台湾:民意は平和、発展、交流、協力を望んでいる2025年06月24日 20:07

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【概要】

 2025年6月22日、台湾の頼清徳が島内各地で10回にわたり行うとされた「団結」の演説シリーズの第1回目を発表した。表向きは「団結」を呼びかける内容とされているが、実際には偽善的な政治的レトリックを煽るものであり、頼の真の分離主義的意図を隠すための作為的な物語構築、歴史の切り貼り、そして「国家」という虚構の主張を含んでいるとされている。国務院台湾事務弁公室は、この演説を「台湾独立宣言」と評し、両岸対立を煽るものであり、誤った分離主義の言辞を寄せ集めたものと指摘している。

 頼の「10回演説」は「団結」ではなく「分裂」であり、歴史の改ざんにより民族の根を断ち切り、法的詐術で「一つの中国」という底線を破り、民生を語る空疎な言葉で無能な統治を隠し、「民主」の看板を掲げて権威主義を行っていると批判している。頼は、いわゆる「国家の4要件」を根拠に「台湾は国家である」と主張しているが、これは歴史的事実、法的根拠、現実のいずれとも乖離しており、荒唐無稽な主張であると断じている。また、頼は国連総会決議2758号を繰り返し問題視し、その正当性、効力、権威を歪曲し、国際法の権威に公然と挑戦していると述べている。このように「団結」を装って分裂を進める行為は、頼が「平和の破壊者」「危機の製造者」であることを再確認させるものであると記している。

 この「団結」演説ツアーは、頼が「島が直面する脅威に対抗する17の方略」を煽った後、また近く予定されているリコール投票の前に企画されたものである。「10回演説」では「国家」「民主」「団結」といったテーマを掲げているが、エネルギーや住宅といった民生に直接関わる問題は意図的に避けられていると指摘している。これにより、頼が民生に関心を持たず、「台湾独立」物語をでっち上げて政治闘争のプロパガンダに利用している実態が露呈していると論じている。

 頼の「団結」演説の必死さは、民進党当局がすでに民意と道徳的正当性を失っていることの表れであるとし、頼が声高に「団結と協力」を叫ぶほどに、台湾住民が頼の分裂的言動に抵抗し、民進党の「グリーンテロ」への不満が高まっていることを示していると述べている。頼が就任して1年以上経つが、台湾の民生問題は改善せず、半導体大手のTSMCが米国移転を加速させ、電力不足の日数が増加し、若年失業率が上昇していると指摘する。民進党当局への批判は高まり、世論調査でも頼の政権運営に対する不満が新たな高水準に達しているとされている。

 頼は昨年5月の就任以来、「新二国論」に基づき「互いに隷属せず」という立場を執拗に唱え、行政、司法、世論操作を通じて「独立」を追求する挑発をエスカレートさせ、両岸交流をあらゆる手段で妨害していると糾弾している。このような頑なな態度と攻撃的な言動は、台湾を危機の縁へと追いやり、2300万人の台湾同胞を深い苦境に陥れていると述べている。現に台湾の若者や中学生までもが当局により「戦争準備動員」の対象とされ、街角や路地が「訓練場」と化し、各地の寺院や祠堂が「弾薬庫」とされていると批判している。これが「台湾海峡と地域の平和維持」なのか、それとも島を後戻りできない深淵へと導く行為なのかと問いかけている。

 島内の主流民意は平和、発展、交流、協力を望んでおり、台湾同胞の大多数は戦争を望まず、ましてや「台湾独立」のために戦うことを望んでいないと述べている。頼がどれほど躍起になっても、台湾が中国の一部という法的事実を変えることはできず、国際社会の「一つの中国」原則の基本構造を揺るがすこともできないと強調している。中国の統一という歴史の大勢を止めることはできず、民進党当局が歴史を逆行させ、「独立」に狂奔しても、最終的には「反独立」「独立懲罰」という鉄壁の前で頭を打ち、血を流すだけであると述べている。

 今年は中国人民の抗日戦争勝利および世界反ファシズム戦争勝利80周年、台湾光復80周年であると指摘し、80年前に中国人民が団結して侵略者を打ち破り、台湾が中国に戻った歴史を引き合いに出している。今日の中国は再び国土分裂の苦果を飲み込むことは絶対にないとし、いかなる個人や勢力も台湾を中国から分裂させる夢を見てはならず、中国人民の国家主権と領土の完全性を守る強い決意、確固たる意志、強大な能力を過小評価してはならないと結んでいる。
 
