中国APStar-6Eの成功2024年07月17日 19:10

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【概要】

 中国初の全電気推進通信衛星であるAPStar-6E衛星は、軌道上試験を無事に完了し、現在完全に運用されている。2023年1月13日に打ち上げられたこの衛星は、ホール/イオン二重電気推進システムの有効活用を実証し、静止軌道への自律的な軌道移行を実現した。

 APStar-6Eは、約30Gbpsの通信容量と15年の寿命を持つ大容量で費用対効果の高いブロードバンドサービスを東南アジアに提供する。この進歩は、中国の衛星技術と通信分野における国際競争力を強化する。

【詳細】

 APStar-6Eは、中国が初めて開発した全電動推進通信衛星で、2023年1月13日に長征2号Cロケットによって打ち上げられた。この衛星の重要な特徴と運用の詳細は以下の通り。

 1.技術と仕様

 ・電動推進システム:APStar-6Eは、Hall/Ion式の電動推進システムを搭載しており、これを用いて軌道変更を自律的に行う。このシステムにより、燃料の消費を抑えつつ、精密な位置制御が可能になる。
 ・通信能力:衛星は約30Gbpsの通信容量を持ち、25個のKuバンドユーザビームと3個のKaバンドゲートウェイビームを装備している。

 2.運用と実績

 ・軌道投入:衛星は、打ち上げ後に電動推進システムを使って自動的にジオシンクロナス軌道(GEO)に移行した。2024年6月10日に目的のテスト位置に到達し、7月9日に初期の軌道テストを完了した。
 ・位置と運用:APStar-6Eは、134°Eの位置に配備され、APStar-6CおよびAPStar-6Dと共に運用されている。15年間の運用が予定されている。

 3.影響と意義

 ・地域への貢献:APStar-6Eは、東南アジア地域に向けて高容量かつ低コストのブロードバンド通信サービスを提供し、情報産業の発展に寄与し、デジタル格差の解消を図る。
 ・技術革新:この衛星は中国初の完全電動推進商業衛星であり、完全自律的な軌道移動を実現したことから、長期的な自律運用の技術向上と国際的な競争力の強化に寄与する。

 4.中国の国際的な展開

 ・国際顧客への提供:中国航天科技集団公司(CASC)の子会社である中国長城工業株式会社(CGWIC)は、これまでに多くの国際顧客に通信衛星システムを提供しており、ナイジェリア、ベネズエラ、パキスタン、ボリビア、ラオス、ベラルーシ、アルジェリアなどに衛星システムを納入している。

 このように、APStar-6Eの成功は中国の通信衛星技術の進歩を象徴し、今後の国際的な通信市場での競争力向上につながると期待されている。

【要点】 
 
 APStar-6Eの詳細を箇条書きで説明する。

 ・衛星名称:APStar-6E(アジア・パシフィック-6E)
 ・打ち上げ日:2023年1月13日
 ・打ち上げロケット:長征2号C
 ・開発機関:中国宇宙技術研究院(China Academy of Spacecraft Technology)
 ・運用機関:APT Mobile Satcom Limited(香港)、APT Satellite Company Limited(香港)

 ・主な技術

 ➢電動推進システム:Hall/Ion式(2セット)
 ➢➢通信容量:約30 Gbps
 ビーム:25 Kuバンドユーザビーム、3 Kaバンドゲートウェイビーム

 ・軌道

 ➢初期位置:ジオシンクロナス軌道(GEO)
 ➢テスト位置到達日:2024年6月10日
 ➢運用位置:134°E(APStar-6CおよびAPStar-6Dと共に運用)

 ・運用寿命:15年

 ・機能

 ➢高容量・低コストのブロードバンド通信サービスを提供
 ➢東南アジア地域の情報産業発展を支援
 ➢デジタル格差解消に寄与

 ・技術的意義

 ➢中国初の全電動推進商業衛星
 ➢自律的な軌道移動の成功
 ➢長期的な自律運用技術の向上

 ・国際展開
 
 ➢これまでにナイジェリア、ベネズエラ、パキスタン、ボリビア、ラオス、ベラルーシ、アルジェリアなどに通信衛星システムを納入

 この衛星の成功は、中国の通信衛星技術の発展と国際的な競争力の強化に寄与している。

【引用・参照・底本】

China's first all-electric propulsion communication satellite passes in-orbit tests, becomes fully operational GT 2024.07.15
https://www.globaltimes.cn/page/202407/1316097.shtml

