イラン:レバノンやガザに自国軍の派遣はない ― 2024年10月03日 18:33
【概要】
イランは2024年9月27日にイスラエルによる空爆で殺害されたレバノンのヒズボラ指導者、ハサン・ナスララ氏の死に対する報復を誓いながらも、レバノンやガザに自国の軍を派遣することはないと明言した。イラン外務省の報道官ナセル・カナニ氏は、9月30日に「イランの追加の兵力や志願兵を送る必要はない」と述べ、レバノンやパレスチナ領域の戦闘員たちが自身の防衛に十分な能力を持っていることを強調した。
これは、イスラエルが最近、シリア、イエメン、イラクを含むイランと連携する「抵抗の軸」と呼ばれる地域の武装勢力に対して空爆を続けている状況を背景にしている。イスラエルの空爆で、長年イランが武器供与や資金提供を行ってきたヒズボラの指導者、ハサン・ナスララ氏が殺害された。
カナニ氏は、イランがどの勢力からも軍の派遣要請を受けておらず、逆に現地の戦闘員たちがイランの助けを必要としていないことを示されていると説明した。しかし、カナニ氏は、イスラエルがイランの人々や軍関係者、抵抗勢力に対する「犯罪」に対して「罰を免れることはない」とも付け加えた。
また、イランのマスード・ペゼシキアン大統領は、9月30日にテヘランにあるヒズボラ事務所を訪れ、ナスララ氏への「敬意を表した」とされている。イランの最高指導者アリー・ハメネイ師は、ナスララ氏の死が「無駄にはならない」と述べており、第一副大統領モハンマド・レザ・アレフ氏も、ナスララ氏の死がイスラエルの「破壊」をもたらすと語った。
さらに、カナニ氏は、ヒズボラ指導者と共に亡くなったイスラム革命防衛隊の精鋭部隊「クッズ部隊」の高官アッバス・ニルフォルシャン司令官の死に対しても、報復が行われると誓った。
【詳細】
イランの外務省は、2024年9月30日にイスラエルとの対立が続く中、自国の軍をレバノンやガザに派遣しないことを明言した。この発表は、レバノンのヒズボラ指導者であるハサン・ナスララ氏が2024年9月27日にイスラエルの空爆によって殺害されたことを受けたものである。以下に詳細を説明する。
1. イランの声明
イランの外務省報道官、ナセル・カナニ氏は記者会見で次のように述べた。
・「追加の兵力は不要」: カナニ氏は、イランの軍や志願兵を送る必要はなく、レバノンやパレスチナ地域の戦闘員たちが自らの防衛能力を持っていると強調した。この発言は、イランの軍事的関与が増加する可能性を否定するものであった。
・「他国からの要請はない」: イランは、レバノンやパレスチナの抵抗勢力からの援助要請を受けていないとし、現地の戦闘員たちがイランの支援を必要としていないことを確認した。
2. イスラエルの軍事行動
最近のイスラエルの軍事行動は以下の通り。
・空爆の増加: イスラエルは「抵抗の軸」と呼ばれるイランと連携する武装勢力に対して、特にレバノン、シリア、イエメン、イラクでの空爆を強化している。この「抵抗の軸」には、ヒズボラをはじめとするイラン寄りの武装組織が含まれる。
・ナスララ氏の殺害: ナスララ氏の死は、イランとヒズボラの結束をさらに試すものとされている。ナスララ氏は、イランの支持を受けたレバノンの重要な軍事指導者であった。
3. イランの反応
イランの指導者たちの反応は以下のようになる。
・報復の誓い: カナニ氏は、イスラエルによる攻撃に対する報復を明言し、イスラエルが「イランの人々や軍関係者、抵抗勢力に対する犯罪」に対して罰を免れることはないと述べた。
・指導者の訪問: イランのマスード・ペゼシキアン大統領は、テヘランにあるヒズボラのオフィスを訪れ、ナスララ氏への「敬意を表した」とされている。
・最高指導者の言及: アリー・ハメネイ師は、ナスララ氏の死が「無駄にはならない」と語り、ナスララ氏の死が将来的にイスラエルに対する報復につながることを示唆した。
4. 地域の影響
・レバノンの情勢: ナスララ氏の殺害により、レバノン国内でのヒズボラの立場がどうなるかが注目されており、イランはヒズボラの自立的な戦闘能力を強調している。これにより、イラン自身の軍事的関与を制限しつつ、地域の武装勢力との連携を保つ姿勢を示している。
・イスラエルの脅威: イランはイスラエルに対して、報復を行う準備が整っていることを警告している。イスラエルの軍事行動が、さらなる地域の緊張を引き起こす可能性がある。
以上のように、イランは自国の軍を派遣することを否定しつつも、地域の武装勢力との連携を維持し、イスラエルに対する報復を誓う姿勢を明らかにしている。これは、イランの軍事戦略と地域のパワーバランスにおける重要な局面を示していると言える。
【要点】
イランの声明および関連する状況を箇条書きで説明します。
イランの声明と立場
・軍派遣の否定: イランはレバノンやガザに自国の軍を派遣しないと明言。
・外務省報道官の発言: ナセル・カナニ氏は「追加の兵力や志願兵は不要」と強調。
・現地の防衛能力: レバノンやパレスチナの戦闘員たちが自ら防衛する能力を持っていると述べる。
・要請の否定: イランは現地の勢力からの援助要請を受けていないと報告。
イスラエルの軍事行動
・空爆の増加: イスラエルが「抵抗の軸」に対する空爆を強化。
・ナスララ氏の殺害: 2024年9月27日にハサン・ナスララ氏がイスラエルの空爆で殺害される。
イランの反応
・報復の誓い: カナニ氏はイスラエルの行動に対する報復を誓う。
・最高指導者の言及: アリー・ハメネイ師はナスララ氏の死が「無駄にはならない」と発言。
・大統領の訪問: マスード・ペゼシキアン大統領がテヘランのヒズボラ事務所を訪問し、ナスララ氏に敬意を表する。
地域の影響
・ヒズボラの立場: ナスララ氏の死がヒズボラに与える影響が注目されている。
・イスラエルへの警告: イランはイスラエルに対して報復の準備が整っていると警告。
【引用・参照・底本】
Iran says will not send forces to confront Israel ARAB NEWS 2024.10.03
https://www.arabnews.com/node/2573375/middle-east
イランは2024年9月27日にイスラエルによる空爆で殺害されたレバノンのヒズボラ指導者、ハサン・ナスララ氏の死に対する報復を誓いながらも、レバノンやガザに自国の軍を派遣することはないと明言した。イラン外務省の報道官ナセル・カナニ氏は、9月30日に「イランの追加の兵力や志願兵を送る必要はない」と述べ、レバノンやパレスチナ領域の戦闘員たちが自身の防衛に十分な能力を持っていることを強調した。
これは、イスラエルが最近、シリア、イエメン、イラクを含むイランと連携する「抵抗の軸」と呼ばれる地域の武装勢力に対して空爆を続けている状況を背景にしている。イスラエルの空爆で、長年イランが武器供与や資金提供を行ってきたヒズボラの指導者、ハサン・ナスララ氏が殺害された。
