日本、非戦の国へ ― 2024年01月07日 20:37
沖縄国際大学の前泊博盛教授による政治経済に関する内容である。
平和憲法9条の崩壊と安保関連三文書(註):平和憲法第9条に明記された「非武装・非戦の国」の理念が、2022年12月に閣議決定された「安保関連三文書」によって崩壊したと述べている。これにより、武装国家への変貌や敵基地攻撃の可能性が生じたと指摘されている。
軍事的動きの進展: 根拠のない巨額の軍事費支出や米国製ミサイルの購入、弾薬の製造と備蓄、自衛隊ミサイル基地の急造など、「新たな戦争」に向けた国の準備が進んでいることを述べている。また、民間施設の軍事施設化も指摘されている。
メディアの役割: 在京メディアが中国脅威論を振りまきつつ、軍事的な動きを強調して報道していることが指摘されている。これにより、国民に恐怖感を抱かせる報道が行われていると主張されている。
国内外の政治情勢: 世界の政治情勢も取り上げられており、ロシアの大統領選挙や米国の大統領選挙に触れつつ、権力の長期独裁が危険であるとの立場が述べられている。
日本の政治態勢と平和への呼びかけ: 日本においては、政権の一党独裁的な構造が民主主義の機能を阻害しているとし、軍縮や核兵器廃絶を提唱する議員が政権に就いても異次元の軍拡が進んでいると指摘している。最後に、外交力を高め、平和の盟主を目指す政治家の必要性と国民の意識の再構築を呼びかけている。
著者について: 著者は、まえどまり・ひろもり氏として紹介されており、宮古島生まれで沖縄国際大学大学院教授であり、沖縄経済論、軍事経済論、日米安保論、地位協定論などに詳しいとされている。その他にも、琉球新報論説委員長などの経歴が述べられている。
【要点】
縄国際大学教授の前泊博盛氏は、2024年1月5日に発表した論考の中で、日本が「非戦の国」から「好戦国家」へと変貌しつつあることを危惧している。
氏は、2022年12月に閣議決定された「安保関連三文書」を、この変貌の象徴としている。三文書は、日本の防衛戦略や日米同盟のあり方を定めたものであり、その中で敵基地攻撃能力の保有を容認する内容が盛り込まれまれた。氏は、このことが「非武装・非戦の国」を守る憲法9条を形骸化させ、日本を戦争に引きずり込む危険性を高めると指摘している。
また、氏は、日本の軍事費の増大や、南西諸島へのミサイル基地の急造など、軍事力の強化に向けた動きを危惧している。氏は、これらの動きが、中国や北朝鮮などの脅威を口実に、日本を戦争へと導こうとする政府の思惑によるものとみている。
さらに、氏は、日本のメディアが政府の軍事強化を煽る報道を続けることにも警鐘を鳴らしている。氏は、メディアが政府の宣伝機関と化すことで、国民の戦争への支持を高めかねないと懸念している。
氏は、こうした危機的な状況を打開するために、次の3つの課題を挙げている。
1つ目は、まともな政治家を育てること。氏は、現在の日本の政治は、一党独裁によって腐敗し、国民の声を反映していないと指摘している。そのため、国民は、軍縮や核兵器廃絶を訴える政治家を選んで、日本の平和と安全保障を守らなければならないと訴えている。
2つ目は、外交力を高めること。氏は、軍事力だけでは、平和を実現することはできないと指摘している。そのため、日本は、外交力を高め、アジアの平和の盟主となるべきだと訴えている。
3つ目は、国民の意識を高めること。氏は、国民が戦争の悲惨さを忘れ、戦争を肯定する風潮が広がっていることを危惧している。そのため、国民は、戦争の悲惨さを学び、平和を守るために行動するべきだと訴えている。
氏の論考は、日本の安全保障や外交政策を考える上で、重要な指針となるものである。
・前泊氏は、この三文書により、日本が「改憲なしで武装国家へ」「敵基地攻撃も可能な好戦国家へ」変貌させられてしまう危険性を指摘している。具体的には、以下の点を挙げている。
・根拠なき「43兆円」もの財源なき莫大な軍事費の支出
・対米追従の2兆円もの莫大な米国製ミサイルや装備品の購入
・前年比3倍増の8000億円超の弾薬製造と備蓄
・南西諸島への自衛隊ミサイル基地の急造と部隊配備
・住民が戦闘に巻込まれることを前提とする「シェルター」建設予算の計上
・民港湾、民空港など民間施設の軍事施設化