PALM10:大国間の競争を激化させる可能性2024年07月17日 19:30

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【概要】

 日本が第10回太平洋・島サミット(PALM10)を主催することは、南太平洋における日本の影響力を強化する戦略を反映している。日本は米国の支援を受けて、この地域で存在感を強める中国の対抗策を狙っている。この会議では、世界の平和と安全を含む7つの主要テーマに焦点を当てるとともに、法の支配に対する日本のコミットメントを強調する。

 日本の目標:日本は、太平洋島嶼国(PICs)との戦略的・経済的関係を強化し、天然資源にアクセスし、中国に対抗する米国との同盟関係を強化することを目指している。

 経済的インセンティブ:日本は3億8,000万ドル以上の開発援助を予定しており、PICsを地政学的戦略に沿わせることを目的としている。

 戦略的圧力:この会談では、軍事・安全保障協力が強調され、この地域における日本の軍事的プレゼンスが増大する可能性がある。

 課題:中国のアナリストは、PICは中国とのバランスの取れた関係を維持し、地政学的な対立に巻き込まれることを避けたいため、日本と米国の戦略的目標と完全に一致する可能性は低いと主張している。

 地域への影響:この会議は、太平洋地域の主要国間の競争を激化させ、地域の安定と経済協力を混乱させる可能性があると予想される。

 全体として、日本の努力は地域の戦略的ダイナミクスを強化する可能性があるが、専門家は、PICsの歴史的経験とバランスの取れた外交関係の好みのために、PICsへの実際の影響は限定的である可能性があると考えている。

【詳細】

 日本の「第10回太平洋諸島首脳会議」(PALM10)は、日本が南太平洋地域での影響力を強化するための重要な戦略的イベントである。以下に、PALM10の詳細とその意図、そして予想される影響について詳しく説明する。

 1. 日本の戦略的目的

 経済的インセンティブ: 日本は、太平洋諸島国(PICs)との関係を強化するために、約380百万ドル(60億円)の開発援助を提供する予定である。これにより、PICsが日本との経済的関係を深めることを期待している。特に、日本は魚介類や深海資源などの天然資源へのアクセスを確保したいと考えている。

 安全保障の強化: 日本は、アメリカと協力して、南太平洋地域での安全保障を強化し、中国の影響力に対抗しようとしている。PALM10では、安全保障や軍事協力の強化が主な議題となる予定である。日本はこの機会を利用して、地域での軍事プレゼンスを拡大し、同時にアメリカとの同盟を強化しようとしている。

 2. 地域への影響

 戦略的圧力: 日本とアメリカの戦略的意図が、PICsに対して直接的な影響を及ぼすかどうかは不明である。中国のアナリストたちは、多くのPICsが日本やアメリカの影響を受けることを避け、自国の利益を最優先にする可能性が高いと指摘している。これらの島嶼国は、過去の植民地経験から、外部の大国の圧力に対して慎重である傾向がある。

 地政学的競争: PALM10は、大国間の競争を激化させる可能性がある。日本がこの会議を通じて中国への対抗策を強化しようとする一方で、中国やロシア、北朝鮮の動向がさらに注目される。これにより、地域の安定性が揺らぎ、経済的協力の深化が妨げられる恐れがある。

 3. 会議の内容と宣言

 ドラフト宣言: 会議のドラフト宣言には、国際的な平和と安全保障、法の支配の促進などが含まれており、中国を牽制する意図が見られる。一方で、気候変動など、PICsが最も関心を持つ課題については十分に取り上げられていないという批判もある。

