韓国よ、ルビコン川を渡る前に2023年12月14日 18:45

国立国会図書館デジタルコレクション「隅田川渡場之図」を加工して作成
 アメリカ合衆国商務次官(産業安全保障担当)アラン・エステベスが行った発言を取り上げ、アメリカ政府が半導体や先端技術分野において、同盟国と新たな多国間輸出統制体制について協議していることを報じている。

 多国間輸出統制体制の必要性の主張: エステベス次官は、現行の多国間輸出統制体制であるワッセナー協約(註)などが技術の変化に追いついていないとし、新たな輸出統制体制が必要だと主張した。これは、特に中国が先端技術を取得しようとする動きに対抗するための措置とされている。

 同盟国との協力: エステベス次官は、半導体や他の先端技術分野において、同盟国と協力して敵対勢力から保護するための輸出統制体制について協議が進められていることを明らかにした。同盟国として特に韓国が言及され、韓国が協力しない限り、新しい輸出統制体制は成り立たないとされている。

 中国けん制の視点: エステベス次官は、「戦いを始めたくない」としながらも、中国の先端技術をけん制する必要性を強調した。特に、中国の軍事技術の現代化に使われる可能性のある技術の輸出を防ぐため、新しい輸出統制体制が検討されていることが示唆されている。

 韓国の協力強調: ゴンザロ・スアレス国務省国際安全保障・不拡散局副次官補も、韓国が生産するセンシティブな品目が中国の軍事現代化プログラムに使われないようにする必要性を強調し、韓国の輸出統制への協力を呼びかけた。

 アメリカの戦略の一環としての同盟国の巻き込み: アメリカは、自国だけでなく同盟国を巻き込んで中国けん制の効果を高めることで、効率的な輸出統制を目指しているとされている。この戦略が実現する場合、韓国政府や企業に対する圧力が増大する可能性がある。

 アメリカと中国の技術競争や国際政治の動向において、韓国がどのような立場に置かれるかに関する重要な情報を提供している。

【要点】

2023年12月12日、米国商務次官のアラン・エステベス氏は、韓国で開かれた「韓米経済安全保障カンファレンス」で、半導体、スーパーコンピューター、量子コンピューティング、人工知能(AI)などの先端技術分野で、韓国をはじめとする同盟国と新たな多国間輸出統制体制について協議していることを明らかにした。

エステベス氏は、現在の多国間輸出統制体制であるワッセナー協約などは技術の変化速度に追いついていないとし、新たな輸出統制体制が必要だと述べた。ワッセナー協約は、1996年に締結された戦略物資輸出統制体制で、42カ国が加盟している。しかし、ロシアも参加しているため、対ロ制裁手段としては効果がないと指摘されてきた。

エステベス氏は、新たな輸出統制体制は、米国と同盟を敵から守るためのものであり、米国単独では実施できないと強調した。また、半導体などの分野では、技術と生産能力を備えた少数の国家が輸出統制体制を作ることができると語った。

韓国も新たな輸出統制体制への参加対象に挙げられていることについて、エステベス氏は「韓国は確かにそのような国であり、韓国が参加しない限り、それ(輸出統制体制)はできないだろう」と答えた。

また、エステベス氏は、新たな輸出統制体制は中国を排除するものではないと述べたが、先端半導体と量子コンピューティングなどの輸出統制の必要性を強調し、中国の軍事技術の現代化に使われてはならないと述べ、中国けん制に焦点を合わせていることを示唆した。

米国が新たな多国間輸出統制体制について協議している事実を公開したのは、自国独自の輸出統制では効率性が低く、米国企業だけが損害を被るという判断から、韓国など同盟国を巻き込んで中国けん制の効果を高めるためとみられる。米国がこのような枠組み作りと活用に乗り出せば、先端技術分野をめぐり韓国政府と企業への圧力も強くなると予想される。

