麒麟氷底湖の掘削2024年02月29日 20:48

国立国会図書館デジタルコレクション「樋口ノ次郎兼光・船頭又六・同吉六・女房およし・船頭富蔵・同勘介」を加工して作成
 中国の南極観測隊が、東南極のプリンセス・エリザベス・ランドに位置する氷底湖「麒麟氷底湖」の掘削を計画していることが、自然資源部(省)中国極地研究センターから発表された。この計画は中国第40次南極観測の一環で進行中であり、観測隊は既に掘削ルートの実地調査を完了した。

 麒麟氷底湖は、氷床の表面から3600m以上の深さに埋まっており、中国の南極基地『泰山』から約120km離れている。この氷底湖は中国によって2022年に発見され、「麒麟静臥(キリンが静かに横たわる)」のような形をしており、「麒麟氷底湖」と命名された。現在、この湖は南極研究科学委員会(SCAR)に収録されている。

 中国の固定翼機「雪鷹601」は2015年以降、プリンセス・エリザベス・ランドの航空調査を複数回行い、航空地球物理学データに基づいて麒麟氷底湖の三次元構造を初期的に逆推定している。湖面の長さは42km、湖面の面積は370平方km、最大水深は200m、沈積物の厚さは最大300m以上である。

 南極内陸の観測隊は、中国第40次南極観測の期間中に、高分解能衛星リモートセンシング映像から選ばれた安全なルートに基づき、氷底湖エリアの実地調査を行った。この調査により、麒麟氷底湖エリアに初めて進入し、複数の掘削先が選定され、今後の科学掘削の準備が行われた。

 南極の氷底湖は特殊な環境条件を持ち、生物進化や地球気候変動に関する貴重な情報源である。科学掘削はこれらの湖の実物サンプルを取得する唯一の手段であり、これまでに米国、英国、ロシアなどが掘削を行い、注目すべき成果が得られた。

 姜蘇研究員は、「麒麟氷底湖は南極で2番目に深い氷底湖であり、氷床安定エリアに位置しており、外界から300万年以上も隔絶された歴史を持つ」と述べた。彼はまた、この湖が氷底生命探査の理想的な研究対象であると強調した。

【視点】

中国は、南極大陸東南極のプリンセス・エリザベス・ランドにある「麒麟氷底湖」の掘削を計画している。この氷底湖は、現在発見されている南極で2番目に深く、300万年以上外界から隔絶された環境に存在するため、貴重な科学的調査対象となる。

掘削計画

実施時期:中国第40次南極観測期間中(具体的な時期は未定)
掘削地点:麒麟氷底湖
掘削目的:
湖底湖水と堆積物のサンプル採取
氷底湖環境および生命体の調査
地球気候変動と南極氷床の変化に関する研究

事前準備

中国第40次南極観測隊員が、衛星画像に基づいて安全なルートを選定し、実地調査を実施
複数の掘削候補地を選定
掘削に必要な設備・資材を準備

麒麟氷底湖の特徴

氷床表面からの深さ:3600m以上
中国の南極基地「泰山」からの距離:120km
湖面の長さ:42km
湖面の面積:370平方km
最大水深:200m
沈積物の厚さ:最大300m以上
形成年代:300万年以上前
環境条件:高圧、低温、低栄養、暗闇

科学的意義

南極氷床安定エリアに位置し、外界から隔絶された環境における生物進化、地球気候変動、南極氷床の変化に関する貴重な情報を提供
氷底湖実物サンプルの取得は、これらの研究にとって唯一の手段
これまでに米国、英国、ロシアが南極氷底湖の掘削を実施し、3ヶ所の氷底湖からサンプルを取得
麒麟氷底湖の掘削は、これらの研究成果をさらに発展させる可能性

今後の展望

掘削時期の決定
掘削技術の開発
国際的な協力体制の構築
倫理的な問題への配慮

・南極大陸の氷床下、3600メートルの深さに眠る「麒麟氷底湖」。 中国は、この未踏の地への掘削計画を発表した。長期間外部と隔離された湖水は、独自の生態系と地球環境の貴重な情報を秘めていると考えられる。

・氷底湖掘削の意義

氷底湖は、地球上で最も過酷な環境の一つであり、生命が存在する可能性は低いと考えられていた。しかし、近年では南極の他の氷底湖で微生物が発見されており、生命の起源や進化を探る上で重要な研究対象となっている。

麒麟氷底湖は、300万年以上外界から隔絶された環境に存在する。そのため、地球温暖化などの影響を受けていない過去の環境情報が保存されている可能性がある。

氷底湖の堆積物は、過去の気候変動や氷床の変動に関する貴重な情報源となる。

・掘削計画

中国第40次南極観測隊は、すでに麒麟氷底湖への安全なルート調査を完了している。
掘削は、2024年末から2025年初めに開始される予定である。
掘削によって得られる湖水や堆積物のサンプルは、生物学、地球科学、環境科学などの分野で様々な研究に利用される。

・期待される成果

氷底湖に生命が存在するかどうか
氷底湖の生態系
過去の環境変動
地球温暖化の影響

・課題

氷底湖掘削は、技術的に難易度が高く、費用もかさむ。
環境への影響を最小限に抑える必要がある。

・国際協力

中国は、南極研究科学委員会(SCAR)などの国際機関を通じて、他の国々と協力して研究を進めていく予定でる。

・結論

麒麟氷底湖の掘削は、地球生命の起源、地球環境の変動、そして地球温暖化の影響など、人類にとって重要な課題の解明に大きく貢献することが期待されている。

引用・参照・底本 

中国、南極の「麒麟氷底湖」の掘削を予定 人民網日本語版 2024.02.28

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