オルバン首相:西側の価値観は拒否されてる ― 2024年07月31日 20:32
【桃源寸評】
「一八二〇年頃まではアジアが人口の七〇%弱、GDPの六〇%前後をしめていたのに対して、西ヨーロッパは人口の一三%、GDPでは一八二〇年でも二三%をしめるにすぎなかった。マディソンの推計では、一七〇〇年の西ヨ—ロッバの一人当りGDPはアジアの約二倍になるが、ケネス•ポメランツによれば、一八世紀後半までの中国の長江下流域や日本の畿内の一人当たりGDPは西ヨーロッパと同等であったという。いずれにしても、GDPでみるかぎり、一九世紀まで世界経済の中心はアジアであって、ヨーロッパなかったことはたしかである。」(『グローバル経済史入門』杉山伸也 著 2019年7月5日 第5刷発行 岩波新書 9頁)
そして再びアジアの世紀という訳である。経済力と政治力は相関関係にある。
当然ながら、中国は〝新参者〟ではない。此れまでも大国である。
【寸評 完】
【概要】
ハンガリーのオルバン首相がアジアの台頭を予測し、欧州と西側の現状に批判的な立場を示した発言が注目されている。オルバン首相は、アジアが今後数十年から数世紀にわたって世界の主導的な中心となるだろうと述べ、その理由としてアジアの人口、技術、資本の優位性を挙げている。また、彼は西側の価値観が多くの国から拒否されていると指摘し、現代化と国家の発展が西側だけのものではないことを強調した。
さらに、オルバン首相はウクライナのEUおよびNATO加盟について、欧州諸国に十分な資金がないため実現は難しいと述べた。彼の最近の外交活動は、ロシアとウクライナの紛争を終結させるための「平和の使命」として位置づけられている。
【詳細】
オルバン首相の発言にはいくつかの重要なポイントがある。これらを詳しく解説する。
1. アジアの台頭
オルバン首相は、アジアが今後数十年から数世紀にわたって世界の主導的中心になると予測している。この見解には以下の理由が含まれている。
・人口: アジアは世界で最も人口が多い地域であり、この人口の規模が経済的・政治的な影響力に直結している。
・技術と資本: 中国、インドなどの国々が技術革新を進め、経済成長を続けていることから、アジアは経済的にも重要な役割を果たすとされている。
・制度的基盤: BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)や上海協力機構(SCO)などの国際的な枠組みが、アジアの影響力を支える制度的基盤として機能している。
オルバン首相は、アジアのこれらの要素が西側の「非理性的な」行動に対抗して、アジアの主導的な役割を強化すると述べている。
2. 西側の価値観と影響
オルバン首相は、西側の普遍的な価値観(例えば民主主義や人権)がますます多くの国から拒否されていると指摘している。これは、以下の点に関連している。
・価値観の相対化: 近年、非西側諸国が自国の独自の価値観や発展モデルを重視し、西側の価値観に依存しない道を選んでいるという見解である。
・西側の影響力の減少: 西側諸国が自らの価値観を押し付ける一方で、他の地域が独自の発展を遂げている現状を示している。
3. ウクライナのEUおよびNATO加盟
オルバン首相は、ウクライナのEUおよびNATO加盟が難しいと述べている。理由として以下の点を挙げている。
・資金不足: 欧州諸国がウクライナの加盟を支えるための十分な資金を持っていないという認識。
・実現の困難さ: ウクライナの加盟が政治的・経済的に実現可能かどうかについての懸念。
4. 外交活動と平和の使命
最近のオルバン首相の外交活動には、ロシアとウクライナの紛争を終結させるための「平和の使命」としての位置づけがされている。具体的には次の通り。
・直接的な外交: ロシアとの直接的な意思疎通を再開し、対話を促進すること。
・中国との対話: 中国との「ハイレベル対話」を通じて、紛争の平和的解決を推進すること。
これらの活動は、ハンガリーが自身の外交的役割を果たし、地域の安定を図ろうとしていることを示している。
【要点】
オルバン首相の発言に関する詳細を箇条書きで説明した。
1.アジアの台頭予測
・アジアが今後数十年から数世紀にわたり世界の主導的中心になると予測
・理由
* 人口: 世界で最も人口が多い
* 技術と資本: 中国やインドなどが経済成長と技術革新を進めている
制度的基盤: BRICSや上海協力機構(SCO)がアジアの影響力を支える
2.西側の価値観と影響
・西側の普遍的価値観(民主主義や人権)が多くの国から拒否されていると指摘
・西側の影響力が低下し、他の地域が独自の発展を遂げている
3.ウクライナのEUおよびNATO加盟
・ウクライナのEUおよびNATO加盟が難しいと断言
・理由
* 資金不足: 欧州諸国に十分な資金がない
* 実現の困難さ: 政治的・経済的な障害がある
4.外交活動と平和の使命
・ロシアとウクライナの紛争を終結させるための「平和の使命」としての外交活動
・具体的な取り組み
* ロシアとの外交: 直接的な意思疎通を再開
* 中国との対話: 「ハイレベル対話」を行い、紛争の平和的解決を推進
【引用・参照・底本】
ハンガリーのオルバン首相「将来はアジアが世界の主導的中心地となる」 CRI 2024.07.31
https://japanese.cri.cn/2024/07/31/ARTIGXOh6a33gJsiDvrHhJ3h240731.shtml?spm=C96518.PPFEiF4jxkmc.EKupmGYovmwO.5