【詳細】 

 2025年6月22日、台湾の頼清徳(Lai Ching-te)は、台湾全土を巡る「団結をテーマとした10回連続演説シリーズ」の第1回目を実施した。このシリーズの正式名称は「団結のための10の演説」とされ、各地で順次行われる計画である。中国本土の官製メディアである『環球時報(Global Times)』は、この演説を全面的に批判し、「団結」の名を借りた分離主義的政治パフォーマンスに過ぎないと断じている。

 まず同社説は、頼の演説は表面上は「島内団結の呼びかけ」であるが、実際には偽装された政治的物語により、頼の分離主義的野心を糊塗するものであると分析している。具体的には、頼が演説で使用する歴史的叙述は恣意的に編集され、また「台湾は国家である」との主張を合法化するために「国家の4要件理論」を持ち出しているが、これは国際法や歴史的事実、現実のいずれとも整合しない虚構であると指摘している。

 また、国務院台湾事務弁公室がこの演説を「台湾独立宣言」と表現したことに言及し、頼の演説が両岸関係の対立を煽る挑発行為であり、誤りに満ちた分離主義の論法を寄せ集めただけのものであると批判している。頼が強調する「団結」は看板に過ぎず、実質は歴史の書き換え、法制度の曲解、民生を口実にした無能政治の隠蔽、民主主義を名目とした権威主義的手法の実践という4つの要素から成り立っていると論じている。

 さらに、『環球時報』は、頼が演説で国連総会決議2758号の正当性や効力を意図的に歪曲していると強く非難している。これは1971年の国連決議であり、中国代表権が中華人民共和国に復帰し、「一つの中国」原則を国際社会が確認したものとされている。この決議の意義を頼が意図的に曲解することは、国際法の権威に公然と挑戦する行為であると述べている。

 この演説シリーズが企画された背景として、頼が先日発表した「島が直面する脅威に対抗する17の戦略」と、間近に控えるリコール投票があると指摘している。演説テーマは「国家」「民主」「団結」などの抽象的概念に終始しており、エネルギー問題や住宅問題といった住民の具体的な民生課題には一切触れられていないことが、頼が実際には民生を軽視し、政治宣伝の手段としてのみ「団結」を利用している証左であると論じている。

 また、頼の演説の「必死さ」は、民進党政権が民意を失い、道徳的正当性も失っていることの表れであるとする。頼が「団結と協力」を叫ぶほど、台湾住民の間では逆に彼の分離主義的言動への拒否感が強まり、民進党当局が進めるいわゆる「緑色の恐怖政治」への反感が高まっていると分析している。

 頼の政権運営については、就任から1年以上が経過したにもかかわらず、具体的な改善が見られないと糾弾している。半導体の旗艦企業であるTSMCは米国移転を加速させ、台湾島内では電力不足の日数が増加し、若年層の失業率も上昇を続けていると列挙し、これに対する民衆の不満が頂点に達しつつあると述べている。

 頼が推進する「新二国論」とは、台湾と中国が「互いに隷属しない」関係であるとする理論であり、これを頼は積極的に唱えているが、これは歴史的にも法的にも国際的にも受け入れられない分離主義の根拠であると批判している。また、頼は行政権限、司法権限、世論操作を用いて「独立」志向を煽り、さらにあらゆる手段で両岸交流を妨害していると非難している。

 社説では、現在の台湾では若者や中学生までもが「戦争準備動員」の対象とされ、各地の街角が軍事訓練場と化し、寺院や祠堂が弾薬庫として使用されるなど、住民が不安に陥っている状況が指摘されている。これをもって、「平和維持」ではなく、台湾を不可逆的な危機に陥れる行為であると断じている。

 さらに、『環球時報』は、台湾住民の大多数は戦争を望んでおらず、ましてや「台湾独立」のために血を流す意思はないとし、平和、発展、交流、協力こそが台湾社会の主流民意であると強調している。頼の試みがどれほど執拗であろうとも、「台湾は中国の一部」という法的事実を覆すことはできず、国際社会の「一つの中国」原則という基本構造を変えることもできないと述べている。中国の統一は歴史の必然であり、いかなる「独立」の試みも必ず「反独立」と「懲罰」という鉄壁の前で挫折する運命にあると結論づけている。

