エルドアンとプーチン両大統領2023年09月05日 11:58

日本風俗図絵 第1輯(国立国会図書館デジタルコレクション)
 トルコの大統領レジェップ・タイップ・エルドアンとロシアの大統領ウラジミール・プーチンの間で行われた会談に関するものである。

 核エネルギー分野での協力強化
 
 トルコとロシアが核エネルギー分野での協力を強化し、トルコの黒海の都市シノプに新しい原子力発電所を建設する可能性について話し合っていることを述べている。既に建設が進行中のアックユ原子力発電所に言及し、その次のステップとしてシノプでの新たな原子力発電所の建設を計画していることが明らかにした。

 地域協力

 両大統領は、リビア、シリア、西アフリカ、南カフカーズなど、地域の様々な問題や紛争に関する二国間の協力についても議論した。プーチンは、これらの地域問題に関する協議が生産的であったと述べた。エルドアンは、モスクワとアンカラの継続的な協力と「緊密な連絡」が地域の安定と国際的な安全に貢献すると信じており、トルコとロシアの関係が地域の利益と友好的な関係に基づいて発展していることを強調した。

 地域および国際的な安全保障

 両国の大統領は、地域の安定と国際的な安全保障に貢献するという目標を持ち、隣国としての原則に基づいた双方向の関係を発展させることを強調している。

 トルコとロシアの間で核エネルギー分野での協力と地域問題における協力に焦点を当てた会談の要点を紹介している。両国は、地域の安定と協力に向けて共同で取り組むことを強調している。

【要点】

原子力エネルギー分野におけるトルコとロシアの協力を強化する計画について論じている。両国は現在、トルコの黒海都市シノプに新たな原子力発電所を建設する可能性について協議している。これはトルコで現在建設中のアックユ原子力発電所に次いで2番目の原子力発電所となる。

両大統領はまた、リビア、シリア、西アフリカ、南コーカサス情勢など、さまざまな地域問題や紛争に関する二国間協力についても話し合った。首脳は、両国の継続的な協力と緊密な連携が地域の安定と世界の安全保障に貢献するとの自信を表明した。

エルドアン大統領は、トルコとロシアは隣人愛、友情、誠実の原則に基づいて二国間関係を発展させていると述べた。同氏は、こうした関係が両国と地域に利益をもたらすと信じている。

・トルコとロシアは、トルコの黒海沿岸都市シノプに新たな原子力発電所の建設を計画している。これは現在建設中のアックユ原子力発電所に追加されるものである。
・アックユ原子力発電所はロシアのロスアトム社によって建設されている。2026 年に完成する予定で、容量は4,800 メガワットになる。
・最初の原子炉は 2025 年に運転開始される予定だ。この工場の建設費用は200億ドルと見込まれている。
・提案されているシノップ原子力発電所もロスアトムによって計画されている。 容量は4,400メガワットになる見込みだ。
・アックユ原子力発電所の建設はトルコにとって重要なプロジェクトである。これは国のエネルギーミックスを多様化し、輸入エネルギーへの依存を減らすのに役立つだろう。この工場は雇用を創出し、トルコ経済を押し上げることも期待されている。
・両国はまた、リビア、シリア、西アフリカ、南コーカサス情勢など、さまざまな地域問題に関する二国間協力についても話し合った。
・両大統領は、両国の継続的な協力と緊密な連携が地域の安定と世界の安全保障に貢献するとの自信を表明した。

ソチでのエルドアン大統領とプーチン大統領の会談は、トルコとロシアにとって前向きな進展である。これは両国がエネルギー、貿易、安全保障を含む多くの問題で協力することにコミットしていることを示している。この協力は両国にとって、そして地域の安定にとって重要である。