カナニ氏は、イランがどの勢力からも軍の派遣要請を受けておらず、逆に現地の戦闘員たちがイランの助けを必要としていないことを示されていると説明した。しかし、カナニ氏は、イスラエルがイランの人々や軍関係者、抵抗勢力に対する「犯罪」に対して「罰を免れることはない」とも付け加えた。
また、イランのマスード・ペゼシキアン大統領は、9月30日にテヘランにあるヒズボラ事務所を訪れ、ナスララ氏への「敬意を表した」とされている。イランの最高指導者アリー・ハメネイ師は、ナスララ氏の死が「無駄にはならない」と述べており、第一副大統領モハンマド・レザ・アレフ氏も、ナスララ氏の死がイスラエルの「破壊」をもたらすと語った。
さらに、カナニ氏は、ヒズボラ指導者と共に亡くなったイスラム革命防衛隊の精鋭部隊「クッズ部隊」の高官アッバス・ニルフォルシャン司令官の死に対しても、報復が行われると誓った。
【詳細】
イランの外務省は、2024年9月30日にイスラエルとの対立が続く中、自国の軍をレバノンやガザに派遣しないことを明言した。この発表は、レバノンのヒズボラ指導者であるハサン・ナスララ氏が2024年9月27日にイスラエルの空爆によって殺害されたことを受けたものである。以下に詳細を説明する。
1. イランの声明
イランの外務省報道官、ナセル・カナニ氏は記者会見で次のように述べた。
・「追加の兵力は不要」: カナニ氏は、イランの軍や志願兵を送る必要はなく、レバノンやパレスチナ地域の戦闘員たちが自らの防衛能力を持っていると強調した。この発言は、イランの軍事的関与が増加する可能性を否定するものであった。
・「他国からの要請はない」: イランは、レバノンやパレスチナの抵抗勢力からの援助要請を受けていないとし、現地の戦闘員たちがイランの支援を必要としていないことを確認した。
2. イスラエルの軍事行動
最近のイスラエルの軍事行動は以下の通り。
・空爆の増加: イスラエルは「抵抗の軸」と呼ばれるイランと連携する武装勢力に対して、特にレバノン、シリア、イエメン、イラクでの空爆を強化している。この「抵抗の軸」には、ヒズボラをはじめとするイラン寄りの武装組織が含まれる。
・ナスララ氏の殺害: ナスララ氏の死は、イランとヒズボラの結束をさらに試すものとされている。ナスララ氏は、イランの支持を受けたレバノンの重要な軍事指導者であった。
3. イランの反応
イランの指導者たちの反応は以下のようになる。
・報復の誓い: カナニ氏は、イスラエルによる攻撃に対する報復を明言し、イスラエルが「イランの人々や軍関係者、抵抗勢力に対する犯罪」に対して罰を免れることはないと述べた。
・指導者の訪問: イランのマスード・ペゼシキアン大統領は、テヘランにあるヒズボラのオフィスを訪れ、ナスララ氏への「敬意を表した」とされている。
・最高指導者の言及: アリー・ハメネイ師は、ナスララ氏の死が「無駄にはならない」と語り、ナスララ氏の死が将来的にイスラエルに対する報復につながることを示唆した。
4. 地域の影響
・レバノンの情勢: ナスララ氏の殺害により、レバノン国内でのヒズボラの立場がどうなるかが注目されており、イランはヒズボラの自立的な戦闘能力を強調している。これにより、イラン自身の軍事的関与を制限しつつ、地域の武装勢力との連携を保つ姿勢を示している。
・イスラエルの脅威: イランはイスラエルに対して、報復を行う準備が整っていることを警告している。イスラエルの軍事行動が、さらなる地域の緊張を引き起こす可能性がある。
以上のように、イランは自国の軍を派遣することを否定しつつも、地域の武装勢力との連携を維持し、イスラエルに対する報復を誓う姿勢を明らかにしている。これは、イランの軍事戦略と地域のパワーバランスにおける重要な局面を示していると言える。
【要点】
イランの声明および関連する状況を箇条書きで説明します。
イランの声明と立場
・軍派遣の否定: イランはレバノンやガザに自国の軍を派遣しないと明言。
・外務省報道官の発言: ナセル・カナニ氏は「追加の兵力や志願兵は不要」と強調。
・現地の防衛能力: レバノンやパレスチナの戦闘員たちが自ら防衛する能力を持っていると述べる。
・要請の否定: イランは現地の勢力からの援助要請を受けていないと報告。
イスラエルの軍事行動
・空爆の増加: イスラエルが「抵抗の軸」に対する空爆を強化。
・ナスララ氏の殺害: 2024年9月27日にハサン・ナスララ氏がイスラエルの空爆で殺害される。
イランの反応
・報復の誓い: カナニ氏はイスラエルの行動に対する報復を誓う。
・最高指導者の言及: アリー・ハメネイ師はナスララ氏の死が「無駄にはならない」と発言。
・大統領の訪問: マスード・ペゼシキアン大統領がテヘランのヒズボラ事務所を訪問し、ナスララ氏に敬意を表する。
地域の影響
・ヒズボラの立場: ナスララ氏の死がヒズボラに与える影響が注目されている。
・イスラエルへの警告: イランはイスラエルに対して報復の準備が整っていると警告。
【引用・参照・底本】
Iran says will not send forces to confront Israel ARAB NEWS 2024.10.03
https://www.arabnews.com/node/2573375/middle-east
韓国側:石破首相に過度な期待を持つことは禁物 ― 2024年10月03日 19:51
【概要】
自民党総裁選挙の結果
・選挙日: 2024年9月27日、自民党の総裁選挙が行われた。
・候補者の焦点: 経済、政治環境、少子化などの国内問題が主な焦点であり、対外問題については明確な立場が示されなかった。
・韓国の反応: 韓国のメディアは、石破首相が親韓派であるとの期待感を持っている。
石破首相の立場と背景
・無派閥の地位: 石破首相は自民党内で無派閥であり、党内支持基盤が弱いとされる。
・岸田前首相との関係: 岸田文雄前首相の路線を引き継いでおり、歴史問題への謝罪や反省は期待できない。
安保政策と軍事力強化
・安保政策通としての役割: 石破首相は自民党内で「安保政策通」とされ、日本の軍事力強化を推進してきた。
・集団的自衛権の主張: 自衛隊の軍隊化やアジア版NATOの創設を提唱しているが、実現可能性は低い。
憲法改正の意向
・第9条の改正: 石破首相は憲法改正を提唱しており、自衛隊を「国防軍」と位置づけるべきだと主張。
・実現の難しさ: 憲法改正には、国会での厳しい手続きが必要であり、多くの日本国民が反対しているため、実現は難しい。
韓国の期待に対する警告
・過度な期待への警告: 韓国の人々は石破首相がキリスト教徒であり、歴史に一部反省していることから好感を持っているが、過度な期待は禁物。
・日本政府の立場: 石破首相は日本を代表する立場にあり、日本政府が歴史問題で前向きな姿勢を示すことは難しい。
今後の展望
・冷静な分析の必要性: 新首相の政治的メカニズムや政治性向を分析し、韓日関係における変化に冷静に対処することが重要である。