・また、前泊氏は、この危険な動きに、在京メディアが拍車をかけているとも指摘している。中国脅威論を振りまきながら、自衛隊の基地建設や4万人規模の日米両軍による実戦を想定した巨大な軍事演習をつぶさに報道しているとし、その報道姿勢には「台湾有事」の勃発への期待感すら滲むと批判している。
・さらに、前泊氏は、世界情勢についても触れている。中東のパレスチナ紛争やロシアのウクライナ侵略戦争など、残酷で残虐な戦争が続いていることに憂慮を示し、これらの戦争は、人類の愚かさの表れだと述べている。
・そして、今年3月に予定されているロシア大統領選挙と、11月に予定されている米国大統領選挙についても言及している。ロシアのプーチン大統領が長期政権を維持していることの危険性を指摘し、アメリカの大統領3選禁止制度を例に挙げて、長期政権の弊害を訴えている。
・前泊氏は、日本が再び戦争国家にならないためには、まともな政治家を育てていくことが重要だと訴えている。一党独裁的な現在の政治態勢では、健全な民主主義の機能が発揮されず、党利党略・私利私欲の腐敗政治がはびこっていると指摘し、軍縮や核兵器廃絶を先頭に立って唱えるべき広島選出の首相が、異次元の軍拡を打ち出し、核兵器廃絶に後ろ向きな言動に終始していることを批判している。
・そして、外交力を高め、アジアの平和の盟主を目指す政治家を国会に送り込むためには、主権者たる国民の理念と哲学、意識の再構築が必要だと呼びかけている。
・前泊氏の論説は、日本の安全保障政策の転換に対する強い危機感と警鐘を鳴らすものとなっている。
・日本が「非戦の国」から「武装国家」へと変貌しつつあることを憂慮している。
・氏は、2022年12月に閣議決定された「安保関連三文書」を、憲法9条に反する「戦争の準備」と批判する。三文書では、敵基地攻撃能力の保有や、周辺事態への自衛隊の海外派遣拡大などが明記されており、氏はこれらの政策によって、日本が「敵を攻撃する能力を持ち、戦争に加担する国」へと変わってしまうと危惧している。
・氏はまた、こうした動きを推進する政府や在京メディアの姿勢を批判する。政府は、中国の脅威を強調しながら、軍拡や海外派遣を進めており、在京メディアは政府の論調に迎合する形で、戦争を煽るような報道を繰り返していると指摘する。
・さらに、氏は世界情勢についても触れ、イスラエル・ハマス戦争やロシア・ウクライナ侵攻など、戦争が絶えない現状を憂慮する。氏は、こうした戦争の原因の一つとして、権力者の独裁や腐敗を挙げ、民主主義や法治主義の重要性を訴える。
・氏は「非戦の国・日本」を取り戻すための課題として、以下の3つを挙げている。
・まともな政治家を育て、政権交代を実現すること
・外交力を高め、アジアの平和の盟主を目指すこと
・国民一人ひとりが、平和の理念と哲学を再構築すること
・氏は、これらの課題を解決するために、国民一人ひとりが、平和への意識を高め、行動することが重要だと訴えている。
・2022年12月に閣議決定された「安保関連三文書」は、憲法9条に反する「戦争の準備」である。
・政府や在京メディアは、戦争を煽るような報道を繰り返している。
・世界情勢は、戦争が絶えない危険な状況にある。
・非戦の国・日本を取り戻すためには、まともな政治家を育て、政権交代を実現すること、外交力を高め、アジアの平和の盟主を目指すこと、国民一人ひとりが、平和の理念と哲学を再構築することが重要である。
(註)
2022年12月16日、岸田内閣は「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」の3つの文書を閣議決定した。この3文書は、日本の外交・防衛政策の基本方針を定めたものであり、2013年の安倍政権による改定以来、10年ぶりの改定となる。
改定された「安保関連三文書」の最大の特徴は、以下の3点である。
・敵基地攻撃能力の保有を明記
これまでの日本の防衛政策は、専守防衛を基本とし、自国の領土・領海・領空を防衛することを目的としていた。しかし、改定された「安保関連三文書」では、敵基地攻撃能力の保有を明記した。これは、日本が攻撃を受けた場合に、相手の基地を攻撃する能力を保有することを意味する。
・軍事費の2倍化