 地域外の問題: 朝鮮半島問題が議題に含まれていることは、PICsにとって直接的な関連性が薄いと指摘されている。これが、日本の隠れた地政学的意図を示唆している可能性がある。

 4. 専門家の見解

 日本の意図: 中国のアナリストたちは、日本がPALM10を利用して、60億円の援助を通じて一部の国々を取り込もうとする一方で、地域の緊張を高め、アメリカのインド太平洋戦略をサポートしようとしていると見ている。

 実際の影響: PICsの多くは、歴史的に植民地支配を受けた経験から、大国の影響を受けることに対して慎重であり、日本とアメリカの戦略的意図に完全には従わないと考えられる。このため、PALM10の実際の影響力は限定的である可能性がある。

 このように、PALM10は日本の戦略的な意図を反映し、地域の大国間の競争を一層激化させる可能性がある一方で、太平洋諸島国の自立性やバランス感覚がその効果を制限する可能性があるとされている。

【要点】 
 
 PALM10についての詳細を箇条書きで説明する。

 日本の戦略的目的

 1.経済的インセンティブ

 ・約380百万ドル(60億円)の開発援助を提供予定
 ・天然資源(魚介類、深海資源)へのアクセスを確保
 
 2.安全保障の強化

 ・南太平洋での安全保障を強化
 ・中国の影響力に対抗
 ・軍事プレゼンスの拡大を狙う

 3.地域への影響

 1.戦略的圧力:

 ・PICs(太平洋諸島国)は日本やアメリカの影響を完全には受け入れない可能性

 ・過去の植民地経験から外部の圧力に対して慎重

 2.地政学的競争

 ・大国間の競争が激化する可能性
 ・中国やロシア、北朝鮮の動向が注目される
 ・地域の安定性と経済的協力の深化が影響を受ける恐れ

 会議の内容と宣言

 1.ドラフト宣言

 ・国際的な平和と安全保障、法の支配の促進が含まれる
 ・中国を牽制する意図が見られる
 ・気候変動については十分に取り上げられていない

 2.地域外の問題

 ・朝鮮半島問題が議題に含まれるが、PICsには直接的関連性が薄い

 専門家の見解
 
 1.日本の意図

 ・60億円の援助でPICsを取り込み、アメリカのインド太平洋戦略をサポート

 2.実際の影響

 ・PICsは大国の戦略的意図に完全には従わない可能性
 ・PALM10の実際の影響力は限定的とされる

 このように、PALM10は日本の戦略的意図を示し、地域の競争を激化させる一方で、PICsの自立性やバランス感覚が影響を制限する可能性がある。

【引用・参照・底本】

Japan to use PALM10 to economically entice, politically and militarily pressure PICs, but effects limited: experts GT 2024.07.15
https://www.globaltimes.cn/page/202407/1316083.shtml

中国:米国との軍縮・軍備拡散防止協議一時停止2024年07月17日 21:45

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【概要】

 中国外交部の林剣報道官は17日の定例記者会見で、米国との軍縮と軍備拡散防止に関する新たな協議を一時停止すると発表した。彼は米国が台湾への武器売却を続け、中国の核心的利益を損ねる行動を取っていることを指摘し、これが両国間の政治的信頼を損ない、協議の政治的雰囲気を壊したと述べた。林報道官は、この状況の責任は完全に米国側にあると強調した。

 同時に、林報道官は中国が相互尊重と平和共存、協力とウィンウィンの基盤の上で米国と対話を続けることを望んでいると述べた。ただし、米国が中国の核心的利益を尊重し、対話と交流のための必要な条件を作り出すことが前提だと強調した。

【詳細】

 中国外交部の林剣報道官が発表した米国との軍縮協議の一時停止は、中国と米国の関係が現在抱えている複雑な問題を反映している。以下に、この決定の背景と影響について詳しく説明する。

 背景

 1.台湾への武器売却

 ・米国は長い間台湾に対して軍事支援を行っており、最近も新たな武器売却を続けている。これは中国にとって重大な問題である。中国政府は台湾を自国の一部と見なし、外国からの軍事支援を国家主権と領土保全に対する重大な挑戦と見なしている。
 ・林報道官の発言によれば、米国のこの行動は中国の「核心的利益」を損ねており、両国間の政治的信頼を著しく損なっている。

