イスファハン核施設:地中貫通弾GBU-57の射程範囲外 ― 2025年06月28日 18:10
【概要】
イスファハン核施設に関して、アメリカ軍高官であるケイン統合参謀本部議長(大将)は、同施設が地中深くに位置しているため、地中貫通弾GBU-57(いわゆるバンカーバスター)の射程範囲外であることを議員らに明かした。その結果、イスファハンに対する攻撃は、地中貫通弾を用いたものではなく、巡航ミサイルによる表面的な攻撃にとどまった。
一方、報道によれば、米軍はフォルドゥの核施設には12発のバンカーバスターを投下し、ナタンズの核施設には2発のバンカーバスターを投下したとされる。これに対し、イスファハンの核施設には潜水艦から発射された巡航ミサイル「トマホーク」による攻撃が行われたが、バンカーバスターは使用されなかった。
【詳細】
イスファハン核施設に対する攻撃に関し、アメリカ軍のケイン統合参謀本部議長(大将)は、同施設が地中深くに建設されており、アメリカ軍が保有する地中貫通弾GBU-57、通称「バンカーバスター」の有効射程外に位置していたことを明らかにした。これにより、アメリカ軍はこの施設に対し、バンカーバスターを使用しての攻撃は実施できず、地表付近への攻撃に限られたと説明されている。
GBU-57は、地中深部に埋設された堅牢な目標、たとえばコンクリートで強化された地下核施設などを破壊するために設計された兵器である。しかし、その貫通力にも限界があり、目標が射程深度を超えている場合には、十分な破壊効果を発揮できない。イスファハン核施設は、そのような深度に位置しているため、GBU-57では届かないことが確認された。
報道によれば、アメリカ軍は代替手段として、イスファハン核施設に対して潜水艦から発射する巡航ミサイル「トマホーク」による攻撃を実施したとされる。トマホークは地上や建物の上部構造に対して高精度な攻撃を行うことができるが、地下深くの構造物に対しては効果が限定的である。そのため、同施設への攻撃は、核関連施設の深部にある主要インフラには十分な損害を与えることができなかったと考えられる。
これに対して、フォルドゥおよびナタンズの核施設には、地中貫通弾が実際に投入された。具体的には、フォルドゥには12発のバンカーバスターが、ナタンズには2発が使用されたとされている。これらの施設はイスファハンに比べ、より浅い位置に核関連のインフラが存在していたため、バンカーバスターによる直接的な攻撃が可能であった。
【要点】
発言者と内容
・アメリカ軍のケイン統合参謀本部議長(大将)が、議員らに説明。
・イラン中部のイスファハン核施設は、地中貫通弾GBU-57(バンカーバスター)の射程範囲外に位置していると明かした。
攻撃手段の制限
・GBU-57は地下深部にある強化施設を破壊可能な兵器だが、射程限界を超える深度には対応不可。
・そのため、イスファハン核施設には地中貫通弾を使用した攻撃は行われなかった。
代替手段としての攻撃
・イスファハンに対しては、**潜水艦から発射された巡航ミサイル「トマホーク」**による攻撃のみが実施された。
・トマホークは地上目標には有効だが、地下深部の施設には十分な破壊力を持たない。
他の核施設への攻撃状況
・フォルドゥ核施設には、バンカーバスター12発が使用された。
・ナタンズ核施設には、バンカーバスター2発が投下された。
・これらの施設は、イスファハンと比べてより浅い場所に位置しているため、バンカーバスターによる攻撃が可能だった。
【桃源寸評】🌍
米国の戦争報道と軍・政界発言への批判的考察
戦争における情報は、古今東西、常に権力によって操作されてきた。日本の大本営発表がその象徴であるように、国家は戦時において情報を「管理」し、国民や国際世論にとって都合の良い物語を構築しようとする。今日のアメリカも、第二次世界大戦中の日本と本質的に変わらない情報統制の構造を持っている。
1. ケイン統合参謀本部議長の発言の不自然さ
イスファハン核施設に対して「地中貫通弾が届かないほど深く、トマホークで表面的な攻撃にとどまった」とするケイン議長の説明は、一見して技術的な制約を語るように見せかけた「説明責任の回避」である。実際には、攻撃能力や軍事目標の選定における失敗、あるいは攻撃効果の限定性を「物理的限界」という言い訳で正当化しているに過ぎない。
地中貫通弾GBU-57の性能は極めて高く、その「限界」を理由に攻撃不能とする説明は、アメリカ軍の誇示する技術的優位と矛盾する。また、攻撃後に出されたこの種の発言は、結果が思わしくなかったことの“後出しの正当化”であり、軍事的な成果の不十分さを煙に巻く典型的な情報操作である。
2. 「精密攻撃」神話の再生産
