「PFAS」:米軍横田基地で漏洩 ― 2024年11月03日 22:45
【概要】
2024年11月1日、米軍の横田基地(東京都)で「PFAS」を含む水が漏洩した可能性が浮上し、東京都が周辺地域の川で調査を行った結果、いずれの地点でも国の定める基準値を下回る結果となったことが発表された。
PFAS(有機フッ素化合物)は約1万種類に及ぶ化合物の総称で、特に「PFOS」などの一部は発がん性や健康への悪影響が懸念されている。PFASは自然分解が難しく、一度体内に入ると長期にわたり残留する性質を持つ。
東京都によると、米軍は8月30日の大雨により、横田基地内の貯水池からPFOSを含む泡消火薬剤の残留物を含んだ水が約4.7万リットルあふれ出し、その一部が施設外に流出した可能性があると防衛省を通じて報告した。しかし、東京都がこの情報を受け取ったのは10月3日で、さらに調査のために採水が実施されたのは10月7日であった。通達が遅れた理由については、現時点で明らかにされていない。
なお、PFOSは一般的には使用が禁止されているが、軍事基地や空港での泡消火薬剤としての使用が許可されており、大規模な燃料火災などに効果的とされるために保管が続けられている。
PFASの水質汚染問題は横田基地に限らず、日本国内の他の米軍基地周辺でも確認されている。例えば、沖縄県では米軍基地周辺での水質調査で、PFASが国の規制基準を大幅に超える濃度で検出されるなど、他の地域でも問題が指摘されている。
【詳細】
今回の横田基地での「PFAS」漏洩事案は、米軍基地周辺での環境汚染問題の一環として注目されている。PFASは、化学的に非常に安定しており水や油に強いため、工業製品や消火剤、電子機器の加工などに広く利用されてきた。しかしその安定性ゆえに、自然界では分解されにくく、「永遠の化学物質(forever chemicals)」とも呼ばれている。
今回の漏洩に関する経緯として、米軍から防衛省に通達があったのは10月3日でしたが、漏洩自体は8月30日に発生した可能性が示唆されている。この遅延により、都が独自に調査を開始できるまでに時間がかかったことから、周辺環境への影響を早期に判断することが難しい状況となった。また、この遅延に関して、なぜ米軍からの報告が一ヶ月以上も遅れたのかは明らかにされておらず、この点が住民や関係者の不安を呼んでいると考えられる。
漏洩したPFASは泡消火剤の残留物を含んでいたとされている。泡消火剤は燃料火災などの消火に有効で、特に軍事基地や空港では使用が認められている。日本ではPFOSの製造と使用は原則として禁止されており、環境中の基準値が定められているが、特定の用途では例外的に使用が認められている。横田基地のような場所においては、緊急時の消火に備えるために保管されているものの、事故や自然災害が原因で施設外に流出するリスクが常に存在している。
東京都は10月7日に採水調査を実施し、横田基地周辺の川での水質調査を行った結果、国の定める基準値を下回っていたことを確認した。しかし、PFASは一度環境中に放出されると広範囲に拡散しやすく、周辺地域への潜在的な影響については継続的な監視が必要である。
また、PFASによる環境汚染は日本各地の米軍基地周辺でも報告されている。例えば、沖縄県では米軍基地周辺の水質調査で、国の基準を36倍も超える濃度のPFASが検出され、基地由来の可能性が指摘されている。このように、米軍基地が所在する地域ではPFASによる水質汚染問題が頻発しており、日本政府や自治体が調査や規制の強化に取り組む必要性が増している。
PFASによる健康への影響は科学的に解明が進んでおり、PFOSやPFOAなどの一部のPFASには発がん性や内分泌かく乱、免疫系への影響が懸念されている。特に、体内に蓄積されやすく、長期間にわたって排出されないため、慢性的な曝露によって健康被害が生じるリスクが指摘されている。
【要点】
1.PFAS漏洩の経緯
・横田基地でPFASを含む水が漏洩したとされる事案が発生。
・米軍から防衛省への報告は漏洩から1ヶ月以上後の10月3日になされ、東京都が調査に着手できたのは10月7日。
・米軍からの通達が遅れた理由は不明で、住民や関係者の不安が増している。
2.PFASの特徴と用途
・PFASは約1万種類ある有機フッ素化合物の総称で、分解されにくく「永遠の化学物質」と呼ばれる。
・水や油に強い性質から工業製品、電子機器加工、消火剤などに広く使用される。
・特に軍事基地や空港では、燃料火災に対応する泡消火剤として保管されているが、使用には環境へのリスクが伴う。
3.東京都の調査結果
・東京都は横田基地周辺の川で水質調査を行い、基準値を下回る濃度だったと報告。
・PFASは拡散しやすいため、周辺地域への影響については今後も監視が必要。
4.PFASの規制状況と漏洩リスク
・日本ではPFOSの使用は原則禁止だが、軍事や空港での使用は例外的に許可されている。
・台風や地震などの自然災害や事故によって漏洩するリスクがある。
5.他地域でのPFAS汚染事例
・横田基地に限らず、沖縄など他の米軍基地周辺でもPFAS汚染が報告されている。
・沖縄県では一部地点で国の基準の36倍もの高濃度が検出され、基地由来の可能性が指摘されている。
6.PFASの健康への影響
・PFOSやPFOAといったPFASの一部には発がん性、内分泌かく乱、免疫系への影響が懸念されている。
・一度体内に入ると長期にわたり残留し、慢性的な曝露による健康リスクが存在する。
【引用・参照・底本】
横田基地、「PFAS」の漏洩騒動 米側から連絡は発生の1ヶ月後、都はすぐに調査できず sputnik 日本 2024.11.01
https://sputniknews.jp/20241101/pfas1-19271480.html
