Tokamak Energyと日本2025年06月07日 19:16

Microsoft Designerで作成
【概要】

 英国の核融合エネルギーの先駆者であるTokamak Energyは、日本のエネルギーイノベーション戦略の一環として位置付けられている。

 同社は数年間にわたり、日本の政府機関、企業、学術・科学機関との関係構築を進め、2025年2月に東京に子会社を設立した。また、同年4月には東京都から「グリーントランスフォーメーション」賞を受賞した。

 Tokamak Energyは2009年に英国原子力エネルギー機関からのスピンオフ企業として設立された。英国には約10社の核融合技術開発企業が存在するが、Tokamak Energyは商業化に最も近いと広く認識されている。ただし、商業化は少なくとも10年以上先の見込みである。
 
【詳細】 
 
 概要

 Tokamak Energyは、英国における核融合エネルギー技術の開発をリードする企業である。同社は2009年に英国原子力エネルギー機関(UK Atomic Energy Authority)からのスピンオフとして設立され、核融合技術の研究開発に特化している。英国国内には約10社の核融合技術開発企業が存在するが、その中でもTokamak Energyは、核融合エネルギーの商業化に最も近いと広く認められている企業である。

 このTokamak Energyは、日本のエネルギーイノベーション戦略の一環として重要な役割を果たしている。日本の政府機関や企業、さらには学術・科学機関との協力関係を数年間にわたり築き上げてきた。これにより2025年2月に東京に子会社を設立し、日本市場における核融合エネルギー技術の普及と商業化を目指している。

 さらに、2025年4月には東京都から「グリーントランスフォーメーション」賞を受賞している。この賞は、環境負荷の低減や持続可能な社会の実現に向けた技術開発や取り組みを評価するものであり、Tokamak Energyの核融合エネルギー技術が持つ将来性と社会的意義が認められたものである。

 なお、商業化までには依然として技術的課題が多く残されており、現時点での見通しでは、実用化には少なくとも10年以上の時間を要するとされている。

【要点】 

 ・Tokamak Energyは英国の核融合エネルギー技術開発をリードする企業である。

 ・2009年に英国原子力エネルギー機関(UK Atomic Energy Authority)からのスピンオフとして設立された。

 ・英国には約10社の核融合技術開発企業が存在し、その中でTokamak Energyは商業化に最も近いとされている。

 ・日本の政府機関、企業、学術・科学機関と数年間にわたり協力関係を築いてきた。

 ・2025年2月に東京に子会社を設立し、日本での核融合エネルギー技術の普及と商業化を目指している。

 ・2025年4月に東京都から「グリーントランスフォーメーション」賞を受賞した。

 ・同賞は環境負荷低減や持続可能な社会の実現に向けた技術や取り組みを評価するものである。

 ・商業化には依然として技術的課題が多く、実用化には少なくとも10年以上の時間を要すると見込まれている。
 
【桃源寸評】🌍

 核融合エネルギー技術開発

 核融合エネルギー技術開発は、地球温暖化対策やエネルギー安全保障の観点から世界各国が力を入れている分野である。国際協力プロジェクトであるITER(国際熱核融合実験炉)計画が進む一方で、各国独自の取り組みや民間企業の参入も活発化し、国際競争の様相を呈している。

 以下に主要国の核融合エネルギー技術開発の状況を国別にまとめる。

 1. 国際熱核融合実験炉(ITER)計画

 ITERは、核融合エネルギーの実用化を目指す世界最大の国際共同プロジェクトです。EU、日本、米国、ロシア、中国、韓国、インドの7極が協力して、フランス南部に巨大なトカマク型核融合炉を建設している。

 ・目的: 科学技術的な実現可能性の検証、および核融合発電の工学的実証

 ・現状: 2025年12月の運転開始、2035年12月の核融合運転開始を目指して建設が進められている。

 ・各極の貢献: 各極が分担する機器を調達・製造して持ち寄り、ITER機構が全体を組み立てる仕組みである。例えば、日本は巨大なトロイダル超伝導磁石など、重要なコンポーネントを供給している。

