中国:既存のZhaotou-class海上法執行船の後継モデル ― 2024年08月19日 16:44
【概要】
中国が南シナ海における領土主張を強化するために新しい大型の海上保安庁(CCG)船を導入していることについて報じている。この新しい船は、上海の江南造船所で建造されたもので、フィリピンなどの他国との領有権紛争が続く東シナ海および南シナ海での配備が予定されている。
この新しい船は、中国のType 052D誘導ミサイル駆逐艦をベースに改造されており、垂直発射システムを取り除き、76mm主砲を搭載している点が特徴である。さらに、Type 382対空レーダーが装備され、空中監視能力が強化されている。この船は、排水量が6,000~7,000トンで、6,000海里以上の航続距離を持ち、長期間のパトロールが可能とされている。
この船は、既存のZhaotou-class海上法執行船の後継モデルである可能性があり、その大きさと能力により、日本の大型海上保安庁船と同等とみなされている。
また、中国の海上戦略では、軍事と非軍事の境界を曖昧にする「グレーゾーン」戦略が用いられ、他国の反発を引き起こさない形での強制的な手法が取られている。フィリピンなどの東南アジア諸国は中国の海上圧力に対抗するため、限られた海軍と海上保安資産を使って抵抗しているが、中国との海上戦力の差は大きい。
フィリピンは、その主権と領土の保護のために「積極的透明性」戦略を採用しており、中国の行動を可視化し、国内外の支持を集めることを目指している。特にフィリピン海軍と海上保安庁の船舶にジャーナリストを同行させて中国の嫌がらせを記録し、国際社会の支持を得るための手段としていると報告されている。
しかし、フィリピン海上保安庁(PCG)は、依然として中国に対して持続的な存在感を保つことに課題を抱えている。フィリピンの限られた予算や設備の制約に加え、アメリカとの相互防衛条約に基づく支援が曖昧である点も課題として挙げられている。
【詳細】
中国が南シナ海での影響力を強化するために、新しい大型の海上保安庁船(CCG)を建造していることを詳述している。以下に、記事の重要なポイントを詳しく説明する。
新しい海上保安庁船の詳細
・船の仕様と設計: 中国が建造中の新しい海上保安庁船は、上海の江南造船所で建造されており、Type 052D誘導ミサイル駆逐艦をベースに設計されている。この船は軍艦から改造されており、垂直発射システム(VLS)が取り除かれ、代わりに76mm主砲が搭載されている。また、Type 382対空レーダーを装備しており、空中監視能力が強化されている。排水量は6,000~7,000トンで、6,000海里以上の航続距離を持つことができ、南シナ海での長期間のパトロールが可能である。
・Zhaotou-class海上法執行船との関係: この新しい船は、既存のZhaotou-class海上法執行船の後継モデルである可能性がある。China’s Zhaotou-class coastguard vesselは世界最大級の海上保安庁船で、排水量が10,000トンを超える巨艦であり、全長は165メートルである。これらの船は、中国の造船技術と海上法執行(MLE)に対する戦略的な重要性を反映しており、最大の持久力を持って地球上のどこでも運用できるように設計されている。
南シナ海における戦略的意図
・グレーゾーン戦略: 中国は「グレーゾーン」戦略を採用しており、軍事行動と非軍事行動の境界を曖昧にし、明確な軍事的な対応を引き起こさない形で他国に圧力をかけている。この戦略では、中国が海上保安庁や漁業監視船を用いて他国の領有権を侵害し、武力を行使せずに支配を拡大することを目指している。特に、南シナ海でのフィリピンなどの東南アジア諸国に対する圧力が強まっている。
・中国の海上優位性: 中国の新しい海上保安庁船は、他国と比べて圧倒的な優位性を持っており、特にフィリピンの海上保安庁(PCG)に対して大きな差をつけている。中国の船は、長期間にわたり、南シナ海でのパトロールや監視を続けることが可能であり、頻繁な補給やメンテナンスが不要である。これに対し、フィリピンの海上保安庁は、より小型で航続距離や持久力が限られているため、継続的な存在感を保つことが難しいとされている。
フィリピンの対抗策と課題
