ハマスによる大規模攻撃2023年10月09日 08:21

高島大井子の話 国立国会図書館デジタルコレクション
 2023年10月7日に起きたパレスチナの武装勢力ハマスによる大規模な攻撃に関する報道を取り上げている。

 ハマスは、イスラエルに向けてミサイルを発射し、イスラエル全体にパニックを引き起こす大規模な攻撃を仮庵(かりいお)の祭りの安息日に行った。この攻撃は、イスラエル軍と情報機関の「モサド」が兆候に気付かなかったことから、「情報失敗」として議論されている。

 イスラエルはこの攻撃を「巨大なトラウマ」として捉え、ヨム・キプール戦争(第4次中東戦争)(註)開戦50周年からわずか1日後に行われたことに驚愕した。
イスラエルは、エジプトとシリアによる1973年の「贖罪の日」(ヨム・キプール)の大規模な奇襲攻撃と類似性を指摘しました。

 ハマスの攻撃は、イスラエルが予想以上に大規模で秘密裏に行われたため、予測および対処が難しかったとされている。イスラエルは、過去に「アイアンドーム」と呼ばれる防空網を導入し、感知装置や地下壁を建設してハマスのロケット攻撃を防いだ。しかし、今回の攻撃はそれらの対策を回避した。

 イスラエルは、従来はハマスの小規模な攻撃にアイアンドームで対処し、報復爆撃や指導者の暗殺など限られた対策を取っていた。しかし、今回の攻撃が大規模であることが確認されたため、イスラエルは地上軍を動員して本格的な軍事対応を検討する可能性が高まっている。

 ハマスによる攻撃がイスラエルにとって重大な挑戦であり、情報収集および対処の面で課題があることを強調している。また、今後のイスラエルの対ハマス政策についても変化が予想されている。

【要点】

2023年10月7日、パレスチナの武装勢力ハマスがガザ地区からイスラエルに対して大規模なロケット攻撃を行った。この攻撃でイスラエル国内で少なくとも10人が死亡し、数百人が負傷した。

イスラエルは今回の攻撃を予測できなかったとしており、情報機関の失敗が指摘されている。

イスラエルは、ハマスによる小規模なロケット攻撃には、アイアンドームと呼ばれる防空システムで対処してきた。しかし、今回の攻撃では、数千発のロケットが一斉に発射されたため、アイアンドームの迎撃能力をはるかに上回った。

また、ハマスは、イスラエル国内の主要都市を標的とした攻撃を行った。これは、イスラエルがガザ地区に対して行ってきた限定的な軍事対応を、イスラエル国内にまで拡大することを狙ったものとみられる。

今回の攻撃を受けて、イスラエルはハマスに対するアプローチを根本的に見直す可能性がある。これまでの限られた対応では、ハマスの攻撃を抑止できないことが明らかになったため、大規模な地上軍を動員してガザ地区に進入する本格的な軍事対応を行う可能性が高まっている。

イスラエルは、世界最高水準の諜報能力で知られる国である。しかし、今回の攻撃を予測できなかったことは、イスラエルの諜報機関の失敗を示すものである。ハマスは、攻撃の準備を秘密裏に進め、イスラエルの諜報機関を欺くことに成功した。

イスラエルは、ハマスとの対立を長期的に抑え込むために、2005年にガザ地区から撤退した。しかし、ハマスはガザ地区を支配し、イスラエルに対する攻撃を継続している。今回の攻撃は、イスラエルのガザ地区撤退が失敗したことを示すものである。

今回の攻撃は、イスラエルとハマスの間の新たな緊張を招く可能性がある。イスラエルは、ハマスに対する大規模な軍事作戦を検討していると報じられている。ハマスも、イスラエルに対する報復攻撃を準備しているとみられている。

今回の攻撃は、イスラエルとハマスの対立が新たな局面を迎えたことを示している。今後、両者の間でさらに激しい軍事衝突が起こる可能性も懸念される。

ニューヨーク・タイムズ紙は、今回の攻撃を機に、イスラエルのアプローチが根本的に変わる可能性があるとの見通しを示した。イスラエルは、ハマスの小規模な攻撃には限られた対応を行ってきたが、今回の攻撃でハマスの大規模な攻撃能力が明らかになった。そのため、イスラエルは、大規模地上軍を動員してガザ地区に進入する本格的な軍事対応をする可能性が高くなった。

具体的には、以下の理由から、イスラエルがハマスの大規模攻撃を予測できなかったと考えられる。

・情報失敗の原因

ハマスが攻撃の準備を秘密裏に進めたこと。
イスラエルの諜報機関がハマスの攻撃能力を過小評価したこと。

・政治的失敗の原因
イスラエルのガザ地区撤退が失敗したこと。
イスラエルとハマスの間の根本的な対立が解決されていないこと。

・今後の展望
イスラエルとハマスの間の新たな緊張。
イスラエルによる大規模な軍事作戦の可能性。
ハマスによる報復攻撃の可能性。

・ハマスは、攻撃を秘密裏に準備していた。
・ハマスは、予想を上回る規模で攻撃を行った。
・イスラエルの情報機関は、ハマスの攻撃を過小評価していた。

【桃源寸評】

 日本の"善悪"式、つまり、イスラエル贔屓のような報道の在り方は、既にウクライナ戦争でも十分に発揮された。
 情緒に訴えるだけでは事の真相を把握できないばかりか、却って"害"となる。
 若し日本が和平調停に乗り出す時、邪魔になる報道の仕方である。と云うよりは、日本政府自身が其の大本、つまり、米国の判断から一歩も踏み出せないのか。
 すべては西側政府(報道)の金太郎飴振りか。