 最後に、今年は中国人民の抗日戦争勝利と世界反ファシズム戦争勝利80周年、そして台湾光復80周年にあたる歴史的節目であると強調している。80年前、中国人民が侵略者を打ち破り、台湾を祖国に回復させた歴史を改めて想起し、今日の中国は領土分裂という苦杯を再び飲むことは決してないと断言している。いかなる個人や勢力も台湾を中国から切り離す夢を抱いてはならず、中国人民の国家主権と領土保全を守る決意、意志、能力を軽視してはならないと力強く結んでいる。

【要点】 

 頼清徳の「団結のための10回演説」について

 ・頼清徳は台湾全土を巡る「団結のための10回演説シリーズ」を開始した。

 ・演説の名目は「島内の団結」だが、実際は分離主義の宣伝活動であると社説は指摘している。

 ・歴史を恣意的に編集し、「台湾は国家である」という主張を合法化しようとしていると批判している。

 ・国務院台湾事務弁公室はこれを「台湾独立宣言」と表現した。

 主要批判点

 ・頼の演説は「団結」ではなく「分裂」を目的としていると位置づけている。

 ・歴史修正主義を用いて民族的根源を断とうとしていると批判している。

法的詐術を用いて「一つの中国」という底線を破ろうとしていると述べている。

 ・民生問題を語るふりをして、無能な統治を覆い隠していると指摘している。

 ・民主を掲げつつ、実際には権威主義的手法を取っていると非難している。

 ・国連総会決議2758号を故意に曲解し、国際法の権威に挑戦していると主張している。

 政治的背景

 ・「10回演説」は「17の戦略」発表後かつリコール投票前のタイミングで行われている。

 ・演説のテーマは「国家」「民主」「団結」など抽象的な内容が中心で、民生問題(エネルギー、住宅など)には触れないと指摘している。

 ・これにより、頼が本当には民生に関心がなく、政治宣伝と自己利益追求が目的であることが明らかであるとしている。

 民意と現状評価

 ・演説の「必死さ」は民進党政権が民心を失っている証左と分析している。

 ・頼が「団結と協力」を強調するほど、台湾住民の不信と反発が強まっていると述べている。

 ・就任以来、民生問題に改善が見られず、TSMCの米国移転、電力不足、若年層失業率の上昇が続いていると具体例を挙げている。

 ・世論調査では頼の政権への不満が過去最高水準に達していると指摘している。

 頼政権の行動とその影響

 ・「新二国論」(相互非隷属論)を推進していると批判している。

 ・行政、司法、世論操作で「独立」を煽っていると非難している。

 ・両岸交流をあらゆる手段で妨害していると述べている。

 ・若者や中学生まで戦争動員対象とし、街や寺院が訓練場・弾薬庫化していると危機感を示している。

 ・これを平和維持ではなく、台湾を危険に追いやる行為と断じている。

 中国側の主張

 ・台湾住民の大多数は戦争や「台湾独立」を望んでいないと強調している。

 ・「一つの中国」という法的事実と国際社会の基本構造は揺るがないと述べている。

 ・中国の統一は歴史の必然であり、「独立」の試みは必ず粉砕されると断言している。

 歴史的文脈と結論

 ・今年は抗日戦争勝利80周年、世界反ファシズム戦争勝利80周年、台湾光復80周年の節目であると強調している。

 ・80年前に中国人民が侵略者を打ち破り、台湾を回復した歴史を忘れないと述べている。

 ・いかなる個人や勢力も台湾分離を夢見てはならず、中国人民の主権と領土保全を守る意志と能力を侮ってはならないと結んでいる。
 
【桃源寸評】🌍

 1. 卑近な例 — キューバ危機との類推

 ・仮に米国近傍のキューバが、中国と軍事同盟を結び、中国のミサイル、軍事基地、偵察拠点をキューバに設置したと仮定する。

 ・これは1962年のキューバ危機と全く同一構造であり、当時米国は核戦争寸前まで行っても絶対に許容しなかった。

 ・同様に、中国にとって台湾が「分離し、さらに外部勢力と軍事的に結びつく」ことは、米国がキューバ危機を容認しなかったのと同じく、断固として許容できないものである。

 ・よって、「台湾独立」は単なる政治的選択肢ではなく、中国にとっては核心的国家利益、主権と安全保障の根幹に直結する問題である。

 ・これは米国の安全保障感覚と同一であり、むしろ当然である。

 2. 理論的根拠 — 領土権と国際法の論理

 ・中国は「台湾は歴史的に中国の一部である」という歴史的・法的根拠を持つと主張している。

 ・1943年のカイロ宣言、1945年のポツダム宣言などで、台湾は日本の植民地から中国に復帰したと位置付けられている。