【詳細】
石破茂新首相に関する寄稿の内容をさらに詳しく説明したものである。
自民党総裁選挙の結果とその背景
・選挙日: 2024年9月27日、日本の自民党の総裁選挙が実施された。
・候補者の主要政策: 候補者たちは経済、政治環境、少子化など、日本国内の重要な問題を中心に議論を展開した。対外問題については具体的な方針が示されなかったため、韓国メディアは石破茂新首相を親韓派と見なしている。
・期待感の高まり: 石破新首相が過去に韓国に対して好意的な発言をしていたことから、韓国における期待感が高まっている。
石破首相の立場と内部の支持基盤
・無派閥の政治家: 石破首相は自民党内で無派閥であり、党内の支持基盤が脆弱であることが指摘されている。これにより、彼が独自の政策を強力に推進することは難しいと考えられる。
・岸田前首相の影響: 石破氏は岸田文雄前首相の路線を引き継いでおり、歴史問題に関する謝罪や反省の表明が期待できないと考えられている。これにより、自民党の従来の政策方針が継続される可能性が高い。
安保政策と日本の軍事力強化
・安保政策の専門家: 石破首相は自民党内で「安保政策通」と称されており、日本の軍事力強化に重要な役割を果たしてきた。特に、自衛隊の軍隊化や集団的自衛権の行使を強く主張している。
・アジア版NATOの提案: 防衛相時代からアジア地域での集団防衛体制の構築を提唱しており、アジア版NATOの創設を急ぐべきだと考えている。しかし、東南アジア諸国や中国に依存する国々が参加する理由は薄く、実現性が疑問視されている。
憲法改正に関する見解
・第9条の改正提案: 石破首相は憲法改正を志向しており、戦力の保有を禁止した第9条2項の削除と、自衛隊を「国防軍」と規定するべきだと主張している。これは自衛隊の役割を強化し、海外派兵を可能にするための一環である。
・実現の難易度: 憲法改正には、衆議院と参議院でそれぞれ3分の2以上の賛成を得る必要があり、その後国民投票で過半数の支持を得るという厳しい手続きが求められる。多くの日本国民が憲法改正に否定的であるため、実現可能性は極めて低いとされる。
韓国の期待に対する警告
・過度な期待への懸念: 石破首相がキリスト教徒であり、過去に韓国に対して融和的な発言をしたことから、韓国では好意的に受け止められている。しかし、彼の言動が首相としての重みを持つことに対する過度な期待は禁物であると警告されている。
・歴史問題に対する立場: 石破首相は、独島(竹島)問題について日本の領土と主張している。また、議院内閣制の日本において、首相一人で大きな影響を与えることは難しいため、歴史問題において日本政府が前向きな動きを見せることは難しいとされる。
今後の展望
・冷静な分析の必要性: 韓国側は石破首相の政治的メカニズムや政治性向を分析し、韓日関係における変化に対して冷静に対処することが重要である。過度な期待を持つことは禁物であり、現実的な視点からのアプローチが求められている。
【要点】
石破茂新首相に関する寄稿の内容を箇条書きで整理したものである。
自民党総裁選挙の結果と背景
・選挙日: 2024年9月27日、日本の自民党の総裁選挙が実施された。
・主要政策: 経済、政治環境、少子化などの国内問題が中心で、対外問題には具体的な方針が示されなかった。
・韓国メディアの見解: 石破新首相は過去の発言から親韓派と見なされ、韓日関係の改善への期待感が高まっている。
石破首相の立場と内部の支持基盤
・無派閥政治家: 石破首相は自民党内で無派閥で、支持基盤が脆弱である。
・岸田前首相の影響: 岸田文雄前首相の路線を引き継ぎ、歴史問題に関する謝罪は期待できない。
安保政策と日本の軍事力強化
・安保政策の専門家: 石破首相は自衛隊の軍隊化や集団的自衛権の行使を強く主張している。
・アジア版NATOの提案: アジア地域での集団防衛体制の構築を提唱しているが、実現性には疑問がある。
憲法改正に関する見解
・第9条の改正提案: 戦力の保有を禁止した第9条2項を削除し、自衛隊を「国防軍」とすることを主張。
・実現の難易度: 憲法改正には厳しい手続きが必要で、多くの国民が否定的であるため、実現可能性は低い。
韓国の期待に対する警告
・過度な期待への懸念: 韓国側が石破首相に好意的に受け止めているが、過度な期待は禁物であると警告。
・歴史問題に対する立場: 石破首相は独島(竹島)問題について日本の領土と主張しており、首相一人で大きな影響を与えることは難しい。
今後の展望
・冷静な分析の必要性: 韓日関係における変化を冷静に分析し、過度な期待を持つことは避けるべきである。
【引用・参照・底本】
石破新首相に過度な期待は禁物【寄稿】 HANKYOREH 2024.10.03
https://japan.hani.co.kr/arti/opinion/51255.html
自民党総裁選挙の結果
・選挙日: 2024年9月27日、自民党の総裁選挙が行われた。
・候補者の焦点: 経済、政治環境、少子化などの国内問題が主な焦点であり、対外問題については明確な立場が示されなかった。
・韓国の反応: 韓国のメディアは、石破首相が親韓派であるとの期待感を持っている。
石破首相の立場と背景
・無派閥の地位: 石破首相は自民党内で無派閥であり、党内支持基盤が弱いとされる。
・岸田前首相との関係: 岸田文雄前首相の路線を引き継いでおり、歴史問題への謝罪や反省は期待できない。
安保政策と軍事力強化
・安保政策通としての役割: 石破首相は自民党内で「安保政策通」とされ、日本の軍事力強化を推進してきた。
・集団的自衛権の主張: 自衛隊の軍隊化やアジア版NATOの創設を提唱しているが、実現可能性は低い。
憲法改正の意向
・第9条の改正: 石破首相は憲法改正を提唱しており、自衛隊を「国防軍」と位置づけるべきだと主張。
・実現の難しさ: 憲法改正には、国会での厳しい手続きが必要であり、多くの日本国民が反対しているため、実現は難しい。
韓国の期待に対する警告
・過度な期待への警告: 韓国の人々は石破首相がキリスト教徒であり、歴史に一部反省していることから好感を持っているが、過度な期待は禁物。
・日本政府の立場: 石破首相は日本を代表する立場にあり、日本政府が歴史問題で前向きな姿勢を示すことは難しい。
今後の展望
・冷静な分析の必要性: 新首相の政治的メカニズムや政治性向を分析し、韓日関係における変化に冷静に対処することが重要である。
【詳細】
石破茂新首相に関する寄稿の内容をさらに詳しく説明したものである。
自民党総裁選挙の結果とその背景
・選挙日: 2024年9月27日、日本の自民党の総裁選挙が実施された。
・候補者の主要政策: 候補者たちは経済、政治環境、少子化など、日本国内の重要な問題を中心に議論を展開した。対外問題については具体的な方針が示されなかったため、韓国メディアは石破茂新首相を親韓派と見なしている。
・期待感の高まり: 石破新首相が過去に韓国に対して好意的な発言をしていたことから、韓国における期待感が高まっている。