 2.軍縮と軍備拡散防止:

 ・軍縮とは、国際的な軍事力の削減を目指す取り組みを指す。一方、軍備拡散防止は、特に核兵器などの大量破壊兵器の拡散を防ぐことを目的としている。

 ・米中間の協議は、これらの分野での相互理解と協力を深めることを目指していた。しかし、現在の状況では、このような協議を進めるための「政治的な雰囲気」が欠如していると中国側は主張している。

 中国の立場

 1.相互尊重と平和共存

 ・中国は米国との対話と協力を求めているが、それは相互尊重と平和共存、さらに「ウィンウィン」(双方が利益を得る)原則に基づくものでなければならないとしている。
 ・具体的には、米国が中国の核心的利益、特に台湾問題に関する中国の立場を尊重することが求められている。

 2.対話と交流の条件

 ・中国は、対話と交流を再開するためには米国が「必要な条件」を作り出すことが必要だと述べている。これは、米国が中国の核心的利益を侵害する行動をやめ、信頼醸成措置を講じることを意味する。

 影響

 1.米中関係の悪化

 ・軍縮協議の一時停止は、すでに緊張している米中関係をさらに悪化させる可能性がある。特に軍事分野での協力が途絶えることは、双方にとって安全保障上のリスクを高めることになる。

 2.国際的な軍縮努力への影響

 ・米中は世界最大の軍事大国であり、両国の協力は国際的な軍縮努力にとって重要である。この協議の一時停止は、他国にも影響を及ぼし、国際社会全体の軍縮努力に対する信頼を損なう可能性がある。
 
 結論

 中国が米国との軍縮協議を一時停止する決定は、台湾問題をめぐる深刻な対立と米中間の信頼欠如を反映している。中国は相互尊重と平和共存の原則に基づく対話を求めているものの、米国がその条件を満たすかどうかは不透明である。この状況がどのように進展するかは、今後の両国の行動にかかっている。

【要点】 
 
 背景

 1.台湾への武器売却

 ・米国が台湾に対して新たな武器売却を続けている。
 ・中国はこれを国家主権と領土保全に対する重大な挑戦と見なしている。
 ・この行動が中国の「核心的利益」を損ない、両国間の政治的信頼を著しく損 なっていると中国側は主張。

 2.軍縮と軍備拡散防止

 ・軍縮は国際的な軍事力の削減、軍備拡散防止は大量破壊兵器の拡散を防ぐことを目的とする。
 ・米中間の協議はこれらの分野での相互理解と協力を目指していたが、現在の状況では「政治的な雰囲気」が欠如していると中国側は主張。

 中国の立場

 1.相互尊重と平和共存

 ・米国との対話と協力を求めるが、相互尊重と平和共存、双方が利益を得る「ウィンウィン」原則に基づくべきとする。
 ・特に米国が台湾問題に関する中国の立場を尊重することを求めている。

 2.対話と交流の条件

 ・対話と交流を再開するために米国が「必要な条件」を作り出すことが必要。
 ・具体的には、米国が中国の核心的利益を侵害する行動をやめ、信頼醸成措置を講じること。

 影響

 1.米中関係の悪化

 ・軍縮協議の一時停止は、すでに緊張している米中関係をさらに悪化させる可能性がある。
 ・特に軍事分野での協力が途絶えることは、双方にとって安全保障上のリスクを高める。

 2.国際的な軍縮努力への影響

 ・米中は世界最大の軍事大国であり、両国の協力は国際的な軍縮努力にとって重要。
 ・協議の一時停止は、他国にも影響を及ぼし、国際社会全体の軍縮努力に対する信頼を損なう可能性がある。

 結論

 ・中国の決定は、台湾問題をめぐる深刻な対立と米中間の信頼欠如を反映。
 ・相互尊重と平和共存の原則に基づく対話を求めているが、米国がその条件を満たすかどうかは不透明。
 ・今後の両国の行動が状況の進展を左右する。