・「積極的透明性」戦略: フィリピンは、自国の主権と領土を守るために「積極的透明性」戦略を採用している。この戦略では、中国の攻勢を可視化し、国内外での支持を集めることを目指している。具体的には、フィリピン海軍と海上保安庁の船にジャーナリストを同行させ、中国の嫌がらせ行為を記録し、国際社会に知らせる手法を取っている。また、海上パトロールの強化や、技術的なアップグレードを通じて海上のドメイン認識を向上させる努力も行っている。
・国際的な支援: フィリピンはまた、アメリカ、日本、オーストラリアなどの同盟国からの支援を受け、共同パトロールや軍事援助、外交的な支援を受けている。これにより、フィリピンの戦略が持続可能になることを目指している。しかしながら、フィリピンは依然として中国に対抗するための持続的な海上プレゼンスを維持することに課題を抱えている。
・歴史的背景とPCGの近代化: フィリピンの海上保安庁は、2012年のスカボロー礁での中国との対立を契機に、近代化を進めてきた。特に日本からの支援により、大型船舶やレーダーステーションを提供され、海上ドメイン認識の向上や人員の増強が行われた。しかし、依然として予算や装備の制約があり、特に南シナ海での継続的な存在感を維持することが難しい状況にある。
結論
中国が新しい海上保安庁船を導入することで、南シナ海における領土主張を強化し、フィリピンなどの東南アジア諸国との競争において優位に立とうとしていることを強調している。一方で、フィリピンは国際的な支援を受けつつ、自国の主権を守るために様々な戦略を駆使しているものの、中国との海上戦力の差は依然として大きく、課題が残ることを指摘している
【要点】
1.中国の新しい海上保安庁船
・中国が建造中の新しい海上保安庁船は、Type 052D誘導ミサイル駆逐艦をベースに設計。
・船には76mm主砲とType 382対空レーダーが搭載され、空中監視能力が強化。
・排水量6,000~7,000トン、航続距離は6,000海里以上で、長期間のパトロールが可能。
・この船は、Zhaotou-class海上法執行船の後継モデルである可能性がある。
2.南シナ海における戦略的意図
・中国は「グレーゾーン」戦略を採用し、軍事行動と非軍事行動の境界を曖昧にして他国に圧力をかけている。
・中国の海上保安庁船はフィリピンなどの東南アジア諸国に対して大きな優位性を持つ。
3.フィリピンの対抗策と課題
・フィリピンは「積極的透明性」戦略を採用し、中国の行動を可視化して国際社会の支持を得ようとしている。
・フィリピンはアメリカ、日本、オーストラリアなどからの支援を受けているが、海上戦力の差は依然として大きい。
・フィリピン海上保安庁(PCG)は2012年のスカボロー礁の対立を契機に近代化を進めているが、依然として予算や装備の制約がある。
4.結論
・中国は新しい海上保安庁船を導入することで南シナ海での領土主張を強化しており、フィリピンとの海上戦力の差は依然として大きい。
【参考】
➢ 76mm主砲は、中型艦艇や一部の大型艦艇に搭載される標準的な艦砲であり、その威力や用途は以下の通り。
76mm主砲の威力と用途
・射程: 76mm砲の最大射程は約16,000メートル(16km)で、目的によってはこれより短くなる。
・発射速度: 砲の種類によるが、一般的に毎分60〜120発を発射することができる。
・弾種: 高性能榴弾(HE)、対空砲弾、または対艦ミサイルの迎撃に使用できる特殊弾薬など、複数の弾種がある。
・破壊力: 榴弾の破壊力は目標に対する効果に依存する。対艦攻撃においては、軽装甲の艦艇や小型船舶を撃沈するのに十分な威力がある。また、対空戦闘や地上支援攻撃にも有効である。
・用途: 主に対艦戦闘、対空防御、沿岸支援、さらには小型目標の攻撃に使用される。
・76mm主砲は、その多用途性と高い発射速度から、現代の海上戦闘で非常に効果的な武器とされている。特に、小型船舶や航空機の迎撃、沿岸部への火力支援などで威力を発揮する。
【参考はブログ作成者が付記】
【引用・参照・底本】
China’s new maritime goliath poised to patrol disputed seas ASIA TIMES 2024.08.16
https://asiatimes.com/2024/08/chinas-new-maritime-goliath-poised-to-patrol-disputed-seas/?utm_source=The+Daily+Report&utm_campaign=5886aad3e1-DAILY_16_8_2024&utm_medium=email&utm_term=0_1f8bca137f-5886aad3e1-16242795&mc_cid=5886aad3e1&mc_eid=69a7d1ef3c0
