COP28、原発3倍〈画餅に帰す〉か2023年12月26日 19:17

国立国会図書館デジタルコレクション「舟頭水掉の竹・細井七五郎・おほう吉三」を加工して作成
 第28回国連気候変動会議COP28の成果と課題について論じた内容である。主な焦点は、気候変動との闘いの解決策として原子力発電を3倍にするというCOP28でなされた野心的な約束にある。

 COP28 における原子力発電の受け入れ:COP28は気候変動への解決策として原子力発電を採用していると批判されている。この会議では、米国、英国、UAEを含む20カ国以上が署名し、気候変動の影響に対抗するために原子力発電を3倍にすることを約束する宣言が採択された。

 懐疑と批判:原子力科学者会報を引用して、この誓約の実現可能性と有効性について懐疑的な姿勢を表明している。批評家らは、風力や太陽光などのより安価で迅速な代替エネルギーが無視されるため、今後20年間に原子力エネルギーに多額の投資を行うと気候危機を悪化させる可能性があると主張している。

 原子力の歴史的展望:2004年にプリンストン大学が提案した歴史的な計画に言及しており、炭素排出量を削減するために50年間で700基の大型原子炉を建設することを目的としている。過去の原子力発電所の建設速度を考慮すると、この計画は非現実的であると考えられる。

 風力発電や太陽光発電との比較:2000年から2020年までに新たに導入された原子力発電の出力を風力や太陽光の出力と比較している。原子力発電の容量増加は、同時期の風力発電と太陽光発電のはるかに大きな容量増加に比べると小さく見える。

 法外なコストと時間の制約:原子力発電はコストが法外に高いと批判されている。 この記事は、原子力発電能力を3倍にするには15兆ドルの費用がかかると見積もっている。原子力発電所の設計、建設、運転期間の延長を考慮すると、2050年までに原子力発電を3倍にするのに必要な時間について懸念が生じている。

 小型モジュラーリアクター(SMR)の問題:遅延とコストの課題に直面している米国に本拠を置く企業ニュースケール社の事例を引用しながら、小型原子炉(SMR)の開発に関する問題について論じている。

 専門家の意見:原子力専門家のマイクル・シュナイダー氏は、業界の実績と気候変動の緊急性を考慮して、COP28の公約の実現可能性に疑問を表明したと伝えられている。スタンフォード大学のマーク・ジェイコブソン氏は、2030年代から2040年代まで実質的に利用できないテクノロジーに投資する根拠に疑問を抱いている。

 COP28の欠点:COP28は化石燃料の段階的削減が達成できていないとして批判されており、原子力発電を3倍にするという目標も達成できないと予測されている。要約すると、この記事は、COP28での原子力発電を3倍にするという公約は非現実的であり、気候変動という緊急の課題に対処する上で逆効果となる可能性があると描いている。原子力発電開発の歴史的背景、コストの問題、より迅速に導入可能な代替の再生可能エネルギー源の利用可能性を強調している。

【要点】

2023年12月に開催されたCOP28での「トリプル原子力」計画について批判的に論じている。

原子力3倍増計画は非現実的である: 原子力発電所の建設には時間がかかり、2050年までに3倍増させるのは現実的ではない。専門家によると、SMR(小型モジュール炉)も2030年代半ばまでは稼働せず、2040年代にならないと大量の電力を供給できるようにならないという。

原子力は高コストで危険: 原子力発電所は建設コストが高く、廃棄物問題も抱えている。また、安全性への懸念もある。

化石燃料の段階的廃止が進まない: COP28では化石燃料からの脱却も十分に議論されず、地球温暖化対策は遅れをとっている。

原子力に頼らずとも風力や太陽光などの再生可能エネルギーで地球温暖化を解決できる可能性を示唆している。また、COP28のような気候変動対策会議が具体的な成果を出せずに終わることが多いと批判している。

原子力専門家マイケル・シュナイダー氏やスタンford大学のマーク・ジェイコブソン氏などの専門家の意見を引用しており、信憑性が高いと考えられる。ただし、原子力業界からは反論もあるかも知れない。

・2023年12月に開催されたCOP28での「トリプル原子力」計画について批判的に論じている。

・原子力3倍増計画は非現実的である: 原子力発電所の建設には時間がかかり、2050年までに3倍増させるのは現実的ではない。専門家によると、SMR(小型モジュール炉)も2030年代半ばまでは稼働せず、2040年代にならないと大量の電力を供給できるようにならないという。

・原子力は高コストで危険: 原子力発電所は建設コストが高く、廃棄物問題も抱えている。また、安全性への懸念もある。

・化石燃料の段階的廃止が進まない: COP28では化石燃料からの脱却も十分に議論されず、地球温暖化対策は遅れをとっている。

・原子力に頼らずとも風力や太陽光などの再生可能エネルギーで地球温暖化を解決できる可能性を示唆している。また、COP28のような気候変動対策会議が具体的な成果を出せずに終わることが多いと批判している。

引用・参照・底本 

COP28’s Unrealistic Tripling of Nuclear Power COUNTERPUNCH 2023.12.22

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