対外支援法案の台湾関連内容について非難2024年04月24日 23:20

国立国会図書館デジタルコレクション「幼童席書会」を加工して作成
 中国外交部の報道官は、米議会上院が可決した対外支援法案の台湾関連内容について非難した。彼らは、「米台の軍事的結びつきの強化は、台湾の安全をもたらすどころか、『台湾独立』の失敗を招き、台湾海峡の緊張と対立を増大させ、最終的には自分たちの足をすべらせるだけであろう」と述べた。

 また、報道官は、「米国は一つの中国の原則と中米の三つの共同コミュニケの規定(註)を厳守し、『台湾独立』を支持しないという米国首脳の約束を実行し、台湾の武装を中止し、台湾海峡の緊張を増大させることをやめ、台湾海峡の平和と安定を脅かすことをやめるべきだ」と呼びかけた。

 さらに、中国は関連法案の動向を厳密に追跡し、自国の主権、安全保障、領土の保全を守るために断固とした措置を取るとの意志を表明した。

【視点】

中国、米台の軍事結託強化を非難:台湾海峡の緊張高まる

北京発:中国外交部は24日、米議会上院が可決した対外支援法案の台湾関連条項について強い非難を表明した。汪文斌報道官は定例記者会見で、「米台の軍事結託強化は台湾に安全をもたらすどころか、かえって台湾海峡の緊張を高め、衝突と対立のリスクを招き、米国自身に跳ね返るだけだ」と指摘した。

法案には、台湾への武器売却加速や米国兵の台湾駐留強化などの内容が含まれている。中国側は、これらは「一つの中国」原則と中米共同声明に違反する行為であり、台湾独立を助長するものだと強く批判している。

汪報道官は米国に対し、台湾への武器供与停止、台湾海峡への軍事介入撤回などを強く求めた。また、中国は自国の主権と安全を守るために必要な措置を講じることを表明している。

米台間の緊張は、近年高まり続けている。バイデン政権は、台湾へのコミットメントを再三表明しており、中国軍機による台湾周辺への接近も常態化している。今回の法案可決は、米台関係の新たな火種となる可能性があり、台湾海峡の情勢は今後さらに厳しさを増すことが懸念される。

・中国外交部の汪文斌報道官は24日、米議会上院が可決した対外支援法案の台湾関連内容について記者会見を行い、米台の軍事結託強化は台湾に安全をもたらさず、かえって台湾海峡の緊張を高めるだけだと強く批判した。

・汪氏は、「米台の軍事結託強化は、台湾に安全をもたらすことはなく、『台湾独立』が失敗に終わる運命を変えることもできず、台湾海峡の緊張情勢と衝突・対抗のリスクを押し上げるだけで、結局は自らが招いた災いを被る愚行だ」と指摘した。

・さらに、「米国は一つの中国の原則と中米三つの共同コミュニケの規定を厳守し、台湾独立を支持しないという米国首脳の約束を実行に移し、台湾への武器供与を停止し、台湾海峡の平和と安定を脅かすのを止めなければならない」と要求した。

・中国側は、台湾問題に関わる法案の動向を注視し、自国の主権、安全保障、領土保全を守るために断固たる措置を取ることを表明している。

・この発言は、米台関係の緊張がさらに高まっていることを示している。今後、中国がどのような具体的な措置を取るのか、国際的な注目が集まっている。

・中国外交部は24日、米議会上院が可決した対外支援法案に盛り込まれた台湾関連条項について強い非難を表明した。汪文斌報道官は定例記者会見で、「米台の軍事結託強化は台湾に安全をもたらすことはなく、『台湾独立』が失敗に終わる運命を変えることもできず、台湾海峡の緊張情勢と衝突・対抗のリスクを押し上げるだけで、結局は自らを苦しめることになるだろう」と述べた。

・汪報道官はさらに米国に対し、「一つの中国の原則と中米三つの共同コミュニケの規定を厳守し、『台湾独立』を支持しないという米国首脳の約束を実行に移し、台湾への武器供与を停止し、台湾海峡における緊張を高めるような行動を直ちに中止すべきだ」と要求した。

・中国側は、台湾問題に関わる米国の行動は中国の主権と安全保障利益を嚴重に損なうものであり、断固たる反対と決然たる措置で臨むことを表明している。この動きは、台湾海峡の緊張をさらに高め、米中関係に悪影響を及ぼす可能性がある。

・中国は、米台の軍事関係強化を台湾海峡の平和と安定に対する重大な脅威と捉えている。

・中国は、米国に対し台湾への武器供与停止など具体的な措置を求めている。

・今後の米中関係と台湾海峡の情勢は、米国の対応如何によって左右される可能性が高い。

【註】
米国の一つの中国の原則と中米の三つの共同コミュニケの規定は、中米関係における台湾問題に関する重要な枠組みとなっている。

一つの中国の原則 (One China Principle):この原則は、中華人民共和国が唯一の中国であり、台湾は中国の一部であるという考え方を指す。これは中国が台湾を主権の一部として主張する立場であり、台湾の独立を認めない立場を表明している。

米国は1979年の米中共同声明において一つの中国の原則を確認し、台湾の主権をめぐる紛争に公式に介入しないことを表明した。

中米の三つの共同コミュニケ (Three Joint Communiques between China and the United States):これらの共同コミュニケは、米中関係における台湾問題を規定する枠組みである。

1972年の上海コミュニケ、1978年の中米共同声明、そして1982年の中米共同声明の3つが含まれる。

これらの文書では、米国は台湾を中国の一部として認識し、台湾の独立を支持しないことを明確にした。

同時に、米国は台湾に対する武器売却を維持し、台湾の安全保障を確保するという立場も示されている。

これらの原則と共同コミュニケは、米中間の台湾問題における基本的な方針を定め、両国の関係の安定性を確保するための枠組みとして機能している。

・1972年の上海コミュニケは、アメリカ合衆国と中華人民共和国の間で行われた歴史的な会談、具体的には米国大統領リチャード・ニクソンと中国の指導者である毛沢東の間での会談に基づく合意文書である。以下はその要点である。

