王毅外相:あらゆる和平への努力を歓迎2025年02月15日 22:56

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【概要】

 中国の王毅外相は、ドイツで開催されたミュンヘン安全保障会議(MSC)において、ウクライナ危機に関する中国の立場について問われ、米国とロシアが和平交渉に関して合意したことを含め、あらゆる和平への努力を歓迎すると述べた。王毅外相は、あらゆる紛争の最終的な終着点は交渉の場であり、歴史は最終的に公正な評価を下すと主張した。

 また、和平交渉のプロセスには関係当事者が適切な時期に関与することが求められるとし、戦争が欧州で起きている以上、欧州が和平に向けて役割を果たし、危機の根本原因に対応するとともに、欧州の持続可能な安全保障の枠組みを構築する必要があると指摘した。

 米国のドナルド・トランプ大統領は14日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領およびウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と個別に電話会談を行った。ロイター通信によれば、両首脳は和平への意向を表明したとされる。

 トランプ大統領は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、プーチン大統領と「発生している多数の死者を止めること」に合意したと述べ、ワシントンとモスクワが「直ちに」直接交渉を開始することで一致したと明かした。また、両国が緊密に協力し、相互訪問を行うことにも合意したと述べた。

 ロイターによると、トランプ大統領は米国務長官のマルコ・ルビオ、中央情報局(CIA)長官のジョン・ラトクリフ、国家安全保障問題担当補佐官のマイケル・ウォルツ、中東特使のスティーブ・ウィトコフらに対し、ウクライナ危機の終結に向けた交渉を直ちに開始するよう指示した。

 戦争開始から4年目を迎える2月24日に向け、ウクライナとその支援国である日本やフランスは、国連総会にウクライナでの停戦を求める決議案を提出する予定であると、共同通信が14日に報じた。

 王毅外相は、会議で「紛争が始まった翌日から、中国は一貫して対話と協議による解決を提唱してきた」と強調した。習近平国家主席は、中国の立場を最も権威ある形で説明する四つの提案を打ち出しており、その内容は以下の通りであると述べた。

 1.すべての国の主権と領土保全の尊重
 2.国連憲章の目的と原則の遵守
 3.すべての当事者の正当な安全保障上の懸念の考慮
 4.すべての和平努力の支持

 これらの原則に基づき、中国は積極的に仲介活動を行っており、ブラジルなどグローバルサウスの国々とともに「平和のための友人グループ」を立ち上げたと述べた。王毅外相は「中国の見解は客観的、公正、合理的かつ実践的であり、国際社会の広範な共通認識を反映している」と主張した。

 また、中国がロシアからの石油・ガス輸入を通じてロシアを支援しているとの指摘について、王毅外相は「中国とロシアは長い国境を接する主要な隣国であり、過去の課題から教訓を得て、新時代における包括的戦略的協力パートナーシップを構築している。この関係は、同盟関係でもなければ対立を目的とするものでもなく、第三国を標的としたものでもない」と述べた。

 さらに、「中国とロシアは正常な経済・貿易関係を持っている。もし中国がロシアから石油やガスを輸入しなければ、どのようにして国内の需要を満たし、14億人以上の中国国民の必要を確保できるのか」と反論した。

【詳細】

 王毅外相の発言の詳細と中国の立場

 1. 中国はすべての和平努力を歓迎

 中国の王毅外相は、2025年2月14日にドイツで開催されたミュンヘン安全保障会議(MSC)において、ウクライナ危機に関する中国の立場について問われ、米国とロシアが和平交渉に関して合意したことを含め、「あらゆる和平への努力を歓迎する」と述べた。

 王毅外相は、「いかなる戦争であっても最終的には交渉の場で終結するものであり、歴史は最終的に公正な評価を下す」と主張した。この発言は、ウクライナ戦争を軍事的な勝敗だけでなく、外交的解決の視点から捉えるべきであるという中国の基本的な立場を示している。

 また、中国は関係当事者が適切な時期に和平交渉のプロセスに関与することを期待しており、特に「戦争が欧州で起きている以上、欧州が和平に向けて役割を果たす必要がある」と指摘した。さらに、危機の根本原因に対応し、欧州の持続可能な安全保障枠組みを構築することが不可欠であるとの見解を示した。

 2. 米国とロシアの和平交渉合意

 ロイター通信の報道によれば、米国のドナルド・トランプ大統領は2月14日にロシアのウラジーミル・プーチン大統領、およびウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領とそれぞれ電話会談を行い、和平交渉の可能性について話し合った。

 トランプ大統領は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、プーチン大統領と「発生している多数の死者を止めること」に合意したと述べ、ワシントンとモスクワが「直ちに」直接交渉を開始することで一致したと明かした。また、「両国が緊密に協力し、相互訪問を行うことにも合意した」と発言した。