改定された「防衛力整備計画」では、今後5年間の防衛費を43兆円程度とすることを決定した。これは、現行の2倍以上の規模となる。
・南西諸島の防衛強化
改定された「国家防衛戦略」では、南西諸島の防衛強化を重視する姿勢を明確にした。具体的には、南西諸島へのミサイル基地の配備や、自衛隊部隊の増強などを進める方針を示している。
これらの改定は、日本の安全保障政策の転換を意味するものとして、国内外で大きな注目を集めた。
・「敵基地攻撃能力」の保有
「敵基地攻撃能力」の保有は、日本国憲法9条の「戦争の放棄」との整合性について、議論が続いている。また、敵基地攻撃能力の保有は、日本を戦争に巻き込むリスクを高めるという懸念も指摘されている。
・軍事費の2倍化
軍事費の2倍化は、日本の財政に大きな負担をかける可能性がある。また、日本の軍事力が過度に拡大することで、周辺国の警戒心を高めるという懸念も指摘されている。
・南西諸島の防衛強化
・南西諸島の防衛強化は、中国の軍事的台頭への対応を目的としている。しかし、中国は日本の軍事力の強化を脅威と捉え、対抗措置を講じる可能性もある。
・今後、改定された「安保関連三文書」を踏まえた日本の安全保障政策がどのように展開されるのか、注視が必要である。
2022年12月16日、岸田内閣は「国家安全保障戦略」など安保関連3文書の改定を閣議決定した。
「国家安全保障戦略」では、国際情勢の変化を踏まえ、以下の5つの基本原則を掲げている。
国際協調を旨とする積極的平和主義の維持
自由、民主主義、基本的人権の尊重等の普遍的価値の維持・擁護
平和国家として、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とはならず、非核三原則を堅持するとの基本方針の堅持
拡大抑止を含む日米同盟を安全保障政策の基軸とする
同志国との連携、多国間の協力の重視
また、「国家防衛戦略」では、以下の事項を防衛力整備の基本方針として掲げている。
・敵基地攻撃能力の保有
・防衛費の「GDP比2%」への引き上げ
・ミサイル防衛能力の強化
・サイバー・宇宙・電磁波などの新領域での防衛能力の強化
・自衛隊の体制・運用の抜本的改革
そして、「防衛力整備計画」では、2023年度から2027年度までの5年間の防衛力整備の具体的な内容を示している。
この安保関連3文書の改定は、岸田政権が掲げる「積極的防衛」を反映したものであり、日本の安全保障政策の転換を象徴するものとなっています。
具体的には、以下の3点が大きな変更点として挙げられる。
・敵基地攻撃能力の保有
・防衛費の「GDP比2%」への引き上げ
・新領域での防衛能力の強化
敵基地攻撃能力の保有は、日本が戦後70年以上守ってきた「専守防衛」の原則を大きく転換するものであり、大きな議論を呼んでいる。防衛費の「GDP比2%」への引き上げは、日本の防衛力を大幅に強化するものであり、財政負担の増大が懸念されている。新領域での防衛能力の強化は、サイバー・宇宙・電磁波などの新たな脅威に対応するものであり、今後の防衛力のあり方を大きく変えるものと見られている。
この安保関連3文書の改定は、日本の安全保障政策の転換に向けた第一歩であり、今後も議論が続くことが予想される。
賛成の意見としては、中国の軍事的脅威に対抗するためには、敵基地攻撃能力の保有や防衛費の増額は不可欠だというものである。また、南西諸島の防衛強化は、日本の安全保障にとって重要だという意見もある。
反対の意見としては、敵基地攻撃能力の保有は、憲法9条に違反する可能性があるというものである。また、防衛費の増額は、軍拡競争を招き、地域の緊張を高める可能性があるという意見もある。
2022年12月に閣議決定された「安保関連三文書」の文書名は、以下のとおりである。
・国家安全保障戦略
・国家防衛戦略
・防衛力整備計画
これらの文書は、日本の安全保障政策の基本方針を定めたものであり、戦後初めての改定となったた。
「国家安全保障戦略」は、日本の安全保障に関する基本的な考え方や目標を定めたものである。
「国家防衛戦略」は、日本の防衛力整備の基本的な方向性や目標を定めたものである。
「防衛力整備計画」は、5年間の防衛力整備の具体的な内容を定めたものである。