台湾問題の解決:上海コミュニケでは、台湾問題の平和的解決を支持し、両国間の対話と交渉に基づく解決を目指すという合意が含まれている。米国は台湾の主権を支持せず、一つの中国の原則を受け入れることを表明した。

国際連合への席次問題:上海コミュニケは、中国が国際連合の安全保障理事会の常任理事国としての地位を維持することを確認した。同時に、米国は中国が国際連合の正式なメンバーとして認識されることを支持した。

国交正常化への道:この合意は、両国の間で国交正常化の交渉を開始することを決定した。これはその後、1979年に米中共同声明を通じて実現した。
上海コミュニケは、冷戦時代における米中関係の歴史的な転換点となった。この合意は両国の間での対話と協力の基盤を築き、国際政治の舞台における中国の地位を確立する上で重要な役割を果たした。

・1978年の中米共同声明は、アメリカ合衆国と中華人民共和国の間で行われた重要な合意であり、以下の主な要点が含まれている。

台湾問題の解決:中米共同声明では、アメリカ合衆国は台湾を中国の一部として認識し、台湾に対する外交的関係を断絶した。これは一つの中国の原則を明確に支持するものであった。

国交正常化:この声明は、アメリカ合衆国と中華人民共和国の間で国交正常化を実現することを確認した。これにより、両国は正式な外交関係を樹立し、大使館を相互に開設することとなった。

台湾関連の米中軍事協力の終了:中米共同声明は、アメリカ合衆国が台湾との間での軍事協力を終了することを表明した。これは、台湾に対する武器供与や軍事支援などの活動を停止することを意味している。

平和的解決の促進:声明は、台湾問題の平和的解決を目指すことを再確認した。両国は対話と協議を通じて台湾の将来に関する合意を模索することを支持した。
1978年の中米共同声明は、中国と米国の間で長年続いた敵対的な関係を終結させ、新たな協力関係の基礎を築く上で重要な役割を果たした。これにより、両国の外交関係は大きく変化し、地域および国際政治の安定性に寄与した。

・1982年の中米共同声明は、アメリカ合衆国と中華人民共和国の間で行われた合意文書であり、1979年の米中共同声明に続くものである。以下はその主な要点である。

台湾関連の米中軍事協力の停止:中米共同声明では、アメリカ合衆国が台湾との間での軍事協力を完全に終了することを再確認した。
これにより、米国は台湾に対する武器供与や軍事支援などの活動を停止し、台湾海峡の安定を図るための措置を取ることが明記された。

一つの中国の原則の再確認:中米共同声明は、アメリカ合衆国が一つの中国の原則を再確認し、台湾を中国の一部として認識することを表明した。
これにより、台湾問題における米中間の基本的な枠組みが再確認され、両国の外交関係の安定性が強化された。

対話と協議の重要性の強調:中米共同声明は、台湾問題の平和的解決を目指すための対話と協議の重要性を再確認した。
両国は台湾の将来に関する合意を模索するための積極的な姿勢を示し、台湾海峡の安定と平和を促進するための努力を継続することを約束した。
1982年の中米共同声明は、台湾問題に関する米中間の基本的な方針を再確認し、両国の外交関係の安定性を強化する重要な文書であった。これにより、両国は台湾問題に対する共通の立場を明確にし、地域の平和と安定を維持するための共同努力を続けることが可能となった。

・中米の三つの共同コミュニケは、台湾問題における米中関係の枠組みを定める重要な文書であり、その中で米国の台湾に対する武器売却維持との関連が確立されています。

これらの共同コミュニケは、台湾問題に関する米中間の基本的な方針を規定し、両国の外交関係の安定性を図るための枠組みとして機能しています。一つの中国の原則や台湾の主権をめぐる一貫した立場を再確認し、台湾問題の平和的解決を目指すための対話と協議を支持しています。

一方、米国の台湾に対する武器売却維持は、米国が台湾の自衛能力を支援し、台湾海峡の安定と平和を確保するための政策です。これは中米共同コミュニケにおける一つの中国の原則とは異なる側面であり、米国が台湾の安全保障に対するコミットメントを示すものです。

したがって、中米の共同コミュニケと米国の台湾に対する武器売却維持は、両国の間で異なる政策面を表していますが、同時に台湾問題における米中関係の安定性と平和的解決を促進するための共通の目標を追求するものとして結びついています。

・中米の三つの共同コミュニケにおいて、具体的に米国の台湾に対する武器売却維持が直接的に言及されているわけではありません。これらの文書は、台湾問題における米中の基本的な立場を定め、台湾の将来に関する対話と協議の重要性を強調しています。一方で、米国の台湾への武器供与や軍事支援は、これらの共同コミュニケの精神に沿って、台湾の安全保障を確保するための政策として展開されています。

具体的には、米中共同声明や中米共同声明は、一つの中国の原則を再確認し、台湾問題の平和的解決を目指す対話と協議を支持しています。一方で、米国は台湾の自衛能力を強化するために武器供与を行っており、これは台湾の安全保障を確保し、台湾海峡の安定を維持するための措置の一環として行われています。

そのため、米国の台湾に対する武器供与政策は、中米の共同コミュニケの枠組みの中で直接的に言及されているわけではありませんが、両国間の台湾問題における基本的な方針と両立して行われています。