【引用・参照・底本】

外交部 中国は米国との軍縮に関する新たな協議を一時停止 CRI 2024.07.17
https://japanese.cri.cn/2024/07/17/ARTIB3dp8Pr9YwmNYeU8GNEE240717.shtml?spm=C96518.PPFEiF4jxkmc.E5HuD27aAD6w.3

米帝国主義のRIMPAC軍事演習の環境破壊問題等2024年07月17日 22:21

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【概要】

 2024年の環太平洋地域(RIMPAC)軍事演習は、米国主導の軍事演習が深刻な環境的・文化的損害をもたらすと主張するハワイの活動家から大きな批判を受けている。29カ国から25,000人以上の兵士が参加するこの隔年演習は、ハワイの陸と海に悪影響を与える、最も破壊的な世界的な訓練イベントの一つと言われている。

 歴史的に、米国はハワイ諸島を軍事目的で使用し、長期的な損害を引き起こしてきた。例えば、1965年に海軍がカホオラウェ島で爆発させた事故は、島の地下水面を破壊し、不発弾を残した。活動家たちは、ハワイは1898年にアメリカによって不法に併合されたことを強調し、リムパックは進行中のアメリカ帝国主義を例示している。

 環境問題には、聖地の損傷、汚染、絶滅危惧種への脅威などがある。伝えられるところによると、RIMPACは独自の環境保護プロトコルに違反しており、気候危機の一因となり、海洋生物を危険にさらしている。また、ジェンダーに基づく暴力、人身売買、ハワイ先住民女性の搾取も増加している。

 活動家たちは、これらの演習の終結を呼びかけ、アメリカ帝国主義に反対し、世界の平和と正義を支持して連帯して撤退するよう各国に促す。

【詳細】

 RIMPAC(Rim of the Pacific)は、世界最大の海上軍事演習であり、アメリカのインド太平洋司令部が主導している。2024年のRIMPACには、29か国から25,000人以上の兵士、40隻の海上艦船、3隻の潜水艦、および多くの航空機と地上部隊が参加している。これらの演習は、ハワイ諸島やカリフォルニア南部で行われ、6月27日から8月1日まで続く。

 歴史的背景とハワイへの影響

 ハワイ諸島は長い間、アメリカ軍によって軍事目的で利用されてきた。例えば、1965年にアメリカ海軍はカホオラウェ島で500トンのダイナマイトに相当する爆弾を爆発させ、島の水脈を破壊し、未爆発の兵器が散乱した。ハワイは1893年にアメリカの砂糖農園主によって不法に占領され、1898年にアメリカ議会によって違法に併合された。これ以降、ハワイはアメリカ軍の占領下にある。

 環境への影響

 RIMPACの演習は、ハワイの土地と海に深刻な環境被害をもたらしている。以下は具体的な影響の例である。

 ・ポハクロア訓練地域:ハワイ島の聖地であり、広大な面積が射撃訓練に使用されている。
 ・マクアバレー:第二次世界大戦中から2004年まで射撃訓練場として使用され、未爆発の兵器や白燐弾などの有害物質が残されている。
 ・マカプ海兵隊基地:古代ハワイの村があった場所に建設され、地元住民が立ち退きを余儀なくされた。基地からは大量の汚染物質が海に流れ出し、聖なる埋葬地も破壊されている。

 海洋生態系への影響

 RIMPACの演習は、海洋生態系にも深刻な影響を与えている。海軍のソナーの使用によりクジラが大量に座礁する事件が頻発し、ヘリコプターや飛行機の墜落事故がビーチや海洋に被害をもたらしている。ウミガメの産卵地も侵略訓練によって脅かされている。

 人権と社会的影響

 RIMPACの演習は、参加国の兵士による人権侵害やジェンダーに基づく暴力の増加も引き起こしている。例えば、2022年にはアメリカ海軍の元下士官がネイティブ・ハワイアンの少女の人身売買で20年の懲役刑を受けた。また、ハワイには25,000人以上の国際的な軍人が流入し、性的搾取の市場が広がっている。