米中両国は先月、サンフランシスコで開かれたジョー・バイデン大統領と習近平国家主席の首脳会談で、対立の拡散を防ぐことで合意したが、米国側の中国けん制の意志は続いている。米下院中国特別委員会は同日、中国から貿易最恵国待遇の地位を剥奪し、中国に対する先端技術の輸出統制を強化するよう求めるなど、約150の勧告事項を盛り込んだ報告書を発表した。中国特委は、中国資本が所有している動画共有プラットフォームTikTokの米国内事業中止の検討も勧告するなど、米中経済関係の大規模な調整が必要だと主張した。

今回の報道を受け、韓国政府は、新たな輸出統制体制への参加の可否について慎重に検討していく方針である。

・023年12月14日、米国商務次官のアラン・エステベス氏は、ワシントンで開かれた「韓米経済安全保障カンファレンス」において、半導体やスーパーコンピューター、量子コンピューティング、人工知能(AI)などの先端技術分野で、韓国をはじめとする同盟国と新たな多国間輸出統制体制について協議していると述べた。

・エステベス氏は、現在の多国間輸出統制体制であるワッセナー協約などは技術の変化速度に追いついていないとし、新たな輸出統制体制が必要だと説明した。ワッセナー協約は、1996年に締結された戦略物資輸出統制体制で、42カ国が加盟しているが、ロシアも参加しているため、対ロ制裁手段としては効果がないと指摘されてきた。

・エステベス氏は、新たな輸出統制体制は、米国とその同盟国を敵から守るためのものだとし、韓国も参加対象に挙げられていると述べた。また、先端半導体や量子コンピューティングなどの技術が中国の軍事技術の現代化に使われてはならないとし、中国けん制を念頭に置いた発言であることがうかがえる。

・韓国政府は、中国との関係を重視しており、新たな輸出統制体制への参加には慎重姿勢をとっている。しかし、米国からの圧力は強まると予想され、韓国政府は難しい判断を迫られることになるだろう。

・米中関係は、近年、米中貿易戦争や台湾問題などをめぐって緊張が高まっており、両国は軍事的にも対峙する構図となっている。米国は、中国の軍事力増強を阻止するため、先端技術の輸出統制を強化し、中国けん制を継続する方針とみられる。

・米国はアラン・エステベス商務次官(産業安全保障担当)が12日にワシントンで開かれた「韓米経済安全保障カンファレンス」で、半導体やスーパーコンピューター、量子コンピューティング、人工知能(AI)などの先端技術分野で、韓国をはじめとする同盟国と新たな多国間輸出統制体制について協議していると述べた。

・エステベス次官は、現在の多国間輸出統制体制であるワッセナー協約などは技術の変化速度に追いついていないとし、新たな輸出統制体制が必要だと明らかにした。ワッセナー協約は1996年に締結された戦略物資輸出統制体制で、42カ国が加盟しているが、ロシアも参加しているため、対ロ制裁手段としては効果がないと指摘されてきた。

・エステベス次官は、米国独自の輸出統制では効率性が低く、米国企業だけが損害を被るという判断から、韓国など同盟国を巻き込んで中国けん制の効果を高めるため、新たな多国間輸出統制体制の構築を進めていると説明した。

・韓国も新たな輸出統制体制への参加対象に挙げられているかという質問に、エステベス次官は「韓国は確かにそのような国であり、韓国が参加しない限り、それ(輸出統制体制)はできないだろう」と答えた。

・エステベス次官は、新たな輸出統制体制は中国を排除するものなのかという質問に、「戦いを始めたくない」と答えたが、先端半導体と量子コンピューティングなどの輸出統制の必要性を強調し、このような技術が「中国の軍事技術の現代化に使われてはならない」などと述べ、中国けん制に焦点を合わせていることを示唆した。

・同カンファレンスのパネルとして出席したゴンザロ・スアレス米国務省国際安全保障・不拡散局副次官補も「韓国のような域内国家での生産された(軍事転用できる)センシティブな品目が、中国の軍事現代化プログラムに使われないようにすることが重要だ」とし、輸出統制への韓国の協力を強調した。

・米国が新たな多国間輸出統制体制について協議している事実を公開したのは、自国独自の輸出統制では効率性が低く、米国企業だけが損害を被るという判断から、韓国など同盟国を巻き込んで中国けん制の効果を高めるためとみられる。