・中国が米国の対外支援法案の台湾関連内容について非難していることは、中国が一貫して台湾問題に対する強い立場を取っていることを反映しています。中国は、台湾を自国の一部と見なし、台湾に対する外部の支援や関与を厳しく非難しています。特に、軍事的な支援や武器売却に対する反発が強い傾向があります。

中国の立場は、一つの中国の原則に基づき、台湾の独立を認めず、外国からの台湾への支援を阻止することに焦点を当てています。そのため、米国や他の国が台湾に対する武器供与や支援を行うと、中国はこれを台湾問題への干渉とみなし、強く非難することが予想されます。

中国の非難は、台湾問題が中国の国内政治的および国際政治的な核心的利益であるという立場に基づいています。そのため、中国は台湾に対する外部の支援や干渉に対して断固たる反応を示すことがあります。

・中国が米国の対外支援法案の台湾関連内容について非難していることは、中国が一貫して台湾問題に対する強い立場を取っていることを反映しています。中国は、台湾を自国の一部と見なし、台湾に対する外部の支援や関与を厳しく非難しています。特に、軍事的な支援や武器売却に対する反発が強い傾向があります。

中国の立場は、一つの中国の原則に基づき、台湾の独立を認めず、外国からの台湾への支援を阻止することに焦点を当てています。そのため、米国や他の国が台湾に対する武器供与や支援を行うと、中国はこれを台湾問題への干渉とみなし、強く非難することが予想されます。

中国の非難は、台湾問題が中国の国内政治的および国際政治的な核心的利益であるという立場に基づいています。そのため、中国は台湾に対する外部の支援や干渉に対して断固たる反応を示すことがあります。

・米軍の台湾への駐留は、中国にとって非常に敏感な問題であり、中国政府はこれを強く非難しています。中国は台湾を自国の一部と見なしており、外国軍の台湾への駐留は中国の主権に対する挑戦とみなされます。

米軍が台湾に駐留する場合、中国政府はそれを台湾への軍事的な介入と見なし、台湾海峡の緊張を高める可能性があります。このような行動は、地域の安定性や国際関係に悪影響を与える可能性があります。

また、米軍の台湾駐留は、台湾問題を再燃させる要因となり、米中関係にも影響を及ぼす可能性があります。このため、米国は台湾に対する軍事的な支援や駐留の可能性を慎重に検討する必要があります。

一方で、台湾やその周辺地域の安全を確保するための米軍の存在や台湾への支援は、米国の国家安全保障戦略の一環として重要な役割を果たすことがあります。しかし、そのような行動が地域の緊張を高め、安全保障上のリスクを引き起こす可能性も考慮する必要があります。

要するに、米軍の台湾駐留は、地域の安定性や国際関係に深刻な影響を与える可能性があり、慎重な検討が必要です。

(註はブログ作成者が参考の為に付記した。)

【参考】
【1972年上海コミュニケ】
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/bluebook/1972/s47-shiryou-6-5.htm

(5) ニクソン米大統領の訪中に関する米中共同声明 

(昭和47年2月27日発表 参考用仮訳) 

リチャード・ニクソン・アメリカ合衆国大統領は,周恩来中華人民共和国総理の招きで,1972年2月21日から28日まで,中華人民共和国を訪問した。同大統領には,ニクソン夫人,ウイリアム・ロジャーズ米国国務長官,大統領補佐官キッシンジャー博士及びその他の米国政府関係者が随行した。

ニクソン大統領は,2月21日,毛沢東中国共産党主席と会見した。双方の指導者は,米中関係及び世界情勢について,真剣かつ率直な意見交換を行なつた。

訪問期間中,ニクソン大統領と周恩来総理の間で,アメリカ合衆国と中華人民共和国との関係正常化並びに双方にとつて関心のある諸問題について,広範囲にわたり,真摯かつ率直な議論が行なわれた。更に,ウイリアム・ロジャーズ国務長官と姫鵬飛外交部長も,同様の精神の下に会談を行なつた。

ニクソン大統領一行は,北京を訪問し,文化,工業,農業に係る各所を参観し,また,杭州及び上海をも訪れ,同地において,引き続き中国の指導者と討論を行なうとともに,興味ある類似の場所を参観した。

中華人民共和国とアメリカ合衆国の指導者は,長年にわたつて接触がなかつた後をうけて,今回各種の問題に関する見解を相互に忌憚なく提示しあえる機会を持つたことを有益と認めた。双方は,重要な変化と大きな変動が起こりつつある国際情勢を検討し,また,各々の立場と態度を詳らかにした。

米国側は次のように述べた。アジアと世界の平和のためには,当面の緊張を緩和し,かつ,抗争の基本的原因を取り除くため努力することが必要である。米国は,公正かつ安定した平和のために努力するものである。なぜ公正というかといえば,これこそ自由と進歩をめざす諸国,諸国民の願いをかなえるものだからであり,また,なぜ安定というかといえば,これこそ外部からの侵略の危険を除去するものだからである。米国は,世界のすべての人々の,外部からの圧力や干渉のない,個人的自由と社会的進歩を支持する。米国は,事故,誤算,あるいは誤解によつておこる対決の危険を減少させるために,イデオロギーを異にする国と国との間の意思疎通を改善することは,緊張緩和への努力に資するものと信ずる。各国は,相互尊重の念をもつて対処し合うべきであり,また,行為をもつて最終的審判たらしめることにより平和裡に競争するにとにやぶさかであつてはならない。いかなる国も自国の絶対的正しさを主張すべきではなく,各国は,共通の利益のために,自国の態度を再検討する用意がなければならない。米国は,インドシナの諸国民が,外部からの干渉をうけることなく自らの運命を決定することを許されるべきであり,従来から米国の一貫した最も重要な目標は交渉による解決であり,ヴィエトナム共和国と米国が1972年1月27日に提示した8項目の提案は,この目標達成への基礎となるのであり,交渉による解決が得られない場合,米国は,インドシナ各国の自決という目標に合せて,この地域から最終的にすべての軍隊を撤退させることを想定している旨強調した。米国は、大韓民国との密接なきずなと同国に対する支持を維持する。米国は,朝鮮半島の緊張緩和及び意志疎通の強化のための大韓民国の努力を支持するものである。米国は,日本との友好関係に最高の価値を置いている。米国は,現在の緊密な紐帯を引続き発展させるものである。1971年12月21日になされた国際連合安全保障理事会の決議に従つて,米国は,インドとパキスタンとの間の停戦が継続すること,並びにすべての軍隊が各々の領土内及びジヤム・カシミール停戦ラインの各々の側へ撤退することに賛同する。米国は,南アジアの諸国民が,軍事的脅威を受けることなく,平和的に,また,この地域が大国の競争の的とされることなく,自らの将来を形成する権利を支持する。

