ヨーロッパ:米ロの軍拡競争に巻き込まれるな2024年07月30日 17:18

Microsoft Designerで作成
【桃源寸評】

 此の構造(謀略)は、全く東アジアでも同様に進んでいる。既に、日韓が巻き込まれ二進も三進も行かない。ただ米国に従うだけである。

 最近東京で行われた日米の防衛高官と外交官の会談は、日本の自衛隊が米国に〝乗っ取られた〟瞬間であろう。此れはヨーロッパでも同様である。

 所謂、軍産複合体の利益と、米国の覇権主義的体質の表れなのである。

 その方法は自らが血を流し戦うのでなく、他国同士を戦わせて得る、つまり、<鷸蚌の争い>の遣り口である。

 日本改憲せずに、(実質的に)改憲を果たしている。国民の判断する状況を狭めているのだ。

 非核三原則(【参考】)も実質的には改憲操作と同様である。同盟国の米国が発射すれば、基本的には日本の所為である。

 岸田政権は非常に危険な政権である。

【寸評 完】

【概要】

 ヨーロッパ、アメリカ、ロシアを巻き込んだ冷戦型ミサイル危機が再び発生する可能性について論じている。それは、ヨーロッパが単にアメリカの政策に合わせるのではなく、自国の安全保障上の利益を考慮する必要性を強調している。ここでは、主なポイントと分析を紹介する。

 ・潜在的なミサイル危機:ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、米国がドイツに長距離ミサイルを配備した場合、中距離核兵器の生産を再開すると警告したことを強調している。この状況は、INF条約がそのような危機を防ぐのに役立った冷戦時代を反映している。

 ・米ロの緊張:2019年に米国とロシアがINF条約から離脱して以来、ミサイル配備のリスクが高まっている。これは、レトリックから行動へのエスカレーションの可能性についての懸念を引き起こす。

 ・欧州の立場:緊張がエスカレートすれば、ヨーロッパが主要な犠牲者になる可能性があると主張している。これは、緊張の高まりから利益を得ていると描かれている米国と過度に緊密に連携することで、欧州の安全保障上の利益が損なわれる可能性があることを示唆している。

 ・ロシアへの不信感:ロシア・ウクライナ戦争に後押しされた欧州の世論は、ロシアに対する防衛強化を支持している。しかし、米国の影響力がこの姿勢を形成する上で重要な役割を果たし、ヨーロッパを軍事的対立に追いやったことを示唆している。

 ・戦略的な意味合い:ヨーロッパへのアメリカ兵器配備は、ヨーロッパ大陸をロシアの攻撃の標的にし、不安定さを増大させる可能性がある。ヨーロッパが単にアメリカの利益を反映しただけではない独立した外交政策を発展させることを提唱している。

 ・交渉の必要性:戦略的安定と軍備管理に関する米露交渉を奨励することが極めて重要視されている。INFや新STARTのような条約を復活させることで、新たなミサイル危機を防ぐことができる。

 ヨーロッパは、アメリカ-ロシアの軍拡競争に巻き込まれないように、自国の安全保障を優先すべきだという視点を反映している。それは、ヨーロッパが独立した外交政策を追求し、世界平和を維持するための軍備管理協定を促進するための国際的な努力を求めている。

【詳細】

 ヨーロッパが直面する可能性のある新たな冷戦時代のミサイル危機について深く掘り下げている。以下に、各ポイントをさらに詳しく説明する。

 1.ミサイル危機の可能性

 ・ロシアのプーチン大統領は、米国がドイツに長距離ミサイルを配備する場合、ロシアも中距離核兵器の生産を再開し、ヨーロッパを射程に入れると警告している。これは、1987年に締結された中距離核戦力(INF)条約によって回避されてきた冷戦時代の緊張状態を想起させる。この条約は、米国とロシアの間の対立を抑制する重要な役割を果たしていた。

 2.米露間の緊張

 ・米国とロシアが2019年にINF条約から撤退して以来、中距離弾道ミサイルや巡航ミサイルの配備のリスクが高まっている。これにより、両国の「強硬な発言」が実際の「強硬な行動」に変わる可能性が懸念されている。