石破首相の立場と内部の支持基盤
・無派閥の政治家: 石破首相は自民党内で無派閥であり、党内の支持基盤が脆弱であることが指摘されている。これにより、彼が独自の政策を強力に推進することは難しいと考えられる。
・岸田前首相の影響: 石破氏は岸田文雄前首相の路線を引き継いでおり、歴史問題に関する謝罪や反省の表明が期待できないと考えられている。これにより、自民党の従来の政策方針が継続される可能性が高い。
安保政策と日本の軍事力強化
・安保政策の専門家: 石破首相は自民党内で「安保政策通」と称されており、日本の軍事力強化に重要な役割を果たしてきた。特に、自衛隊の軍隊化や集団的自衛権の行使を強く主張している。
・アジア版NATOの提案: 防衛相時代からアジア地域での集団防衛体制の構築を提唱しており、アジア版NATOの創設を急ぐべきだと考えている。しかし、東南アジア諸国や中国に依存する国々が参加する理由は薄く、実現性が疑問視されている。
憲法改正に関する見解
・第9条の改正提案: 石破首相は憲法改正を志向しており、戦力の保有を禁止した第9条2項の削除と、自衛隊を「国防軍」と規定するべきだと主張している。これは自衛隊の役割を強化し、海外派兵を可能にするための一環である。
・実現の難易度: 憲法改正には、衆議院と参議院でそれぞれ3分の2以上の賛成を得る必要があり、その後国民投票で過半数の支持を得るという厳しい手続きが求められる。多くの日本国民が憲法改正に否定的であるため、実現可能性は極めて低いとされる。
韓国の期待に対する警告
・過度な期待への懸念: 石破首相がキリスト教徒であり、過去に韓国に対して融和的な発言をしたことから、韓国では好意的に受け止められている。しかし、彼の言動が首相としての重みを持つことに対する過度な期待は禁物であると警告されている。
・歴史問題に対する立場: 石破首相は、独島(竹島)問題について日本の領土と主張している。また、議院内閣制の日本において、首相一人で大きな影響を与えることは難しいため、歴史問題において日本政府が前向きな動きを見せることは難しいとされる。
今後の展望
・冷静な分析の必要性: 韓国側は石破首相の政治的メカニズムや政治性向を分析し、韓日関係における変化に対して冷静に対処することが重要である。過度な期待を持つことは禁物であり、現実的な視点からのアプローチが求められている。
【要点】
石破茂新首相に関する寄稿の内容を箇条書きで整理したものである。
自民党総裁選挙の結果と背景
・選挙日: 2024年9月27日、日本の自民党の総裁選挙が実施された。
・主要政策: 経済、政治環境、少子化などの国内問題が中心で、対外問題には具体的な方針が示されなかった。
・韓国メディアの見解: 石破新首相は過去の発言から親韓派と見なされ、韓日関係の改善への期待感が高まっている。
石破首相の立場と内部の支持基盤
・無派閥政治家: 石破首相は自民党内で無派閥で、支持基盤が脆弱である。
・岸田前首相の影響: 岸田文雄前首相の路線を引き継ぎ、歴史問題に関する謝罪は期待できない。
安保政策と日本の軍事力強化
・安保政策の専門家: 石破首相は自衛隊の軍隊化や集団的自衛権の行使を強く主張している。
・アジア版NATOの提案: アジア地域での集団防衛体制の構築を提唱しているが、実現性には疑問がある。
憲法改正に関する見解
・第9条の改正提案: 戦力の保有を禁止した第9条2項を削除し、自衛隊を「国防軍」とすることを主張。
・実現の難易度: 憲法改正には厳しい手続きが必要で、多くの国民が否定的であるため、実現可能性は低い。
韓国の期待に対する警告
・過度な期待への懸念: 韓国側が石破首相に好意的に受け止めているが、過度な期待は禁物であると警告。
・歴史問題に対する立場: 石破首相は独島(竹島)問題について日本の領土と主張しており、首相一人で大きな影響を与えることは難しい。
今後の展望
・冷静な分析の必要性: 韓日関係における変化を冷静に分析し、過度な期待を持つことは避けるべきである。
【引用・参照・底本】
石破新首相に過度な期待は禁物【寄稿】 HANKYOREH 2024.10.03
https://japan.hani.co.kr/arti/opinion/51255.html
尹錫悦大統領・石破茂首相:初の電話会談 ― 2024年10月03日 21:54
【概要】
2024年10月2日、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は日本の石破茂首相と初の電話会談を行った。この会談では、北朝鮮の挑発が続く中、韓国と日本、さらには韓米日の緊密な連携が必要であるという認識で一致した。
会談は午後3時15分から15分間行われ、尹大統領は石破首相の就任を祝福した。石破首相は10月1日に日本の第102代首相に就任したばかりである。尹大統領は、韓日両国が価値観と利益を共有する重要な隣国であると強調し、今後も両国の協力を深めるために緊密なコミュニケーションを続けていくことを呼びかけた。
石破首相は尹大統領のリーダーシップを高く評価し、両国関係の発展に向けた連携を希望すると述べた。両首脳は、2025年に韓日国交正常化60年を迎えることを踏まえ、関係がさらなる進展を遂げる良い機会になるとの期待を示した。また、両国民が実感できる成果を引き続き探求することにも合意した。
さらに、北朝鮮の人権問題に関連して、日本人拉致被害者や韓国人拉致被害者、抑留者、国軍捕虜問題についても協力していくことが確認された。両首脳はシャトル外交を続け、できるだけ早期に対話を持つことで合意した。具体的には、10月から11月にかけて予定されているASEAN首脳会議やアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議などでの初の首脳会談の可能性についても言及された。
【詳細】
2024年10月2日に行われた尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と日本の石破茂首相との初の電話会談は、両国間の重要な外交的なコミュニケーションを示している。以下に会談の詳細を述べる。
1. 会談の背景
・北朝鮮の挑発: 会談は、北朝鮮による挑発行為が続く中で行われ、両国の安全保障上の懸念が高まっている。この状況に対し、韓国と日本、さらには米国との連携が不可欠であるとの認識が共有された。
2. 会談の内容
・会談の時間と形式: 会談は午後3時15分から約15分間行われ、初めての電話でのやり取りとなった。尹大統領は、石破首相の新たな就任を祝意を表した。
・相互の評価と期待
⇨ 尹大統領の発言: 韓日両国は「価値と利益を共有する重要な隣国であり、パートナーである」と述べ、今後も緊密なコミュニケーションを通じて協力を深めることを呼びかけた。