これらの文書の改定により、従来の「非武装・非戦の国」の原則から大きく転換し、敵基地攻撃能力の保有や防衛費の増額などを明記した。このことは、国内外から賛否両論の声が上がっている。
(註はブログ作成者が参考の為に付記した。)
引用・参照・底本
失われた「非戦の国」を取り戻す一年に 沖縄国際大学教授・前泊博盛 長周新聞 2024.01.05
平和憲法9条の崩壊と安保関連三文書(註):平和憲法第9条に明記された「非武装・非戦の国」の理念が、2022年12月に閣議決定された「安保関連三文書」によって崩壊したと述べている。これにより、武装国家への変貌や敵基地攻撃の可能性が生じたと指摘されている。
軍事的動きの進展: 根拠のない巨額の軍事費支出や米国製ミサイルの購入、弾薬の製造と備蓄、自衛隊ミサイル基地の急造など、「新たな戦争」に向けた国の準備が進んでいることを述べている。また、民間施設の軍事施設化も指摘されている。
メディアの役割: 在京メディアが中国脅威論を振りまきつつ、軍事的な動きを強調して報道していることが指摘されている。これにより、国民に恐怖感を抱かせる報道が行われていると主張されている。
国内外の政治情勢: 世界の政治情勢も取り上げられており、ロシアの大統領選挙や米国の大統領選挙に触れつつ、権力の長期独裁が危険であるとの立場が述べられている。
日本の政治態勢と平和への呼びかけ: 日本においては、政権の一党独裁的な構造が民主主義の機能を阻害しているとし、軍縮や核兵器廃絶を提唱する議員が政権に就いても異次元の軍拡が進んでいると指摘している。最後に、外交力を高め、平和の盟主を目指す政治家の必要性と国民の意識の再構築を呼びかけている。
著者について: 著者は、まえどまり・ひろもり氏として紹介されており、宮古島生まれで沖縄国際大学大学院教授であり、沖縄経済論、軍事経済論、日米安保論、地位協定論などに詳しいとされている。その他にも、琉球新報論説委員長などの経歴が述べられている。
【要点】
縄国際大学教授の前泊博盛氏は、2024年1月5日に発表した論考の中で、日本が「非戦の国」から「好戦国家」へと変貌しつつあることを危惧している。
氏は、2022年12月に閣議決定された「安保関連三文書」を、この変貌の象徴としている。三文書は、日本の防衛戦略や日米同盟のあり方を定めたものであり、その中で敵基地攻撃能力の保有を容認する内容が盛り込まれまれた。氏は、このことが「非武装・非戦の国」を守る憲法9条を形骸化させ、日本を戦争に引きずり込む危険性を高めると指摘している。
また、氏は、日本の軍事費の増大や、南西諸島へのミサイル基地の急造など、軍事力の強化に向けた動きを危惧している。氏は、これらの動きが、中国や北朝鮮などの脅威を口実に、日本を戦争へと導こうとする政府の思惑によるものとみている。
さらに、氏は、日本のメディアが政府の軍事強化を煽る報道を続けることにも警鐘を鳴らしている。氏は、メディアが政府の宣伝機関と化すことで、国民の戦争への支持を高めかねないと懸念している。
氏は、こうした危機的な状況を打開するために、次の3つの課題を挙げている。
1つ目は、まともな政治家を育てること。氏は、現在の日本の政治は、一党独裁によって腐敗し、国民の声を反映していないと指摘している。そのため、国民は、軍縮や核兵器廃絶を訴える政治家を選んで、日本の平和と安全保障を守らなければならないと訴えている。
2つ目は、外交力を高めること。氏は、軍事力だけでは、平和を実現することはできないと指摘している。そのため、日本は、外交力を高め、アジアの平和の盟主となるべきだと訴えている。
3つ目は、国民の意識を高めること。氏は、国民が戦争の悲惨さを忘れ、戦争を肯定する風潮が広がっていることを危惧している。そのため、国民は、戦争の悲惨さを学び、平和を守るために行動するべきだと訴えている。
氏の論考は、日本の安全保障や外交政策を考える上で、重要な指針となるものである。
・前泊氏は、この三文書により、日本が「改憲なしで武装国家へ」「敵基地攻撃も可能な好戦国家へ」変貌させられてしまう危険性を指摘している。具体的には、以下の点を挙げている。
・根拠なき「43兆円」もの財源なき莫大な軍事費の支出
・対米追従の2兆円もの莫大な米国製ミサイルや装備品の購入