 グローバルな文脈と反対運動

 RIMPACは、特に現在の地政学的状況において注目されている。特にガザでのイスラエルの戦争が進行中の中で、アメリカとイスラエルに対する国際的な非難が高まっている。これに反して、多くの国がRIMPACに参加しており、これが批判の的となっている。

 ハワイの活動家たちは、RIMPACをアメリカ帝国主義の象徴として批判し、世界中の人々と連帯してこれらの軍事演習の中止を求めている。彼らは、参加国がイスラエル占領軍との協力を終了し、国連などのフォーラムでの宣言を堅持するよう呼びかけている。

【要点】 
 
 RIMPAC 2024の主な批判点

 1.歴史的背景とハワイへの影響

 ・占領と併合:ハワイは1893年にアメリカの砂糖農園主に不法占領され、1898年にアメリカ議会によって違法に併合された。
 ・軍事利用:1965年、アメリカ海軍はカホオラウェ島で大規模な爆発実験を行い、島の水脈を破壊し、未爆発の兵器が散乱。

 2.環境への影響

 ・ポハクロア訓練地域:ハワイ島の聖地で広大な射撃訓練場として利用。
 ・マクアバレー:第二次世界大戦中から2004年まで射撃訓練場として使用、未爆発の兵器や有害物質が残存。
 ・マカプ海兵隊基地:古代ハワイの村があった場所に建設、地元住民の強制退去、汚染物質の流出。

 3.海洋生態系への影響

 ・海洋生物への被害:ソナーの使用によるクジラの大量座礁、ヘリコプターや飛行機の墜落事故、ウミガメの産卵地の侵害。
 ・環境保護法の違反:海洋哺乳類保護法や絶滅危惧種法への違反、保護措置の不履行。

 4.人権と社会的影響

 ・人権侵害:国際的な軍人による人身売買や性的搾取、特にネイティブ・ハワイアンの少女たちが被害を受ける。
 ・ジェンダーに基づく暴力:RIMPACの参加による性暴力の増加。

 5.グローバルな文脈と反対運動

 ・国際的非難:ガザでのイスラエルの戦争に対する非難が高まる中でのRIMPACの開催。
 ・参加国の批判:イスラエルを非難する国々(コロンビア、ブラジル、チリ、エクアドル、メキシコ、インドネシアなど)がRIMPACに参加していることへの批判。
 ・ハワイの活動家の要求:RIMPACの中止、参加国の撤退、イスラエル占領
軍との協力の終了、国際フォーラムでの宣言の堅持。

 6.活動家の立場

 ・環境と文化の保護:RIMPACの環境破壊と文化的損害に対する抗議。
 ・連帯と反帝国主義:世界中の人民運動と連帯し、アメリカ帝国主義と植民地主義に対抗する立場。

 これらのポイントを通じて、RIMPACがハワイやグローバルな視点でどれだけ深刻な影響を与えているかを理解することができる。

【参考】

2024年のRIMPACに参加する国々は以下の通り

アメリカ
オーストラリア
カナダ
チリ
コロンビア
エクアドル
フランス
ドイツ
インド
インドネシア
イスラエル
日本
マレーシア
メキシコ
ニュージーランド
ノルウェー
ペルー
大韓民国(韓国)
フィリピン
シンガポール
スリランカ
タイ
トンガ
イギリス
ベトナム
バングラデシュ
ブラジル
デンマーク
オランダ

これらの国々(29か国)はRIMPACの演習に参加し、軍事的な協力や訓練を行っている。

【参考はブログ作成者が付記】

【引用・参照・底本】

US-Led Military Exercises in Pacific Wreak Havoc Consortium News 2024.07.16
https://consortiumnews.com/2024/07/16/us-led-military-exercises-in-pacific-wreak-havoc/?eType=EmailBlastContent&eId=a21ea0f2-905f-451f-9ca2-10f0f4b7b2e7