・米国がこのような枠組み作りと活用に乗り出せば、先端技術分野をめぐり韓国政府と企業への圧力も強くなると予想される。

・米中両国は先月、サンフランシスコで開かれたジョー・バイデン大統領と習近平国家主席の首脳会談で、対立の拡散を防ぐことで合意したが、米国側の中国けん制の意志は続いていると言えるる。

・米下院中国特別委員会は同日、中国から貿易最恵国待遇の地位を剥奪し、中国に対する先端技術の輸出統制を強化するよう求めるなど、約150の勧告事項を盛り込んだ報告書を出した。中国特委は、中国資本が所有している動画共有プラットフォームTikTokの米国内事業中止の検討も勧告するなど、米中経済関係の大規模な調整が必要だと主張した。

【桃源寸評】
 
 韓国は、半導体やIT産業において世界をリードする国などと己惚れていると日本の二の舞となる。
 米国の真の意図、つまり、〈敵は本能寺に在り〉で“敵は韓国に在り”かも知れない。アメリカは同盟国を経済的に支配し、自国の利益のために利用してきた。

 此の米国の同盟国搾取は、古くはソ連(現ロシア)に指摘されている。ケネディ大統領の演説(「The Strategy of Peace」16頁)の中で、引用している。
「the political aims of the American imperialists are to enslave economically and politically the European and other capitalist countries」
 "アメリカ帝国主義者の政治的狙いは、ヨーロッパや他の資本主義諸国を経済的、政治的に奴隷化することである。"(私訳)と。

 これ等の引用は決して過去のものではない。源氏の世界で、目の前で策されているのだ。

 米国は、同盟国との協調関係よりも敵対関係を好む傾向にある。更に、自国より優れたものを決して許さない。

 韓国よ、ルビコン川を渡る前に、善く善く先を洞察することだ。
 
 全世界の動きを見よ。非西側の動きを見よ。

(註)
ワッセナー協約(Wassenaar Arrangement)は、先進国間で軍事技術やデュアルユース技術(軍民両用技術)セナーで署名され、翌1997年に発効しました。協定の名称は署名された場所に由来している。

ワッセナー協約の目的は、軍事転用可能な技術やデュアルユース技術が不正に輸出され、軍事目的に利用されるのを防ぐことである。具体的には、ミサイル技術、爆発物関連技術、航空機、航空機エンジン、軍用車両、暗号機器、レーダー、およびコンピュータなど、特定の軍事用途に使える様々な技術が対象となる。

ワッセナー協約は参加国による自主的な合意であり、その内容や制御対象技術のリストは参加国が協議して決定される。協約に参加する国々は、国内法を整備し、規制や輸出ライセンスの発行を通じてワッセナー協約の原則に基づいて輸出を制御する。

この協約は、国際的な平和と安定を維持するために軍事技術の拡散を制限する重要な枠組みと見なされている。ワッセナー協約の目的や対象技術は、国際的な安全保障や軍備管理の観点から注目されている。

ロシアは、1996年にワッセナー協約に加盟した。しかし、2022年2月にウクライナに侵攻したことを受け、同年3月8日に協約から脱退した。

ロシアの脱退により、ワッセナー協約は実効性が低下するとの懸念が広がっている。ロシアは、半導体や原子力などの先端技術において重要な役割を果たしており、その脱退により、これらの技術の不拡散が難しくなる可能性があるからである。

米国は、ロシアの脱退を受けて、韓国や日本など同盟国と新たな多国間輸出統制体制の構築を進めている。この体制は、ワッセナー協約に代わる新たなルールを定めるものであり、中国へのけん制も目的とされている。

韓国は、米国の新たな輸出統制体制への参加について、慎重に検討を進めている。韓国は、半導体やIT産業において世界をリードする国であり、新たな体制への参加は、韓国の経済にも大きな影響を与える可能性がある。

(註はブログ作成者が参考の為に付記した。)