・前年比3倍増の8000億円超の弾薬製造と備蓄
・南西諸島への自衛隊ミサイル基地の急造と部隊配備
・住民が戦闘に巻込まれることを前提とする「シェルター」建設予算の計上
・民港湾、民空港など民間施設の軍事施設化
・また、前泊氏は、この危険な動きに、在京メディアが拍車をかけているとも指摘している。中国脅威論を振りまきながら、自衛隊の基地建設や4万人規模の日米両軍による実戦を想定した巨大な軍事演習をつぶさに報道しているとし、その報道姿勢には「台湾有事」の勃発への期待感すら滲むと批判している。
・さらに、前泊氏は、世界情勢についても触れている。中東のパレスチナ紛争やロシアのウクライナ侵略戦争など、残酷で残虐な戦争が続いていることに憂慮を示し、これらの戦争は、人類の愚かさの表れだと述べている。
・そして、今年3月に予定されているロシア大統領選挙と、11月に予定されている米国大統領選挙についても言及している。ロシアのプーチン大統領が長期政権を維持していることの危険性を指摘し、アメリカの大統領3選禁止制度を例に挙げて、長期政権の弊害を訴えている。
・前泊氏は、日本が再び戦争国家にならないためには、まともな政治家を育てていくことが重要だと訴えている。一党独裁的な現在の政治態勢では、健全な民主主義の機能が発揮されず、党利党略・私利私欲の腐敗政治がはびこっていると指摘し、軍縮や核兵器廃絶を先頭に立って唱えるべき広島選出の首相が、異次元の軍拡を打ち出し、核兵器廃絶に後ろ向きな言動に終始していることを批判している。
・そして、外交力を高め、アジアの平和の盟主を目指す政治家を国会に送り込むためには、主権者たる国民の理念と哲学、意識の再構築が必要だと呼びかけている。
・前泊氏の論説は、日本の安全保障政策の転換に対する強い危機感と警鐘を鳴らすものとなっている。
・日本が「非戦の国」から「武装国家」へと変貌しつつあることを憂慮している。
・氏は、2022年12月に閣議決定された「安保関連三文書」を、憲法9条に反する「戦争の準備」と批判する。三文書では、敵基地攻撃能力の保有や、周辺事態への自衛隊の海外派遣拡大などが明記されており、氏はこれらの政策によって、日本が「敵を攻撃する能力を持ち、戦争に加担する国」へと変わってしまうと危惧している。
・氏はまた、こうした動きを推進する政府や在京メディアの姿勢を批判する。政府は、中国の脅威を強調しながら、軍拡や海外派遣を進めており、在京メディアは政府の論調に迎合する形で、戦争を煽るような報道を繰り返していると指摘する。
・さらに、氏は世界情勢についても触れ、イスラエル・ハマス戦争やロシア・ウクライナ侵攻など、戦争が絶えない現状を憂慮する。氏は、こうした戦争の原因の一つとして、権力者の独裁や腐敗を挙げ、民主主義や法治主義の重要性を訴える。
・氏は「非戦の国・日本」を取り戻すための課題として、以下の3つを挙げている。
・まともな政治家を育て、政権交代を実現すること
・外交力を高め、アジアの平和の盟主を目指すこと
・国民一人ひとりが、平和の理念と哲学を再構築すること
・氏は、これらの課題を解決するために、国民一人ひとりが、平和への意識を高め、行動することが重要だと訴えている。
・2022年12月に閣議決定された「安保関連三文書」は、憲法9条に反する「戦争の準備」である。
・政府や在京メディアは、戦争を煽るような報道を繰り返している。
・世界情勢は、戦争が絶えない危険な状況にある。
・非戦の国・日本を取り戻すためには、まともな政治家を育て、政権交代を実現すること、外交力を高め、アジアの平和の盟主を目指すこと、国民一人ひとりが、平和の理念と哲学を再構築することが重要である。
(註)
2022年12月16日、岸田内閣は「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」の3つの文書を閣議決定した。この3文書は、日本の外交・防衛政策の基本方針を定めたものであり、2013年の安倍政権による改定以来、10年ぶりの改定となる。
改定された「安保関連三文書」の最大の特徴は、以下の3点である。
・敵基地攻撃能力の保有を明記