中国側は,次のように述べた。圧迫のあるところには反抗がある。国家は独立を求め,民族は解放を求め,人民は革命を求めており,このことは,はばむことのできない歴史の流れとなつている。すべての国は,大小を問わず平等であるべきであり,大国は小国を愚弄すべきではなく,強国は弱国を愚弄すべきではない。中国は決して超大国にはならず,またいかなる覇権主義及び強権政治にも反対する。中国側は,次のように述べた。中国は,すべての被圧迫人民と被圧迫民族が自由と解放をかちとる闘争を断固支持する。各国人民は自己の意志に従つて自国の社会制度を選択する権利を持ち,また,自国の独立,主権,領土保全を維持し,外部からの侵略,干渉,支配,破壊活動に反対する権利を持つ。一切の外国軍隊は自国に撤退すべきである。

中国側は,ヴィエトナム,ラオス,カンボディア3国人民が自己の目標達成のために払つている努力に対する断固たる支持,南ヴィエトナム共和国臨時革命政府の7項目の提案及び今年2月の同提案の二つの鍵となる問題の説明及びインドシナ人民首脳会議の共同宣言への断固たる支持を表明した。中国側は,朝鮮民主主義人民共和国政府が1971年4月12日に提示した朝鮮平和統一に関する8項目提案,及び「国連朝鮮統一復興委員会」を廃止すべきであるとの立場を断固として支持する。中国側は,日本軍主義の復活と対外拡張に断固として反対し,独立,民主,平和,中立の日本をうちたてんとする日本人民の願望を断固として支持する。中国側は,インドとパキスタンが,国連の印パ問題に関する諸決議に基づいて,直ちに自己の軍隊を全て各々の領土内及びジャム・カシミール停戦ラインの各々の側へ撤退させるべきであると断固主張し,パキスタン政府と人民の独立,主権を守る闘争及びジャム・カシミール人民の自決権をかちとる闘争を断固支持する。

中国と米国の社会制度と対外政策には本質的な相違が存在している。しかしながら,双方は,各国が,社会制度のいかんを問わず,すべての国の主権と領土保全の尊重,他国に対する不可侵,他国の国内問題に対する不干渉,平等互恵,及び平和共存の原則に基づき,国と国との関係を処理すべきである旨合意した。国際紛争は,この基礎に基づき,武力の使用または威嚇に訴えることなく解決されるべきである。米国と中国は,相互の関係においてこれらの原則を適用する用意がある。

国際関係におけるこれらの原則に留意しつつ双方は次のように述べた。

- 中国と米国の関係正常化への前進は,全ての国々の利益にかなつている。

- 双方共,国際的軍事衝突の危険を減少させることを願望する。

- いずれの側も,アジア・太平洋地域における覇権を求めるべきでなく,他のいかなる国家あるいは国家集団によるこのような覇権樹立への試みにも反対する。

- いずれの側も,いかなる第三者に代わつて交渉し,あるいは,第三国についての合意や了解を相互に取り決める用意もない。

双方は,いずれかのある大国が,別の大国と結託してその他の国家に対抗したり,あるいは大国が世界中を利益圏に分割することは,世界各国国民の利益に反するものであるとの見解に立つている。

双方は,米中両国間に長期にわたつて存在してきた重大な紛争を検討した。中国側は,台湾問題は中国と米国との間の関係正常化を阻害しているかなめの問題であり,中華人民共和国政府は中国の唯一の合法政府であり,台湾は中国の一省であり,夙に祖国に返還されており,台湾解放は,他のいかなる国も干渉の権利を有しない中国の国内問題であり,米国の全ての軍隊及び軍事施設は台湾から撤退ないし撤去されなければならないという立場を再確認した。中国政府は,「一つの中国,一つの台湾」,「一つの中国,二つの政府」,「二つの中国」及び「台湾独立」を作り上げることを目的とし,あるいは「台湾の地位は未確定である」と唱えるいかなる活動にも断固として反対する。

米国側は次のように表明した。米国は,台湾海峡の両側のすべての中国人が,中国はただ一つであり,台湾は中国の一部分であると主張していることを認識している。米国政府は,この立場に異論をとなえない。米国政府は,中国人自らによる台湾問題の平和的解決についての米国政府の関心を再確認する。かかる展望を念頭におき,米国政府は,台湾から全ての米国軍隊と軍事施設を撤退ないし撤去するという最終目標を確認する。当面,米国政府は,この地域の緊張が緩和するにしたがい,台湾の米国軍隊と軍事施設を漸進的に減少させるであろう。

双方は,両国国民間の理解を増大することが望ましいということに同意した。この目的のため,双方は,科学,技術,文化,スポーツ,報道のごとく,国民と国民との間の接触と交流が双方にとつて有益な特定の分野について,討議を行なつた。それぞれの側は,このような接触と交流を一層発展させることを容易にすることとする。

