フィリピン:「紳士協定」を否定2024年04月29日 23:15

国立国会図書館デジタルコレクション「御祭礼・獅子之・図」を加工して作成
 フィリピンが中国との間で締結された「紳士協定」を否定し、南シナ海の仁愛礁問題での行動について中国を非難している内容である。フィリピンが違法な行動を続け、その結果信頼性を失い、地域情勢を悪化させることを警告している。

 中国とフィリピンの間で合意された「紳士協定」は、南シナ海の仁愛礁問題を管理するための枠組みであり、双方が特定の行動を取ることを約束したものである。しかし、フィリピンがこれを否定し、違法な行動を続けていることが強調されている。これがフィリピンの信義を失わせ、地域情勢を混乱させることにつながると警告している。

 フィリピンに対して歴史と約束を尊重し、対話と交渉のテーブルに戻るよう呼びかけている。それによって、地域の安定と信頼関係の回復が期待されている。

【視点】

中国国際放送局(CRI)は2024年4月29日、フィリピンのテオドロ国防相が中国との「紳士協定」を否定したことについて、フィリピン側が信義を欠いていると批判する論評記事を掲載した。

フィリピン側は2022年に発足して以来、南海の紛争について中国といかなる内部協定も結んだことはないと表明している。これは、マルコス大統領やアノ国家安全担当顧問に続く発言である。

中国側は、フィリピン側が違法に「座礁」させた軍艦に建設資材を運んでいることを非難し、これは中国を挑発し、約束を反故にする「小人」の行為であると指摘している。

また、フィリピンが米国と連携して中国に対抗しようとしていることも批判している。

フィリピンに対して歴史を尊重し、約束を守り、挑発をやめ、対話の道筋と交渉のテーブルに戻るよう呼びかけている。

分析

中国とフィリピンは、南沙諸島にある無人島、仁愛礁をめぐって長年の係争を抱えている。

2016年、フィリピンは軍艦「シエラ・マドレ」を仁愛礁に違法に「座礁」させた。中国側はこれに抗議し、両国は緊張状態に陥った。

その後、両国はドゥテルテ政権時代、「紳士協定」と呼ばれる協定を締結した。この協定に基づき、フィリピン側は軍艦への物資補給を制限し、中国側は人道的な観点から限定的な補給を認めることになった。

しかし、マルコス政権が発足して以降、フィリピン側は協定を無視して軍艦への物資補給を再開している。

中国側は、フィリピンの行動は協定違反であり、南シナ海の平和と安定を脅かすものであると主張している。

フィリピンと中国の関係は、仁愛礁問題をめぐって再び緊張状態に陥っている。

両国が対話を通じて問題を解決できるかどうかは、今後の注目点である。

・フィリピン国防省の声明:南シナ海における中国との「紳士協定」の存在を否定

・フィリピン国防省は2024年4月27日、フィリピン現政権が2022年に発足して以来、南シナ海における中国との間でいかなる内部協定も結んでいないと表明した。これは、マルコス大統領とアノ国家安全担当顧問に続く、フィリピン側による「紳士協定」の公的否定となる。

・仁愛礁問題と「紳士協定」

仁愛礁は中国が領有権を主張する南沙諸島にある無人島である。中国とASEAN諸国が締結した「南海各方面行動宣言」では、無人島と岩礁の「無人無施設」状態を維持することが定められている。しかし、フィリピンは1999年に軍艦「シエラ・マドレ」を仁愛礁に違法座礁させ、中国側は厳重に抗議していた。

・その後、フィリピンは違法座礁軍艦の回収を何度も約束し、「南海各方面行動宣言」への違反を回避する姿勢を示した。しかし、25年経った現在も軍艦は撤去されていない。

・中比両国はドゥテルテ政権時代、南海情勢の安定化のため、仁愛礁問題に関する「紳士協定」に合意した。この協定では、フィリピン側は違法座礁軍艦への建設資材の運搬を停止し、中国側は人道主義に基づき、軍艦に必要な生活物資の輸送を認めるという内容であった。

