西側兵器の使用制限:イタリアとNATO2024年05月26日 23:11

国立国会図書館デジタルコレクション「青楼美人合 第4冊」を加工して作成
 2024年5月26日にイタリアのタヤーニ副首相兼外相が、ウクライナへの西側兵器の供与に関するNATO事務総長の発言に反対する意見を表明したことを報じている。

 NATOのストルテンベルグ事務総長は、「同盟国はウクライナに提供した武器の使用に課した制限の一部を解除すべきか検討する時期が来た」と発言した。この発言に対し、タヤーニ副首相は、イタリアから送られた軍事装備はウクライナ国内で使用されるべきであり、ロシア領への攻撃には使われるべきではないと述べた。

 タヤーニ副首相は、「ウクライナの選択はウクライナの選択だが、我々はイタリアの兵士を一人もウクライナに派遣するつもりはなく、イタリアから送られた軍事装備はウクライナ国内で使用されるべきだ」と強調した。

 また、同じくイタリアのサルヴィーニ副首相兼インフラ交通相もタヤーニ氏の考えを支持し、「イタリアは誰とも戦争をしていないし、子どもたちには第三次世界大戦を恐れて育ってほしくない。我々は軍事支援などで当初からウクライナを支援してきたが、これらの兵器は国境の外で人を殺すのに用いられるべきではない」と述べた。

 このように、イタリア政府はNATO事務総長の提案に対して明確に反対の立場を表明しており、ウクライナへの軍事支援はあくまでウクライナ国内での使用に限るべきであるという姿勢を示している。

【視点】

背景には、ウクライナ紛争に対する各国の立場や対応の違いが反映されている。

イタリアの立場

イタリアのタヤーニ副首相兼外相とサルヴィーニ副首相兼インフラ交通相の発言からは、イタリア政府がウクライナ紛争において慎重な立場をとっていることが伺える。

国内使用の限定

タヤーニ副首相の発言:「イタリアから送られた軍事装備はウクライナ国内で使用されるべきだ」と述べ、イタリアの提供する軍事装備がロシア領内への攻撃に使用されることを望んでいないことを明確にしている。これは、イタリアがウクライナ紛争に対する支援を限定的かつ防衛的なものにとどめたいという意図を示している。

軍事介入の否定

タヤーニ副首相は「イタリアの兵士を一人もウクライナに派遣するつもりはない」と述べ、イタリアが直接的な軍事介入を避ける姿勢を明確にしている。

第三次世界大戦への懸念

サルヴィーニ副首相の発言:「イタリアは誰とも戦争をしていないし、子どもたちには第三次世界大戦を恐れて育ってほしくない」と述べている。これは、紛争の拡大やエスカレーションを防ぎたいという意識が強く、軍事支援がさらなる国際的な緊張を引き起こすことへの懸念を表明している。

NATOの立場

NATOのストルテンベルグ事務総長の発言は、ウクライナがロシアに対して効果的に防衛および反攻を行うために、提供された武器の使用制限を見直す必要があると提案するものである。

使用制限の解除

「同盟国はウクライナに提供した武器の使用に課した制限の一部を解除すべきか検討する時期が来た」との発言は、ウクライナが自衛や反撃のために、より自由に提供された武器を使用できるようにするべきだという主張である。

背景と意図

この議論の背景には、ウクライナとロシアの戦争がエスカレートする中で、西側諸国がどのように関与し、支援するかという問題がある。

戦争のエスカレーション

ウクライナがロシア領内への攻撃を行うことは、戦争のエスカレーションにつながりかねず、NATO加盟国としてはそのリスクを慎重に評価する必要がある。

防衛と攻撃の境界

防衛目的で提供された武器が、ロシア領内への攻撃に使用されることは、提供国の国内外の政治的な立場や法律に影響を与える可能性がある。

国際法と倫理的問題

国際法の観点からも、武器の使用制限は重要な議論の一環である。供与国は、武器が国際法に違反しない形で使用されることを保証する責任がある。

結論

イタリアのタヤーニ副首相とサルヴィーニ副首相の発言は、イタリアがウクライナ紛争への関与を防衛的かつ限定的なものにとどめ、戦争のエスカレーションを避けることを強調している。

これに対して、NATO事務総長の発言は、ウクライナが効果的に防衛し、反撃するために提供された武器の使用制限を見直すべきだという考えを示している。この対立は、ウクライナ紛争における各国の立場やアプローチの違いを反映している。

【要点】

1.イタリアの立場

・国内使用の限定

タヤーニ副首相:「イタリアから送られた軍事装備はウクライナ国内で使用されるべき」
イタリアの提供する軍事装備がロシア領内への攻撃に使用されることを望んでいない

・軍事介入の否定

タヤーニ副首相:「イタリアの兵士を一人もウクライナに派遣するつもりはない」
イタリアが直接的な軍事介入を避ける姿勢

・第三次世界大戦への懸念

サルヴィーニ副首相:「イタリアは誰とも戦争をしていないし、子どもたちには第三次世界大戦を恐れて育ってほしくない」
紛争の拡大やエスカレーションを防ぎたいという意識

・倫理的・人道的懸念

サルヴィーニ副首相:「軍事支援は国境の外で人を殺すのに用いられるべきではない」
武器の使用が人道的危機を引き起こすことへの懸念

2.NATOの立場

・使用制限の解除

ストルテンベルグ事務総長:「同盟国はウクライナに提供した武器の使用に課した制限の一部を解除すべきか検討する時期が来た」
ウクライナが自衛や反撃のために、より自由に提供された武器を使用できるようにする提案

3.背景と意図

・戦争のエスカレーション

ウクライナがロシア領内への攻撃を行うことが戦争のエスカレーションにつながるリスク

・防衛と攻撃の境界

防衛目的で提供された武器がロシア領内への攻撃に使用されることが、提供国の国内外の政治的立場や法律に影響を与える可能性

・国際法と倫理的問題

武器が国際法に違反しない形で使用されることを保証する供与国の責任

4.結論

・イタリアはウクライナ紛争への関与を防衛的かつ限定的なものにとどめ、戦争のエスカレーションを避けることを強調

・NATO事務総長は、ウクライナが効果的に防衛し反撃するために提供された武器の使用制限を見直すべきだと提案

・この対立は、ウクライナ紛争における各国の立場やアプローチの違いを反映

 【桃源寸評】

「ウクライナの選択はウクライナの選択だが、我々はイタリアの兵士を一人もウクライナに派遣するつもりはなく、イタリアから送られた軍事装備はウクライナ国内で使用されるべきだ」

「イタリアは誰とも戦争をしていないし、子どもたちには第三次世界大戦を恐れて育ってほしくない。我々は軍事支援などで当初からウクライナを支援してきたが、これらの兵器は国境の外で人を殺すのに用いられるべきではない」

「同盟国はウクライナに提供した武器の使用に課した制限の一部を解除すべきか検討する時期が来た。特に現在、国境近くのハリコフで多くの戦闘が起こっている。事実、ウクライナにはロシア領土内の正統な軍事目標に対し、これらの兵器を使用する能力がないので、自衛が非常に困難になっている」

(以上、引用蘭のsputnik記事より。)


引用・参照・底本

イタリア、ウクライナ軍の西側兵器によるロシア領土への攻撃に反対 sputnik 日本 2024.05.26

https://sputniknews.jp/20240526/18491410.html

NATO事務総長、西側兵器によるロシア領への攻撃許可を要求 sputnik 日本 2024.05.25

https://sputniknews.jp/20240525/nato-18485252.html

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