米国、責任のアウトソーシング2024年01月28日 21:04

国立国会図書館デジタルコレクション「踊形容外題尽 鏡池俤曽我対面の場 (踊形容外題尽)」を加工して作成
 ティムール・フォメンコが書いたこの記事は、米国が世界中で危機を引き起こす傾向があり、その解決責任を中国に転嫁しようとしているという議論を提示している。ワシントンが非難と解決の両方を中国にアウトソーシングするパターンに関与し、北京を破壊的な勢力であり、国際秩序に対する脅威として描いていると主張している。

 現在の例は、米国と英国が爆撃作戦を行っているイエメンの民兵組織アンサール・アッラー(フーシ派)が関与する紛争である。米国が紛争に直接対処するのではなく、中国に紛争解決の責任があると決めつけようとしていることを示唆している。ロシア・ウクライナ戦争にも同じ戦術が適用され、米国は、米国に有利な条件で紛争を終わらせることを中国の「責任」にしようとしたとされている。

 中国には地政学的に米国に利益をもたらす結果を確保するインセンティブがなく、ワシントンのアプローチはゼロサムの考え方によって推進されており、いかなる犠牲を払っても絶対的な戦略的利益を追求すると主張している。米国は平和のために敵対国と交渉するのではなく、敵対国が米国の意向に屈するまで圧力をかける姿勢を維持していると主張している。例えば、ウクライナ戦争に対する米国の姿勢、イラン核合意の破棄、北朝鮮との和平プロセスの破綻などが挙げられる。

 さらに、アメリカは、ガザでの戦争でイスラエルを無条件に支援した後、停戦の呼びかけを避け、フーシ派からの攻撃など、イスラエルが生み出す不安定さに厳しく対応していると仮定している。米国の戦略は、平和の欠如を中国のせいにし、そのような状況で中立を保ち、バランスを促進するための中国の実際の努力とは無関係に、北京を紛争の永続化または扇動勢力として組み立てることであると主張する。

 提示されている包括的な言説は、アメリカは、中国がアメリカの条件に従わない限り、意図的に中国を悪役で、世界平和に対する脅威として仕立て上げ、紛争を扇動し、永続させる上でアメリカが果たしているとされる役割を無視しているというものだ。この物語は地政学の複雑な現実を単純化しすぎており、紛争状況で中立を保ち、バランスを模索する努力にもかかわらず、中国を国際秩序に対する脅威として描いていると主張している。

【要点】

米国が意図的に世界中で危機を作り出し、それを解決できなかった責任を中国に押し付けていると主張している。米国は「責任のなすり合い」戦術を用いて、自らを平和の擁護者として描き、中国を破壊勢力として描いていると非難している。

アメリカが紛争を扇動:イエメンでの爆撃作戦とイスラエルのガザ攻撃への無条件支援を、アメリカが不安定な状況を作り出した例として挙げている。

米国のアウトソーシングによる非難:こうした紛争がフーシ派による海運への攻撃のような問題を引き起こすと、米国は中国がそれを止めるために介入しなかったと非難する。

米国は一方的な解決を要求する:米国が望む条件とは異なる条件での中国による和平努力は拒否されるか、有害であると決めつけられることさえある。

中国にとって勝ち目のない状況:中国が何をしようとも、中国は紛争を永続させ、可能にし、常に自国の利益に反しているように描かれる。

ゼロサム思考(註):米国は世界の安定よりも絶対的な米国の利益を優先し、真の妥協よりも圧力戦術を好むと主張している。対照的に、中国は中立を求め、イランとサウジアラビアの紛争のような紛争を調停していると描いている。

米国の外交政策を批判的に見ており、偽善と私利私欲を非難する一方で、中国はどのような行動をとっても正しく行動できない罠にはまっていると描いている。

・紛争の創出:アメリカが支援するイエメンでの爆撃作戦と、ガザでのイスラエルへの無条件支援を、紛争創出の例として挙げている。

責任のアウトソーシング:米国は、自国の行動の結果に直接対処する代わりに、中国の不作為を批判したり、米国に利益をもたらす解決策を提案したりすることで、中国を平和への障害として仕立て上げようとする。

・ゼロサム思考:米国の外交政策は、中国にとっての利益は米国にとっての損失と見なされる「勝ち負け」アプローチによって推進されていると説明されている。これにより、真の妥協と交渉が妨げられる。