【桃源寸評】

 対露制裁でロシア経済を孤立化させようとする米国(西側)は成功していない。むしろ、西側は次の言葉を真剣に受け止めるべきである。

 「ロシアが孤立しているのは西側諸国からのみであり、それは広義において大半の欧州諸国、米国、カナダ、オーストラリア、日本、韓国だ。しかし、これは世界の大部分ではない」(ポーランド人ジャーナリストのウカシュ・ワジェハ氏)、「西側からは孤立しているが、全世界からは孤立していない」(米経済学者のリチャード・ウルフ氏)

 そう、西側は全世界を代表していると思うのは、むしろ、愚かなる"世間知らずの思い上がり"に過ぎない。

引用・参照・底本

「Key takeaways from Sochi talks between Putin and Erdogan」 RT 2023.09.04

「プーチン、エルドアン両首脳会談を総括した記者会見」 SPUTNIK 2023.09.04

「【まとめ】プーチン大統領とエルドアン大統領、1年ぶりに会談」 SPUTNIK 2023.09.04

「対露制裁はロシア経済を完全に『孤立』させることはできなかった=西側メディア」 SPUTNIK 2023.09.03

米政界の高齢化問題2023年09月05日 13:15

日本風俗図絵 第1輯(国立国会図書館デジタルコレクション)
 アメリカ合衆国の現職大統領であるジョー・バイデンの高齢に関連した問題に焦点を当てている。

 バイデンの高齢

 ジョー・バイデンが80歳になったことを強調しており、彼が高齢であることを指摘している。高齢の政治家が大統領職にどのような影響を及ぼすかが議論の焦点となっている。

 バイデンの主張

 バイデンは自身の高齢について「少しばかりの知恵」を持っていると主張しており、政治にとどまる意向を表明している。彼は自身の政治経歴の長さを強調し、その経験から得た知識を強調している。

 支持者と批判者

 一方で、テキストはバイデンの年齢と精神的な衰えに対する支持と批判の両方を示している。共和党と民主党の支持者の間で、バイデンの精神的な健康状態についての疑念が広がっていることが述べられている。

 世論調査

 Wall Street Journalの調査によれば、登録有権者の60%がバイデンの精神的な適性に疑念を抱いており、73%が彼が大統領職に適していないと考えているという結果が示されている。

 トランプの意見

 前大統領のドナルド・トランプも、バイデンの精神的な状態についてコメントしており、彼の健康状態について批判的な意見を述べている。

 トランプの年齢

 トランプ自身も高齢であり、次回の大統領選挙までに78歳になると述べられている。トランプについても彼の年齢と精神的、身体的な健康に対する懸念が示されている。

 アメリカの政治における高齢の政治家に対する一般的な懸念と、ジョー・バイデンとドナルド・トランプの両大統領候補に関する特定の世論調査結果を取り上げている。

【要点】

ジョー・バイデン米国大統領の自身の年齢と政界に留まる意向に関する最近の発言についてのものである。80歳のバイデン氏は、明らかな認知機能の低下を理由に共和党と民主党の両方から批判されている。最近の世論調査では、登録有権者の60%がバイデン氏が大統領の職に精神的に耐えられるとは思わないと回答し、73%が同氏はその職には高齢すぎると考えている。

バイデン氏は自分の年齢を擁護し、その年齢が自分に「少しの知恵」を与えてくれたと述べた。 同氏は政界に留まり、2024年の再選に立候補する意向も示した。

バイデンの想定される敵対者であるトランプも、バイデンの年齢と健康状態についてコメントした。トランプ大統領は、バイデン氏が「肉体的よりも精神的に悪化している」と考えており、来年の選挙には出られない可能性があると述べた。

また、トランプ大統領の年齢も一部の有権者にとって懸念事項であると指摘している。トランプ氏は次の選挙が行われる頃には78歳になるだろう。

バイデン氏の年齢と健康状態が2024年の大統領選挙においてますます重要な争点になっていることを示唆している。バイデン氏の年齢が有権者の決定に大きな影響を与えるかどうかはまだ分からない。