・現政権による「紳士協定」の破棄と新たな挑発

中国とフィリピン双方は、2022年6月のフィリピン現政権発足から2023年2月まで、「紳士協定」を遵守していた。中国は2023年にはフィリピン大統領の特別作業特使を招き、仁愛礁情勢の管理と抑制について協議し、内部了解に達した。さらに今年初めには、外交ルートを通じてフィリピン側と協議を重ね、仁愛礁への物資補給に関する「新モデル」で合意した。

・しかし、これらの合意や取り決めは一度実施されただけで、フィリピン側により一方的に放棄された。

・フィリピンの行動の背景:中国への挑発と米国の支援

フィリピン現政権が「紳士協定」を破棄し、違法座礁軍艦への建設資材の運搬を繰り返している理由は、いくつか考えられる。

・中国への挑発: 1つの考えられる理由は、老朽化した軍艦の状態が芳しくないことから、フィリピンは中国を挑発し続け、約束を反故にする「小人」になったというものである。

・米国の支援: もう一つの理由は、米国が中国を「最大の戦略的ライバル」と見なしている中で、フィリピンは米国の力を借りて違法座礁軍艦を強化し、仁愛礁の永久占拠を実現しようとしているというものである。そのためには米国が地域問題に介入するための駒になることもいとわないということだ。

・フィリピンへの警告:信義の欠如と地域情勢の混乱

フィリピンが中比の「紳士協定」をあくまでも否認すれば、歴史を顧みず信義を完全に失い、地域情勢を混乱させる罪人に転落するだけだ。フィリピンにとっての正しい選択とは、歴史を尊重し、約束を守り、挑発をやめ、対話の道筋と交渉のテーブルに戻ることだ。

・フィリピン現政権の「紳士協定」破棄は、中比関係を悪化させ、南シナ海の緊張を高める可能性がある。中国はフィリピンの行動を厳しく批判しており、さらなる対抗措置を取る可能性もある。国際社会は、中比両国が冷静かつ自制的に問題を解決し、地域平和と安定を維持することを求めている。

・フィリピン国防相の発言

フィリピン国防相テオドロ氏は2024年4月27日、フィリピン政府は南沙諸島問題について中国と「紳士協定」を結んでいないと表明。
マルコス大統領、アノ国家安全担当顧問に続く発言。

・仁愛礁問題

中国が南沙諸島に領有権を主張する無人島。
フィリピン軍艦「シエラ・マドレ」が1999年5月9日に違法に「座礁」。

・「紳士協定」

フィリピンと中国がドゥテルテ政権時代に合意。
フィリピン側は違法な「座礁」軍艦に建設資材を搬送しないこと、中国側は人道主義に基づき生活物資を輸送することを約束。

・フィリピン側の「紳士協定」破棄

2022年6月から2023年2月まで協定順守。
2023年、フィリピン大統領特使が中国を訪問し、仁愛礁情勢の管理について協議。
2024年初め、中国とフィリピンは仁愛礁への物資補給の「新モデル」で合意。
フィリピン側が合意を一方的に放棄。

・中国の批判

フィリピン側が信義に背き、違法な「座礁」軍艦に建設資材を運んでいると批判。
フィリピンが中国を挑発し、約束を反故にしている.
フィリピンが米国に利用され、地域問題に介入する駒になっている.

・中国の主張

フィリピンが「紳士協定」を否認すれば、歴史を顧みず信義を完全に失い、地域情勢を混乱させる罪人に転落する。
フィリピンは歴史を尊重し、約束を守り、挑発をやめ、対話の道筋と交渉のテーブルに戻すべき。

・今後の見通し

フィリピンと中国の関係悪化が懸念される。
南沙諸島問題の解決は困難な状況が続く。

【参考】

仁愛礁:中国語では「南沙群島中洲礁(nán shā qún dǎo zhōng zhōu jiāo)」
紳士協定:中国語では「君子協定(jūn zǐ xié dìng)」
シエラ・マドレ:中国語では「布洛礁(bù luò jiāo)」
南沙諸島:中国語では「南沙群島(nán shā qún dǎo)」

(【参考】はブログ作成者が付記した。)

引用・参照・底本

【CRI時評】「紳士協定」を否定するフィリピンに信義は皆無 CRI2024.04.29

https://japanese.cri.cn/2024/04/29/ARTIQC41Otq6AMyiQP6P8MvG240429.shtml

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