引用・参照・底本

中国けん制に韓国を巻き込む米国…半導体の輸出統制への参加に言及 ハンギョレ新聞 2023.12.14

限りなく不透明の韓国・和蘭半導体同盟2023年12月14日 19:14

国立国会図書館デジタルコレクション「昔語忠義の礎」を加工して作成
 韓国の尹錫悦大統領がオランダを国賓訪問中で、オランダのマルク・ルッテ首相との首脳会談を行っているとのことである。

 半導体同盟の構築: 尹大統領のオランダ訪問の主眼は「半導体同盟」の構築にあるとされている。両国は「半導体同盟」に関する共同声明を発表する予定であり、経済安全保障に焦点を当て、年次経済安全保障対話の新設や半導体対話体の設置などが発表される見通しである。

 ルッテ首相の政界引退: ルッテ首相が政界引退を宣言しており、この情報が注目を集めている。移民政策に対する連立パートナーとの見解の相違から引退を決断し、これによりオランダ政界での13年間の在任期間が終了した。

 政権党の変動と不透明性: オランダでは早期総選挙が行われ、自由党が多数派となった。しかし、連立構築が難航しており、政権の動向が不透明である。連立パートナーの意向や自由党が政権獲得に成功するかどうかが注目されている。

 半導体同盟の持続性への懸念: ルッテ首相の政界引退に伴い、新しい首相が登場する可能性がある。この交代が半導体同盟にどのように影響するかは不透明であり、持続性に関する懸念が示唆されている。

 半導体同盟構築の一環としての尹大統領の訪問に焦点を当てつつも、オランダ内部の政治状況や首相の引退に伴う不確実性にも触れている。

【要点】

韓国の尹錫悦大統領がオランダを国賓訪問し、マルク・ルッテ首相と首脳会談を行なった。この会談で、両国は「半導体同盟」を構築することで合意し、共同声明を発表した。

しかし、この合意には、ルッテ首相の政界引退という不確実性が付きまとう。ルッテ首相は、移民政策をめぐる連立パートナーとの見解の相違から、7月に政界引退を表明した。

オランダでは、先月22日に早期総選挙が行われ、ルッテ首相の所属する自由民主国民党は3位にとどまった。多数党となった極右勢力の自由党は、EU脱退や移民の制限などを掲げており、政権を握った場合、今後のオランダ政府の政策に大きな変化が予想される。

自由党が政権獲得に成功した場合、ルッテ首相の政界引退は早まる可能性がある。また、自由党が政権獲得に失敗した場合でも、連立政権の構成に時間がかかれば、ルッテ首相の政界引退は遅れる可能性がある。

尹大統領は、半導体同盟の構築を重要視しており、ルッテ首相との首脳会談を「半導体訪問」と表現している。しかし、ルッテ首相の政界引退という不確実性により、この合意が長期的に維持されるかどうかは不透明である。

尹大統領は、これらの懸念を払拭し、韓国とオランダの半導体協力を長期的に継続させることができるのか、今後の対応が注目される。

・自由党が政権を握った場合、半導体産業への支援や、韓国との協力関係を維持する意欲が弱くなる可能性がある。
・連立政権の構成が遅れた場合、両国の間で半導体技術の共有や、サプライチェーンの強化など、具体的な協力策を打ち出すことが難しくなる可能性がある。
・尹大統領は、ルッテ首相の政界引退後も、半導体同盟の構築を推進していく意向を示している。しかし、オランダの政局次第では、この合意が頓挫する可能性も否定できない。

・ルッテ首相が政界引退を撤回する可能性
・自由党が政権を獲得し、オランダ政府の政策が大きく変化する可能性
・自由党と連立政権を組む政党が決まらず、連立政権の構成が遅れる可能性