・バイデン氏の年齢だけが再選の可能性に影響を与える可能性がある問題ではない。 経済状況や政治情勢などの他の要因も影響する。
・バイデン氏の年齢と明らかな認知機能の低下は、大統領に選出されて以来、議論のテーマとなっている。
・バイデン氏は自分の年齢を擁護し、そのおかげで「少しの知恵」が得られたと述べた。
・一部の民主党員にとってはバイデン氏の年齢も懸念している。同氏が2024年に選出された場合、任期を全任できないのではないかと懸念しているためだ。
・政界に留まる意向も表明している。
・しかし、世論調査によると、有権者の大多数が彼の精神的および体力に疑問を抱いている。
・彼の批評家たちは、彼の失言や虚偽発言が彼の精神能力の低下の証拠であると指摘している
・バイデン氏の健康状態も一部の有権者にとって懸念事項だが、認知機能の低下は感じていないことを同氏が明確にしていることに注目することが重要だ。
・バイデン氏の想定される敵対者であるドナルド・トランプ元大統領も、同氏の年齢と精神的健康状態についての懸念に直面している。
・トランプ氏の年齢も一部の有権者にとって懸念事項だが、認知機能の低下の兆候は見られない。
・しかし、一般にトランプ氏の方が精神的に鋭いと見なされているため、トランプ氏の年齢はバイデン氏ほど懸念されるものではない。
・バイデン氏の年齢と健康状態が失格要因となるかどうかは有権者が判断することになる。

【桃源寸評】

 「年寄りには新湯は毒」という云い方がある。変幻きわまりない国際情勢は正に新湯である。
 が、確かにこうも云う、"亀の甲より年の劫"と。バイデン氏も"少しの知恵"を政治の世界で得たことは誰も否定はしない。
 しかし其の知恵を以て、国際社会に向かい政策或は詐略となって行為されたとき、如何ほどの被害が生じるかに思いが至らない知恵は、単に人類の平和を乱す"猛毒の知恵"となる。
 世界の平和、及び人々の福祉に如何ほどの貢献がなされるかで、「亀の甲より年の劫」と云われる。相手を陥れるだけの"知恵"の競争などは、真っ平御免である。
 <年寄と釘頭は引っ込むがよし>となる。
 世界に毒を撒き散らす政治家は不要である。
 バイデン氏の<兎兵法>はもう沢山だ。

引用・参照・底本

「Biden extols benefits of elderly presidency」 RT 2023.09.04

「81歳の米共和党マコーネル氏が会見中に『30秒間沈黙』、高齢政治家一色に拒否感も」 東亜日報 2023.09.01

「バイデン氏、米退役軍人式典でまたもや大失態」 ParsToday 2023.09.06

ウクライナ紛争の終結には2023年09月05日 17:44

日本風俗図絵 第1輯(国立国会図書館デジタルコレクション)
 Scott Ritterによって書かれたもので、ウクライナとロシアの現在の紛争に関する彼の視点と意見を反映している。

 日本の降伏と歴史的な教訓

 第二次世界大戦中の日本の降伏を例に挙げ、日本が無条件降伏し、戦争が終結したことを強調している。この事例を通じて、敗北の姿勢についての歴史的な教訓を強調し、ウクライナ政府に同様の検討を促している。

 ウクライナの紛争の原因

 ・原因の反省

 ウクライナ政府に対して、紛争の原因について誠実に反省する必要があると主張している。つまり、ウクライナ政府はなぜこの紛争が勃発したのか、その要因を正直に検討すべきだとしている。

 ・デナチフィケーション

 デナチフィケーション(Denazification)とは、ロシア政府がウクライナに対して設定した目標の一つである。この言葉は、「ナチス主義を排除する」という意味を持つ。ロシアはウクライナの一部の政治家やナショナリスト団体がナチス協力者のステパン・バンデラを賞賛し、その遺産を称賛していると主張しており、それが紛争の一因だと考えている。

 ・ステパン・バンデラ(註)