双方は,両国間の貿易は,相互の利益がもたらされる他の一つの分野であると考え,平等互恵に基づく経済関係は,両国国民の利益に合致するものであることに同意した。双方は,両国間の貿易の漸進的発展を促進することに合意する。

双方は,両国の関係正常化を進めるための具体的協議を行ない,また,双方の共通の関心事項について引き続き意見を交換するために,米国の高官の代表を随時北京に派遺すことを含め,種々の経路を通ずる接触を保つことに合意した。

双方は,今回の訪問の成果が両国関係に新しい将来を開くであろうとの希望を表明した。双方は,両国の関係正常化は米中両国国民の利益に合致するばかりでなく,アジアと世界の緊張緩和に資するものと信ずる。

ニクソン大統領,ニクソン夫人及び米国側一行は,中華人民共和国政府及び国民から示された礼儀正しいもてなしに感謝の意を表明した。

https://worldjpn.net/documents/texts/docs/19720228.D1J.html

[文書名] 上海コミュニケ(ニクソン米大統領の訪中に関する米中共同声明)

[場所] 
[年月日] 1972年2月28日
[出典] わが外交の近況(外交青書)16号,525‐528頁.
[備考] 外務省参考用仮訳
[全文]
 リチャード・ニクソン・アメリカ合衆国大統領は、周恩来中華人民共和国総理の招きで、1972年2月21日から28日まで、中華人民共和国を訪問した。同大統領には、ニクソン夫人、ウイリアム・ロジャーズ米国国務長官、大統領補佐官キッシンジャー博士及びその他の米国政府関係者が随行した。

 ニクソン大統領は、2月21日、毛沢東中国共産党主席と会見した。双方の指導者は、米中関係及び世界情勢について、真剣かつ率直な意見交換を行なつた。

 訪問期間中、ニクソン大統領と周恩来総理の間で、アメリカ合衆国と中華人民共和国との関係正常化並びに双方にとつて関心のある諸問題について、広範囲にわたり、真摯かつ率直な議論が行なわれた。更に、ウイリアム・ロジャーズ国務長官と姫鵬飛外交部長も、同様の精神の下に会談を行なつた。

 ニクソン大統領一行は、北京を訪問し、文化、工業、農業に係る各所を参観し、また、杭州及び上海をも訪れ、同地において、引き続き中国の指導者と討論を行なうとともに、興味ある類似の場所を参観した。

 中華人民共和国とアメリカ合衆国の指導者は、長年にわたつて接触がなかつた後をうけて、今回各種の問題に関する見解を相互に忌憚なく提示しあえる機会を持つたことを有益と認めた。双方は、重要な変化と大きな変動が起こりつつある国際情勢を検討し、また、各々の立場と態度を詳らかにした。

 米国側は次のように述べた。アジアと世界の平和のためには、当面の緊張を緩和し、かつ、抗争の基本的原因を取り除くため努力することが必要である。米国は、公正かつ安定した平和のために努力するものである。なぜ公正というかといえば、これこそ自由と進歩をめざす諸国、諸国民の願いをかなえるものだからであり、また、なぜ安定というかといえば、これこそ外部からの侵略の危険を除去するものだからである。米国は、世界のすべての人々の、外部からの圧力や干渉のない、個人的自由と社会的進歩を支持する。米国は、事故、誤算、あるいは誤解によつておこる対決の危険を減少させるために、イデオロギーを異にする国と国との間の意思疎通を改善することは、緊張緩和への努力に資するものと信ずる。各国は、相互尊重の念をもつて対処し合うべきであり、また、行為をもつて最終的審判たらしめることにより平和裡に競争することにやぶさかであつてはならない。いかなる国も自国の絶対的正しさを主張すべきではなく、各国は、共通の利益のために、自国の態度を再検討する用意がなければならない。米国は、インドシナの諸国民が、外部からの干渉をうけることなく自らの運命を決定することを許されるべきであり、従来から米国の一貫した最も重要な目標は交渉による解決であり、ヴィエトナム共和国と米国が1972年1月27日に提示した8項目の提案は、この目標達成への基礎となるのであり、交渉による解決が得られない場合、米国は、インドシナ各国の自決という目標に合せて、この地域から最終的にすべての軍隊を撤退させることを想定している旨強調した。米国は、大韓民国との密接なきずなと同国に対する支持を維持する。米国は、朝鮮半島の緊張緩和及び意志疎通の強化のための大韓民国の努力を支持するものである。米国は、日本との友好関係に最高の価値を置いている。米国は、現在の緊密な紐帯を引続き発展させるものである。1971年12月21日になされた国際連合安全保障理事会の決議に従つて、米国は、インドとパキスタンとの間の停戦が継続すること、並びにすべての軍隊が各々の領土内及びジヤム・カシミール停戦ラインの各々の側へ撤退することに賛同する。米国は、南アジアの諸国民が、軍事的脅威を受けることなく、平和的に、また、この地域が大国の競争の的とされることなく、自らの将来を形成する権利を支持する。

 中国側は、次のように述べた。圧迫のあるところには反抗がある。国家は独立を求め、民族は解放を求め、人民は革命を求めており、このことは、はばむことのできない歴史の流れとなつている。すべての国は、大小を問わず平等であるべきであり、大国は小国を愚弄すべきではなく、強国は弱国を愚弄すべきではない。中国は決して超大国にはならず、またいかなる覇権主義及び強権政治にも反対する。中国側は、次のように述べた。中国は、すべての被圧迫人民と被圧迫民族が自由と解放をかちとる闘争を断固支持する。各国人民は自己の意志に従つて自国の社会制度を選択する権利を持ち、また、自国の独立、主権、領土保全を維持し、外部からの侵略、干渉、支配、破壊活動に反対する権利を持つ。一切の外国軍隊は自国に撤退すべきである。