引用・参照・底本

韓国・オランダ「半導体同盟」…政界引退間近の首相が署名 ハンギョレ新聞 2023.12.14

[コラム]半導体同盟? 習慣性「物乞い外遊」だ ハンギョレ新聞 2023.12.13

尹錫悦、〈屋上屋を架す〉か2023年12月14日 19:46

国立国会図書館デジタルコレクション「昔語忠義の礎」を加工して作成
 (ユン・ソクヨル)大統領の外遊に対する批判的なコラムの内容である。

 外遊の目的と特徴

 尹錫悦大統領夫妻のオランダ訪問は、今年13回目の外遊とされている。外遊の目的について疑問を投げかけており、特に「半導体同盟の強化」が実際には大義名分ではなく、企業支援よりも外遊のための口実である可能性を指摘している。

 半導体同盟の強化に対する疑問

 ASMLのクリーンルームを訪れる大統領の訪問は、実務的な必要性よりも外遊のための口実であるとの見方が示されている。国内企業との協力は政府の介入なしに進んでおり、半導体同盟を強化する必要がないとされている。

 釜山万博の疑問

 釜山万博についても、なぜ政府が急に力を注ぐようになったのかに疑問が投げかけられている。これが外遊のための企画であるとは考えにくい規模であるとしつつも、その理由については理解し難いと述べている。

 財閥の動員と政治経済結びつきの疑念

 尹錫悦政権が財閥を政治的な目的に利用しているという疑念を提起している。釜山万博の失敗に対する謝罪と、財閥の会長たちを市場で試食させる場面が、政治と財閥の結びつきを強調している。

 尹大統領と財閥の関係

 尹大統領と財閥の会長たちとの関係が習慣的な物乞いになぞらえられ、政治経済の結びつきに批判的な立場をとっている。一部では、財閥が協力すれば安全が保障されるという構図が指摘されている。

 外交的な比較

 過去の政権と比較して、尹錫悦政権が外交的に無能で安易であるとの見方が提示されている。釜山万博の誘致において、財閥や韓流に頼って成金的な姿勢を見せたとして、その失敗が指摘されている。

 結びつけられる経済指標

 尹大統領が外遊や財閥への依存に夢中である間に、潜在成長率や出生率などの経済指標が韓国がピークを過ぎていることを示唆しており、その点についての懸念が表明されている。

 【要点】

尹大統領の外遊は、特別な外交懸案がない中で、国内向けに企画されており、財閥が動員されている。

釜山万博誘致も、外遊を目的とした企画だったのではないかという疑念がある。

尹大統領は、財閥を国内政治に利用しており、新たな政経癒着が芽生えているのではないかと懸念される。

まず、オランダ訪問の目的は「半導体同盟の強化」とされている。しかし、実際は、サムスン電子のイ・ジェヨン会長が昨年すでにASMLを訪問しており、政府がかかわらずとも半導体企業の協力は進んでいると指摘している。また、米国の先端半導体の対中国輸出禁止方針にオランダ政府とASMLも同調しているので、韓国政府があえて改めて強化する必要はないとしている。

また、釜山万博誘致についても、サウジのリヤドが有力という多くの外国メディアの報道を無視してまで、韓国が誘致に乗り出した理由が分からないと指摘している。この万博誘致をきっかけに、尹大統領が国内政治で目立とうとしたのではないかと推測している。

さらに、サムスン電子のイ・ジェヨン会長が釜山の市場で試食する写真は、財閥を国内政治に利用した象徴的なシーンだと指摘している。尹大統領が財閥を赦免したり、法人税を減免したりするなど、財閥に有利な政策を実施していることから、財閥が尹大統領に協力する代わりに、安全が保障されているのではないかと分析している。

尹大統領が財閥を習慣的に動員する行為は、自由市場経済を侵害するものであると指摘している。また、尹大統領の外遊と「大統領ごっこ」は、韓国がピークを過ぎつつあることを直視せず、過去の成功にすがろうとする姿勢の表れであると批判している。

尹大統領の外遊と財閥の利用について、批判的な立場から指摘している。尹大統領の支持率は、就任直後から低迷しており、その流れに拍車をかけるものとみられる。

・オランダ訪問

尹大統領のオランダ訪問の日程が、「半導体同盟の強化」という大義名分に矛盾していると指摘している。

オランダは、半導体製造装置の最大手であるASMLの本拠地である。しかし、尹大統領が訪問したASMLのクリーンルームは、既にサムスン電子などが訪問しており、新たな成果を期待することは難しい。