⇨ 石破首相の応答: 石破首相は、尹大統領のリーダーシップを高く評価し、今後の連携強化の意向を示した。
3. 未来の展望
・国交正常化60年: 来年は韓日国交正常化から60年を迎える。この機会を利用し、両国の関係をさらに発展させる良い機会になると両首脳は考えている。具体的には、両国民が実感できる成果を探求していくことに一致した。
・人権問題: 会談では、北朝鮮による人権問題についても意見が一致した。特に、日本人拉致被害者や韓国人の拉致被害者、抑留者、国軍捕虜問題に関して、両国が協力していく方針を確認した。
4. 今後の外交活動
・シャトル外交の継続: 尹大統領と石破首相は、今後もシャトル外交を続けることに合意した。これにより、できるだけ早期に対話を持ち、両国の関係を強化していく方針である。
・国際会議での初会談: 10月から11月にかけて開催されるASEAN首脳会議やアジア太平洋経済協力会議(APEC)での初の首脳会談の可能性も示唆されている。これにより、両国のリーダーが直接対面での意見交換を行う機会が期待されている。
この会談は、尹大統領と石破首相が韓日関係の改善を目指す意向を強く示しており、地域の安全保障環境を考慮した重要なステップであるといえる。
【要点】
・会談の日時: 2024年10月2日、尹錫悦大統領と石破茂首相が初の電話会談を実施。
・背景: 北朝鮮の挑発が続く中で、韓日、韓米日の連携が重要であるとの認識が共有。
・会談の目的: 石破首相の就任を祝うとともに、両国間の協力を強化することを目指す。
・尹大統領の発言
⇨ 韓日両国は価値と利益を共有する重要な隣国である。
⇨ 今後も緊密にコミュニケーションを図り、協力を深めていく必要がある。
・石破首相の応答
⇨ 尹大統領のリーダーシップを評価。
⇨ 両国関係の発展に向けた連携を希望。
・国交正常化60年: 来年2025年に国交正常化60年を迎えることを機に、関係のさらなる発展が期待される。
・人権問題
⇨ 北朝鮮による拉致問題や抑留者問題についての協力を確認。
⇨ 日本人拉致被害者と韓国人拉致被害者の問題に共同で取り組む意向。
・今後の外交活動
⇨ シャトル外交を継続し、できるだけ早期に対話を持つことで合意。
⇨ 10月から11月のASEAN首脳会議やAPECで初の首脳会談の可能性を探る。
【引用・参照・底本】
尹大統領と石破首相、初の電話会談…「北朝鮮の挑発に韓日、韓米日が連携して対応」 HANKYOREH 2024.10.03
https://japan.hani.co.kr/arti/politics/51259.html
2024年10月2日、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は日本の石破茂首相と初の電話会談を行った。この会談では、北朝鮮の挑発が続く中、韓国と日本、さらには韓米日の緊密な連携が必要であるという認識で一致した。
会談は午後3時15分から15分間行われ、尹大統領は石破首相の就任を祝福した。石破首相は10月1日に日本の第102代首相に就任したばかりである。尹大統領は、韓日両国が価値観と利益を共有する重要な隣国であると強調し、今後も両国の協力を深めるために緊密なコミュニケーションを続けていくことを呼びかけた。
石破首相は尹大統領のリーダーシップを高く評価し、両国関係の発展に向けた連携を希望すると述べた。両首脳は、2025年に韓日国交正常化60年を迎えることを踏まえ、関係がさらなる進展を遂げる良い機会になるとの期待を示した。また、両国民が実感できる成果を引き続き探求することにも合意した。
さらに、北朝鮮の人権問題に関連して、日本人拉致被害者や韓国人拉致被害者、抑留者、国軍捕虜問題についても協力していくことが確認された。両首脳はシャトル外交を続け、できるだけ早期に対話を持つことで合意した。具体的には、10月から11月にかけて予定されているASEAN首脳会議やアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議などでの初の首脳会談の可能性についても言及された。
【詳細】
2024年10月2日に行われた尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と日本の石破茂首相との初の電話会談は、両国間の重要な外交的なコミュニケーションを示している。以下に会談の詳細を述べる。
1. 会談の背景
・北朝鮮の挑発: 会談は、北朝鮮による挑発行為が続く中で行われ、両国の安全保障上の懸念が高まっている。この状況に対し、韓国と日本、さらには米国との連携が不可欠であるとの認識が共有された。
2. 会談の内容
・会談の時間と形式: 会談は午後3時15分から約15分間行われ、初めての電話でのやり取りとなった。尹大統領は、石破首相の新たな就任を祝意を表した。
・相互の評価と期待
⇨ 尹大統領の発言: 韓日両国は「価値と利益を共有する重要な隣国であり、パートナーである」と述べ、今後も緊密なコミュニケーションを通じて協力を深めることを呼びかけた。
⇨ 石破首相の応答: 石破首相は、尹大統領のリーダーシップを高く評価し、今後の連携強化の意向を示した。
3. 未来の展望
・国交正常化60年: 来年は韓日国交正常化から60年を迎える。この機会を利用し、両国の関係をさらに発展させる良い機会になると両首脳は考えている。具体的には、両国民が実感できる成果を探求していくことに一致した。
・人権問題: 会談では、北朝鮮による人権問題についても意見が一致した。特に、日本人拉致被害者や韓国人の拉致被害者、抑留者、国軍捕虜問題に関して、両国が協力していく方針を確認した。
4. 今後の外交活動
・シャトル外交の継続: 尹大統領と石破首相は、今後もシャトル外交を続けることに合意した。これにより、できるだけ早期に対話を持ち、両国の関係を強化していく方針である。
・国際会議での初会談: 10月から11月にかけて開催されるASEAN首脳会議やアジア太平洋経済協力会議(APEC)での初の首脳会談の可能性も示唆されている。これにより、両国のリーダーが直接対面での意見交換を行う機会が期待されている。
この会談は、尹大統領と石破首相が韓日関係の改善を目指す意向を強く示しており、地域の安全保障環境を考慮した重要なステップであるといえる。
【要点】
・会談の日時: 2024年10月2日、尹錫悦大統領と石破茂首相が初の電話会談を実施。
・背景: 北朝鮮の挑発が続く中で、韓日、韓米日の連携が重要であるとの認識が共有。
・会談の目的: 石破首相の就任を祝うとともに、両国間の協力を強化することを目指す。
・尹大統領の発言
⇨ 韓日両国は価値と利益を共有する重要な隣国である。
⇨ 今後も緊密にコミュニケーションを図り、協力を深めていく必要がある。
・石破首相の応答
⇨ 尹大統領のリーダーシップを評価。
⇨ 両国関係の発展に向けた連携を希望。
・国交正常化60年: 来年2025年に国交正常化60年を迎えることを機に、関係のさらなる発展が期待される。