 これを受け、トランプ大統領は米国務長官のマルコ・ルビオ、中央情報局(CIA)長官のジョン・ラトクリフ、国家安全保障問題担当補佐官のマイケル・ウォルツ、中東特使のスティーブ・ウィトコフらに対し、ウクライナ危機の終結に向けた交渉を直ちに開始するよう指示した。

 この動きについて、中国は直接的な評価を避けつつも、「すべての和平への努力を歓迎する」という立場を示すことで、外交的に柔軟な対応を取っていると考えられる。

 3. 国連総会での停戦決議案

 戦争開始から4年目を迎える2月24日に向け、ウクライナとその支援国である日本やフランスは、国連総会にウクライナでの停戦を求める決議案を提出する予定であると、共同通信が14日に報じた。

 この決議案の具体的な内容は明らかになっていないが、ウクライナとその支持国が国際社会の支持を得ることを目的としていると考えられる。これに対し、中国がどのような立場を取るかが注目される。

 4. 中国の和平解決に向けた基本方針

 王毅外相は、会議の中で「紛争が始まった翌日から、中国は一貫して対話と協議による解決を提唱してきた」と強調した。

 また、習近平国家主席が提唱した「4つの原則」についても言及し、これは中国の立場を最も権威ある形で示したものであると述べた。

 中国の「4つの原則」

 1.すべての国の主権と領土保全の尊重
 
 ・国連憲章に基づき、主権国家の領土が侵害されることは許されない。

 2.国連憲章の目的と原則の遵守

 ・国際法の枠組みに基づいた解決策を模索することが重要。

 3.すべての当事者の正当な安全保障上の懸念の考慮

 ・ウクライナのみならず、ロシアの安全保障上の懸念も考慮すべき。

 4.すべての和平努力の支持

 ・戦争の拡大を防ぐため、対話を通じた解決を追求するべき。

 中国はこれらの原則を基に、ブラジルなどのグローバルサウス諸国とともに「平和のための友人グループ(Friends for Peace Group)」を立ち上げ、外交的な仲介を進めていることを強調した。

 王毅外相は「中国の見解は客観的、公正、合理的かつ実践的であり、国際社会の広範な共通認識を反映している」と述べ、中国の立場が国際的に支持されるべきであるとの主張を展開した。

 5. 中国・ロシア間の貿易関係

 中国がロシアからの石油・ガス輸入を通じてロシアを支援しているとの批判に対し、王毅外相は「中国とロシアは長い国境を接する主要な隣国であり、過去の課題から教訓を得て、新時代における包括的戦略的協力パートナーシップを構築している」と反論した。

 この関係は、

 ・同盟関係ではなく、対立を目的としたものでもなく、第三国を標的としたものでもない
 ・正常な経済・貿易関係の一環である

と説明した。

 さらに、王毅外相は「中国とロシアは正常な経済・貿易関係を持っている。もし中国がロシアから石油やガスを輸入しなければ、どのようにして国内の需要を満たし、14億人以上の中国国民の必要を確保できるのか」と述べ、中国がエネルギー資源を安定的に確保するための貿易関係であることを強調した。

 この発言は、中国のエネルギー政策が地政学的な意図ではなく、経済的・国益的な必要性に基づくものであるという主張を補強するものである。

 結論

 中国は一貫して「対話と交渉による和平解決」を支持する立場を示しており、米ロの和平交渉の動きを歓迎する姿勢を取っている。また、中国自身も外交的な仲介努力を続けていることを強調し、ロシアとの経済関係については「正常な貿易関係」であると説明している。今後、米ロ交渉の進展や国連総会での停戦決議案の行方に注目が集まる。

【要点】

 1. 中国の立場

 ・王毅外相は「すべての和平努力を歓迎」と発言。
 ・戦争の終結には交渉が必要との立場を強調。
 ・欧州が和平に向けた役割を果たすべきと指摘。
 ・持続可能な安全保障枠組みの構築を提唱。

 2. 米ロの和平交渉

 ・トランプ大統領がプーチン大統領と和平交渉の合意を発表。
 ・「直ちに」米ロ間の直接交渉を開始すると表明。
 ・米政府高官に交渉の即時開始を指示。

 3. 国連総会での停戦決議

 ・ウクライナと支持国が停戦決議案を提出予定。
 ・国際社会の支持を得ることが目的。
 ・中国の対応が注目される。

 4. 中国の和平原則

 ・「4つの原則」に基づく立場を堅持

 (1)主権と領土の尊重
 (2)国連憲章の遵守
 (3)当事者の安全保障上の懸念を考慮
 (4)すべての和平努力を支持

 ・「平和のための友人グループ」を通じた外交仲介を進める。

【引用・参照・底本】

China pleased to see all peace efforts, including consensus reached by US and Russia: Wang Yi on Ukraine crisis GT 2025.02.15
https://www.globaltimes.cn/page/202502/1328484.shtml

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