 ステパン・バンデラは、第二次世界大戦中にナチス・ドイツと連携し、ウクライナ独立を目指すウクライナ民族主義者の指導者であった。バンデラはその過去において暴力行為を行い、多くの人々の死に関与しており、「大量殺人者」として広く非難されている。一方で、現代のウクライナ国民主義者たちによって英雄視され、国家の創設者とみなされている。ウクライナ政府とウクライナ国内のナショナリスト団体が、バンデラを英雄視することによって、紛争の原因としての一因を挙げている。彼は、バンデラの遺産がウクライナ政府の基盤に悪影響を及ぼしており、これがロシアの主張する「デナチフィケーション」の一部であると主張している。

 ウクライナ紛争の原因について議論し、ウクライナ政府が「デナチフィケーション」(ナチスの影響を排除すること)というロシア政府の主張を拒否することについて触れている。ウクライナがナチス協力者であるステパン・バンデラを称賛し、その影響を受けていることを非難し、ウクライナ政府の信憑性に疑問を呈している。

 ロシアの紛争の目標

 ロシアの紛争の目標を「デナチフィケーション」「非武装化」「ウクライナのNATO加盟阻止」と明確に述べている。また、ロシアはウクライナに対する兵力と装備の破壊を進行中であり、ウクライナとその西側の同盟国にはこれを阻止できる手段が限られていると主張している。

 ウクライナの現状と将来展望

 ウクライナが現在の紛争を長引かせることはできるが困難な状況に陥る可能性を強調し、ウクライナがさらなる領土の喪失の危険にさらされていると警告している。

 ロシアの交渉への態度

 ロシアの指導部が交渉を行う意欲が限定的であり、ウクライナとその西側の同盟国がロシアの主張に従うことが難しいと述べている。

 平和と復興への呼びかけ

 ウクライナとその西側の同盟国に対し、紛争を終結し、現実を受け入れて平和と復興に向かうよう呼びかけている。

 ウクライナとロシアの現在の紛争についての見解と、ウクライナが直面している困難についての主張を示している。ウクライナには敗北を認め、紛争を終結させる必要があると主張しており、その過程で歴史的な教訓を強調している。

【要点】

元アメリカ海兵隊情報将校で作家のスコット・リッターによって書かれている。同氏は記事の中で、ウクライナはロシアとの紛争で全面的な敗北を喫するだろうと主張している。彼はこの議論を次のようないくつかの要素に基づいている。

・紛争における現代のバンダリストの役割:暴力と過激主義の歴史を持つウクライナの民族主義団体であるバンデリストがウクライナ東部の流血事件の多くに責任があると主張している。平和を達成するためには、ウクライナがバンデリストとそのイデオロギーを一掃しなければならないと信じている。

・ミンスク合意の失敗:ミンスク合意は、2015年にフランスとドイツが仲介した和平協定である。この協定はウクライナ東部の紛争を終わらせることを目的としていたが、完全に履行されたことはない。ウクライナがミンスク合意を遵守していないことが現在の紛争の一因になっていると主張する。

・ロシアの軍事的優位性:ロシアはウクライナよりもはるかに大規模で装備の充実した軍隊を持っている。ロシアは最終的にはウクライナ軍を圧倒し、目的を達成すると信じている。

・西側からの支援の欠如: 西側諸国はウクライナに軍事援助を提供しているが、この援助は戦争の流れを変えるには十分ではないと主張する。西側諸国はロシアとの直接紛争に巻き込まれることを望んでいないため、最終的にはウクライナが敗北する運命にあると信じている。

ウクライナは敗北を受け入れ、ロシアと和平交渉をしなければならないと述べて記事を締めくくっている。 代替案は長く血なまぐさい戦争であり、さらなる苦しみをもたらすだけだと信じている。