 3.ヨーロッパの立場

 ・緊張がエスカレートする場合、ヨーロッパが最大の被害者となる可能性があると指摘している。ヨーロッパの安全保障上の利益が、米国の政策に密接に従うことによって損なわれる可能性があるとしている。米国はこの緊張状態から利益を得ると描写されている。

 4.ロシアへの不信感

 ・ロシア・ウクライナ戦争により、ヨーロッパではロシアに対する防衛を強化する意見が高まっている。しかし、米国の影響がこの立場の形成に重要な役割を果たしており、ヨーロッパを軍事的対立へと押しやっていると示唆している。

 5.戦略的影響

 米国の武器がヨーロッパに配備されると、大陸がロシアの攻撃の標的となる可能性があり、結果として不安定性が増すと指摘している。ヨーロッパが米国の利益に従うだけでなく、独立した外交政策を追求すべきだと主張している。

 6.交渉の必要性

 ・米国とロシア間の戦略的安定と軍備管理に関する交渉を促進することが重要だとしている。INF条約や新STARTのような条約を復活させることで、新たなミサイル危機を防ぐことができるとしている。

 全体として、ヨーロッパが自らの安全保障を最優先し、米露の軍備競争に巻き込まれないようにすべきだと強調している。また、国際社会が軍備管理協定を促進し、世界の平和を維持する努力をすべきだと提案している。

【要点】

 1.ミサイル危機の可能性

 ・プーチン大統領が、米国のドイツへの長距離ミサイル配備に対抗して、中距離核兵器の生産再開を警告。
 ・1987年のINF条約は冷戦後のミサイル危機を防いでいたが、2019年の両国の撤退で危機再来の可能性が増加。

 2.米露間の緊張

 ・米露両国が「強硬な発言」から「強硬な行動」に移行するリスクが高まっている。

 3.ヨーロッパの立場

 ・ヨーロッパが米国の政策に従うことで、最大の被害者となる可能性がある。
 ・米国はこの緊張状態から利益を得ていると描写。

 4.ロシアへの不信感

 ・ロシア・ウクライナ戦争により、ヨーロッパではロシアに対する防衛強化の意見が増加。
 ・米国の影響がヨーロッパを軍事対立へと押しやっている。

 5.戦略的影響

 ・米国の武器配備により、ヨーロッパがロシアの標的となるリスクがある。
 ・ヨーロッパは独立した外交政策を追求すべきと提案。

 6.交渉の必要性

 ・米露間の戦略的安定と軍備管理に関する交渉を促進する必要がある。
 ・INF条約や新STARTの復活が、新たなミサイル危機の防止につながる。

【参考】

 ➢ 非核三原則は、日本の核政策を示す基本的な指針であり、「持たず、作らず、持ち込ませず」という方針を表す。これは、日本が核兵器を自国に関して以下のように取り扱うことを決定したものである。

 1.持たず(Not to possess)

 ・日本は核兵器を保有しないという方針を意味する。

 2.作らず(Not to manufacture)

 ・日本国内で核兵器を製造しないということを示している。

 3.持ち込ませず(Not to allow introduction)

 ・外国の核兵器を日本国内に持ち込ませないという立場である。

 この三原則は、1967年に当時の日本の首相であった佐藤栄作によって表明され、1971年に国会で公式に採択された。非核三原則は、日本が戦後、核兵器の使用による被害を経験したことから、核兵器廃絶を目指す姿勢の表れとして国際社会でも認識されている。

 ➢ 非核三原則は、日本の平和主義と安全保障政策の中核を成しているが、その実施と解釈を巡っていくつかの議論と揺れがあった。以下に、その経過をまとめる。

 1.成立と背景

 ・1967年、佐藤栄作首相が非核三原則を表明し、1971年に国会で公式に採択された。これは、広島・長崎への原爆投下を受けて、日本が核兵器を二度と持たないという強い意思を示すものであった。

 2.冷戦期の議論

 ・冷戦期には、日米安保条約のもとで、米国の「核の傘」に依存する日本の防衛政策との整合性が議論された。特に、米軍が日本に核兵器を持ち込む可能性についての疑念がしばしば提起された。

 3.持ち込み密約疑惑

 ・2000年代に入ってから、米国の公文書や元政府関係者の証言により、非核三原則の「持ち込ませず」に関する密約があったのではないかという疑惑が浮上した。これにより、日本国内での議論が再燃した。

