より大きな脅威としての米国の保護主義2024年08月24日 18:13

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【概要】

 最近のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の記事が、中国の経済戦略を新たな「世界貿易戦争」としてセンセーショナルに扱っていると批判している。WSJの記事は、中国が製造業への投資を増やすと、世界的な貿易摩擦につながる可能性があることを示唆しており、他国を犠牲にして自国の経済を復活させようとしていると報じている。

 WSJの主張は誇張され、繰り返しであると主張し、「過剰生産能力」の概念は古い議論であると指摘している。WSJの報道は偏向しており、米国の保護主義を擁護する一方で、中国の製造業を後押しする取り組みを批判していると主張している。中国の経済成長が研究開発への多額の投資によって推進され、世界の商品貿易で主導的な地位を維持していることを強調している。

 また、WSJが事実を歪曲し、アメリカの保護主義的な狙いに役立っていると非難している。それは、中国ではなく米国が他のWTO加盟国と比較して米国によって課された技術規制の数が多いことを引用して、中国ではなく米国がより責任があると主張している。また、WTOは依然として貿易紛争解決の重要なメカニズムであると主張し、保護主義は中国の製造業拡大よりも世界貿易に害を及ぼすことを示唆している。

 中国の過去最高の輸出入額と対外投資の増加に注目し、中国の経済活動に対する否定的な描写がメディアや一部の政府の偏見に影響されていることを示唆して締めくくられている。

【詳細】

 最近のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の記事「中国が新たな貿易戦争を始める理由」に批判的に反応している。以下は、主張の詳細な内訳である。

 1.WSJの報道におけるセンセーショナリズム

 ・WSJが注目を集めるために中国の経済活動をセンセーショナルに扱っていると非難している。WSJの記事は、「世界貿易戦争」という劇的なレッテルを使って、中国の製造業への投資増加をめぐる話題を作り出していると説明されている。

 2.リサイクルされた古い引数

 ・WSJが中国の製造業における「過剰生産能力」に関する時代遅れの議論を再利用していると主張している。中国の投資がグローバル企業に害を及ぼすという主張は、新たな洞察というよりは、長年の批判の焼き直しと見なされている。

 3.バイアスとダブルスタンダード

 ・WSJは、中国の経済行動を否定的に描きながら、米国の保護主義的な政策を正当化していると批判されている。WSJが中国が米国モデルを見習って、製造業から国内消費に焦点を移すべきだと示唆していると指摘している。これはダブルスタンダードと見なされており、WSJは米国の経済政策の潜在的な欠陥や矛盾を認識していない。

 4.中国の経済的成果

 中国の研究開発への多額の投資を強調し、これらの投資が米国の投資と比較して大幅に増加していると指摘している。中国が15年連続で世界最大の商品輸出国であり、主要な輸入国でもあることを強調している。

 5.WSJのWTOメカニズムに対する無知

 WSJが世界貿易紛争の管理における世界貿易機関(WTO)の役割を無視していると非難している。それは、ほとんどのWTO加盟国が貿易を促進し、障壁を減らすために働いていると主張しており、貿易紛争に満ちた世界についてのWSJの描写に反している。

 6.より大きな脅威としての米国の保護主義

 貿易摩擦を引き起こす責任は米国にあると主張している。米国が課す技術規制の数が多いことを引用し、保護主義的な措置が世界貿易に有害であることを示唆している。対照的に、中国の経済活動は、世界貿易の自然で有益なプロセスの一部として描かれている。

 7.中国の経済データ

 中国の輸出入が過去最高を記録し、非金融の直接投資が大幅に増加したことに言及している。この成長は、世界貿易を混乱させるような行動ではなく、中国の積極的な開放政策に起因している。

 8.米国メディアの言説に対する批判

 米国メディアが中国の経済活動を、状況に応じて脅威とも利益とも矛盾して描いていると批判している。これは、米国のメディアと政府の政策が、世界貿易における中国の役割に対する否定的な認識の責任であることを示唆している。

 全体として、WSJが中国を世界的な貿易紛争の原因として描くことは誤解を招き、利己的であり、中国の経済的貢献の肯定的な側面と国際貿易機関の役割を無視しながら、米国の保護主義的利益を促進することを目的としていると主張している。

【要点】

 箇条書きで説明する。

 1.WSJのセンセーショナリズム

 ・WSJが中国の製造業への投資を「新しいグローバル貿易戦争」としてセンセーショナルに報じていると批判。

 2.古い議論の再利用

 ・中国の「過剰生産能力」に関する議論を再利用しているだけで、新しい洞察がないと指摘。

 3.バイアスと二重基準

 ・WSJが中国の経済活動を批判しつつ、米国の保護主義政策を正当化していると非難。中国には製造業から国内消費へのシフトを求める一方で、米国の政策の問題点に触れていない。

 4.中国の経済成果

 ・中国の研究開発への投資が米国の4倍の成長率を示し、15年間世界最大の輸出国であると強調。

 5.WTOメカニズムの無視

 ・WSJがWTOの役割を無視し、貿易紛争の管理や貿易促進の努力を過小評価していると批判。

 6.米国の保護主義の方が大きな脅威

 ・米国が貿易緊張の主な原因であると指摘し、米国による技術規制の数が多いことを挙げている。

 7.中国の経済データ

 ・中国の輸出入が記録的な高水準に達し、対外直接投資も大幅に増加していると報告。

 8.米国メディアの批判

 ・米国メディアが中国の経済活動を状況に応じて矛盾した見解で報じており、それが中国に対する否定的な見方を生んでいると批判。

 WSJの報道が誇張されており、米国の保護主義的な立場を正当化するために中国の経済活動を過剰に悪者化させていると主張している。

【引用・参照・底本】

Why is WSJ again sensationalizing ‘global trade war’?: Global Times editorial GT 2024.08.23
https://www.globaltimes.cn/page/202408/1318581.shtml

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