これはまた、西側諸国が勝てない戦争に巻き込まれないように注意すべきであることを思い出させるものでもある。

指摘している追加点は次のとおり。

・ウクライナは全面的な敗北に直面している。
・交渉による解決は不可能である。
・ロシアは戦争に勝ちつつある。
・西側諸国は、ウクライナが戦争に勝つのを助けることができると考えて、自分自身を欺いている。
・西側諸国はウクライナへの軍事援助を継続することで間違いを犯している。
・彼はウクライナの状況を第二次世界大戦での日本の降伏に喩え、ウクライナは敗北を受け入れ、社会の非ナチス化に取り組む必要があると主張した。
・彼は西側メディアの戦争報道がウクライナに有利に偏っていると信じて批判している。
・米国とその同盟国がウクライナを勝ち目のない戦争に追い込んでおり、これがロシアと西側諸国との間のより広範な紛争につながる可能性があると主張している。

リッター氏の記事は物議を醸しており、一部からは親ロシア的すぎると批判されている。しかし、リッター氏はこの地域への深い理解を持つ尊敬される元情報将校であることに留意することが重要である。彼の記事は、現在の紛争とその予想される結果についての貴重な視点を提供している。

【桃源寸評】

 皮肉なことに、第二次世界大戦での日本の無条件降伏が戦争終結の例として
参考になるようだ。そうであるならば、岸田首相、大いに勉強して、"仲を取り持つ"ことである。
 残念ながら、"冗談から駒"も出ないか。
 
 心して聞くべか、日本。ジョージ・サンタヤナ、アメリカの哲学者が指摘するように、"過去を覚えていない者は、それを繰り返す運命にある"ということを。
 
 <風雲急を告げる>事態を起こさないように、矢鱈に"戦う覚悟"などと口走那ない事だ。それこそ、"駒"が出るかも知れない。

(註)
ステパン・バンデラ(Stepan Bandera)は、ウクライナの民族主義運動の指導者で、20世紀のウクライナの歴史において重要な役割を果たした人物である。彼についての詳細な説明は以下の通り。

生い立ちと初期の活動

ステパン・バンデラは1909年にウクライナのガリツィア地域で生まれた。彼はウクライナの独立を強く信じ、ウクライナ独立運動に参加した。彼の活動は、ウクライナがポーランド、ソビエト連邦、そしてナチス・ドイツによる支配に晒された20世紀の複雑な政治状況の中で展開した。

ウクライナ独立運動

バンデラは、ウクライナ独立を実現するために暴力的な手段を支持し、ウクライナ独立軍(UPA)と呼ばれるゲリラ組織の指導者として知られている。彼の指導下でUPAは、ウクライナの独立を回復しようとし、ソビエト政権やポーランド政権に対して武力闘争を展開した。

ナチス・ドイツとの連携

第二次世界大戦中、バンデラと彼の支持者は一時的にナチス・ドイツと協力した。バンデラはウクライナ独立のためにナチスと協力することを選び、ウクライナ国家の独立を実現するためにドイツの支援を受けた。この連携は一部の人々によって非難されており、彼が「ナチス協力者」と見なされる主要な理由の一つである。

後半生と死

バンデラは戦後もウクライナ独立運動を続けたが、1959年にキエフでソ連の秘密警察によって暗殺された。

ウクライナ国内での評価

ステパン・バンデラはウクライナ国内で賛否両論の評価を受けている。一部のウクライナ国民主義者は彼を英雄視し、ウクライナの独立運動の象徴として尊敬している。一方で、彼のナチスとの連携や暴力行為により、彼は他の人々からは非難され、その遺産について議論が続いている。ステパン・バンデラは、ウクライナの歴史において複雑な人物であり、彼の役割と影響は歴史的な文脈に応じて異なる評価がされている。

引用・参照・底本

「Scott Ritter: A comprehensive Ukrainian defeat is the only possible outcome of its conflict with Russia」 RT 2023.09.03

制裁迂回の7nmチップ2023年09月05日 20:55

日本風俗図絵 第1輯(国立国会図書館デジタルコレクション)
 中国の半導体メーカーであるSemiconductor Manufacturing International Corp(SMIC)が、アメリカの制裁を迂回して、Huawei Technologiesに7ナノメートルのチップを供給していることを示している。