・人権問題
⇨ 北朝鮮による拉致問題や抑留者問題についての協力を確認。
⇨ 日本人拉致被害者と韓国人拉致被害者の問題に共同で取り組む意向。
・今後の外交活動
⇨ シャトル外交を継続し、できるだけ早期に対話を持つことで合意。
⇨ 10月から11月のASEAN首脳会議やAPECで初の首脳会談の可能性を探る。
【引用・参照・底本】
尹大統領と石破首相、初の電話会談…「北朝鮮の挑発に韓日、韓米日が連携して対応」 HANKYOREH 2024.10.03
https://japan.hani.co.kr/arti/politics/51259.html
中国、イラン、パキスタン、ロシアの4か国:タリバンへの不満 ― 2024年10月03日 22:33
【概要】
中国、イラン、パキスタン、ロシアの4か国が、アフガニスタンのタリバンに対してますます不満を示していることが説明されている。特に、これらの国々は、タリバンがアフガニスタン内で国際的なテロ組織と十分に戦っていないと批判している。
2024年9月の国連総会の際に開催された第3回四者会合では、共同声明が発表され、タリバンに対して次のことを強調した。
・すべてのテロ組織に対して「差別なく」対処すること
・アフガニスタンの領土が隣国や地域、さらにはそれを超えた場所に対して利用されないようにすること
この声明は、タリバンが特定のテロ組織(例えばISIS-K)に対しては対処している一方で、他の組織(TTPやBLA)については放置している可能性があることを示唆している。これらの組織がパキスタンに対して使用されている可能性があり、パキスタンはタリバンがこれらの組織を支持していると疑っていることも述べられている。
さらに、声明にはタリバンに対して以下の要請が含まれている。
・民族的・政治的に包摂的な政府を樹立すること
・イランやパキスタンからの難民の帰還を促進する条件を整えること
・女性に対する政策の再考を求めること
また、声明の中では、アフガニスタンの苦境についてNATOに責任を問う内容も含まれていたが、記事は、テロ組織に対するタリバンの対応に関する部分が最も重要であると指摘している。
これらの国々がタリバンとの関係に不満を抱いていることを示しているが、パキスタン以外の3国はタリバンとの関係を悪化させたくない理由があり、タリバンに対する具体的な行動をとる可能性は低いと説明している。そのため、これらの国々がタリバンを批判する一方で、パキスタンが自国の安全保障を守るために軍事手段を取る可能性についても理解を示していることが示唆されている。
結論として、4か国がタリバンに対する不満を表明しているが、それは象徴的な声明にとどまる可能性が高く、特にパキスタンが必要と判断した場合には、独自の軍事行動を取る可能性があると述べている。
【詳細】
中国、イラン、パキスタン、ロシアの4か国が、タリバンの統治に対してますます不満を強めていることが詳述されている。その中心的な問題は、タリバンがアフガニスタン国内で活動する国際的なテロ組織に対して十分な対策を講じていないことである。
背景と会合の詳細
2024年9月、国連総会(UNGA)の期間中に、中国、イラン、パキスタン、ロシアの外相が第3回四者会合を開催し、アフガニスタンに関する共同声明を発表した。この声明は、特にテロ問題に焦点を当てており、タリバンに対して強い批判を含む内容であった。4か国が連携してタリバンを批判するのは異例であり、各国のタリバンに対する不満が深刻化していることを示唆している。
テロ組織への対処に関する批判
共同声明では、タリバンが特定のテロ組織(例:ISIS-K)に対しては積極的に対処している一方で、他のテロ組織に対しては十分な対応をしていないことが指摘された。声明には「すべてのテロ組織を差別なく取り締まるべきだ」という強い表現が含まれており、タリバンが特定の組織を放置、あるいは利用している可能性が示唆されている。
特にパキスタンが問題視しているのは、TTP(パキスタン・タリバン運動)やBLA(バローチスタン解放軍)といったテロ組織が、アフガニスタン国内に拠点を持ち、パキスタンに対して活動しているとされる点である。これらの組織がタリバンによって支援されている、あるいは黙認されている可能性があるため、パキスタンは特に敏感になっている。パキスタンの有力紙「Express Tribune」も、共同声明にこれらの言及が含まれたことを「大きな外交的勝利」と評価している。
タリバンの統治に対するさらなる要請
タリバンに対する批判はテロ組織への対処だけにとどまらない。声明では、タリバンが長い間約束していた包摂的な政府の形成が未だに実現していない点にも言及している。これは、タリバン政権が現在も特定の民族や政治的勢力に偏った統治を行っていることに対する懸念を表している。また、タリバンはイランやパキスタンに逃れているアフガニスタン難民の帰還を促進するための条件を整えること、さらに女性に対する厳格な政策の再考を求められている。
ナトー(NATO)への非難
声明には、アフガニスタンの現在の状況を引き起こした要因としてNATOの責任を問う部分も含まれている。タリバンは米軍撤退後に政権を掌握したが、その後の国際的支援が不足していることがアフガニスタンの経済的・安全保障的な困難を助長しているという見解が暗に示されている。このNATOへの非難は、アフガニスタンの状況がタリバン単独の責任ではないという文脈を強調している。
各国の立場と利害関係
中心となるのは、タリバンへの不満が増大しているものの、パキスタンを除く中国、イラン、ロシアの3か国は、それぞれの理由からタリバンとの関係を悪化させたくないという点である。これらの国々には、タリバンとの関係を維持するための明確な利害関係がある。
・中国は、アフガニスタンが一帯一路構想(BRI)の重要な部分である中パ経済回廊(CPEC)に関連する安全保障を重視しており、パキスタンが国内の安定を保つことを望んでいる。
・イランは、タリバンの支援を受けたテロ組織がバローチスタンで活動し、自国の領土に影響を及ぼすことを懸念している。
・ロシアは、アフガニスタンでの安定が投資の増加につながる可能性があるため、安定した環境を望んでいる。
このように、各国はタリバンに対して批判的な立場を示しつつも、経済的・戦略的な利益を考慮して直接的な対立を避けていることがうかがえる。
パキスタンの対応と今後の展望
一方で、パキスタンはタリバンが支援するテロ組織の脅威に直面しているため、より具体的な行動を取る可能性が高い。共同声明で他の3国がタリバンを非難しつつも、パキスタンの軍事行動に対して政治的に反対しないことが暗に示されているため、パキスタンが自国の安全保障を守るために越境軍事行動を行う可能性も考えられる。
