カリフォルニア独立運動(カレグジット)2025年01月28日 18:27

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【概要】

 カリフォルニア州の活動家が、同州の米国からの独立を問う住民投票の実施を目指し、署名活動を開始している。

 先週、カリフォルニア州務長官のシャーリー・ウェバーが、この住民投票のための署名収集を承認した。これにより、2028年11月の一般選挙において「カリフォルニアは米国を離れ、自由で独立した国となるべきか?」という質問を有権者に問うことが可能になる。

 この取り組みを主導する活動家マーカス・エバンズは、7月下旬までに2022年のカリフォルニア州知事選挙の投票数の5%に相当する546,651人分の有権者署名を集める必要がある。この署名が集まれば、住民投票の実施が決定する。

 この住民投票で有権者の55%以上が賛成し、投票率が50%を超えた場合、「米国に対する不信任投票」と見なされ、カリフォルニア州の独立の可能性を検討する州委員会が設立される。この委員会は20名で構成され、2028年までに独立の実現可能性を分析し報告書を提出する予定である。

 カリフォルニア州司法長官ロブ・ボンタに提出された立法分析によれば、同州の憲法は米国からの分離を認めておらず、今回の提案にも憲法改正は含まれていない。また、委員会の運営費は年間200万ドル、選挙関連費用は1,000万ドルと試算されている。

 エバンズはかつて、カリフォルニア独立を推進する団体「イエス・カリフォルニア」の副代表を務めていた。同団体は2016年11月のドナルド・トランプ大統領選勝利後に注目を集めたが、2024年12月に活動を停止したとされている。

 エバンズはCBSニュースに対し、「現在こそカリフォルニアが米国から独立する最適な時機である。2016年よりも今の方が実現の可能性が高い」と述べている。その理由として、トランプ氏が1期目の大統領在任中に2度弾劾されたことや、2024年の選挙期間中に起訴されたことを挙げている。

 カリフォルニア州の独立支持者は、同州の経済規模の大きさを根拠に、独立すれば世界第5位の経済大国になり得ると主張している。カリフォルニア州の2023年のGDPは3兆8,000億ドルと報告されている。

【詳細】
 
 カリフォルニア州の活動家が、米国からの独立を目指し、2028年11月の一般選挙で住民投票を実施するための署名活動を開始している。この「カレグジット(Calexit)」と呼ばれる運動は、過去にも試みられたが実現には至らなかった。今回は、カリフォルニア州務長官シャーリー・ウェバーが署名収集を正式に承認し、一定の条件を満たせば住民投票が行われる可能性がある。

 住民投票実施の条件と手続き

 今回の取り組みでは、署名活動を主導するマーカス・エバンズが、2022年のカリフォルニア州知事選挙の投票数の5%にあたる546,651人分の有権者署名を2025年7月下旬までに集める必要がある。この数に達すれば、2028年11月の一般選挙で住民投票が実施される。

 住民投票が行われた場合、カリフォルニア州の有権者に「カリフォルニアは米国を離れ、自由で独立した国となるべきか?」という問いが提示される。この投票で以下の2つの条件が満たされた場合、独立へのプロセスが進むことになる。

  1.投票率が50%以上であること

  2.賛成票が55%以上を占めること

 この2つの条件が達成された場合、カリフォルニア州は「米国に対する不信任投票」と位置づけ、独立の可能性を検討する委員会を設立することになる。

 独立委員会の設立と役割

 住民投票で独立賛成派が過半数を占めた場合、カリフォルニア州は独立の可能性を調査・検討するための**特別委員会(20名構成)を設置する。この委員会の目的は、独立後のカリフォルニアの政治・経済・外交の持続可能性を分析し、2028年までに報告書を作成することである。

 この委員会の運営には年間200万ドルの費用がかかると試算されており、さらに住民投票実施に伴う一時的な費用として1,000万ドルが見込まれている。

 カリフォルニア州憲法と米国憲法における問題点

 カリフォルニア州の憲法および米国憲法は、州の独立を認めていない。そのため、仮に住民投票で独立が支持されたとしても、実際にカリフォルニア州が米国から分離するには以下の課題が存在する。

 1.カリフォルニア州憲法の改正が必要

 ・現在のカリフォルニア州憲法では、米国の一部であることが前提となっている。そのため、住民投票の結果を受けて憲法改正が必要になる。

 2.米国憲法の修正、もしくは特別措置の必要性

 ・米国憲法には州の独立に関する明確な規定がなく、独立が認められるには連邦議会または最高裁判所の承認が必要になる可能性がある。
 ・南北戦争(1861~1865年)以降、州の一方的な独立は違憲と見なされており、今回のカリフォルニア独立運動も法律的な壁に直面する可能性が高い。