 SMICの技術向上と供給

 SMICは、アメリカの制裁を回避するために台湾のエンジニアを雇用し、中古の設備を使用して、Appleの製品と同等の性能を持つ7ナノメートルのチップを供給しているとされている。

 Huawei Mate60 Proのチップセット

 Huaweiは、2020年9月にアメリカの制裁が発効する前に、TSMCによって製造されたか、あるいはSMICの最新技術によって製造された可能性があると一部のアナリストが予測していた。結論として、SMICが最新の技術を用いて製造したことが判明した。

 速度と性能テスト

 カナダの研究会社TechInsightsによる速度と性能のテストでは、Mate60 Proは350メガビット/秒の速度に達し、これはAppleのiPhoneと同等であることが示された。また、5Gワイヤレス機能とSMICによって製造されたシステムオンチップ(SoC)プロセッサが搭載されていることも確認された。

 SMICの技術的な突破

 これらの情報が正確であれば、SMICは7ナノメートルチップ技術において重要な進展を遂げたことを意味する。これは、半導体産業において注目すべき発展であるとされている。

 制裁回避の背景

 アメリカはHuaweiへの制裁を2019年に発表し、TSMCも2020年9月に制裁に従い、Huawei向けのチップ製造を停止した。中国は制裁に対処するためにさまざまな方法を模索しており、SMICはその一部を担っているとされている。

 ASMLのDUVリソグラフィ装置

 アメリカはASMLの極端紫外線(EUV)リソグラフィ装置の輸出を制限し、これが3-7ナノメートルのチップを製造するために必要な技術であるとされている。しかし、中国はDUVリソグラフィ装置を入手し、7ナノメートルチップの生産を可能にした。

 未来の展望

 中国は電子設計自動化(EDA)ソフトウェアの改良を通じて、半導体技術を向上させたとされており、将来的には5ナノメートル以下のチップを自前で製造できる可能性があるとの見方も示されている。

 中国のSMICがアメリカの制裁を回避し、Huawei向けに7ナノメートルの半導体チップを供給していることを示しており、中国の半導体産業における進展と、制裁回避の方法についての注目すべき展開を伝えている。

【要点】

米国は、先進的な半導体製造技術へのアクセスを制限するよう中国に圧力をかけている。2019年、米国はファーウェイによる米国からのハードウェアとソフトウェアの購入を禁止し、オランダ政府に対してもASMLの最先端極紫外(EUV)リソグラフィーの中国への輸出を禁止するよう求めた。EUV リソグラフィーは、最小かつ最先端のチップを製造するための重要な技術である。

SMIC はこれらの制限を回避する方法を見つけることができた。同社は中古のDUVリソグラフィ装置を入手することができた。この装置はEUVリソグラフィほど先進技術ではないが、7ナノメートルのチップの製造には依然として使用できる。SMICは米国の制裁を受けていない台湾人技術者を雇用することもできた。

SMICがこの技術を使用してHuaweiのMate60 Proスマートフォン用の7ナノメートルチップを製造したと報告している。これは中国がチップ製造の自給自足に向けた取り組みが前進していることを示す重要な進展である。

中国が将来的に独自のEUVリソグラフィー技術を開発する可能性についても論じている。これは中国が最小かつ最先端のチップを製造できるようになるため、大きな進歩となるだろう。

上海に拠点を置くチップメーカーであるセミコンダクター・マニュファクチャリング・インターナショナル・コーポレーション(SMIC)が、どのようにして米国の制裁を回避してファーウェイ・テクノロジーズ向けの7ナノメートルチップを製造したかについてのものである。

米国は中国による先進的なチップ製造技術へのアクセスを制限しようとしてきたが、SMICはこれらの制限を回避する方法を見つけることができた。1つの方法は、Liang Monsong氏のような、最新のチップ製造技術の経験を持つ台湾人エンジニアを雇用することだ。もう一つの方法は、中国に転売された中古機器を使用することである。

