It Can’t Happen Here?2024年07月04日 12:59

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【概要】

 エイミー・グッドマン氏とデニス・モイニハン氏による記事は、権威主義が世界的に台頭し、それが米国に及ぼす潜在的な影響について、特に最近の最高裁の判決に照らして懸念を提起している。

 この決定は、6対3の投票で、ドナルド・トランプ前大統領が2020年の選挙結果を覆そうとした罪に問われているにもかかわらず、在任中に犯した公務行為に対する免責を認めるものである。この判決は、特にソニア・ソトマヨール判事から大きな批判を受けており、ソトマヨール判事は、大統領の説明責任に危険な前例を設けると警告している。

 右派のポピュリストや権威主義的な指導者が、多くの欧州諸国を含むさまざまな民主主義国で権力を握るという世界的な傾向を強調している。20世紀初頭のファシズムの勃興との歴史的類似点を描き、アメリカにおけるファシズムの可能性に関するジョージ・セルデスとシンクレア・ルイスの警告に言及している。

 特に最高裁の最近の判決と、ヘリテージ財団のプロジェクト2025のようなイニシアチブに支えられた2度目のトランプ大統領の可能性を考えると、米国における権威主義的な野心に対する現在の制度的チェックの有効性に疑問を呈することで締めくくられている。民主主義に対するこれらの脅威を認識し、対処することの緊急性を強調している。

【詳細】

 この記事では、Amy GoodmanとDenis Moynihanが、世界的に拡大している権威主義の波と、それがアメリカに及ぼす影響について詳しく分析している。特に、アメリカの最高裁判所が最近下した判決に焦点を当てている。この判決では、元大統領ドナルド・トランプに対して在任中に行った「公式」な行為についての免責を認めた。トランプは2020年の選挙結果を覆そうとしたり、違法に権力を保持しようとしたりしたとされている中で、この判決は非常に重要である。

 最高裁判所の判決

 最高裁判所は、6対3の票決でトランプに公式な行為に関する免責を与える判決を下した。これにより、大統領が在任中に行った行為に対しては、犯罪として起訴されないことが確認された。これに対し、ソニア・ソトマイヨール判事は厳しく反対意見を述べ、大統領がその権力を濫用しても法的に責任を問われないという危険性を強調した。彼女は、「大統領が公式な権限を使うとき、彼は今や法の上に立つ王である」と述べ、暗殺、軍事クーデター、賄賂受領などの行為が全て免責される可能性があると警告した。

 世界的な権威主義の台頭

 この記事はまた、世界中で右派ポピュリストや権威主義的なリーダーが台頭している現状にも言及している。特に、クロアチア、チェコ共和国、フィンランド、ハンガリー、イタリア、スロバキアなどの国々で極右政党が政権を握っていると述べている。さらに、オランダの極右政党「自由党」が政権を樹立し、フランスでも極右勢力が台頭していることに触れている。これらの現象は、20世紀初頭のファシズムの台頭と比較されている。

 アメリカにおける権威主義の脅威

 トランプが再び大統領に選ばれる可能性についても言及している。トランプは2016年にムッソリーニの名言をツイートしたことがあり、その際に彼の権威主義的な傾向が指摘された。また、保守派のシンクタンクであるヘリテージ財団が「プロジェクト2025」という計画を発表し、連邦政府を権威主義的かつキリスト教ナショナリスト的な方向に再構築する計画を推進していることも触れられている。この計画は、労働組合、気候変動対策、普遍的医療、妊娠中絶のアクセスなどを攻撃する内容である。

 歴史的な警告

 さらに、1935年に出版されたジョージ・セルデスの『Sawdust Caesar』やシンクレア・ルイスの『It Can’t Happen Here』といった書籍が引用され、アメリカにおけるファシズムの台頭の可能性についての歴史的な警告が強調されている。セルデスは、アメリカにもファシズムが存在し、それが大きな力となる可能性があると警告していた。

 結論

 この記事は、アメリカにおける権威主義の脅威に対して警鐘を鳴らしている。最高裁判所の最近の判決は、大統領の権限がいかに強力であり、それがどのように濫用される可能性があるかを示している。また、世界的な権威主義の台頭に対抗するために、アメリカがどのような対策を講じるべきかについても考える必要があると述べている。

【要点】

 最高裁判所の判決

 ・最高裁判所は、6対3の票決でドナルド・トランプに対して在任中の「公式」行為に対する免責を認める判決を下した。
 ・ソニア・ソトマイヨール判事は、この判決に厳しく反対し、権力の濫用が免責される危険性を指摘。

 世界的な権威主義の台頭

 ・極右政党がクロアチア、チェコ共和国、フィンランド、ハンガリー、イタリア、スロバキアなどで政権を握る。
 ・オランダの極右政党「自由党」が政権を樹立。
 ・フランスでも極右勢力が台頭。

 アメリカにおける権威主義の脅威

 ・トランプが再び大統領に選ばれる可能性が指摘されている。
 ・ヘリテージ財団の「プロジェクト2025」が連邦政府を権威主義的かつキリスト教ナショナリスト的な方向に再構築する計画を発表。

 歴史的な警告

 ・ジョージ・セルデスの『Sawdust Caesar』が、アメリカにおけるファシズムの可能性について警告している。
 ・シンクレア・ルイスの『It Can’t Happen Here』も同様に、アメリカでのファシズムの台頭の危険性を描いている。

 結論

 ・アメリカにおける権威主義の脅威に対して警鐘を鳴らす内容。
 ・最高裁判所の判決は、大統領の権限がどのように濫用される可能性があるかを示している。
 ・世界的な権威主義の台頭に対抗するために、アメリカがどのような対策を講じるべきかを考える必要がある。

【引用・参照・底本】

As Authoritarianism Sweeps the Globe, Will the U.S. Follow? Democracy Now 2024.07.03
https://www.democracynow.org/2024/7/3/as_authoritarianism_sweeps_the_globe_will

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