国民無視の岸田無能政権は去れ2023年11月20日 20:25

千代田の大奥 神田祭礼上覧 (千代田の大奥) 国立国会図書館デジタルコレクション
 山口二郎氏による岸田政権に対する危機的な状況に焦点を当てたコラムである。

 岸田政権の支持率低下: 直近の2〜3か月で、新聞社やテレビ局の世論調査により、岸田文雄政権の支持率が低下しており、11月の調査では支持率が20%台、不支持率が50%以上に達している。

 不祥事と政策への不信: 岸田首相は9月に大臣や副大臣を入れ替えたが、新任の副大臣や政務官が選挙違反や税金滞納などの不祥事で辞任に追い込まれている。また、政策面でも信頼や期待が得られていない。物価上昇や円安が進み、実質賃金が低下しており、若年層の支持が低い。

 国の課題: 物価高だけでなく、日本は歴史的な難問である国の衰退に直面している。今年のGDPはドイツに抜かれ、出生率も低下している。物価高は重要だが、国の衰退に対処するためには減税などの目先の策だけでは不十分。

 政権の苦境と過去のパターン: 長期政権の後に政治的混乱が起こるという過去のパターンが再現しており、長期政権が成功した後は短命な首相が続く傾向がある。安倍政権の成果はアベノミクスによるものであり、それに続く政権は新たな課題に対処する必要がある。

 岸田政権の課題と不透明な方針: 岸田首相はアベノミクスからの転換を唱えたが、具体的な政策は示されていない。物価高にもかかわらず、日本銀行は金融緩和を続けており、政府は現在の経済がインフレなのかデフレなのかを把握していないように見受けられる。安倍政権の欠点を否定できない場合、岸田政権も短命に終わる可能性がある。

 野党の分裂と政権交代の難しさ: 現在の日本では野党が分裂し、政権を担う軸となる政党が存在せず、国民の政治的不満が自民党内での首相の入れ替わりによって吸収されてしまっている。これでは政策の根本的な転換が難しいとされており、真の政策刷新のためには野党が政権交代の準備をする必要があると指摘されている。

【要点】

山口二郎氏は、このコラムで、岸田政権の危機について、その原因と今後の展望について論じている。

まず、岸田政権の支持率が低下している原因として、不祥事に加えて、政策面での信頼や期待が得られていないことを指摘している。

不祥事については、9月に大臣、副大臣、政務官を入れ替えたが、その後も、選挙違反、税金滞納などの不祥事が相次いで発覚し、政権の信用を失墜させている。

政策面については、世界的なインフレに加えて円安が進むことで、物価上昇が目立っており、賃金は上昇していないため、実質賃金は低下を続けている。また、円安は輸出企業の収益を増やし、儲けている大企業と生活苦にあえぐ労働者、年金生活者の不均衡が大きくなっている。

こうした状況を踏まえると、岸田政権の支持率は、今後も低下を続けることが予想される。

次に、岸田政権の危機は、長期政権のあとに政治的混乱が起こるという過去のパターンの再現であると指摘している。

1980年代後半の中曽根康弘政権のあと、2000年代後半の小泉純一郎政権のあと、自民党政権は続いたが、短命な首相が続いた。そして、2012年末から8年にわたって政権を担った安倍晋三首相が退陣した後、岸田首相は二人目の首相であるが、政権は危機に直面している。

長期政権のあとに短命政権が続き、政治が不安定になるというのは偶然ではない。長期政権は首相が成功したから可能になったが、政権が長期継続すれば、腐敗も起こるし、新しい課題に対して政策の変化が必要になるのであり、偉大な前任者を継承するだけでは、次の首相は成功できないからである。

安倍政権の長期化はアベノミクスと言われる経済政策の成果のおかげであったが、それは異次元金融緩和という奇策によって円安を招き、一時的に輸出企業をもうけさせた、あくまで目先の刺激策であったということである。この十年の間、日本には新しい産業は育たず、財政赤字は増加の一途です。安倍政権がつくり出したひずみが、いま顕在化しているとも言える。

岸田首相は、就任直後、アベノミクスからの転換を意図して、新しい資本主義というスローガンを唱えたが、具体的な政策はなかったということである。物価高にもかかわらず、日本銀行は金融緩和を継続すると言っている。政府は、今の日本がインフレなのかデフレなのかわかっていないようである。逆に、安倍首相がしたくてもできなかったことを実現することに、自らの存在意義を見出している。防衛費倍増、原発再稼働、憲法改正への取り組みなどがその代表例であるということである。

結局、安倍政権の欠点を否定できないのであれば、岸田政権も短命に終わるだろうと指摘している。

問題は、国民の多くが岸田首相を見放しているにもかかわらず、政権交代の機運が全く現れないことであると指摘している。

イギリスでは、保守党のスナク政権の支持が低下しており、来年の総選挙で労働党が政権交代を起こすことが確実な情勢である。日本でも、2000年代後半のポスト小泉の時期には、民主党が最大野党として存在感を持っており、政権の選択肢となり得た。今の日本では、野党が分裂し、政権を担う軸となる政党が存在しないということである。

国民の政治的不満は、結局自民党内での首相の入れ替わりによって吸収されることになるが、それでは今までの政策を根本的に転換することにはつながらないということである。真の政策刷新のためには旧来の政治を否定することが不可欠であり、そのためにはやはり野党が政権交代の準備をしなければならないであると結論づけている。

このコラムでは、岸田政権の危機について、その原因と今後の展望について、さまざまな角度から論じられている。岸田政権の今後の動向が注目される。

・不祥事による政権への信頼低下

・政策面での信頼・期待の欠如

・長期政権のあとに政治的混乱のパターンの再現

・首相が成功したから可能になった長期政権は、腐敗も起こるし、新しい課題に対して政策の変化が必要になる。

・偉大な前任者を継承するだけでは、次の首相は成功できない。

引用・参照・底本

[山口二郎コラム] 岸田政権の危機 HANKYOREH 2023.11.20

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