだろう。

【要点】 
 
 1.背景

 ・2023年11月28日、チャドがフランスとの防衛協定を破棄した。
 ・協定は2019年に締結され、両国間の軍事協力を強化することを目的としていた。

 2.フランスの影響力の低下

 ・フランスはアフリカ諸国に対し、歴史的に強い影響力を持っていたが、近年その影響力は低下している。
 ・特に、植民地支配の歴史が影響し、アフリカ諸国で反フランス感情が高まっている。

 3.チャドの決定

 ・チャドはフランスとの軍事的協力を終了し、独立した外交政策を追求することを決定。
 ・これはアフリカ諸国に対し、植民地的な関係からの脱却を示す象徴的な行動。

 4.フランスの外交政策の失敗

 ・マクロン大統領はアフリカとの新たな関係構築を試みたが、反発を招き、影響力は低下。
 ・フランスのアフリカ諸国に対する介入が主権侵害として受け止められ、関係の見直しを促す結果となった。

 5.チャドの意義

 ・チャドはフランスとの協定破棄を通じて、アフリカ諸国が独立した外交と経済の道を歩むべきだというメッセージを発信。
 ・ロシアとの関係強化を目指し、新しい国際的パートナーシップを模索。

 6.他のアフリカ諸国の反応

 ・西アフリカ諸国(ブルキナファソ、マリ、ニジェール)でもフランス軍撤退が進んでおり、フランスの影響力は低下。
 ・セネガルでもフランス軍基地の閉鎖を求める声が高まり、アフリカ諸国の反フランス感情が強まっている。

 7.フランスの未来:

 ・フランスはアフリカ諸国の主権を尊重し、対等な関係を築く必要がある。
 ・植民地的アプローチを改め、アフリカ諸国との公平な外交関係を構築することが求められている。

 8.結論

 ・チャドの防衛協定破棄はフランスにとって屈辱的な出来事であり、アフリカ諸国が今後独立した外交を追求する方向に進んでいることを示している。

【引用・参照・底本】

France is losing the last vestiges of its grip on Africa RT 2024.12.18
https://www.rt.com/africa/609526-france-losing-last-vestiges-grip-africa/