中国が南シナ海における領土主張を強化するために新しい大型の海上保安庁(CCG)船を導入していることについて報じている。この新しい船は、上海の江南造船所で建造されたもので、フィリピンなどの他国との領有権紛争が続く東シナ海および南シナ海での配備が予定されている。
この新しい船は、中国のType 052D誘導ミサイル駆逐艦をベースに改造されており、垂直発射システムを取り除き、76mm主砲を搭載している点が特徴である。さらに、Type 382対空レーダーが装備され、空中監視能力が強化されている。この船は、排水量が6,000~7,000トンで、6,000海里以上の航続距離を持ち、長期間のパトロールが可能とされている。
この船は、既存のZhaotou-class海上法執行船の後継モデルである可能性があり、その大きさと能力により、日本の大型海上保安庁船と同等とみなされている。
また、中国の海上戦略では、軍事と非軍事の境界を曖昧にする「グレーゾーン」戦略が用いられ、他国の反発を引き起こさない形での強制的な手法が取られている。フィリピンなどの東南アジア諸国は中国の海上圧力に対抗するため、限られた海軍と海上保安資産を使って抵抗しているが、中国との海上戦力の差は大きい。
フィリピンは、その主権と領土の保護のために「積極的透明性」戦略を採用しており、中国の行動を可視化し、国内外の支持を集めることを目指している。特にフィリピン海軍と海上保安庁の船舶にジャーナリストを同行させて中国の嫌がらせを記録し、国際社会の支持を得るための手段としていると報告されている。
しかし、フィリピン海上保安庁(PCG)は、依然として中国に対して持続的な存在感を保つことに課題を抱えている。フィリピンの限られた予算や設備の制約に加え、アメリカとの相互防衛条約に基づく支援が曖昧である点も課題として挙げられている。
【詳細】
中国が南シナ海での影響力を強化するために、新しい大型の海上保安庁船(CCG)を建造していることを詳述している。以下に、記事の重要なポイントを詳しく説明する。
新しい海上保安庁船の詳細
・船の仕様と設計: 中国が建造中の新しい海上保安庁船は、上海の江南造船所で建造されており、Type 052D誘導ミサイル駆逐艦をベースに設計されている。この船は軍艦から改造されており、垂直発射システム(VLS)が取り除かれ、代わりに76mm主砲が搭載されている。また、Type 382対空レーダーを装備しており、空中監視能力が強化されている。排水量は6,000~7,000トンで、6,000海里以上の航続距離を持つことができ、南シナ海での長期間のパトロールが可能である。
・Zhaotou-class海上法執行船との関係: この新しい船は、既存のZhaotou-class海上法執行船の後継モデルである可能性がある。China’s Zhaotou-class coastguard vesselは世界最大級の海上保安庁船で、排水量が10,000トンを超える巨艦であり、全長は165メートルである。これらの船は、中国の造船技術と海上法執行(MLE)に対する戦略的な重要性を反映しており、最大の持久力を持って地球上のどこでも運用できるように設計されている。
南シナ海における戦略的意図
・グレーゾーン戦略: 中国は「グレーゾーン」戦略を採用しており、軍事行動と非軍事行動の境界を曖昧にし、明確な軍事的な対応を引き起こさない形で他国に圧力をかけている。この戦略では、中国が海上保安庁や漁業監視船を用いて他国の領有権を侵害し、武力を行使せずに支配を拡大することを目指している。特に、南シナ海でのフィリピンなどの東南アジア諸国に対する圧力が強まっている。
・中国の海上優位性: 中国の新しい海上保安庁船は、他国と比べて圧倒的な優位性を持っており、特にフィリピンの海上保安庁(PCG)に対して大きな差をつけている。中国の船は、長期間にわたり、南シナ海でのパトロールや監視を続けることが可能であり、頻繁な補給やメンテナンスが不要である。これに対し、フィリピンの海上保安庁は、より小型で航続距離や持久力が限られているため、継続的な存在感を保つことが難しいとされている。
フィリピンの対抗策と課題
・「積極的透明性」戦略: フィリピンは、自国の主権と領土を守るために「積極的透明性」戦略を採用している。この戦略では、中国の攻勢を可視化し、国内外での支持を集めることを目指している。具体的には、フィリピン海軍と海上保安庁の船にジャーナリストを同行させ、中国の嫌がらせ行為を記録し、国際社会に知らせる手法を取っている。また、海上パトロールの強化や、技術的なアップグレードを通じて海上のドメイン認識を向上させる努力も行っている。