 カリフォルニア独立運動の背景

 この独立運動は、過去にも何度か試みられている。特に2016年の大統領選挙でドナルド・トランプ氏が勝利した際、カリフォルニア州では独立を求める声が高まった。エバンズは当時、「イエス・カリフォルニア(Yes, California)」という独立推進団体の副代表を務めており、同団体は一時的に注目を集めた。しかし、その後、運動は勢いを失い、2024年12月には活動を停止したとされている。

 今回の動きについて、エバンズはCBSニュースに対し「現在こそカリフォルニアが米国から独立する最適な時機である。2016年よりも今の方が実現の可能性が高い」と述べている。その理由として、トランプ氏が1期目の大統領在任中に2度弾劾され、さらに2024年の選挙期間中に起訴されるなど、米国政治の混乱が続いていることを挙げている。

 カリフォルニア州の経済力と独立の可能性

 独立支持派は、カリフォルニア州の経済規模を強調し、独立国家としての十分な経済基盤があると主張している。

 ・カリフォルニア州のGDP(国内総生産):2023年時点で3兆8,000億ドル
 ・世界ランキング:仮にカリフォルニアが独立国家となれば、世界第5位の経済大国に相当する
 ・主要産業:テクノロジー(シリコンバレー)、農業、映画産業(ハリウッド)、観光業

 独立派の主張として、カリフォルニア州は米国連邦政府からの財政支援よりも、連邦政府への納税額の方が多いため、独立することで財政的により自由になると考えている。一方で、米国政府からの軍事・外交支援を失うリスクや、新たな通貨や貿易協定の確立の困難さも指摘されている。

 今後の展開

 エバンズ率いる独立運動は、今後数か月間で必要な署名を集められるかどうかが鍵となる。署名が集まり、住民投票が実施された場合でも、独立の実現には法的・政治的な障壁が多数存在する。さらに、カリフォルニア州内でも独立への賛否は分かれており、長期的な議論が続くことが予想される。

【要点】
 
 カリフォルニア独立運動(カレグジット)の概要

 1. 署名活動と住民投票の実施条件

 ・カリフォルニア州務長官が署名収集を正式に承認。
 ・2025年7月下旬までに546,651人分の有権者署名が必要。
 ・条件を満たせば、2028年11月の一般選挙で住民投票を実施。

 2. 住民投票の要件

 ・投票率50%以上を達成。
 ・賛成票55%以上で可決。
 ・条件を満たせば、「独立の可能性を調査する特別委員会(20名構成)」を設置。

 3. 独立プロセスと費用

 ・委員会は2028年までに報告書を作成。
 ・運営費用:年間200万ドル。
 ・住民投票実施費用:1,000万ドル。

 4. 法的・憲法上の課題

 ・カリフォルニア州憲法の改正が必要(現在は米国の一部と規定)。
 ・米国憲法では州の一方的な独立を認めていないため、連邦政府・最高裁の承認が必要。
 ・南北戦争以降、州の分離独立は違憲と見なされる可能性が高い。

 5. 独立運動の背景

 ・2016年のトランプ大統領当選時に「カレグジット」が注目されたが、実現せず。
 ・2024年の選挙をめぐる米国政治の混乱を受け、「今こそ独立の好機」と主張。

 6. カリフォルニア州の経済力

 ・GDP:3兆8,000億ドル(2023年) → 世界5位の経済大国に相当。
 ・主要産業:テクノロジー(シリコンバレー)、農業、映画産業(ハリウッド)、観光業。
 ・財政面の主張:連邦政府への納税額が支援額を上回るため、独立で財政的自由を得られる。

 7. 独立によるリスク

 ・軍事・外交支援を喪失(米軍撤退の可能性)。
 ・独自通貨の導入や貿易協定の確立が困難。
 ・州内でも独立の賛否が分かれており、長期的な議論が続く見込み。

 8. 今後の展開

 ・2025年7月までに必要な署名が集まるかが鍵。
 ・住民投票が実施されても、法的・政治的な障壁が多数存在。
 ・独立が実現する可能性は低いが、今後の動向に注目が集まる。

【引用・参照・底本】

Californians collecting signatures for secession from the US RT 2025.01.27
https://www.rt.com/news/611717-california-independence-campaign-ballot/

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