イスファハンに対する攻撃が「巡航ミサイルによる表面的な攻撃にとどまった」という表現自体、精密誘導兵器の使用を強調し、「無差別ではない」「誤爆はない」「倫理的に制御された攻撃である」といった印象を与えるための演出に他ならない。だが現実には、どのような「精密兵器」であろうと、戦争における攻撃は常に意図せざる被害や曖昧な成果を伴う。報道はそうした現実から意図的に目を背けさせ、「限定的な、正確な攻撃」というフィクションを再生産している。
3. トランプ発言のプロパガンダ性
ドナルド・トランプ氏の発言も、情報操作の典型例として批判されるべきである。彼の言説は、事実関係を無視した断定、敵対者への誹謗中傷、自国の「無謬性(間違いのなさ)」の強調に貫かれており、軍事行動に対する正当化と国内向けプロパガンダの道具として機能している。トランプ氏の口から発せられる情報は、戦争という極限状況の中で真実を求めるには最も不適切な情報源であり、彼の発言を「信じるに値するか」という視点ではなく、「なぜこうした虚構が必要なのか」という文脈で分析されるべきである。
4. 報道の役割放棄と迎合姿勢
アメリカの主要メディアもまた、権力者の「発表」をそのまま報じ、検証や反証の視点を欠いたまま国際世論に流通させている。これは戦争報道における根源的な問題であり、メディアが本来果たすべき「権力の監視者」としての役割を放棄し、「大本営報道機関」と化していることを意味する。
実際、イスファハン攻撃の効果について報道される情報は、ほとんどが軍側からの「一方的な説明」に依拠しており、現地の被害状況や市民への影響、攻撃の法的根拠などについての調査報道は著しく欠如している。
結論
米国による戦争報道は、今日においても「情報戦」という戦争の一環として機能しており、国家の正当性を演出し、失敗や過失を覆い隠し、都合の悪い現実を糊塗する目的で組織的に運用されている。ケイン統合参謀本部議長の発言は、戦果が不明確な作戦に対する釈明以上の意味を持たず、トランプ氏の言説は煽動的なプロパガンダとして消費されるにすぎない。
情報を受け取る側は、こうした報道や発言を絶えず「疑う」姿勢を持ち続けなければ、真実には決して到達できないのである。
【寸評 完】🌺
【引用・参照・底本】
【イスファハン核施設の深部は地中貫通弾の射程範囲外=米軍高官】sputnik 日本
2025.06.2X
https://x.com/i/web/status/1938784326218588651
イスファハン核施設に関して、アメリカ軍高官であるケイン統合参謀本部議長(大将)は、同施設が地中深くに位置しているため、地中貫通弾GBU-57(いわゆるバンカーバスター)の射程範囲外であることを議員らに明かした。その結果、イスファハンに対する攻撃は、地中貫通弾を用いたものではなく、巡航ミサイルによる表面的な攻撃にとどまった。
一方、報道によれば、米軍はフォルドゥの核施設には12発のバンカーバスターを投下し、ナタンズの核施設には2発のバンカーバスターを投下したとされる。これに対し、イスファハンの核施設には潜水艦から発射された巡航ミサイル「トマホーク」による攻撃が行われたが、バンカーバスターは使用されなかった。
【詳細】
イスファハン核施設に対する攻撃に関し、アメリカ軍のケイン統合参謀本部議長(大将)は、同施設が地中深くに建設されており、アメリカ軍が保有する地中貫通弾GBU-57、通称「バンカーバスター」の有効射程外に位置していたことを明らかにした。これにより、アメリカ軍はこの施設に対し、バンカーバスターを使用しての攻撃は実施できず、地表付近への攻撃に限られたと説明されている。
GBU-57は、地中深部に埋設された堅牢な目標、たとえばコンクリートで強化された地下核施設などを破壊するために設計された兵器である。しかし、その貫通力にも限界があり、目標が射程深度を超えている場合には、十分な破壊効果を発揮できない。イスファハン核施設は、そのような深度に位置しているため、GBU-57では届かないことが確認された。
報道によれば、アメリカ軍は代替手段として、イスファハン核施設に対して潜水艦から発射する巡航ミサイル「トマホーク」による攻撃を実施したとされる。トマホークは地上や建物の上部構造に対して高精度な攻撃を行うことができるが、地下深くの構造物に対しては効果が限定的である。そのため、同施設への攻撃は、核関連施設の深部にある主要インフラには十分な損害を与えることができなかったと考えられる。
これに対して、フォルドゥおよびナタンズの核施設には、地中貫通弾が実際に投入された。具体的には、フォルドゥには12発のバンカーバスターが、ナタンズには2発が使用されたとされている。これらの施設はイスファハンに比べ、より浅い位置に核関連のインフラが存在していたため、バンカーバスターによる直接的な攻撃が可能であった。