 2. 各国の核融合エネルギー技術開発動向

 ITER計画の進展を受けて、各国は独自の核融合発電ロードマップを策定し、実用化に向けた取り組みを加速させている。

 (1) アメリカ

 ・目標: 2040年代の実用化を目指している。

 ・特徴

  ✓2022年12月には、ローレンス・リバモア国立研究所(LLNL)がレーザー核融合において投入エネルギー以上のエネルギー生成(点火)に成功し、画期的な進展を発表した。これは核融合研究における大きなマイルストーンとなった。

  ✓民間企業の核融合ベンチャーへの投資が非常に活発で、政府も商業核融合エネルギーの実現を加速するための10年戦略を策定している。

  ✓中国と比較すると、政府予算は少ないものの、民間投資との連携が盛んである。

 (2) 中国

 ・目標: 2030年代の実用化を目指しており、最も積極的な姿勢を見せている。

 ・特徴

  ✓年間約15億ドルを核融合開発に投じており、その投資額は他のすべての国を合わせた額を上回るとも言われている。

  ✓核融合に関する特許数で世界最多を誇り、核融合科学と工学の博士号取得者も米国をはるかに上回るとされている。

  ✓2023年12月には国営企業25社によるコンソーシアムを設立し、政府主導で開発を進めている。

  ✓大規模試験施設群「CRAFT」を2025年に完成させる予定で、トカマク型核融合実験炉の建設も進め、2027年の運転開始を目指している。

 (3) 欧州連合(EU)

 ・目標: 2050年代の実用化を目指しています。

 ・特徴

  ✓ITER計画のホストサイトであり、ITERへの貢献とEU独自の核融合発電原型炉プログラムへの参画を継続している。

  ✓ユーロフュージョン(EUROfusion)というコンソーシアムを通じて、加盟国間の共同研究を進めている。

  ✓2022年には、英国のJET(Joint European Torus)において、記録的な59メガジュールの持続核融合エネルギー放出に成功するなど、着実に成果を上げている。

 (4) 日本

 ・目標: 2030年代の実証を目指す「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」を策定している。

 ・特徴

  ✓ITER計画において主要な貢献国であり、世界最大級のトカマク型超伝導プラズマ実験装置「JT-60SA」を建設し、核融合研究の進展に貢献している。

  ✓高温超電導導体の独自開発など、基盤技術開発にも力を入れている。

  ✓国内の研究開発の推進と国際協調、そして人材育成を重視している。

  ✓民間スタートアップ企業も登場し、ヘリカル型核融合炉の開発など、多様なアプローチが進められている。

 (5) イギリス

 ・目標: 2040年代の実用化を目指しています。

 ・特徴

  ✓EU離脱後、独自のエネルギー政策として核融合を重視し、2021年10月には独自の核融合戦略を発表した。

  ✓球状トカマク型エネルギー核融合施設(STEP)の建設を計画しており、2040年までの完成を目指している。

  ✓核融合に関する規格・規制の策定を先導し、核融合産業の構築と世界への技術輸出を目指している。

  ✓JETの運営を通じて、核融合研究をリードしてきた。

 (6) 韓国

 ・目標: 2050年代の実用化を目指している。

 ・特徴

  ✓韓国型超伝導核融合研究装置「KSTAR」を用いて、高温プラズマの長時間維持に関する世界記録を樹立するなど、研究成果を上げている。
 
  ✓「人工太陽」技術確保と核融合新規プロジェクト推進のため、大規模な政府投資を計画している。

 (7) インド

 ・特徴

  ✓ITER計画の主要な参加国の一つであり、核融合研究に貢献している。

  ✓民間企業による核融合炉開発の動きも出てきている。

 まとめ

 核融合エネルギー開発は、国際協調の時代から各国独自の戦略と民間投資が活発化する国際競争の時代へと移行している。各国がそれぞれの強みを生かし、実用化に向けた研究開発を加速させており、今後の技術的進展が注目される。

 東日本大震災による福島第一原子力発電所事故を経験した日本にとって、新たなエネルギー技術における安全性への懸念は当然のことである。核融合エネルギーが従来の核分裂エネルギー(現在の原子力発電)とどのように異なり、どのような安全対策が講じられているのかについて説明する。

 核融合エネルギーの安全性に関する基本的な考え方

 核融合エネルギーは、太陽と同じ原理を利用したエネルギー源である。軽い原子核(主に水素の同位体である重水素と三重水素)を高温・高圧にすることで融合させ、より重い原子核(ヘリウム)と中性子を生成する際に発生するエネルギーを取り出す。