 4.政治的論争

 ・時折、政界からは非核三原則の見直しを求める意見が出ており、特に安全保障環境の変化に伴い、核抑止力の再評価を求める声が上がることもあった。しかし、多くの国民や政治家は非核三原則の堅持を支持している。

 5.国際的な非核化の動き

 ・日本は非核三原則を掲げつつ、国際的な核軍縮や非核化の動きに積極的に関与してきた。核兵器禁止条約に関する議論でも、日本の立場が注目されている。

 6.現在の状況

 ・非核三原則は依然として日本の基本政策として堅持されているが、安全保障環境の変化や北朝鮮の核開発などを背景に、議論は続いている。政府は非核三原則を公式な政策として維持しているが、地域の安全保障の課題に対する対応を模索している。

 このように、非核三原則は日本の核政策における重要な指針であり続けているが、その解釈や実施を巡る議論は今後も続く可能性がある。

 ➢ 日本が「核の傘」に依存していることや、核兵器禁止条約に関する議論については、以下のような状況がある。

 1.核の傘依存

 ・日本は、北朝鮮や中国といった周辺国の核兵器の脅威に対抗するため、米国の核抑止力に依存している。この「核の傘」の下での安全保障は、非核三原則を維持しつつ、日本の防衛政策の一部として機能している。しかし、これが核兵器廃絶を目指す国際的な動きとどのように整合するかは、国内外で議論を呼んでいる。

 2.核兵器禁止条約(TPNW)との関係

 ・2017年に採択された核兵器禁止条約(TPNW)は、核兵器の全面的な禁止を目指している。しかし、日本政府は、この条約には署名も批准もしていない。理由としては、核抑止力の必要性を挙げ、核保有国と非保有国の橋渡し役を担うことが日本の立場として重要であるとしている。
 
 3.国内外の批判と期待

 ・日本が核兵器禁止条約に参加していないことに対して、被爆国としての立場から国内外で批判が存在する。一方で、日本が核保有国との対話を通じて現実的な核軍縮を促進する役割を果たすことを期待する声もある。

 4.議論のあやうさ

 ・日本国内では、核兵器禁止条約への参加を求める声と、核抑止力を維持する必要性を訴える声の間で意見が分かれている。政府は、核軍縮に向けた国際的な努力を支持しつつ、現実的な安全保障の必要性とのバランスを取ることを目指している。

 このように、日本の「核の傘」依存と核兵器禁止条約に関する立場は、国内外での議論を引き起こし続けており、安全保障と核廃絶の目標の両立が課題となっている。

 ➢ 核に関する主な条約の一覧とその説明を以下に示す。

 1.核拡散防止条約(NPT: Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons)

 ・採択: 1968年
 ・発効: 1970年
 ・目的: 核兵器の拡散を防ぎ、核軍縮を促進し、原子力の平和利用を推進する。
 ・特徴: 核兵器を保有する国(核兵器国)と非保有国(非核兵器国)を区別し、非核兵器国は核兵器を開発しないことを義務付けている。

 2.包括的核実験禁止条約(CTBT: Comprehensive Nuclear-Test-Ban Treaty)

 ・採択: 1996年
 ・発効: 未発効(2024年7月現在)
 ・目的: 地下を含むすべての核爆発実験を禁止することにより、核兵器の開発を阻止する。
 ・特徴: 条約の発効には44の特定の国の批准が必要であるが、いくつかの主要国がまだ批准していない。

 3.核兵器禁止条約(TPNW: Treaty on the Prohibition of Nuclear Weapons)

 ・採択: 2017年
 ・発効: 2021年
 ・目的: 核兵器の全面的な禁止と廃絶を目指す。
 ・特徴: 核兵器の開発、試験、保有、使用、威嚇などを禁止しているが、核保有国の参加がなく、実効性が課題とされている。

 4.中距離核戦力(INF)条約

 ・署名: 1987年
 ・発効: 1988年
 ・失効: 2019年
 ・目的: 米国とソ連(現在のロシア)が地上発射型の中距離および短距離ミサイルを全廃する。
 ・特徴: 冷戦期に重要な役割を果たしたが、2019年に米国とロシアが相互に条約の義務違反を主張し、失効した。