また、オランダ政府とASMLは、米国の先端半導体の対中国輸出禁止方針に同調しており、韓国政府が「半導体同盟」を強化する必要性は薄い。

さらに、尹大統領が訪問した李儁(イ・ジュン)烈士博物館は、韓国の独立運動家である李儁を記念する博物館である。しかし、韓国とオランダには、歴史的・文化的なつながりが薄く、李儁烈士博物館を訪問する意義は大きいとは言えない。

・釜山万博

釜山万博の誘致失敗について、尹大統領政権の外交的無能さを露呈したものであると指摘している。

尹大統領政権は、釜山万博の誘致を重視し、国内の政治的な支持を得ようとした。しかし、サウジアラビアが誘致を表明したことで、韓国の勝利は事実上不可能となった。

また、尹大統領政権が、サウジアラビアの誘致を阻止するために、中国や日本などの周辺国と対立したのではないかと指摘している。

・財閥

尹大統領が財閥を動員する行為について、自由市場経済を侵害するものであると指摘している。

尹大統領は、検事時代に財閥の不正を厳しく追及してきた。しかし、大統領になってからは、財閥の支援を得て、国内の政治的な支持を得ようとしている。

尹大統領と財閥の関係は、政権と財閥の癒着につながるのではないかと懸念している。

・外交・経済政策

尹大統領政権の外交・経済政策について、将来を見据えたものであるとは言えないと指摘している。

尹大統領政権は、反共・親米路線を堅持しており、中国や北朝鮮との対立を深めている。また、財閥を頼った経済政策は、韓国の経済成長を鈍化させると懸念されている。

尹大統領政権は、過去の成功にすがろうとするだけで、将来を見据えた政策を打ち出せていないと指摘している。

尹錫悦大統領の外遊と財閥の利用について、批判的な見方を示している。

・特別な外交懸案がない
・国内向けに企画された
・財閥が動員された

・特別な外交懸案がないにもかかわらず、国内向けのパフォーマンスとして企画されたのではないか。
・財閥を動員して、国内の政治的な支持を得ようとしたのではないか。
・釜山万博の誘致失敗についても、同様の疑問が指摘されている。

・尹大統領は、財閥に恩を売って、財閥を動員しているのではないか。
・財閥を動員する行為は、自由市場経済を侵害するものである。
・さらに、尹大統領政権の外交や経済政策を批判している。

釜山万博の誘致失敗は、尹大統領政権の外交的無能さを露呈したものである。
尹大統領政権は、過去の成功にすがろうとするだけで、将来を見据えた政策を打ち出せていない。

引用・参照・底本

[コラム]半導体同盟? 習慣性「物乞い外遊」だ ハンギョレ新聞 2023.12.13

尹錫悦、粉飾成果か2023年12月14日 20:46

国立国会図書館デジタルコレクション「斧定九郎・早野勘平」を加工して作成
 韓国の尹錫悦大統領がオランダを国賓訪問し、「半導体同盟」の成果を大々的に広報したことに対する内容である。

 尹大統領はオランダ国賓訪問を通じて、韓国とオランダが「半導体同盟」を結ぶ成果を達成したと宣伝している。具体的には、オランダの最先端半導体装備メーカーであるASMLとの協力を強調し、「外国首脳の初のASMLクリーンルーム訪問」や「両国とも特定国家との半導体同盟構築は初めて」といった点を強調している。しかし、このこれらの主張に対して冷静に検証する必要があると指摘している。

 サムスン電子とASMLが2000年代から半導体技術・装備の協力を続けており、尹大統領の訪問がそれを契機にしたものではなく、すでに企業間で進行していた協力が政治的な成果として強調されていると指摘している。また、米国が韓国や台湾の半導体企業とオランダ、日本との「半導体同盟」を構築している中で、今回の国賓訪問がどのような実質的な成果をもたらしたのか疑問視している。さらに、このような広報が中国を刺激する可能性があり、国益に対してどのような効果があるのか不明確であると指摘している。