 従来の核分裂炉がウランなどの重い原子核を分裂させるのに対し、核融合炉は軽い原子核を融合させる点で根本的に異なる。この違いが、安全性における大きな利点となる。

 福島第一原発事故との根本的な違い

 福島第一原発事故は、主に以下の要因が複合的に作用して発生した。

 (1)冷却機能の喪失: 地震による外部電源喪失と津波による非常用ディーゼル発電機の浸水により、炉心冷却機能が失われた。

 (2)炉心溶融: 冷却できないことで燃料が高温になり、溶け落ちる「炉心溶融」が発生した。

 (3)水素爆発: 炉心溶融によって発生した水素が建屋内に充満し、爆発を引き起こした。

 (4)放射性物質の大量放出: 炉心溶融と建屋損壊により、大量の放射性物質が外部に放出された。

 これに対し、核融合炉では以下のような特徴から、福島第一原発事故のような事態は起こり得ない。

 1. 臨界の概念がない

 核分裂炉では、核燃料が連鎖反応を起こし続ける「臨界状態」を維持して発電する。もし冷却できなくなると、炉心が高温になり暴走する可能性がある。

 一方、核融合炉では、プラズマを安定的に維持するために常にエネルギーを投入し続ける必要がある。プラズマは非常に不安定な状態であり、少しでも制御が乱れると瞬時に活動が停止する。つまり、何らかの異常が発生してエネルギー供給が途絶えたり、閉じ込めが困難になったりすれば、核融合反応は自動的に停止し、暴走する可能性はない。これは、原理的に「臨界事故」が起こり得ないことを意味する。

 2. 核融合燃料の少量性

 核融合炉で一度に炉心に存在する燃料(重水素と三重水素)は、ごく微量である。例えば、ITERのような大規模な実験炉であっても、プラズマ中に存在する燃料は数グラム程度と極めて少量である。これに対して、核分裂炉では何トンもの核燃料が装荷されている。

 万が一の事故が発生した場合でも、存在する燃料が少ないため、大量の放射性物質が放出されるリスクは格段に低くなる。

 3. 放射性廃棄物の特性と量

 核融合炉では、核融合反応で生成される中性子が炉壁などの構造材に当たることで、誘導放射化と呼ばれる現象が起こり、放射性物質が生じる。これが核融合炉における主な放射性物質の発生源となる。

 しかし、これらの放射性物質の半減期は比較的短く(数十年〜数百年程度)、現在主流の核分裂炉から出る高レベル放射性廃棄物(半減期が数万年〜数百万年と非常に長いものも含まれる)とは異なる。また、発生量も核分裂炉に比べて格段に少ないとされている。数十年〜数百年で放射能レベルが十分に低くなるため、最終処分場の確保や管理の負担が大幅に軽減されると期待されている。

 その他の安全性への配慮

 核融合炉の研究開発においては、上記の根本的な安全性に加え、以下のような多重防護の設計が検討されている。

 ・トリチウム(三重水素)の管理: 核融合燃料の一つであるトリチウムは放射性物質であるが、半減期が約12年と比較的短く、体内に入っても速やかに排出される特性がある。核融合炉では、トリチウムを厳重に閉じ込め、回収・再利用するシステムが構築される。

 ・構造材の選定: 中性子照射によって放射化しにくい材料(低放射化材料)の開発が進められている。

 ・冷却システムの設計: 万が一の冷却材喪失事故でも、炉心損傷に至らないよう、多様な冷却システムや受動的な安全機能が検討されている。

 まとめ

 核融合エネルギーは、その原理上、核分裂エネルギーとは異なる安全上の特性を持っている。連鎖反応による暴走がないこと、炉内の燃料がごく微量であること、そして発生する放射性廃棄物の特性が、核分裂炉におけるシビアアクシデントのリスクを大幅に低減させる。

 もちろん、新しい技術である以上、設計や運用における万全の安全対策は不可欠である。しかし、福島第一原発事故で懸念されたような大規模な炉心溶融や放射性物質の広範囲な放出といった事故のリスクは、核融合炉の原理的な特性によって極めて低いと考えられている。