 中国側は、ヴィエトナム、ラオス、カンボディア3国人民が自己の目標達成のために払つている努力に対する断固たる支持、南ヴィエトナム共和国臨時革命政府の7項目の提案及び今年2月の同提案の二つの鍵となる問題の説明及びインドシナ人民首脳会議の共同宣言への断固たる支持を表明した。中国側は、朝鮮民主主義人民共和国政府が1971年4月12日に提示した朝鮮平和統一に関する8項目提案、及び「国連朝鮮統一復興委員会」を廃止すべきであるとの立場を断固として支持する。中国側は、日本軍国主義の復活と対外拡張に断固として反対し、独立、民主、平和、中立の日本をうちたてんとする日本人民の願望を断固として支持する。中国側は、インドとパキスタンが、国連の印パ問題に関する諸決議に基づいて、直ちに自己の軍隊を全て各々の領土内及びジャム・カシミール停戦ラインの各々の側へ撤退させるべきであると断固主張し、パキスタン政府と人民の独立、主権を守る闘争及びジャム・カシミール人民の自決権をかちとる闘争を断固支持する。

 中国と米国の社会制度と対外政策には本質的な相違が存在している。しかしながら、双方は、各国が、社会制度のいかんを問わず、すべての国の主権と領土保全の尊重、他国に対する不可侵、他国の国内問題に対する不干渉、平等互恵、及び平和共存の原則に基づき、国と国との関係を処理すべきである旨合意した。国際紛争は、この基礎に基づき、武力の使用または威嚇に訴えることなく解決されるべきである。米国と中国は、相互の関係においてこれらの原則を適用する用意がある。

 国際関係におけるこれらの原則に留意しつつ双方は次のように述べた。

−中国と米国の関係正常化への前進は、全ての国々の利益にかなつている。

−双方共、国際的軍事衝突の危険を減少させることを願望する。

−いずれの側も、アジア・太平洋地域における覇権を求めるべきでなく、他のいかなる国家あるいは国家集団によるこのような覇権樹立への試みにも反対する。

−いずれの側も、いかなる第三者に代わつて交渉し、あるいは、第三国についての合意や了解を相互に取り決める用意もない。

 双方は、いずれかのある大国が、別の大国と結託してその他の国家に対抗したり、あるいは大国が世界中を利益圏に分割することは、世界各国国民の利益に反するものであるとの見解に立つている。

 双方は、米中両国間に長期にわたつて存在してきた重大な紛争を検討した。中国側は、台湾問題は中国と米国との間の関係正常化を阻害しているかなめの問題であり、中華人民共和国政府は中国の唯一の合法政府であり、台湾は中国の一省であり、夙に祖国に返還されており、台湾解放は、他のいかなる国も干渉の権利を有しない中国の国内問題であり、米国の全ての軍隊及び軍事施設は台湾から撤退ないし撤去されなければならないという立場を再確認した。中国政府は、「一つの中国、一つの台湾」、「一つの中国、二つの政府」、「二つの中国」及び「台湾独立」を作り上げることを目的とし、あるいは「台湾の地位は未確定である」と唱えるいかなる活動にも断固として反対する。

 米国側は次のように表明した。米国は、台湾海峡の両側のすべての中国人が、中国はただ一つであり、台湾は中国の一部分であると主張していることを認識している。米国政府は、この立場に異論をとなえない。米国政府は、中国人自らによる台湾問題の平和的解決についての米国政府の関心を再確認する。かかる展望を念頭におき、米国政府は、台湾から全ての米国軍隊と軍事施設を撤退ないし撤去するという最終目標を確認する。当面、米国政府は、この地域の緊張が緩和するにしたがい、台湾の米国軍隊と軍事施設を漸進的に減少させるであろう。

 双方は、両国国民間の理解を増大することが望ましいということに同意した。この目的のため、双方は、科学、技術、文化、スポーツ、報道のごとく、国民と国民との間の接触と交流が双方にとつて有益な特定の分野について、討議を行なつた。それぞれの側は、このような接触と交流を一層発展させることを容易にすることとする。

 双方は、両国間の貿易は、相互の利益がもたらされる他の一つの分野であると考え、平等互恵に基づく経済関係は、両国国民の利益に合致するものであることに同意した。双方は、両国間の貿易の漸進的発展を促進することに合意する。

 双方は、両国の関係正常化を進めるための具体的協議を行ない、また、双方の共通の関心事項について引き続き意見を交換するために、米国の高官の代表を随時北京に派遣すことを含め、種々の経路を通ずる接触を保つことに合意した。

 双方は、今回の訪問の成果が両国関係に新しい将来を開くであろうとの希望を表明した。双方は、両国の関係正常化は米中両国国民の利益に合致するばかりでなく、アジアと世界の緊張緩和に資するものと信ずる。

 ニクソン大統領、ニクソン夫人及び米国側一行は、中華人民共和国政府及び国民から示された礼儀正しいもてなしに感謝の意を表明した。

https://worldjpn.net/

[文書名] 米中共同声明

[場所] 
[年月日] 1973年2月22日
[出典] 外交青書17号,590‐591頁.
[備考] 仮訳
[全文]
 米国大統領国家安全保障問題担当補佐官ヘンリー・A・キッシンジャー博士は,1973年2月15日から19日まで中華人民共和国を訪問した。キッシンジャー博士には,ハーバート・G・クライン,アルフレッド・LE・S・ジエンキンス,リチャード・T・ケネディ,ジョン・H・ホールドリッジ,ウインストン・ロード,ジョナサン・T・ハウ,リチャード・ソロモン及びピーター・W・ロドマンが随行した。