「一八二〇年頃まではアジアが人口の七〇%弱、GDPの六〇%前後をしめていたのに対して、西ヨーロッパは人口の一三%、GDPでは一八二〇年でも二三%をしめるにすぎなかった。マディソンの推計では、一七〇〇年の西ヨ—ロッバの一人当りGDPはアジアの約二倍になるが、ケネス•ポメランツによれば、一八世紀後半までの中国の長江下流域や日本の畿内の一人当たりGDPは西ヨーロッパと同等であったという。いずれにしても、GDPでみるかぎり、一九世紀まで世界経済の中心はアジアであって、ヨーロッパなかったことはたしかである。」(『グローバル経済史入門』杉山伸也 著 2019年7月5日 第5刷発行 岩波新書 9頁)
そして再びアジアの世紀という訳である。経済力と政治力は相関関係にある。
当然ながら、中国は〝新参者〟ではない。此れまでも大国である。
【寸評 完】
【概要】
ハンガリーのオルバン首相がアジアの台頭を予測し、欧州と西側の現状に批判的な立場を示した発言が注目されている。オルバン首相は、アジアが今後数十年から数世紀にわたって世界の主導的な中心となるだろうと述べ、その理由としてアジアの人口、技術、資本の優位性を挙げている。また、彼は西側の価値観が多くの国から拒否されていると指摘し、現代化と国家の発展が西側だけのものではないことを強調した。
さらに、オルバン首相はウクライナのEUおよびNATO加盟について、欧州諸国に十分な資金がないため実現は難しいと述べた。彼の最近の外交活動は、ロシアとウクライナの紛争を終結させるための「平和の使命」として位置づけられている。
【詳細】
オルバン首相の発言にはいくつかの重要なポイントがある。これらを詳しく解説する。
1. アジアの台頭
オルバン首相は、アジアが今後数十年から数世紀にわたって世界の主導的中心になると予測している。この見解には以下の理由が含まれている。
・人口: アジアは世界で最も人口が多い地域であり、この人口の規模が経済的・政治的な影響力に直結している。
・技術と資本: 中国、インドなどの国々が技術革新を進め、経済成長を続けていることから、アジアは経済的にも重要な役割を果たすとされている。
・制度的基盤: BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)や上海協力機構(SCO)などの国際的な枠組みが、アジアの影響力を支える制度的基盤として機能している。
オルバン首相は、アジアのこれらの要素が西側の「非理性的な」行動に対抗して、アジアの主導的な役割を強化すると述べている。
2. 西側の価値観と影響
オルバン首相は、西側の普遍的な価値観(例えば民主主義や人権)がますます多くの国から拒否されていると指摘している。これは、以下の点に関連している。
・価値観の相対化: 近年、非西側諸国が自国の独自の価値観や発展モデルを重視し、西側の価値観に依存しない道を選んでいるという見解である。
・西側の影響力の減少: 西側諸国が自らの価値観を押し付ける一方で、他の地域が独自の発展を遂げている現状を示している。
3. ウクライナのEUおよびNATO加盟
オルバン首相は、ウクライナのEUおよびNATO加盟が難しいと述べている。理由として以下の点を挙げている。
・資金不足: 欧州諸国がウクライナの加盟を支えるための十分な資金を持っていないという認識。
・実現の困難さ: ウクライナの加盟が政治的・経済的に実現可能かどうかについての懸念。
4. 外交活動と平和の使命
最近のオルバン首相の外交活動には、ロシアとウクライナの紛争を終結させるための「平和の使命」としての位置づけがされている。具体的には次の通り。
・直接的な外交: ロシアとの直接的な意思疎通を再開し、対話を促進すること。
・中国との対話: 中国との「ハイレベル対話」を通じて、紛争の平和的解決を推進すること。
これらの活動は、ハンガリーが自身の外交的役割を果たし、地域の安定を図ろうとしていることを示している。
【要点】
オルバン首相の発言に関する詳細を箇条書きで説明した。
1.アジアの台頭予測
・アジアが今後数十年から数世紀にわたり世界の主導的中心になると予測
・理由
* 人口: 世界で最も人口が多い
* 技術と資本: 中国やインドなどが経済成長と技術革新を進めている
制度的基盤: BRICSや上海協力機構(SCO)がアジアの影響力を支える
2.西側の価値観と影響
・西側の普遍的価値観(民主主義や人権)が多くの国から拒否されていると指摘
・西側の影響力が低下し、他の地域が独自の発展を遂げている
3.ウクライナのEUおよびNATO加盟
・ウクライナのEUおよびNATO加盟が難しいと断言
・理由
* 資金不足: 欧州諸国に十分な資金がない
* 実現の困難さ: 政治的・経済的な障害がある
4.外交活動と平和の使命
・ロシアとウクライナの紛争を終結させるための「平和の使命」としての外交活動
・具体的な取り組み
* ロシアとの外交: 直接的な意思疎通を再開
* 中国との対話: 「ハイレベル対話」を行い、紛争の平和的解決を推進
【引用・参照・底本】
ハンガリーのオルバン首相「将来はアジアが世界の主導的中心地となる」 CRI 2024.07.31
https://japanese.cri.cn/2024/07/31/ARTIGXOh6a33gJsiDvrHhJ3h240731.shtml?spm=C96518.PPFEiF4jxkmc.EKupmGYovmwO.5