 核融合エネルギーは、持続可能な社会を実現するための有力な選択肢として、安全性を最優先に研究開発が進められている。

 核融合炉でプラズマを安定的に維持するために投入される「エネルギー」

 核融合炉でプラズマを安定的に維持するために投入される「エネルギー」とは、主にプラズマを核融合反応が起こる超高温(1億℃以上)まで加熱し、その温度を維持するためのエネルギーのことである。

 プラズマは非常に不安定な状態であり、一度加熱しても、その熱はすぐに外部に逃げ出してしまう。太陽のように自らの重力で閉じ込めることができない地上では、人工的に様々な方法でエネルギーを投入し、プラズマを「閉じ込め」ながら「加熱」し続ける必要がある。

 具体的にどのようなエネルギーが投入されるかというと、以下のような複数の加熱方式が組み合わせて用いられる。

 1. 初期加熱(オーム加熱/ジュール加熱)

 核融合反応を開始させる最初の段階で用いられる加熱方法である。

 ・仕組み: プラズマ中に電流を流すことで、プラズマ自身の電気抵抗によって熱が発生する。これは、電熱線に電流を流すと熱くなるのと同じ原理である。

 ・特徴: 比較的簡単な方法であるが、プラズマの温度が上がると電気抵抗が下がるため、これだけで核融合反応に必要な1億℃まで加熱することはできない。あくまで初期の加熱手段として使われる。

 2. 追加加熱(核融合炉の主要な加熱方法)

 オーム加熱だけでは到達できない超高温までプラズマを加熱し、その温度を維持するために、外部から強力なエネルギーを投入する。

 (1)中性粒子ビーム加熱(NBI: Neutral Beam Injection)

 ・仕組み: 水素(または重水素、三重水素)の原子をイオン化し、非常に高速に加速してビームにする。このビームをプラズマに入射する直前で中性化(電荷をなくす)させ、強力な磁場を貫通させてプラズマの内部に打ち込む。プラズマに入った中性粒子は、プラズマ中のイオンや電子と衝突することで運動エネルギーをプラズマに渡し、加熱する。

 ・特徴: プラズマの深部までエネルギーを供給でき、プラズマの電流駆動(安定化)にも利用できる。

 (2)高周波加熱(RF加熱)

 ・仕組み: 特定の周波数の電磁波(マイクロ波やラジオ波)をプラズマに入射し、プラズマ中の電子やイオンの運動(サイクロトロン運動など)と共鳴させることで、エネルギーを与えて加熱する。電子レンジが食品を温めるのと似た原理である。

 ・種類

  ✓電子サイクロトロン加熱(ECH): 電子と共鳴するマイクロ波を使って電子を加熱する。

  ✓イオンサイクロトロン加熱(ICH): イオンと共鳴するラジオ波を使ってイオンを加熱する。

  ✓低域混成波加熱(LHH): プラズマ電流の駆動にも利用される高周波加熱である。

 ・特徴: 加熱したい場所を比較的細かく制御でき、非接触でプラズマを加熱できる。

 3. 自己加熱(核融合反応による加熱)

 核融合反応が十分に活発になると、反応で生成されるヘリウム原子核(アルファ粒子)が高速で飛び出し、その運動エネルギーの一部をプラズマ中の他の粒子に与えることで、プラズマ自身を加熱するようになる。これを自己加熱と呼ぶ。

 ・目標: 最終的には、外部からの追加加熱を減らし、自己加熱だけで核融合反応を維持できる「自己点火(self-ignition)」状態を目指す。ITERでは、投入エネルギーの10倍の核融合エネルギーを発生させる「Q=10」の達成を目標としており、これは自己加熱の割合を大きくすることで実現される。

 まとめると

 核融合炉でプラズマを安定的に維持するために投入される「エネルギー」とは、プラズマを1億℃以上の超高温に加熱し、その状態を磁場で閉じ込めて維持するために、外部から供給される電気エネルギーや電磁波エネルギー、粒子ビームの運動エネルギーなどのことである。

 これらのエネルギーを効率的に投入し、プラズマが外部に逃げ出す熱損失を上回るだけの核融合反応を起こせる状態をいかに長時間維持するかが、核融合エネルギー実用化の最大の技術的課題となっている。