 毛沢東主席はキッシンジャー博士と会見した。キッシンジャー博士とその一行は,周恩来総理,姫鵬飛外交部長,喬冠華外交部副部長その他中国政府関係者と広範囲にわたる話し合いを行なつた。これと平行して,ジェンキンス氏と章文晋外交部長助理は,技術的問題について会談を行なつた。これらの会談は,すべて忌憚のない雰囲気のうちに行なわれ,真剣,率直,かつ建設的なものであつた。

 双方は,ニクソン大統領の中華人民共和国訪問以来,ここ1年の両国関係の発展とその他共通の関心事を回顧した。

 双方は,1972年2月上海で発表された共同コミュニケの諸原則及び関係正常化を実現するための両国の共同の責務を再確認した。

 双方は,この期間内に得られた進展が,両国民にとつて有益であることを認めた。

 双方は,今や関係正常化を早める適当な時期であることを一致して認めた。この目的のために,双方は各方面における接触を拡大することとした。

 双方は,貿易および科学,文化等の交流を拡大する具体的計画に合意した。

 この過程を促進し,かつコミュニケーションを改善するため,各々が,近い将来,相手方の首都に連絡事務所を設立することが合意された。その詳細は,現存のチャネルを通じて作成される。

 双方は,米国と中華人民共和国との間の関係正常化は,アジアと世界の緊張緩和に寄与するものであることを一致して認めた。

 キッシンジャー博士とその一行は,一行に寄せられた暖かいもてなしに深い謝意を表明した。


【1978年中米共同声明】

https://worldjpn.net/documents/texts/docs/19781216.D1J.html

[文書名] 米中正常化に関する中華人民共和国政府声明

[場所] 北京
[年月日] 1978年12月16日
[出典] わが外交の近況(外交青書)23号,450頁.
[備考] 外務省仮訳
[全文]
 中華人民共和国とアメリカ合衆国は、1979年1月1日より相互に承認し及び外交関係を樹立し、これにより両国関係の長期にわたる不正常な状態に終止符をうつた。これは、中米両国関係における歴史的な出来事である。

 周知のように、中華人民共和国政府は中国の唯一の合法政府であり、台湾は中国の一部である。台湾問題は、かつて中米両国関係正常化実現を阻むかなめの問題であつた。上海コミュニケの精神に基づき、中米双方の共同の努力により、現在この問題は中米両国間で解決をみることができ、これにより中米両国人民が熱望してきた両国関係正常化が実現した。台湾の祖国復帰を解決し、国家統一を完成する方式については、これは全く中国の内政問題である。

 中米両国人民の友情と両国の良好な関係の一層の発展を促進させるため、中華人民共和国国務院●{登におおざと/トウ}小平副総理は米国政府の招待に応じて1979年1月に米国を公式訪問する。

https://worldjpn.net/

[文書名] 第2上海コミュニケ(中華人民共和国とアメリカ合衆国の共同コミュニケ〔米国の対台湾武器売却問題について〕)

[場所] 北京,ワシントンDC
[年月日] 1982年8月17日
[出典] わが外交の近況(外交青書)27号,480‐482頁.
[備考] 外務省仮訳
[全文]
1.1979年1月1日にアメリカ合衆国政府と中華人民共和国政府により発出された外交関係樹立に関する共同コミュニケにおいて、アメリカ合衆国は中華人民共和国政府を中国の唯一の合法政府であることを承認し、中国はただ一つであり、台湾は中国の一部であるとの中国の立場をアクノレッジした。そうした関係の範囲内で、双方は、アメリカ合衆国が台湾の人々と文化、交易、その他の非公式な関係を維持していくことに合意した。この基礎の上に、米国と中国の関係は正常化された。

2.米国の台湾に対する武器売却問題は、両国の外交関係樹立に関する交渉の過程では解決されなかった。双方は、相異なった立場をとり、中国側は、正常化後再び同問題を取り上げる旨述べた。この問題は米中関係の発展を著しく害することになるものであることを認識し、双方は、10月のロナルド・レーガン大統領と趙紫陽総理との会談及びアレクサンダー・M・ヘイグ国務長官と黄華副総理兼外交部長との会談の際及びそれ以後、この問題についての討議を行った。

3.相互の主権並びに領土保全の尊重及び相互の内政不干渉は米中関係を律する基本的な原則をなす。これらの原則は、1972年2月28日の上海コミュニケにおいて確認され、1979年1月1日に発効した外交関係樹立に関する共同コミュニケにおいて再確認された。双方は、これらの原則は引き続き双方間の関係のすべての分野を律するものであることを明確に声明する。

4.中国政府は、台湾問題は中国の内政問題である旨を重ねて言明する。中国が1979年1月1日に発した「台湾同胞に告げる書」は平和的祖国復帰へ向けて努力するとの基本的政策を規定した。中国が1981年9月30日に提示した9項目提案は、台湾問題の平和的解決に向けて努力するとのこの基本的政策の最も顕著な努力の表われであった。

5.米国政府は、中国との関係を非常に重視しており、中国の主権と領土保全を侵害する意図も、中国の内政に干渉する意図も、「二つの中国」あるいは「一つの中国、一つの台湾」政策を推し進める意図もないことを重ねて言明する。米国政府は、1979年1月1日に発出された「台湾同胞に告げる書」及び1981年8月30日に中国から出された8項目提案に示されている台湾問題の平和的解決のため努力するとの中国側の方針を理解し、評価する。台湾問題に関し生じた新しい状況もまた米国の対台湾武器売却問題を巡る米中間の相違の解決のため有利な条件を作り出すものである。