SMIC がチップの設計と製造に不可欠な独自のEDAソフトウェアを開発していることにも言及している。このソフトウェアはまだ開発中であるが、最終的には中国がチップ製造の自給自足を達成するのに役立つ可能性がある。

今後数年のうちに中国が自社開発のEUVリソグラフィーで5nm以下のチップを製造できるようになる可能性があると結んでいる。EUVリソグラフィーは現在利用可能な最も先進的なチップ製造技術であるため、これは大きな進歩となるだろうう。

中国の技術力の成長を示している。中国はチップ製造の自給自足に向けた取り組みを進めており、将来的には独自のEUVリソグラフィ技術を開発できる可能性がある。これは大きな進歩であり、世界のチップ市場で中国に大きな優位性をもたらすだろう。

中国がチップ製造の自給自足をさらに高めるためにどのように取り組んでいるかを示す良い例である。米国は中国によるこの技術へのアクセスを制限しようとしてきたが、中国はこうした制限を回避する方法を模索している。これは両国にとって重要な戦略的問題であり、今後も緊張の原因となり続ける可能性が高い。

・SMIC は中国の大手チップメーカーであるが、世界最大のチップメーカーである TSMC ほど先進的ではあない。
・米国の制裁により、SMICが最新のチップ製造技術を入手することが困難になった。
・SMICは中古機器を使用し、台湾人技術者を雇用することで制裁を回避することに成功した。
・Mate60 Proは、SMIC製の7nmチップを搭載した初の市販スマートフォンである。
・7nmチップの開発はSMICにとって重要なマイルストーンであり、同社がTSMCの技術力に近づくことになる。
・中国はチップ製造に多額の投資を行っており、将来的には独自のEUVリソグラフィー技術を開発する可能性がある。
・SMICによる7nmチップの開発は、中国が自給自足のチップメーカーになる努力を進めていることを示すものであり、米国にとっては後退だ。
・これは中国のチップメーカーとの競争激化につながる可能性があり、世界のチップ市場に影響を与える可能性がある。
・SMICは台湾人技術者を雇用し、中古機器を使用し、独自のEDAソフトウェアを開発することで米国の制裁を回避することに成功している。
・中国は半導体製造技術の進歩を遂げており、数年以内に自給自足を達成できる可能性がある。
・自社開発のEUVリソグラフィーによる5nm以下のチップの開発は、中国にとって大きな進歩となるだろう。

【桃源寸評】

 “制裁”は中国の内製化を鼓舞することに直結する。
 オバマ政権時の2015年、アメリカ商務省がCPUの中国への輸出禁止をした結果、中国製CPUの開発が急速に進み中国製CPUによる最速スーパーコンピュータの誕生となったことは記憶に残る。

 もし、どうしても中国を<自家薬籠中の物>にしたいのなら、寧ろ最新技術の製品を、中国に製造する隙を与えずに、中国にどんどん売って使わせるべきなのだ。
 が、時既に遅し。中国は生産技術基盤・応用技術・開発スピード・開発者の育成・国家目標に於て、其の何れをとっても、他国を凌駕しているのだ。
 前進あるのみ、の状態である。
 
 『ジャパン アズ ナンバーワン』、原題は『Japan as Number One Lessons for America』は云う。引用する。

 「アメリカは今や他の国々から学び、新しい状況に適応し、これまでのやり方を検討しなければならない時期にきているのだ。それなのに過剰なるプライドゆえにアメリカにとっても、世界にとっても悲劇的な結末に突入するのではないかという危惧を、私は拭いさることができない」と。

 同じことを繰返すのは歴史を忘却するからだ。

引用・参照・底本

「SMIC bypasses US curbs to make 7nm chips」 ASIATIMES 2023.09.05

「入手困難のファーウェイ「Mate 60 Pro」 人気の理由は?」 人民網日本語版 2023.09.06