 事の淵源は西側に在り、そして"三枚舌外交"の結果でもある。

 ハンギョレはかなりよくニュースを取り上げている。 

(註)
第三次中東戦争(または第四次中東戦争とも呼ばれることがある)は、1973年10月6日に勃発し、1974年まで続いた中東の紛争です。この戦争は、イスラエルとエジプト、シリアの間で戦われました。以下に、この戦争の詳細を説明します。

背景:
第三次中東戦争の背景には、主に次の要因が関与しています。

領土問題: イスラエルとアラブ諸国(特にエジプトとシリア)との間で、1967年の六日戦争以来、領土を巡る対立が続いていた。イスラエルはシナイ半島やゴラン高原などの領土を占拠しており、これに対するアラブ諸国の反発が高まっていた。

復讐とバランスの回復: エジプトとシリアは、1967年の六日戦争での敗北に対する復讐心を抱いており、軍事力を強化していた。彼らはイスラエルとの軍事バランスを回復し、領土を奪還するために戦争を計画しました。

戦争の経過:

1973年10月6日、ヨム・キプール(贖罪の日)にエジプトとシリアは協力してイスラエルに奇襲攻撃を仕掛けた。エジプト軍はシナイ半島に、シリア軍はゴラン高原に侵攻した。この奇襲攻撃により、アラブ諸国は最初の数日間で一定の成功を収めた。

イスラエルは国内動員を行い、国際的な援助を受けて戦力を増強した。戦闘は激化し、数週間にわたった。特にゴラン高原での激しい戦闘が行われた。

この戦争中、アメリカとソビエト連邦は対立し、冷戦の一環として中東に介入した。アメリカはイスラエルを支援し、ソ連はアラブ諸国を支援した。

戦争は国際的な圧力と交渉の結果、1973年10月25日に停戦した。停戦協定に基づき、シナイ半島の一部はエジプトに返還され、ゴラン高原に関する交渉が進行したが、最終的な合意は達成されなかった。

影響:

第三次中東戦争は、中東地域の緊張を続け、イスラエルとアラブ諸国との対立を深化させた。また、この戦争は国際政治においても影響を与え、冷戦勢力の干渉が顕著であったことから、国際的な注目を集めた。戦後、和平交渉が続き、エジプトとイスラエルの間で1979年にキャンプ・デービッド合意が成立し、エジプトはイスラエルを承認する国として初めて関係を正常化した

・ヨム・キプール戦争(Yom Kippur War)は、1973年に起きた中東の戦争で、イスラエルとエジプト、シリアの間で戦われた重要な紛争の一つである。この戦争はユダヤ教の最も神聖な日であるヨム・キプール(贖罪の日)に開戦されたため、その名前が付けられた。

ヨム・キプール戦争の主要な要因と背景には、以下の点が挙げられる。

領土問題: イスラエルとアラブ諸国(特にエジプトとシリア)との間で、領土を巡る対立が続いていた。イスラエルは1967年の六日戦争で領土を拡大し、シナイ半島やゴラン高原などの領土を占拠していた。

エジプトとシリアの復讐: エジプトとシリアは、1967年の敗北に対する復讐を企てており、国内外で軍の強化を進めていた。彼らは合同でイスラエルに対する攻撃を計画した。

ヨム・キプール戦争は、1973年10月6日にエジプトとシリアが協力してイスラエルに対し奇襲攻撃を仕掛けたことで始まった。エジプト軍はシナイ半島に、シリア軍はゴラン高原に侵攻し、イスラエル軍に対して初めての成功を収めた。戦闘は激しく、数週間にわたった。

国際的な圧力と交渉の結果、戦争は1973年10月25日に停戦した。この戦争は両勢力による大規模な損害をもたらし、多くの人命が失われた。停戦後、戦争の結果としてシナイ半島の一部がエジプトに返還され、ゴラン高原に関する交渉が行われたが、最終的な合意は達成されなかった。

ヨム・キプール戦争は、中東の緊張を続け、イスラエルとアラブ諸国との対立を激化させる要因となった。また、この戦争はアメリカとソビエト連邦などの超大国間での対立にも影響を与え、国際政治においても重要な出来事であった。

引用・参照・底本

急襲されたイスラエル、大空襲の兆候に全く気付かなかった…「情報失敗」か ハンギョレ 2023.10.09

一夜にして突破されたイスラエルの「パニック」…中東全面戦争の危機の内幕 ハンギョレ 2023.10.09

モサド元長官、「ガザからの3000発のロケット弾は予想超えた攻撃」 ParsToday 2023.10.08

イラン合同参謀本部議長、「パレスチナ抵抗軍の作戦はイスラエルが張子の虎であることを証明」 ParsToday 2023.10.08

エジプト・アズハル大学が、パレスチナ国民の抵抗を称賛 ParsToday 2023.10.08

国連イラン代表部、「パレスチナの措置は占領行為に対する正当な防衛」 ParsToday 2023.10.09

イラン大統領、「アクサーの嵐作戦はパレスチナ人に対するイスラエルの圧政・不公正が蓄積した結果」 ParsToday 2023.10.09
ParsToday 2023.10.09
日本が、イスラエルとパレスチナ双方に最大限の自制を要求

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