6.双方の上記の声明を念頭に置きつつ、米国政府は台湾への武器売却を長期的政策として実施するつもりはないこと、台湾に対する武器売却は質的にも量的にも米中外交関係樹立以降の数年に供与されたもののレベルを越えないこと、及び台湾に対する武器売却を次第に減らしていき一定期間のうちに最終的解決に導くつもりであることを表明する。右を表明するに際し、米国は本問題の完全な解決に関する中国側の一貫した立場をアクノレッジする。

7.米国の台湾への武器売却は歴史に根ざす問題であるが、一定期間のうちにその最終的解決をもたらすために、両国政府は、本問題を完全解決に導くための措置をとり条件を作り出すようあらゆる努力をする。

8.米中関係の発展は両国人民の利益のためのみならず、世界の平和と安定に資するものである。双方は、平等と互恵の原則の下に、経済面、文化面、教育面、科学面、技術面及びその他の分野における双方の結びつきを強化し、米国と中国の政府及び人民の関係を引き続き発展させるため力強く、協同して努力する決意である。

9.米中関係の健全な発展をもたらし、世界平和を維持し侵略と膨張に反対するために、両国政府は、上海コミュニケ及び外交関係樹立に関する共同コミュニケにおいて双方により合意された原則を再度確認する。双方は、共通の関心を有する二国間問題及び国際問題に関し接触を維持し、適宜協議を行う。

https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/bluebook/1983/s58-shiryou-508.htm

(8)中華人民共和国とアメリカ合衆国の共同コミュニケ(仮訳)

(米国の対台湾武器売却問題について)

(1982年8月17日,北京・ワシントン)

1.1979年1月1日にアメリカ合衆国政府と中華人民共和国政府により発出された外交関係樹立に関する共同コミュニケにおいて,アメリカ合衆国は中華人民共和国政府を中国の唯一の合法政府であることを承認し,中国はただ一つであり,台湾は中国の一部であるとの中国の立場をアクノレッジした。そうした関係の範囲内で,双方は,アメリカ合衆国が台湾の人々と文化,交易,その他の非公式な関係を維持していくことに合意した。この基礎の上に,米国と中国の関係は正常化された。

2.米国の台湾に対する武器売却問題は,両国の外交関係樹立に関する交渉の過程では解決されなかった。双方は,相異なった立場をとり,中国側は,正常化後再び同問題を取り上げる旨述べた。この問題は米中関係の発展を著しく害することになるものであることを認識し,双方は,10月のロナルド・レーガン大統領と趙紫陽総理との会談及びアレクサンダー・M・ヘイグ国務長官と黄華副総理兼外交部長との会談の際及びそれ以後,この問題についての討議を行った。

3.相互の主権並びに領土保全の尊重及び相互の内政不干渉は米中関係を律する基本的な原則をなす。これらの原則は,1972年2月28日の上海コミュニケにおいて確認され,1979年1月1日に発効した外交関係樹立に関する共同コミュニケにおいて再確認された。双方は,これらの原則は引き続き双方間の関係のすべての分野を律するものであることを明確に声明する。

4.中国政府は,台湾問題は中国の内政問題である旨を重ねて言明する。中国が1979年1月1日に発した「台湾同胞に告げる書」は平和的祖国復帰へ向けて努力するとの基本的政策を規定した。中国が1981年9月30日に提示した9項目提案は,台湾問題の平和的解決に向けて努力するとのこの基本的政策の最も顕著な努力の表われであった。

5.米国政府は,中国との関係を非常に重視しており,中国の主権と領土保全を侵害する意図も,中国の内政に干渉する意図も,「二つの中国」あるいは「一つの中国,一つの台湾」政策を推し進める意図もないことを重ねて言明する。米国政府は,1979年1月1日に発出された「台湾同胞に告げる書」及び1981年8月30日に中国から出された8項目提案に示されている台湾問題の平和的解決のため努力するとの中国側の方針を理解し,評価する。台湾問題に関し生じた新しい状況もまた米国の対台湾武器売却問題を巡る米中間の相違の解決のため有利な条件を作り出すものである。

6.双方の上記の声明を念頭に置きつつ,米国政府は台湾への武器売却を長期的政策として実施するつもりはないこと,台湾に対する武器売却は質的にも量的にも米中外交関係樹立以降の数年に供与されたもののレベルを越えないこと,及び台湾に対する武器売却を次第に減らしていき一定期間のうちに最終的解決に導くつもりであることを表明する。右を表明するに際し,米国は本問題の完全な解決に関する中国側の一貫した立場をアクノレッジする。

7.米国の台湾への武器売却は歴史に根ざす問題であるが,一定期間のうちにその最終的解決をもたらすために,両国政府は,本問題を完全解決に導くための措置をとり条件を作り出すようあらゆる努力をする。

8.米中関係の発展は両国人民の利益のためのみならず,世界の平和と安定に資するものである。双方は,平等と互恵の原則の下に,経済面,文化面,教育面,科学面,技術面及びその他の分野における双方の結びつきを強化し,米国と中国の政府及び人民の関係を引き続き発展させるため力強く,協同して努力する決意である。

9.米中関係の健全な発展をもたらし,世界平和を維持し侵略と膨張に反対するために,両国政府は,上海コミュニケ及び外交関係樹立に関する共同コミュニケにおいて双方により合意された原則を再度確認する。双方は,共通の関心を有する二国間問題及び国際問題に関し接触を維持し,適宜協議を行う。

(【参考】はブログ作成者が付記した。)

引用・参照・底本

外交部 米台の軍事結託を非難 CRI 2024.04.24

https://japanese.cri.cn/2024/04/24/ARTIYlJ0phKcVHz9dc55P1N3240424.shtml?spm=C96518.PPFEiF4jxkmc.E5HuD27aAD6w.5

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