これまでの日本の防衛政策は、専守防衛を基本とし、自国の領土・領海・領空を防衛することを目的としていた。しかし、改定された「安保関連三文書」では、敵基地攻撃能力の保有を明記した。これは、日本が攻撃を受けた場合に、相手の基地を攻撃する能力を保有することを意味する。
・軍事費の2倍化
改定された「防衛力整備計画」では、今後5年間の防衛費を43兆円程度とすることを決定した。これは、現行の2倍以上の規模となる。
・南西諸島の防衛強化
改定された「国家防衛戦略」では、南西諸島の防衛強化を重視する姿勢を明確にした。具体的には、南西諸島へのミサイル基地の配備や、自衛隊部隊の増強などを進める方針を示している。
これらの改定は、日本の安全保障政策の転換を意味するものとして、国内外で大きな注目を集めた。
・「敵基地攻撃能力」の保有
「敵基地攻撃能力」の保有は、日本国憲法9条の「戦争の放棄」との整合性について、議論が続いている。また、敵基地攻撃能力の保有は、日本を戦争に巻き込むリスクを高めるという懸念も指摘されている。
・軍事費の2倍化
軍事費の2倍化は、日本の財政に大きな負担をかける可能性がある。また、日本の軍事力が過度に拡大することで、周辺国の警戒心を高めるという懸念も指摘されている。
・南西諸島の防衛強化
・南西諸島の防衛強化は、中国の軍事的台頭への対応を目的としている。しかし、中国は日本の軍事力の強化を脅威と捉え、対抗措置を講じる可能性もある。
・今後、改定された「安保関連三文書」を踏まえた日本の安全保障政策がどのように展開されるのか、注視が必要である。
2022年12月16日、岸田内閣は「国家安全保障戦略」など安保関連3文書の改定を閣議決定した。
「国家安全保障戦略」では、国際情勢の変化を踏まえ、以下の5つの基本原則を掲げている。
国際協調を旨とする積極的平和主義の維持
自由、民主主義、基本的人権の尊重等の普遍的価値の維持・擁護
平和国家として、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とはならず、非核三原則を堅持するとの基本方針の堅持
拡大抑止を含む日米同盟を安全保障政策の基軸とする
同志国との連携、多国間の協力の重視
また、「国家防衛戦略」では、以下の事項を防衛力整備の基本方針として掲げている。
・敵基地攻撃能力の保有
・防衛費の「GDP比2%」への引き上げ
・ミサイル防衛能力の強化
・サイバー・宇宙・電磁波などの新領域での防衛能力の強化
・自衛隊の体制・運用の抜本的改革
そして、「防衛力整備計画」では、2023年度から2027年度までの5年間の防衛力整備の具体的な内容を示している。
この安保関連3文書の改定は、岸田政権が掲げる「積極的防衛」を反映したものであり、日本の安全保障政策の転換を象徴するものとなっています。
具体的には、以下の3点が大きな変更点として挙げられる。
・敵基地攻撃能力の保有
・防衛費の「GDP比2%」への引き上げ
・新領域での防衛能力の強化
敵基地攻撃能力の保有は、日本が戦後70年以上守ってきた「専守防衛」の原則を大きく転換するものであり、大きな議論を呼んでいる。防衛費の「GDP比2%」への引き上げは、日本の防衛力を大幅に強化するものであり、財政負担の増大が懸念されている。新領域での防衛能力の強化は、サイバー・宇宙・電磁波などの新たな脅威に対応するものであり、今後の防衛力のあり方を大きく変えるものと見られている。
この安保関連3文書の改定は、日本の安全保障政策の転換に向けた第一歩であり、今後も議論が続くことが予想される。
賛成の意見としては、中国の軍事的脅威に対抗するためには、敵基地攻撃能力の保有や防衛費の増額は不可欠だというものである。また、南西諸島の防衛強化は、日本の安全保障にとって重要だという意見もある。
反対の意見としては、敵基地攻撃能力の保有は、憲法9条に違反する可能性があるというものである。また、防衛費の増額は、軍拡競争を招き、地域の緊張を高める可能性があるという意見もある。
2022年12月に閣議決定された「安保関連三文書」の文書名は、以下のとおりである。
・国家安全保障戦略
・国家防衛戦略
・防衛力整備計画
これらの文書は、日本の安全保障政策の基本方針を定めたものであり、戦後初めての改定となったた。
「国家安全保障戦略」は、日本の安全保障に関する基本的な考え方や目標を定めたものである。
