中国はインドネシアと初めて外務・国防担当閣僚による「2プラス2」協議 ― 2025年04月26日 19:56
【概要】
2025年4月21日、中国はインドネシアと初めて外務・国防担当閣僚による「2プラス2」協議を開催した。中国側からは王毅中共中央政治局委員(外交部部長(外相)と董軍国防部部長(国防相)が出席し、インドネシア側からはスギオノ外相及びシャフリ国防相が出席した。新華社がこのことを報じた。
王毅部長は、過去1年間において習近平国家主席とプラボウォ大統領が2度会談し、新時代における中国・インドネシア関係の発展に向けた青写真を共に描いたことを指摘した。その上で、両国首脳の指導の下に外相・国防相による「2プラス2」協議が立ち上げられ、始動したと述べた。これは中国にとって世界で初めて立ち上げた閣僚級「2プラス2」であり、両国間の高度な戦略的相互信頼を示すものであると同時に、地域と世界に影響力を持つ中国・インドネシア運命共同体の意義を一層豊かなものにしたと強調した。また、王毅部長は両国首脳の重要な共通認識を戦略的指針とし、両国関係が高い水準と起点において新たな章を綴っていく後押しをする必要があると述べた。
董軍部長は、中国がインドネシアと共に、両国首脳間の共通認識を着実に実行に移し、戦略的相互信頼をさらに深め、メカニズムを一層整備し、統合的推進を力強く行い、挑戦への対処における底支えを強化し、防衛・安全保障協力の新たな体制を構築したいとの意向を示した。そして、両国がリスクと挑戦に連携して対処していくことを希望すると述べた。
インドネシアのスギオノ外相は、インドネシアが中国と共に政治的信頼をさらに強固にし、各レベルにおける交流を緊密化し、互恵協力を深化させ、多国間枠組における意思疎通と協力を強化していきたいとの意向を表明した。
シャフリ国防相は、インドネシアが中国と防衛及び海洋安全保障などの分野で協力を強化し、地域の平和と安定を維持していきたいとの考えを示した。
【詳細】
2025年4月21日、中国とインドネシアは初めて外務・国防担当閣僚による「2プラス2」協議を開催した。会場には中国側から王毅中共中央政治局委員(外交部部長(外相)と董軍国防部部長(国防相)が、インドネシア側からはスギオノ外相とシャフリ国防相が出席した。この協議の開催については、中国国営通信社である新華社が伝えたものである。
王毅部長は、この「2プラス2」協議の意義について、過去1年間に行われた習近平国家主席とプラボウォ大統領との2度の首脳会談に言及し、それらの会談が新時代における中国・インドネシア関係の発展に向けた青写真を描いたことを強調した。そして、その両国首脳の指導の下で今回の外相・国防相による協議が正式に立ち上がり、始動したことを説明した。王毅部長によれば、この形式の閣僚級「2プラス2」協議は、中国としては世界で初めての取り組みであり、両国間における戦略的相互信頼の高さを明確に示すものとなったという。同時に、この取り組みは地域および世界に対して影響力を持つ「中国・インドネシア運命共同体」の意味合いを一層豊かなものにすると評価した。さらに王毅部長は、両国首脳間の重要な共通認識を戦略的指針とし、両国関係がより高い水準、より高い起点に立って、新たな発展の章を綴っていくよう促した。
董軍国防部部長は、防衛・安全保障分野における今後の協力方針を述べた。董部長は、中国とインドネシアが両国首脳の共通認識を着実に実行に移し、戦略的な相互信頼をさらに深めるとともに、協議メカニズムを一層整備し、両国間の協力推進をより統合的かつ力強いものとする必要があると述べた。また、両国が直面するリスクや挑戦に対して、連携して効果的に対処できるよう、防衛・安全保障協力における新体制を構築したいとの意向を表明した。
インドネシア側のスギオノ外相は、インドネシアが中国との政治的信頼を一層強固なものとし、政府間のみならず各レベルにおいて交流を緊密化し、経済その他の分野における互恵的な協力関係をさらに深化させていきたい意向を示した。また、インドネシアは多国間枠組においても中国との意思疎通と協力を一層強化することを目指していると述べた。