 ・1971年の国連総会決議2758号により、国際社会も「一つの中国」原則を確認し、中華人民共和国が中国を代表する唯一の合法政府とした。

 ・これらに基づき、「台湾は中国の一部」という法的地位は確立していると中国は主張している。

 ・よって、「台湾独立」という概念自体が国際法の観点から無効であり、中国領土の分裂行為にほかならないと位置付けられている。

 3. 現実の力関係と国際秩序の維持

 ・台湾が外部勢力と結びつき、中国に敵対する前線基地化することは、地域の平和と安定に重大な脅威を及ぼす。

 ・これは単に中国の安全保障だけでなく、東アジアひいては世界の戦略均衡に直接影響する問題である。

 ・そのため、中国は平和統一を目指しつつも、必要な場合はあらゆる手段を用いて分裂を阻止する立場を堅持している。

 ・これは一国の主権と領土一体性を守るという普遍的原則に基づいており、他国もこれを逆の立場なら同様に行うはずである。

 4. 結論

 ・よって、台湾独立は歴史的・法的・現実的・安全保障的いずれの観点からも絶対に認められない。

 ・キューバ危機を例に挙げれば、米国が許さないことを中国が許す理由はない。

 ・したがって、分離独立を夢見ること自体が叶わぬ幻想であり、中国が自ら公表している「台湾問題と新時代の中国統一の白書」などにも明確に示されている通り、統一は最終的に必ず実現されるべき国家的課題である。

 中国が2022年8月に国務院台湾事務弁公室および国務院新聞弁公室の名義で発表した 『台湾問題と新時代の中国統一』白書 の要点を整理して提示する。

 『台湾問題と新時代の中国統一』白書 — 要点整理

 1. 台湾問題の歴史的経緯

 ・台湾は古来より中国の不可分の領土であると明言している。

 ・近代、清末に不平等条約により一時日本に割譲されたが、第二次世界大戦後、カイロ宣言、ポツダム宣言により日本は台湾を返還した。

 ・1949年、中華人民共和国成立後も、国際法上台湾は中国の一部であり続けていると位置づけている。

 ・国連総会決議2758号(1971年)は「中華人民共和国が中国を代表する唯一の合法政府」であることを確認し、「台湾は中国の一部」とする立場を国際社会が認めた根拠としている。

2. 「一国二制度」と平和統一の方針

 ・中国は「平和統一、一国二制度」を基本方針として堅持する。

 ・平和的な方法による統一を最優先とし、武力使用は最終手段・やむを得ない場合に限定するとしている。

 ・統一後の台湾には高度な自治が保障され、現行の社会制度や生活様式を尊重するとしている。

 ・台湾同胞の合法的権益を十分に保護し、経済・文化交流をさらに拡大すると強調している。

 3. 「台湾独立」勢力への断固たる対処

 ・台湾独立を目指すいかなる分裂活動も断固として粉砕する立場を明言している。

 ・外部勢力(特に米国など)が台湾問題に干渉し、台湾独立勢力を支援する行為は中国の主権と安全保障に対する重大な挑戦であると位置付けている。

 ・平和統一の可能性を妨げる分裂行為に対しては、あらゆる必要な手段を取るとしている。

 4. 新時代における国家統一の意義

 ・統一は中華民族の偉大な復興の必然的要素であると位置付けている。

 ・国家の完全な統一は中国の主権、安全、発展の核心利益であり、譲歩の余地はないと強調している。

 ・台湾統一の達成は、地域の平和と安定に資するとし、国際社会の大多数の国々が「一つの中国」原則を支持していると主張している。

 5. 台湾同胞への呼びかけ

 ・台湾住民に対しては「祖国統一の大義」に立ち返り、分裂活動を拒絶し、民族の復興を共に実現するよう呼びかけている。

 ・両岸(中国本土と台湾)の経済、社会、文化の融合発展を促進し、統一後はより良い未来を共有すると約束している。

 まとめ

 ・白書全体を通じて、「台湾は中国の一部」という歴史的・法的・国際的根拠を再確認し、「平和統一」を最優先としつつも、分裂と外部干渉には断固対処する立場を明確化している。

 ・「一国二制度」を統一後の台湾に適用し、高度な自治と現行制度の維持を保証すると述べている。

【寸評 完】🌺

【引用・参照・底本】

Lai Ching-te’s ‘10 talks on unity’ are a desperate political show: Global Times editorial GT 2025.06.24
https://www.globaltimes.cn/page/202506/1336811.shtml

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