「国家防衛戦略」は、日本の防衛力整備の基本的な方向性や目標を定めたものである。
「防衛力整備計画」は、5年間の防衛力整備の具体的な内容を定めたものである。
これらの文書の改定により、従来の「非武装・非戦の国」の原則から大きく転換し、敵基地攻撃能力の保有や防衛費の増額などを明記した。このことは、国内外から賛否両論の声が上がっている。
(註はブログ作成者が参考の為に付記した。)
引用・参照・底本
失われた「非戦の国」を取り戻す一年に 沖縄国際大学教授・前泊博盛 長周新聞 2024.01.05
日朝韓3国平和共存体制を ― 2024年01月07日 22:04
東京大学名誉教授である和田春樹氏による記事内容である。。
世界情勢の危機と戦争の悪夢
世界と日本は第三次世界戦争の危機にさらされており、現在の戦争や紛争に苦しんでいる。
ウクライナ戦争の悲劇
ウクライナ戦争は既に1年11カ月続いており、多くの死者と文化的な破壊が起きている。アメリカの介入が戦争を続けている可能性が指摘され、その介入は非難されている。
中東での戦争の再燃
イスラエルとガザ地区の紛争が再燃し、イスラエルの攻撃に対して国際的な非難がある。
アメリカが安保理の即時停戦決議に拒否権を行使し、国際社会で抗議の声が上がっている。
東北アジアでの危機
アメリカが東アジアでの対立を強調し、台湾有事が大々的に宣伝されている。北朝鮮の核武装と日本の対応が取り上げられており、冷戦的な状態が続いている。
日朝国交正常化の必要性
北朝鮮との敵対状態を解消し、日朝国交正常化が必要であると強調されている。日本は朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)との対話を拒否しており、これが問題解決の妨げになっているとされている。
アジア太平洋地域の平和構築
日朝韓3国平和共存体制の構築が提案され、これによって日本海を戦争の海から守るべきだと主張されている。和田春樹氏は、特に日朝国交正常化を通じてアジア太平洋地域の平和構築に焦点を当て、冷戦的な状況や現在の国際情勢に対する彼の見解を述べている。
【要点】
和田春樹氏は、東京大学名誉教授でロシア・ソ連史、現代朝鮮研究の専門家である。2024年1月5日に発表された氏の論考「北東アジアに戦火を広げさせぬために――日朝韓の3国平和共存を」は、ウクライナ戦争、中東戦争、そして東北アジア情勢を踏まえて、日朝国交正常化の必要性を説いている。
論考では、まずウクライナ戦争について、ロシアの侵略行為は明らかであり、停戦交渉を再開して戦争を終わらせるべきだと主張している。また、中東戦争については、イスラエルの残酷な作戦は許されず、停戦交渉を再開して戦争を終わらせるべきだと主張している。そして、東北アジア情勢については、米中対立の激化によって、米朝戦争の脅威が高まっていると指摘している。北朝鮮は核武装で自国を守ろうとしているが、日本は北朝鮮の拉致問題や人権問題を理由に、日朝国交正常化交渉を打ち切っている。
こうした状況を踏まえて、和田氏は、日朝国交正常化こそが、東北アジアの平和を守るために不可欠だと主張している。日朝国交正常化によって、北朝鮮は国際社会に復帰し、核武装を放棄する可能性が高まると考えられる。また、日朝韓の3国が協力することで、米中対立の激化を抑制し、東北アジアの平和と安定を維持することができると考えられる。
論考の結論として、和田氏は、次のように述べている。
平和を望むなら、米日韓3国同盟を確認するだけではたりない。日朝韓3国平和共存体制をもとめなければならない。そうなれば、日本海を戦争の海にするのを防げる。日本海は平和の海、ほんとうのブルーシーであるべきだ。日本海有事が防げれば、台湾有事も防げるかもしれない。
和田氏の論考は、東北アジアの平和と安定を実現するために、日朝国交正常化の重要性を説いたものとして、大きな注目を集めている。
・ウクライナ戦争、中東戦争は、いずれも第三次世界大戦の危機を招く可能性がある。
・東北アジアでは、米朝戦争の脅威が高まっている。
・日朝国交正常化こそが、東北アジアの平和を実現する唯一の道である。