シャフリ国防相は、インドネシアが中国とともに、防衛分野及び海洋安全保障分野における協力を深化させることにより、地域全体の平和と安定を維持していきたいとの考えを示した。特に海洋安全保障分野に関しては、インドネシアが戦略的重要性を置いていることがうかがえる内容であった。
今回の協議は、単なる意見交換にとどまらず、中国とインドネシアが今後、防衛・安全保障分野を中心により一層戦略的な連携を強めていく方向性を確認し合う場となった。また、両国首脳間で共有されたビジョンを着実に具現化していくための新たな枠組みづくりの始動とも位置づけられるものであった。
【要点】
・2025年4月21日、中国とインドネシアは初の外務・国防担当閣僚協議「2プラス2」を開催した。
・中国側は王毅中共中央政治局委員(外交部部長(外相〉)と董軍国防部部長(国防相)が出席した。
・インドネシア側はスギオノ外相とシャフリ国防相が出席した。
・この協議は中国にとって世界で初めて立ち上げた閣僚級「2プラス2」であるとされた。
・王毅部長は、習近平国家主席とプラボウォ大統領の首脳会談に基づき、両国関係発展の青写真が描かれたことを強調した。
・王毅部長は、今回の協議が両国の戦略的相互信頼の高さを示し、中国インドネシア運命共同体の意味をさらに豊かにしたと述べた。
・両国関係が高水準・高起点で新たな発展段階に入るよう促す必要があるとした。
・董軍部長は、戦略的相互信頼をさらに深め、協議メカニズムを整え、防衛・安全保障協力の新体制を構築したいと述べた。
・董軍部長は、リスクや挑戦に対して中国とインドネシアが連携して対処する意向を示した。
・スギオノ外相は、政治的信頼の強化、各レベルでの交流の緊密化、互恵協力の深化を目指す意向を示した。
・スギオノ外相は、多国間枠組における中国との意思疎通と協力強化にも言及した。
・シャフリ国防相は、防衛・海洋安全保障分野における中国との協力強化を希望し、地域の平和と安定維持に取り組む姿勢を表明した。
【桃源寸評】
✓中国にとってインドネシアとの「2プラス2」協議は戦略的価値が高い位置付けであるということである。理由としては次のようになろうか。
・習近平国家主席とプラボウォ大統領が過去1年で2回会談していること。
・「世界で初めて」中国が立ち上げた閣僚級「2プラス2」であると特別に強調していること。
・単なる二国間関係ではなく、「中国インドネシア運命共同体」と表現し、地域および世界に影響力を持つ関係性を構築しようとしていること。
・防衛・安全保障分野でも体系的な新体制を構築しようとしていること。
➡️これらから、インドネシアとの協力は中国にとって政治・安全保障・地域影響力の強化に直結するものであり、極めて高い戦略的重要性を持つと位置付けられていることがわかる。
なお、文中に出てきた「米国=フィリピン」という表現については、資料上には記載がないため、中国がこの協議を通じて米国とフィリピンの接近(たとえば米比防衛協力強化)を意識している可能性は推測できるが、今回の説明ではそのような推測は加えない。
✓中国にとって、インドネシアとの「2プラス2」協議の立ち上げは、戦略的価値が非常に高いものである。これは、両国首脳による度重なる会談により関係強化が進められ、さらに閣僚級協議メカニズムの創設という形で、戦略的相互信頼を制度化するものとなったためである。
また、インドネシアは地理的に南シナ海とインド太平洋地域における要衝に位置しており、中国にとっては地域全体における影響力拡大の鍵となる国である。この協議を通じて、防衛・安全保障分野での協力を強化することは、中国にとって、米国とフィリピンの軍事協力関係(たとえば、米比間の合同軍事演習や相互防衛体制)に対抗し、地域戦略における包囲網を突破する一助となる。
➡️すなわち、中国はインドネシアとの関係深化により、米国=フィリピンを南から間接的に牽制し、戦略的圧力を分散・弱体化させる効果を狙っている構図となる。
【寸評 完】
【引用・参照・底本】
中国がインドネシアと初の外務・国防相「2プラス2」を開催 人民網日本語版 2025.04.22