ただし、4か国の批判が主に象徴的な声明であり、実際の軍事・政治的な行動につながるかは不透明であると述べている。つまり、タリバンに対する不満は高まっているものの、それが実際に各国の外交政策に大きな変化をもたらすかは不確定であり、特にパキスタンを除く国々は、タリバンとの経済的・戦略的関係を優先させる可能性が高いとされている。
結論
タリバンに対する4か国の不満が顕在化している一方で、特に中国、イラン、ロシアはタリバンとの関係を維持するための理由を持っているため、批判が具体的な行動に発展する可能性は低いと結論づけている。しかし、パキスタンは自国の安全保障に関わる問題であるため、必要に応じて軍事行動を取る可能性があり、その際には他の3国も理解を示す可能性があるとしている。
【要点】
・中国、イラン、パキスタン、ロシアの不満: これら4か国は、タリバンがアフガニスタン内で国際テロ組織に十分な対策を取っていないことに不満を示している。
・共同声明の内容: 国連総会の際に発表された共同声明では、タリバンに対してすべてのテロ組織を差別なく取り締まるよう求め、特にTTPやBLAなどの組織が問題視された。
・パキスタンの懸念: パキスタンは、タリバンがTTPやBLAを支持していると疑っており、これらの組織がアフガニスタン国内からパキスタンに対する攻撃を行っていると考えている。
・他の要請: タリバンに対して、包摂的な政府の樹立、難民の帰還条件の整備、女性政策の再考を求める要請も含まれていた。
・NATOへの非難: 声明はアフガニスタンの現在の状況についてNATOに責任を問う内容も含まれており、NATO撤退後の混乱に触れている。
・各国の利害関係:
⇨ 中国: 一帯一路の中パ経済回廊(CPEC)の安全確保のため、パキスタンの安定を重視。
⇨ イラン: バローチスタンでのテロ活動が自国に影響を及ぼすことを懸念。
⇨ ロシア: アフガニスタンの安定を望み、投資の機会を見据えている。
⇨ パキスタンの軍事行動の可能性: パキスタンは、タリバンに支援されるテロ組織に対処するため、越境軍事行動を取る可能性が高いとされる。
・象徴的な声明: 共同声明は象徴的なものであり、実際の行動に結びつくかは不透明。特に中国、イラン、ロシアはタリバンとの関係維持を優先する可能性が高い。
・パキスタンの行動への理解: パキスタンが必要に応じて軍事行動を取った場合、他の3国はこれに反対しない立場を示す可能性がある。
【引用・参照・底本】
China, Iran, Pakistan, And Russia Are Increasingly Displeased With The Afghan Taliban Andrew Korybko's Newsletter 2024.10.02
https://korybko.substack.com/p/china-iran-pakistan-and-russia-are?utm_source=post-email-title&publication_id=835783&post_id=149696381&utm_campaign=email-post-title&isFreemail=true&r=2gkj&triedRedirect=true&utm_medium=email
中国、イラン、パキスタン、ロシアの4か国が、アフガニスタンのタリバンに対してますます不満を示していることが説明されている。特に、これらの国々は、タリバンがアフガニスタン内で国際的なテロ組織と十分に戦っていないと批判している。
2024年9月の国連総会の際に開催された第3回四者会合では、共同声明が発表され、タリバンに対して次のことを強調した。
・すべてのテロ組織に対して「差別なく」対処すること
・アフガニスタンの領土が隣国や地域、さらにはそれを超えた場所に対して利用されないようにすること
この声明は、タリバンが特定のテロ組織(例えばISIS-K)に対しては対処している一方で、他の組織(TTPやBLA)については放置している可能性があることを示唆している。これらの組織がパキスタンに対して使用されている可能性があり、パキスタンはタリバンがこれらの組織を支持していると疑っていることも述べられている。
さらに、声明にはタリバンに対して以下の要請が含まれている。
・民族的・政治的に包摂的な政府を樹立すること
・イランやパキスタンからの難民の帰還を促進する条件を整えること
・女性に対する政策の再考を求めること
また、声明の中では、アフガニスタンの苦境についてNATOに責任を問う内容も含まれていたが、記事は、テロ組織に対するタリバンの対応に関する部分が最も重要であると指摘している。
これらの国々がタリバンとの関係に不満を抱いていることを示しているが、パキスタン以外の3国はタリバンとの関係を悪化させたくない理由があり、タリバンに対する具体的な行動をとる可能性は低いと説明している。そのため、これらの国々がタリバンを批判する一方で、パキスタンが自国の安全保障を守るために軍事手段を取る可能性についても理解を示していることが示唆されている。
結論として、4か国がタリバンに対する不満を表明しているが、それは象徴的な声明にとどまる可能性が高く、特にパキスタンが必要と判断した場合には、独自の軍事行動を取る可能性があると述べている。
【詳細】
中国、イラン、パキスタン、ロシアの4か国が、タリバンの統治に対してますます不満を強めていることが詳述されている。その中心的な問題は、タリバンがアフガニスタン国内で活動する国際的なテロ組織に対して十分な対策を講じていないことである。
背景と会合の詳細
2024年9月、国連総会(UNGA)の期間中に、中国、イラン、パキスタン、ロシアの外相が第3回四者会合を開催し、アフガニスタンに関する共同声明を発表した。この声明は、特にテロ問題に焦点を当てており、タリバンに対して強い批判を含む内容であった。4か国が連携してタリバンを批判するのは異例であり、各国のタリバンに対する不満が深刻化していることを示唆している。
テロ組織への対処に関する批判
共同声明では、タリバンが特定のテロ組織(例:ISIS-K)に対しては積極的に対処している一方で、他のテロ組織に対しては十分な対応をしていないことが指摘された。声明には「すべてのテロ組織を差別なく取り締まるべきだ」という強い表現が含まれており、タリバンが特定の組織を放置、あるいは利用している可能性が示唆されている。
特にパキスタンが問題視しているのは、TTP(パキスタン・タリバン運動)やBLA(バローチスタン解放軍)といったテロ組織が、アフガニスタン国内に拠点を持ち、パキスタンに対して活動しているとされる点である。これらの組織がタリバンによって支援されている、あるいは黙認されている可能性があるため、パキスタンは特に敏感になっている。パキスタンの有力紙「Express Tribune」も、共同声明にこれらの言及が含まれたことを「大きな外交的勝利」と評価している。
タリバンの統治に対するさらなる要請