 「プラズマ」

 「プラズマ」は、物質の第4の状態と呼ばれている。一般的には、固体、液体、気体の3つの状態が知られているが、気体にさらに大きなエネルギー(熱や電磁波など)を加えることで、原子が電子を放出し、正の電荷を帯びたイオンと、負の電荷を帯びた自由電子がバラバラに動き回る状態になる。この、正イオンと自由電子がほぼ同数存在し、全体として電気的に中性な状態の電離気体が「プラズマ」である。

 プラズマの特徴

 ・電気伝導性: イオンと電子が自由に動くため、電気を通しやすい性質がある。

 ・電磁場との相互作用: 荷電粒子であるため、電場や磁場の影響を強く受け、その運動を制御することができる。これが核融合炉でプラズマを閉じ込める(磁気閉じ込め)原理にもなっている。

 ・化学的活性: 通常の気体よりもはるかに高いエネルギーを持ち、反応性が非常に高いため、様々な化学反応を促進することができる。

 ・光の放出: 励起された電子が元の安定した状態に戻る際に光を放出するため、発光現象を伴うことが多い(蛍光灯やネオンサインなど)。

 自然界におけるプラズマ

 実は、宇宙の物質の99%以上はプラズマ状態であると言われている。

 ・太陽や恒星: 太陽は巨大なプラズマの塊である。核融合反応によって莫大なエネルギーを放出している。

 ・オーロラ: 太陽から放出されたプラズマ(太陽風)が地球の磁場に導かれ、大気中の原子や分子と衝突して発光する現象である。

 ・雷: 落雷の際に空気が瞬間的に電離し、プラズマが発生している。

 ・星間ガス、銀河間ガス: 宇宙空間に漂う希薄なガスも、ほとんどがプラズマ状態である。

 地球上では、大気圧下ではプラズマ状態を維持するのが難しいため、意識しないとあまり見かけないが、実は身近なところにも存在する。

 ・蛍光灯やネオンサイン: 放電によってガスをプラズマ状態にすることで発光している。

 ・ろうそくの炎: 厳密には部分的にプラズマ状態になっている。

 人工的なプラズマとその応用例

 ・人工的にプラズマを生成し、その特性を利用する技術は「プラズマ技術」と呼ばれ、私たちの生活の様々な場面で活用されている。

 1.核融合エネルギー: 究極のクリーンエネルギーとして期待される核融合発電は、まさに超高温のプラズマを磁場で閉じ込めて核融合反応を維持する技術である。

 2.半導体製造

 ・エッチング: プラズマ中の活性種(イオンやラジカル)を利用して、半導体基板の表面を精密に削る(加工する)技術である。

 ・薄膜形成(CVD/PVD): プラズマ中で反応ガスを分解し、目的の物質を基板表面に堆積させて薄い膜を作る技術である(例: 太陽電池のシリコン膜、硬いコーティングなど)。

 3.表面改質: 材料の表面にプラズマを当てることで、撥水性、親水性、硬度、耐摩耗性、生体適合性など、様々な特性を付与することができる。プラスチックや金属の表面処理、医療機器の表面改質などに使われる。

 4.殺菌・滅菌: 低温プラズマは、熱に弱い医療器具や食品の殺菌、空気清浄などに応用されている。

 5.環境浄化: 排ガス処理、水処理、臭気分解など、環境分野での応用も進んでいる。

 6.医療・バイオ: 低温プラズマを用いた創傷治癒、がん治療の研究、遺伝子導入、歯の治療など、多岐にわたる研究開発が進められている。

 7.照明: 蛍光灯、ネオンサイン、プラズマディスプレイ(過去のテレビ技術)などが挙げられる。

 8.溶接・切断: アーク溶接やプラズマ切断は、高温のプラズマを利用した金属加工技術である。

 このように、「プラズマ」は、宇宙の大部分を占める自然現象であると同時に、現代の高度な科学技術を支える基盤であり、未来のエネルギーや産業を拓く可能性を秘めた非常に重要な物質の状態である。

【寸評 完】🌺

【引用・参照・底本】

US Trojan horse alarms pushing China’s robots to Europe ASIA TIMMES 2025.06.06
https://asiatimes.com/2025/06/us-trojan-horse-alarms-pushing-chinas-robots-to-europe/#

コメント

トラックバック