http://j.people.com.cn/n3/2025/0422/c94474-20305569.html
2025年4月21日、中国はインドネシアと初めて外務・国防担当閣僚による「2プラス2」協議を開催した。中国側からは王毅中共中央政治局委員(外交部部長(外相)と董軍国防部部長(国防相)が出席し、インドネシア側からはスギオノ外相及びシャフリ国防相が出席した。新華社がこのことを報じた。
王毅部長は、過去1年間において習近平国家主席とプラボウォ大統領が2度会談し、新時代における中国・インドネシア関係の発展に向けた青写真を共に描いたことを指摘した。その上で、両国首脳の指導の下に外相・国防相による「2プラス2」協議が立ち上げられ、始動したと述べた。これは中国にとって世界で初めて立ち上げた閣僚級「2プラス2」であり、両国間の高度な戦略的相互信頼を示すものであると同時に、地域と世界に影響力を持つ中国・インドネシア運命共同体の意義を一層豊かなものにしたと強調した。また、王毅部長は両国首脳の重要な共通認識を戦略的指針とし、両国関係が高い水準と起点において新たな章を綴っていく後押しをする必要があると述べた。
董軍部長は、中国がインドネシアと共に、両国首脳間の共通認識を着実に実行に移し、戦略的相互信頼をさらに深め、メカニズムを一層整備し、統合的推進を力強く行い、挑戦への対処における底支えを強化し、防衛・安全保障協力の新たな体制を構築したいとの意向を示した。そして、両国がリスクと挑戦に連携して対処していくことを希望すると述べた。
インドネシアのスギオノ外相は、インドネシアが中国と共に政治的信頼をさらに強固にし、各レベルにおける交流を緊密化し、互恵協力を深化させ、多国間枠組における意思疎通と協力を強化していきたいとの意向を表明した。
シャフリ国防相は、インドネシアが中国と防衛及び海洋安全保障などの分野で協力を強化し、地域の平和と安定を維持していきたいとの考えを示した。
【詳細】
2025年4月21日、中国とインドネシアは初めて外務・国防担当閣僚による「2プラス2」協議を開催した。会場には中国側から王毅中共中央政治局委員(外交部部長(外相)と董軍国防部部長(国防相)が、インドネシア側からはスギオノ外相とシャフリ国防相が出席した。この協議の開催については、中国国営通信社である新華社が伝えたものである。
王毅部長は、この「2プラス2」協議の意義について、過去1年間に行われた習近平国家主席とプラボウォ大統領との2度の首脳会談に言及し、それらの会談が新時代における中国・インドネシア関係の発展に向けた青写真を描いたことを強調した。そして、その両国首脳の指導の下で今回の外相・国防相による協議が正式に立ち上がり、始動したことを説明した。王毅部長によれば、この形式の閣僚級「2プラス2」協議は、中国としては世界で初めての取り組みであり、両国間における戦略的相互信頼の高さを明確に示すものとなったという。同時に、この取り組みは地域および世界に対して影響力を持つ「中国・インドネシア運命共同体」の意味合いを一層豊かなものにすると評価した。さらに王毅部長は、両国首脳間の重要な共通認識を戦略的指針とし、両国関係がより高い水準、より高い起点に立って、新たな発展の章を綴っていくよう促した。
董軍国防部部長は、防衛・安全保障分野における今後の協力方針を述べた。董部長は、中国とインドネシアが両国首脳の共通認識を着実に実行に移し、戦略的な相互信頼をさらに深めるとともに、協議メカニズムを一層整備し、両国間の協力推進をより統合的かつ力強いものとする必要があると述べた。また、両国が直面するリスクや挑戦に対して、連携して効果的に対処できるよう、防衛・安全保障協力における新体制を構築したいとの意向を表明した。
インドネシア側のスギオノ外相は、インドネシアが中国との政治的信頼を一層強固なものとし、政府間のみならず各レベルにおいて交流を緊密化し、経済その他の分野における互恵的な協力関係をさらに深化させていきたい意向を示した。また、インドネシアは多国間枠組においても中国との意思疎通と協力を一層強化することを目指していると述べた。