・戦略的優位の維持:米国は、たとえそれが紛争を長引かせ、平和を犠牲にすることを意味するとしても、自国の戦略的目標を優先していると主張している。例えば、ウクライナでロシアに圧力をかけたり、イランや北朝鮮との交渉を拒否したりする。

・中立の立場:中国は、イランとサウジアラビアの調停の試みなど、紛争において慎重でバランスを模索しているように描かれている。

・勝ち目のない状況:その行動にかかわらず、中国は積極的に平和を阻止するか、「敵」側に利益をもたらすかのどちらかであり、それゆえに米国の言説では悪役になっている。

・自国の利益を守る:中国が自国の戦略的利益に反する米国主導の解決策に協力する可能性は低いことを示唆している。

・米国が偽善、操作、真の和平努力よりも自国の利益を優先していると批判している。板挟みになった中国は、アメリカの責任転嫁の犠牲者であり、アメリカの行動の結果のスケープゴートとして描かれている。

・米国が紛争を扇動し、中国が非難される:アメリカは、イエメンやウクライナのような場所で紛争を始めたり、エスカレートさせたりして、中国が混乱を片付けることを期待していると非難されている。これは、非難をそらし、中国を地政学的に不利な立場に追い込むための戦術と見られている。

・ゼロサムの考え方:米国は「ゼロサム」の考え方で描かれており、自分たちの利益は他国を犠牲にしなければならない。つまり、妥協や平和的解決よりも戦略的な勝利を優先するのである。

・イスラエルへの無条件の支持:ガザ紛争でイスラエルを無条件に支援し、地域の不安定を煽っているアメリカを批判している。フーシ派の攻撃は、この紛争に対する反応と見られている。

・アウトソーシングの責任:紛争が起きると、アメリカは平和の欠如を中国のせいにして、中国に責任を「アウトソーシング」しようとしていると非難される。これは、中国に米国の条件で行動させるための操作戦術と見なされている。

・中国にとって勝ち目のない状況:中国が何をしようとも、アメリカの言説は中国を問題の一部と位置付けている。彼らは積極的に平和を妨げているか、あるいは"敵"を可能にし、欧米を弱体化させているかのどちらかだ。これにより、中国は簡単には解決できない難しい立場に立たされている。

・アメリカの外交政策に批判的であり、それが平和への純粋な願望ではなく、私利私欲によって動かされていると信じている。

・彼は、中国が米国の利益に資する行動をとらないことで、米国から不当に標的にされていると見ている。

・彼は、国際紛争をより微妙に理解し、単純な「善対悪」の物語を拒絶することを求めている。

【桃源寸評】

 中国は斯様な〈盗人にも三分の理〉的戦術は放置し、正論を吐いていたのがよい。国際社会は西側の言説に縛られなくなっている。米国(西側)の狡さ(二枚舌)は国際社会が承知している。

 米国は救いようのない国である。

 中国は〈名実相伴う〉実力国へと邁進すべきである。現在西側諸国は米国に釣られて、マイナス思考の真っ只中にある。

 何れ西側は内部からの突き上げで崩壊の〈憂き身を窶す〉ことになる。

 此の記事のように米国の下心は疾うに見抜かれている。

 自滅を気長に待つもよい。

(註)
「ゼロサム思考」は、国際政治や経済などのコンテキストで使用される概念であり、一方が利益を得る場合、他方が損失を被るというゼロサムゲームのような考え方を指す。これは、資源や利益が有限であると仮定し、一方が増えると他方がそれだけ減るという図式を表している。

具体的には、ゼロサム思考は通常、競争の激しい状況や対立の中で強調される。たとえば、経済において、ある国が他の国から市場シェアを奪った場合、それはゼロサムの関係であり、一方の利益が他方の損失に直結する。同様に、国際政治の領域では、一国が地政学的な影響力を増すと他国がそれを失うというゼロサムの考え方が存在する。

ゼロサム思考は協力や共同作業に対して懐疑的な立場を取ることがある。この考え方では、他者との協力が自国の利益を損なう可能性があると見なされがちである。一方が勝つと他方が必ず負けるという前提があるため、信頼関係の構築や共同の利益を追求する姿勢が弱まることがある。

逆に、ウィンウィン思考は、相互に利益を追求し合う可能性があり、資源や利益が増減する中で、協力や共同作業によって共に利益を得ることができるという考え方である。近年では、国際協力や多国間の協定を通じて、ゼロサム思考を超えて共通の利益を追求する試みも増えている。

(註はブログ作成者が参考の為に付記した。)

引用・参照・底本 

The US creates crises around the world, then wants China to solve them RT 2024.01.08

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