【要点】
発言者と内容
・アメリカ軍のケイン統合参謀本部議長(大将)が、議員らに説明。
・イラン中部のイスファハン核施設は、地中貫通弾GBU-57(バンカーバスター)の射程範囲外に位置していると明かした。
攻撃手段の制限
・GBU-57は地下深部にある強化施設を破壊可能な兵器だが、射程限界を超える深度には対応不可。
・そのため、イスファハン核施設には地中貫通弾を使用した攻撃は行われなかった。
代替手段としての攻撃
・イスファハンに対しては、**潜水艦から発射された巡航ミサイル「トマホーク」**による攻撃のみが実施された。
・トマホークは地上目標には有効だが、地下深部の施設には十分な破壊力を持たない。
他の核施設への攻撃状況
・フォルドゥ核施設には、バンカーバスター12発が使用された。
・ナタンズ核施設には、バンカーバスター2発が投下された。
・これらの施設は、イスファハンと比べてより浅い場所に位置しているため、バンカーバスターによる攻撃が可能だった。
【桃源寸評】🌍
米国の戦争報道と軍・政界発言への批判的考察
戦争における情報は、古今東西、常に権力によって操作されてきた。日本の大本営発表がその象徴であるように、国家は戦時において情報を「管理」し、国民や国際世論にとって都合の良い物語を構築しようとする。今日のアメリカも、第二次世界大戦中の日本と本質的に変わらない情報統制の構造を持っている。
1. ケイン統合参謀本部議長の発言の不自然さ
イスファハン核施設に対して「地中貫通弾が届かないほど深く、トマホークで表面的な攻撃にとどまった」とするケイン議長の説明は、一見して技術的な制約を語るように見せかけた「説明責任の回避」である。実際には、攻撃能力や軍事目標の選定における失敗、あるいは攻撃効果の限定性を「物理的限界」という言い訳で正当化しているに過ぎない。
地中貫通弾GBU-57の性能は極めて高く、その「限界」を理由に攻撃不能とする説明は、アメリカ軍の誇示する技術的優位と矛盾する。また、攻撃後に出されたこの種の発言は、結果が思わしくなかったことの“後出しの正当化”であり、軍事的な成果の不十分さを煙に巻く典型的な情報操作である。
2. 「精密攻撃」神話の再生産
イスファハンに対する攻撃が「巡航ミサイルによる表面的な攻撃にとどまった」という表現自体、精密誘導兵器の使用を強調し、「無差別ではない」「誤爆はない」「倫理的に制御された攻撃である」といった印象を与えるための演出に他ならない。だが現実には、どのような「精密兵器」であろうと、戦争における攻撃は常に意図せざる被害や曖昧な成果を伴う。報道はそうした現実から意図的に目を背けさせ、「限定的な、正確な攻撃」というフィクションを再生産している。
3. トランプ発言のプロパガンダ性
ドナルド・トランプ氏の発言も、情報操作の典型例として批判されるべきである。彼の言説は、事実関係を無視した断定、敵対者への誹謗中傷、自国の「無謬性(間違いのなさ)」の強調に貫かれており、軍事行動に対する正当化と国内向けプロパガンダの道具として機能している。トランプ氏の口から発せられる情報は、戦争という極限状況の中で真実を求めるには最も不適切な情報源であり、彼の発言を「信じるに値するか」という視点ではなく、「なぜこうした虚構が必要なのか」という文脈で分析されるべきである。
4. 報道の役割放棄と迎合姿勢
アメリカの主要メディアもまた、権力者の「発表」をそのまま報じ、検証や反証の視点を欠いたまま国際世論に流通させている。これは戦争報道における根源的な問題であり、メディアが本来果たすべき「権力の監視者」としての役割を放棄し、「大本営報道機関」と化していることを意味する。
実際、イスファハン攻撃の効果について報道される情報は、ほとんどが軍側からの「一方的な説明」に依拠しており、現地の被害状況や市民への影響、攻撃の法的根拠などについての調査報道は著しく欠如している。
結論
米国による戦争報道は、今日においても「情報戦」という戦争の一環として機能しており、国家の正当性を演出し、失敗や過失を覆い隠し、都合の悪い現実を糊塗する目的で組織的に運用されている。ケイン統合参謀本部議長の発言は、戦果が不明確な作戦に対する釈明以上の意味を持たず、トランプ氏の言説は煽動的なプロパガンダとして消費されるにすぎない。
情報を受け取る側は、こうした報道や発言を絶えず「疑う」姿勢を持ち続けなければ、真実には決して到達できないのである。
【寸評 完】🌺
【引用・参照・底本】
【イスファハン核施設の深部は地中貫通弾の射程範囲外=米軍高官】sputnik 日本
2025.06.2X
https://x.com/i/web/status/1938784326218588651