シャフリ国防相は、インドネシアが中国とともに、防衛分野及び海洋安全保障分野における協力を深化させることにより、地域全体の平和と安定を維持していきたいとの考えを示した。特に海洋安全保障分野に関しては、インドネシアが戦略的重要性を置いていることがうかがえる内容であった。
今回の協議は、単なる意見交換にとどまらず、中国とインドネシアが今後、防衛・安全保障分野を中心により一層戦略的な連携を強めていく方向性を確認し合う場となった。また、両国首脳間で共有されたビジョンを着実に具現化していくための新たな枠組みづくりの始動とも位置づけられるものであった。
【要点】
・2025年4月21日、中国とインドネシアは初の外務・国防担当閣僚協議「2プラス2」を開催した。
・中国側は王毅中共中央政治局委員(外交部部長(外相〉)と董軍国防部部長(国防相)が出席した。
・インドネシア側はスギオノ外相とシャフリ国防相が出席した。
・この協議は中国にとって世界で初めて立ち上げた閣僚級「2プラス2」であるとされた。
・王毅部長は、習近平国家主席とプラボウォ大統領の首脳会談に基づき、両国関係発展の青写真が描かれたことを強調した。
・王毅部長は、今回の協議が両国の戦略的相互信頼の高さを示し、中国インドネシア運命共同体の意味をさらに豊かにしたと述べた。
・両国関係が高水準・高起点で新たな発展段階に入るよう促す必要があるとした。
・董軍部長は、戦略的相互信頼をさらに深め、協議メカニズムを整え、防衛・安全保障協力の新体制を構築したいと述べた。
・董軍部長は、リスクや挑戦に対して中国とインドネシアが連携して対処する意向を示した。
・スギオノ外相は、政治的信頼の強化、各レベルでの交流の緊密化、互恵協力の深化を目指す意向を示した。
・スギオノ外相は、多国間枠組における中国との意思疎通と協力強化にも言及した。
・シャフリ国防相は、防衛・海洋安全保障分野における中国との協力強化を希望し、地域の平和と安定維持に取り組む姿勢を表明した。
【桃源寸評】
✓中国にとってインドネシアとの「2プラス2」協議は戦略的価値が高い位置付けであるということである。理由としては次のようになろうか。
・習近平国家主席とプラボウォ大統領が過去1年で2回会談していること。
・「世界で初めて」中国が立ち上げた閣僚級「2プラス2」であると特別に強調していること。
・単なる二国間関係ではなく、「中国インドネシア運命共同体」と表現し、地域および世界に影響力を持つ関係性を構築しようとしていること。
・防衛・安全保障分野でも体系的な新体制を構築しようとしていること。
➡️これらから、インドネシアとの協力は中国にとって政治・安全保障・地域影響力の強化に直結するものであり、極めて高い戦略的重要性を持つと位置付けられていることがわかる。
なお、文中に出てきた「米国=フィリピン」という表現については、資料上には記載がないため、中国がこの協議を通じて米国とフィリピンの接近(たとえば米比防衛協力強化)を意識している可能性は推測できるが、今回の説明ではそのような推測は加えない。
✓中国にとって、インドネシアとの「2プラス2」協議の立ち上げは、戦略的価値が非常に高いものである。これは、両国首脳による度重なる会談により関係強化が進められ、さらに閣僚級協議メカニズムの創設という形で、戦略的相互信頼を制度化するものとなったためである。
また、インドネシアは地理的に南シナ海とインド太平洋地域における要衝に位置しており、中国にとっては地域全体における影響力拡大の鍵となる国である。この協議を通じて、防衛・安全保障分野での協力を強化することは、中国にとって、米国とフィリピンの軍事協力関係(たとえば、米比間の合同軍事演習や相互防衛体制)に対抗し、地域戦略における包囲網を突破する一助となる。
➡️すなわち、中国はインドネシアとの関係深化により、米国=フィリピンを南から間接的に牽制し、戦略的圧力を分散・弱体化させる効果を狙っている構図となる。
【寸評 完】
【引用・参照・底本】
中国がインドネシアと初の外務・国防相「2プラス2」を開催 人民網日本語版 2025.04.22
http://j.people.com.cn/n3/2025/0422/c94474-20305569.html