 尹大統領の国賓訪問や企業との連携を通じて政治的利益を追求してきた姿勢についても厳しく批判している。財閥トップを率いての国賓訪問が政経の利益を追求する一環であり、これが独裁国家のような姿勢を示し、政経の癒着を招く可能性があるとして、その姿勢を改めるよう求めている。

【要点】

韓国の尹錫悦大統領のオランダ国賓訪問を巡り、韓国政府の広報姿勢を批判する内容である。

社説は、尹大統領がオランダ国賓訪問を通じて、韓国とオランダが「半導体同盟」を結ぶ成果を成し遂げたと強調していることに対し、韓国の国民は首をかしげていると指摘する。

その理由として、サムスン電子とASMLは2000年代から半導体超微細工程技術・装備開発協力を続けており、サムスン電子のイ・ジェヨン会長は昨年すでにASMLのクリーンルームを訪問していることを挙げている。

また、サムスン電子とASMLは今回の国賓訪問に合わせて、韓国に研究所を設立し、次世代露光装備を共同開発することで業務協約(MOU)を結んだが、これは以前にも大統領の歴訪に合わせて企業が相手企業と業務協約を締結し、それを歴訪の成果に含ませる例はあったと指摘する。

しかし、今回の場合は、尹大統領がオランダに向かう専用機で参謀たちと「半導体戦略会議」をしたとし、企業間の協約を国家間の事業であるかのように「半導体同盟」と飾り立てるなど、あたかも大統領が乗り出して一挙に解決したかのように前面に出すことは以前にはなかったと批判している。

さらに、今回行われたという「半導体同盟」の実体についても疑問を呈している。

米バイデン政権はすでに就任直後から韓国・台湾の半導体企業とオランダの装備、日本の素材・部品を束ねる「半導体同盟」の構図を作っており、中国を牽制している。

すでに米国が作った「半導体同盟」構造の中で、韓国もオランダも協力している状況であり、今回の国賓訪問が今更どのような「半導体同盟」を作ったというのか、と疑問を投げかけている。

また、こうしたやり方で「半導体同盟」を強調することは、韓国の国内広報用としては良いかもしれないが、中国をあらためて刺激することであり、国益にどのような役に立つのか分からないと指摘している。

尹大統領夫妻の頻繁な国賓訪問をめぐる国民の厳しい視線をそらすことは難しいだろうと指摘し、歴訪の度に財閥トップを大勢率いて大統領の政治的利益のために利用してきたことも、もうやめてほしいと訴えている。

韓国の国内で広く共有されている意見であり、尹大統領の広報姿勢に対する批判の声の高まりを反映している。

引用・参照・底本

[社説]サムスンーASML協力を「半導体同盟」と飾り立てた尹大統領国賓訪問=韓国 ハンギョレ新聞 2023.12.14

尹大統領「偉大な国作る」…半導体で始まり報勲で終えたオランダ訪問  
中央日報 2023.12.14

韓国とオランダ「半導体同盟」を公式に明文化…ホットラインも作る 中央日報 2023.12.14

韓国、最大約130基の北朝鮮偵察・監視衛星2023年12月14日 21:10

国立国会図書館デジタルコレクション「斧定九郎・早野勘平」を加工して作成
 韓国軍と情報当局が2030年代初頭までに最大約130基の対北朝鮮偵察・監視用衛星を地球低軌道(高度約500キロ)に配置する計画を進めていることが分った。韓国軍が開発中の固体燃料ロケットは、2025年に最終の打ち上げ実験が実施される予定で、この実験が成功すれば、固体燃料ロケットを使用して大量の小型・超小型衛星を地球低軌道に打ち上げる計画がある。

 これは北朝鮮の核・ミサイルの脅威をリアルタイムで追跡・監視するための「対北朝鮮宇宙偵察網」を構築する一環としている。韓国軍は、2024年から2028年までの国防中期計画に基づき、2030年までに超小型衛星(100キロ未満)約40基を打ち上げる計画を発表した。これに加えて、軍と情報当局が運用する他の多数の小型・超小型衛星を北朝鮮に対する偵察・監視用に活用することが計画されている。