・国際的な支援: フィリピンはまた、アメリカ、日本、オーストラリアなどの同盟国からの支援を受け、共同パトロールや軍事援助、外交的な支援を受けている。これにより、フィリピンの戦略が持続可能になることを目指している。しかしながら、フィリピンは依然として中国に対抗するための持続的な海上プレゼンスを維持することに課題を抱えている。
・歴史的背景とPCGの近代化: フィリピンの海上保安庁は、2012年のスカボロー礁での中国との対立を契機に、近代化を進めてきた。特に日本からの支援により、大型船舶やレーダーステーションを提供され、海上ドメイン認識の向上や人員の増強が行われた。しかし、依然として予算や装備の制約があり、特に南シナ海での継続的な存在感を維持することが難しい状況にある。
結論
中国が新しい海上保安庁船を導入することで、南シナ海における領土主張を強化し、フィリピンなどの東南アジア諸国との競争において優位に立とうとしていることを強調している。一方で、フィリピンは国際的な支援を受けつつ、自国の主権を守るために様々な戦略を駆使しているものの、中国との海上戦力の差は依然として大きく、課題が残ることを指摘している
【要点】
1.中国の新しい海上保安庁船
・中国が建造中の新しい海上保安庁船は、Type 052D誘導ミサイル駆逐艦をベースに設計。
・船には76mm主砲とType 382対空レーダーが搭載され、空中監視能力が強化。
・排水量6,000~7,000トン、航続距離は6,000海里以上で、長期間のパトロールが可能。
・この船は、Zhaotou-class海上法執行船の後継モデルである可能性がある。
2.南シナ海における戦略的意図
・中国は「グレーゾーン」戦略を採用し、軍事行動と非軍事行動の境界を曖昧にして他国に圧力をかけている。
・中国の海上保安庁船はフィリピンなどの東南アジア諸国に対して大きな優位性を持つ。
3.フィリピンの対抗策と課題
・フィリピンは「積極的透明性」戦略を採用し、中国の行動を可視化して国際社会の支持を得ようとしている。
・フィリピンはアメリカ、日本、オーストラリアなどからの支援を受けているが、海上戦力の差は依然として大きい。
・フィリピン海上保安庁(PCG)は2012年のスカボロー礁の対立を契機に近代化を進めているが、依然として予算や装備の制約がある。
4.結論
・中国は新しい海上保安庁船を導入することで南シナ海での領土主張を強化しており、フィリピンとの海上戦力の差は依然として大きい。
【参考】
➢ 76mm主砲は、中型艦艇や一部の大型艦艇に搭載される標準的な艦砲であり、その威力や用途は以下の通り。
76mm主砲の威力と用途
・射程: 76mm砲の最大射程は約16,000メートル(16km)で、目的によってはこれより短くなる。
・発射速度: 砲の種類によるが、一般的に毎分60〜120発を発射することができる。
・弾種: 高性能榴弾(HE)、対空砲弾、または対艦ミサイルの迎撃に使用できる特殊弾薬など、複数の弾種がある。
・破壊力: 榴弾の破壊力は目標に対する効果に依存する。対艦攻撃においては、軽装甲の艦艇や小型船舶を撃沈するのに十分な威力がある。また、対空戦闘や地上支援攻撃にも有効である。
・用途: 主に対艦戦闘、対空防御、沿岸支援、さらには小型目標の攻撃に使用される。
・76mm主砲は、その多用途性と高い発射速度から、現代の海上戦闘で非常に効果的な武器とされている。特に、小型船舶や航空機の迎撃、沿岸部への火力支援などで威力を発揮する。
【参考はブログ作成者が付記】
【引用・参照・底本】
China’s new maritime goliath poised to patrol disputed seas ASIA TIMES 2024.08.16
https://asiatimes.com/2024/08/chinas-new-maritime-goliath-poised-to-patrol-disputed-seas/?utm_source=The+Daily+Report&utm_campaign=5886aad3e1-DAILY_16_8_2024&utm_medium=email&utm_term=0_1f8bca137f-5886aad3e1-16242795&mc_cid=5886aad3e1&mc_eid=69a7d1ef3c0