・「平和を望むなら、米日韓3国同盟を確認するだけではたりない。日朝韓3国平和共存体制をもとめなければならない。そうなれば、日本海を戦争の海にするのを防げる。日本海は平和の海、ほんとうのブルーシーであるべきだ。日本海有事が防げれば、台湾有事も防げるかもしれない。」
引用・参照・底本
北東アジアに戦火を広げさせぬために――日朝韓の3国平和共存を 東京大学名誉教授・和田春樹 長周新聞 2024.01.05
世界情勢の危機と戦争の悪夢
世界と日本は第三次世界戦争の危機にさらされており、現在の戦争や紛争に苦しんでいる。
ウクライナ戦争の悲劇
ウクライナ戦争は既に1年11カ月続いており、多くの死者と文化的な破壊が起きている。アメリカの介入が戦争を続けている可能性が指摘され、その介入は非難されている。
中東での戦争の再燃
イスラエルとガザ地区の紛争が再燃し、イスラエルの攻撃に対して国際的な非難がある。
アメリカが安保理の即時停戦決議に拒否権を行使し、国際社会で抗議の声が上がっている。
東北アジアでの危機
アメリカが東アジアでの対立を強調し、台湾有事が大々的に宣伝されている。北朝鮮の核武装と日本の対応が取り上げられており、冷戦的な状態が続いている。
日朝国交正常化の必要性
北朝鮮との敵対状態を解消し、日朝国交正常化が必要であると強調されている。日本は朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)との対話を拒否しており、これが問題解決の妨げになっているとされている。
アジア太平洋地域の平和構築
日朝韓3国平和共存体制の構築が提案され、これによって日本海を戦争の海から守るべきだと主張されている。和田春樹氏は、特に日朝国交正常化を通じてアジア太平洋地域の平和構築に焦点を当て、冷戦的な状況や現在の国際情勢に対する彼の見解を述べている。
【要点】
和田春樹氏は、東京大学名誉教授でロシア・ソ連史、現代朝鮮研究の専門家である。2024年1月5日に発表された氏の論考「北東アジアに戦火を広げさせぬために――日朝韓の3国平和共存を」は、ウクライナ戦争、中東戦争、そして東北アジア情勢を踏まえて、日朝国交正常化の必要性を説いている。
論考では、まずウクライナ戦争について、ロシアの侵略行為は明らかであり、停戦交渉を再開して戦争を終わらせるべきだと主張している。また、中東戦争については、イスラエルの残酷な作戦は許されず、停戦交渉を再開して戦争を終わらせるべきだと主張している。そして、東北アジア情勢については、米中対立の激化によって、米朝戦争の脅威が高まっていると指摘している。北朝鮮は核武装で自国を守ろうとしているが、日本は北朝鮮の拉致問題や人権問題を理由に、日朝国交正常化交渉を打ち切っている。
こうした状況を踏まえて、和田氏は、日朝国交正常化こそが、東北アジアの平和を守るために不可欠だと主張している。日朝国交正常化によって、北朝鮮は国際社会に復帰し、核武装を放棄する可能性が高まると考えられる。また、日朝韓の3国が協力することで、米中対立の激化を抑制し、東北アジアの平和と安定を維持することができると考えられる。
論考の結論として、和田氏は、次のように述べている。
平和を望むなら、米日韓3国同盟を確認するだけではたりない。日朝韓3国平和共存体制をもとめなければならない。そうなれば、日本海を戦争の海にするのを防げる。日本海は平和の海、ほんとうのブルーシーであるべきだ。日本海有事が防げれば、台湾有事も防げるかもしれない。
和田氏の論考は、東北アジアの平和と安定を実現するために、日朝国交正常化の重要性を説いたものとして、大きな注目を集めている。
・ウクライナ戦争、中東戦争は、いずれも第三次世界大戦の危機を招く可能性がある。
・東北アジアでは、米朝戦争の脅威が高まっている。
・日朝国交正常化こそが、東北アジアの平和を実現する唯一の道である。
・「平和を望むなら、米日韓3国同盟を確認するだけではたりない。日朝韓3国平和共存体制をもとめなければならない。そうなれば、日本海を戦争の海にするのを防げる。日本海は平和の海、ほんとうのブルーシーであるべきだ。日本海有事が防げれば、台湾有事も防げるかもしれない。」
引用・参照・底本
北東アジアに戦火を広げさせぬために――日朝韓の3国平和共存を 東京大学名誉教授・和田春樹 長周新聞 2024.01.05