 5.戦略兵器削減条約(START: Strategic Arms Reduction Treaty)

 ・署名: 1991年
 ・発効: 1994年
 ・失効: 2009年
 ・目的: 米国とロシアの戦略核兵器の削減を目指す。
 ・特徴: 新START条約に引き継がれている。
 
 6.新戦略兵器削減条約(New START)

 ・署名: 2010年
 ・発効: 2011年
 ・延長: 2021年に5年間延長
 ・目的: 米国とロシアの戦略核兵器の配備数を削減する。
 ・特徴: 現在も有効な唯一の米露間の核軍縮条約であり、核弾頭数を1550以下に制限している。

 これらの条約は、核兵器の拡散を防ぎ、核軍縮を進めるための国際的な枠組みを提供しているが、それぞれの実効性や参加国の違いが議論の対象となっている。

 ➢ 2024年現在、核兵器を保有しているとされる国は以下の通り。

 1.アメリカ合衆国
 2.ロシア
 3.中国
 4.フランス
 5.イギリス
 6.インド
 7.パキスタン
 8.北朝鮮
 9.イスラエル(核兵器を保有していると広く信じられているが、公式には確認されていない)

 これらの国々は、それぞれ異なる背景や理由で核兵器を保有している。また、核保有国は国際的な軍縮交渉や条約において重要な役割を果たしているが、核拡散の防止と核軍縮の推進が引き続き重要な課題とされている。

 ➢ 集団的自衛とは、ある国が攻撃された場合に、同盟国や友好国が共同で防衛行動をとる権利や体制を指す。これは、国際連合憲章第51条で定められた権利であり、個別的自衛権と並ぶ国連加盟国の基本的な防衛権利の一つである。

 集団的自衛の特徴

 1.国際的な防衛メカニズム

 ・集団的自衛は、複数の国が協力して安全保障を確保するための仕組みである。これにより、一国が単独で防衛するよりも効果的に抑止力を発揮できると考えられている。

 2.同盟関係の重要性

 ・NATO(北大西洋条約機構)などの軍事同盟は、集団的自衛の代表的な例である。加盟国は、いずれかの国が攻撃を受けた場合には共同で防衛する義務を負っている。

 3.日本における集団的自衛権の議論

 ・日本では、集団的自衛権の行使が長年にわたり憲法第9条との関係で議論されてきました。2014年に日本政府は、憲法解釈の変更により限定的な集団的自衛権の行使を容認した。これにより、日本は他国との安全保障協力を強化し、国際平和活動への貢献を拡大する道が開かれた。

 4.国際平和と安定への寄与

 ・集団的自衛は、国際社会全体の平和と安定を維持する手段として位置づけられている。集団的防衛の枠組みは、潜在的な侵略者に対する抑止力として機能し、国際紛争の防止に寄与する。

 集団的自衛に関する課題

 1.主権と独立性のバランス

 ・集団的自衛の枠組みに参加することで、国家の主権や独立性が制約される可能性があり、各国はそのバランスを慎重に考慮する必要がある。

 2.国際法との整合性

 ・集団的自衛の行使は国際法に基づいて行われる必要があり、その適用が不適切な場合には国際的な批判を招く可能性がある。
このように、集団的自衛は国際的な安全保障において重要な役割を果たす一方で、参加国はその実施に際して慎重な判断が求められる。

 ➢ 国際連合憲章 第51条

 「この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対し、武力攻撃が発生した場合において、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持のために必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当たっては、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。また、この権利の行使は、国際の平和及び安全の維持のために安全保障理事会がとる措置にいかなる影響を及ぼすものでもない。」

 この条文は、国連加盟国が他国から武力攻撃を受けた際に、自国の防衛のために個別的または集団的に自衛権を行使できることを規定している。ただし、その行動については国連安全保障理事会に直ちに報告し、安全保障理事会の権限を損なわないことを求めている。

【参考はブログ作成者が付記】

【引用・参照・底本】

Europe should keep a clear head amid threat of Cold War-style missile crisis GT 2024.07.29
https://www.globaltimes.cn/page/202407/1316965.shtml

コメント

トラックバック