 政府消息筋によれば、2025年に韓国軍が開発した固体燃料ロケットが最終打ち上げに成功すれば、1回の打ち上げで3~5基の超小型衛星を搭載でき、これを活用して北朝鮮の核・ミサイル基地などの主要標的の動向や挑発の兆候をほぼリアルタイムで把握することができるとされている。

【要点】

韓国軍と情報当局は、2030年代初頭までに最大約130基の対北朝鮮偵察・監視用衛星を地球低軌道に配置する計画である。

この計画の実現には、固体燃料ロケットの開発・運用の成功が不可欠である。韓国軍は、この計画の実現に向けて、引き続き固体燃料ロケットの開発を進めていくものと見られる。

この計画は、北朝鮮の核・ミサイルの脅威をリアルタイムで追跡・監視するためである。韓国軍は、2024年から2028年までの国防中期計画で、超小型衛星(100キロ未満)約40基を打ち上げることを発表している。これに加え、軍と情報当局が運用する多数の小型・超小型衛星を北朝鮮に対する偵察・監視用に戦力化する考えである。

韓国軍が開発中の固体燃料ロケットは、1回の打ち上げで3~5基の超小型衛星を搭載できる。このロケットが最終打ち上げに成功すれば、韓国は独自に大量の小型・超小型衛星を打ち上げることができるようになる。これにより、北朝鮮の核・ミサイル基地など主要標的の動向や挑発の兆候をほぼリアルタイムで把握することができるようになると期待されている。

この計画は、韓国の北朝鮮に対する軍事的抑止力を強化する上で重要な役割を果たすと考えられる。また、北朝鮮の核・ミサイル開発を抑制する効果も期待される。

・韓国軍と情報当局は、2030年代初頭までに最大約130基の対北朝鮮偵察・監視用衛星を地球低軌道(高度500キロ前後)に配置する計画を立てている。この計画は、北朝鮮の核・ミサイルの脅威をリアルタイムで追跡・監視する「対北朝鮮宇宙偵察網」の構築を目指している。

・この計画の実現には、韓国軍が開発中の固体燃料ロケットの最終打ち上げ実験が成功することが不可欠である。この実験は、2025年に実施される予定である。実験に成功すれば、韓国は小型・超小型衛星を独自に大量に打ち上げることができるようになる。

・韓国軍は、2024年から2028年までの国防中期計画において、超小型衛星(100キロ未満)約40基を打ち上げる計画を発表している。この計画に加え、軍と情報当局が運用する多数の小型・超小型衛星を北朝鮮に対する偵察・監視用に戦力化する考えである。

・政府消息筋によると、固体燃料ロケットは1回の打ち上げに3~5基の超小型衛星を搭載することができる。これにより、北朝鮮の核・ミサイル基地など主要標的の動向や挑発の兆候をほぼリアルタイムで把握することができるようになると期待されている。

・この計画は、北朝鮮の核・ミサイル開発が進む中、韓国の安全保障上の脅威に対処するためのものである。また、韓国の宇宙開発技術の向上にもつながるものと期待されている。

・この計画の実現には、固体燃料ロケットの最終打ち上げ実験の成功が不可欠である。また、衛星の開発・製造や運用にかかる費用の確保なども課題となる。

・打ち上げ時期:2026年~2030年
・打ち上げ機:韓国軍が開発中の固体燃料ロケット
・打ち上げ衛星:超小型衛星約40基、既存の小型衛星約90基
・目的:北朝鮮の核・ミサイルの脅威をリアルタイムで追跡・監視

・北朝鮮の核・ミサイルの開発・配備状況をリアルタイムで把握できるようになる。
・北朝鮮の核・ミサイルの発射準備や発射を早期に発見できるようになる。
・北朝鮮の核・ミサイル攻撃を阻止するための効果的な対応策を迅速に検討・実施できるようになる。

引用・参照・底本 

韓国軍、偵察衛星約130基打ち上げ「北朝鮮監視網」 東亜日報 2023.12.14