2024年11月1日、米軍の横田基地(東京都)で「PFAS」を含む水が漏洩した可能性が浮上し、東京都が周辺地域の川で調査を行った結果、いずれの地点でも国の定める基準値を下回る結果となったことが発表された。
PFAS(有機フッ素化合物)は約1万種類に及ぶ化合物の総称で、特に「PFOS」などの一部は発がん性や健康への悪影響が懸念されている。PFASは自然分解が難しく、一度体内に入ると長期にわたり残留する性質を持つ。
東京都によると、米軍は8月30日の大雨により、横田基地内の貯水池からPFOSを含む泡消火薬剤の残留物を含んだ水が約4.7万リットルあふれ出し、その一部が施設外に流出した可能性があると防衛省を通じて報告した。しかし、東京都がこの情報を受け取ったのは10月3日で、さらに調査のために採水が実施されたのは10月7日であった。通達が遅れた理由については、現時点で明らかにされていない。
なお、PFOSは一般的には使用が禁止されているが、軍事基地や空港での泡消火薬剤としての使用が許可されており、大規模な燃料火災などに効果的とされるために保管が続けられている。
PFASの水質汚染問題は横田基地に限らず、日本国内の他の米軍基地周辺でも確認されている。例えば、沖縄県では米軍基地周辺での水質調査で、PFASが国の規制基準を大幅に超える濃度で検出されるなど、他の地域でも問題が指摘されている。
【詳細】
今回の横田基地での「PFAS」漏洩事案は、米軍基地周辺での環境汚染問題の一環として注目されている。PFASは、化学的に非常に安定しており水や油に強いため、工業製品や消火剤、電子機器の加工などに広く利用されてきた。しかしその安定性ゆえに、自然界では分解されにくく、「永遠の化学物質(forever chemicals)」とも呼ばれている。
今回の漏洩に関する経緯として、米軍から防衛省に通達があったのは10月3日でしたが、漏洩自体は8月30日に発生した可能性が示唆されている。この遅延により、都が独自に調査を開始できるまでに時間がかかったことから、周辺環境への影響を早期に判断することが難しい状況となった。また、この遅延に関して、なぜ米軍からの報告が一ヶ月以上も遅れたのかは明らかにされておらず、この点が住民や関係者の不安を呼んでいると考えられる。
漏洩したPFASは泡消火剤の残留物を含んでいたとされている。泡消火剤は燃料火災などの消火に有効で、特に軍事基地や空港では使用が認められている。日本ではPFOSの製造と使用は原則として禁止されており、環境中の基準値が定められているが、特定の用途では例外的に使用が認められている。横田基地のような場所においては、緊急時の消火に備えるために保管されているものの、事故や自然災害が原因で施設外に流出するリスクが常に存在している。
東京都は10月7日に採水調査を実施し、横田基地周辺の川での水質調査を行った結果、国の定める基準値を下回っていたことを確認した。しかし、PFASは一度環境中に放出されると広範囲に拡散しやすく、周辺地域への潜在的な影響については継続的な監視が必要である。
また、PFASによる環境汚染は日本各地の米軍基地周辺でも報告されている。例えば、沖縄県では米軍基地周辺の水質調査で、国の基準を36倍も超える濃度のPFASが検出され、基地由来の可能性が指摘されている。このように、米軍基地が所在する地域ではPFASによる水質汚染問題が頻発しており、日本政府や自治体が調査や規制の強化に取り組む必要性が増している。
PFASによる健康への影響は科学的に解明が進んでおり、PFOSやPFOAなどの一部のPFASには発がん性や内分泌かく乱、免疫系への影響が懸念されている。特に、体内に蓄積されやすく、長期間にわたって排出されないため、慢性的な曝露によって健康被害が生じるリスクが指摘されている。
【要点】
1.PFAS漏洩の経緯
・横田基地でPFASを含む水が漏洩したとされる事案が発生。
・米軍から防衛省への報告は漏洩から1ヶ月以上後の10月3日になされ、東京都が調査に着手できたのは10月7日。
・米軍からの通達が遅れた理由は不明で、住民や関係者の不安が増している。
2.PFASの特徴と用途
・PFASは約1万種類ある有機フッ素化合物の総称で、分解されにくく「永遠の化学物質」と呼ばれる。
・水や油に強い性質から工業製品、電子機器加工、消火剤などに広く使用される。
・特に軍事基地や空港では、燃料火災に対応する泡消火剤として保管されているが、使用には環境へのリスクが伴う。
3.東京都の調査結果
・東京都は横田基地周辺の川で水質調査を行い、基準値を下回る濃度だったと報告。
・PFASは拡散しやすいため、周辺地域への影響については今後も監視が必要。
4.PFASの規制状況と漏洩リスク
・日本ではPFOSの使用は原則禁止だが、軍事や空港での使用は例外的に許可されている。
・台風や地震などの自然災害や事故によって漏洩するリスクがある。
5.他地域でのPFAS汚染事例
・横田基地に限らず、沖縄など他の米軍基地周辺でもPFAS汚染が報告されている。
・沖縄県では一部地点で国の基準の36倍もの高濃度が検出され、基地由来の可能性が指摘されている。
6.PFASの健康への影響
・PFOSやPFOAといったPFASの一部には発がん性、内分泌かく乱、免疫系への影響が懸念されている。
・一度体内に入ると長期にわたり残留し、慢性的な曝露による健康リスクが存在する。
【引用・参照・底本】
横田基地、「PFAS」の漏洩騒動 米側から連絡は発生の1ヶ月後、都はすぐに調査できず sputnik 日本 2024.11.01
https://sputniknews.jp/20241101/pfas1-19271480.html