タリバンに対する批判はテロ組織への対処だけにとどまらない。声明では、タリバンが長い間約束していた包摂的な政府の形成が未だに実現していない点にも言及している。これは、タリバン政権が現在も特定の民族や政治的勢力に偏った統治を行っていることに対する懸念を表している。また、タリバンはイランやパキスタンに逃れているアフガニスタン難民の帰還を促進するための条件を整えること、さらに女性に対する厳格な政策の再考を求められている。
ナトー(NATO)への非難
声明には、アフガニスタンの現在の状況を引き起こした要因としてNATOの責任を問う部分も含まれている。タリバンは米軍撤退後に政権を掌握したが、その後の国際的支援が不足していることがアフガニスタンの経済的・安全保障的な困難を助長しているという見解が暗に示されている。このNATOへの非難は、アフガニスタンの状況がタリバン単独の責任ではないという文脈を強調している。
各国の立場と利害関係
中心となるのは、タリバンへの不満が増大しているものの、パキスタンを除く中国、イラン、ロシアの3か国は、それぞれの理由からタリバンとの関係を悪化させたくないという点である。これらの国々には、タリバンとの関係を維持するための明確な利害関係がある。
・中国は、アフガニスタンが一帯一路構想(BRI)の重要な部分である中パ経済回廊(CPEC)に関連する安全保障を重視しており、パキスタンが国内の安定を保つことを望んでいる。
・イランは、タリバンの支援を受けたテロ組織がバローチスタンで活動し、自国の領土に影響を及ぼすことを懸念している。
・ロシアは、アフガニスタンでの安定が投資の増加につながる可能性があるため、安定した環境を望んでいる。
このように、各国はタリバンに対して批判的な立場を示しつつも、経済的・戦略的な利益を考慮して直接的な対立を避けていることがうかがえる。
パキスタンの対応と今後の展望
一方で、パキスタンはタリバンが支援するテロ組織の脅威に直面しているため、より具体的な行動を取る可能性が高い。共同声明で他の3国がタリバンを非難しつつも、パキスタンの軍事行動に対して政治的に反対しないことが暗に示されているため、パキスタンが自国の安全保障を守るために越境軍事行動を行う可能性も考えられる。
ただし、4か国の批判が主に象徴的な声明であり、実際の軍事・政治的な行動につながるかは不透明であると述べている。つまり、タリバンに対する不満は高まっているものの、それが実際に各国の外交政策に大きな変化をもたらすかは不確定であり、特にパキスタンを除く国々は、タリバンとの経済的・戦略的関係を優先させる可能性が高いとされている。
結論
タリバンに対する4か国の不満が顕在化している一方で、特に中国、イラン、ロシアはタリバンとの関係を維持するための理由を持っているため、批判が具体的な行動に発展する可能性は低いと結論づけている。しかし、パキスタンは自国の安全保障に関わる問題であるため、必要に応じて軍事行動を取る可能性があり、その際には他の3国も理解を示す可能性があるとしている。
【要点】
・中国、イラン、パキスタン、ロシアの不満: これら4か国は、タリバンがアフガニスタン内で国際テロ組織に十分な対策を取っていないことに不満を示している。
・共同声明の内容: 国連総会の際に発表された共同声明では、タリバンに対してすべてのテロ組織を差別なく取り締まるよう求め、特にTTPやBLAなどの組織が問題視された。
・パキスタンの懸念: パキスタンは、タリバンがTTPやBLAを支持していると疑っており、これらの組織がアフガニスタン国内からパキスタンに対する攻撃を行っていると考えている。
・他の要請: タリバンに対して、包摂的な政府の樹立、難民の帰還条件の整備、女性政策の再考を求める要請も含まれていた。
・NATOへの非難: 声明はアフガニスタンの現在の状況についてNATOに責任を問う内容も含まれており、NATO撤退後の混乱に触れている。
・各国の利害関係:
⇨ 中国: 一帯一路の中パ経済回廊(CPEC)の安全確保のため、パキスタンの安定を重視。
⇨ イラン: バローチスタンでのテロ活動が自国に影響を及ぼすことを懸念。
⇨ ロシア: アフガニスタンの安定を望み、投資の機会を見据えている。
⇨ パキスタンの軍事行動の可能性: パキスタンは、タリバンに支援されるテロ組織に対処するため、越境軍事行動を取る可能性が高いとされる。
・象徴的な声明: 共同声明は象徴的なものであり、実際の行動に結びつくかは不透明。特に中国、イラン、ロシアはタリバンとの関係維持を優先する可能性が高い。
・パキスタンの行動への理解: パキスタンが必要に応じて軍事行動を取った場合、他の3国はこれに反対しない立場を示す可能性がある。
【引用・参照・底本】
China, Iran, Pakistan, And Russia Are Increasingly Displeased With The Afghan Taliban Andrew Korybko's Newsletter 2024.10.02
https://korybko.substack.com/p/china-iran-pakistan-and-russia-are?utm_source=post-email-title&publication_id=835783&post_id=149696381&utm_campaign=email-post-title&isFreemail=true&r=2gkj&triedRedirect=true&utm_medium=email
「ロシアは遅く鞍をつけるが、速く走る」 ― 2024年10月03日 23:00
【概要】
ロシアがウクライナ東部のドンバス地域で新たに採用した戦術により成功を収めたと報じている。ワシントン・ポスト(WaPo)は、ロシアがウクレダー(Ugledar)という戦略的に重要な町を制圧したとし、その背景には小規模な襲撃部隊の導入や、優れた火力と効果的な装備の活用があるとしている。
ロシア軍は現在、たった4人ほどの小規模なチームで襲撃を行い、ドローン監視を回避しているとのことである。また、ウクライナ軍と比べて、はるかに多くの装備を有し、攻撃の調整もより効率的に行えていることが強調されている。
ウクレダーで戦っていたウクライナ第72機械化旅団の無名の将校は、「砲撃の割合が10対1でロシアに有利だ」とし、さらに滑空爆弾がウクライナの塹壕や防御線全体を破壊できると述べている。ワシントン・ポストはまた、ウクライナが損失を補充するのに苦労していること、さらにロシアのクルスク地域への攻撃により注意が散漫になっていることも指摘している。
さらに、ポクロフスク周辺の鉄道や橋が破壊されているため、その地域が事実上失われたことにも言及されている。ロシアがついに前線近くのウクライナの軍事物流を標的にしていることも注目すべき点で、これは戦況に影響を与える可能性があるとされている。ただし、依然としてドニエプル川の橋や、ウクライナとポーランドを結ぶ鉄道には手を付けていないことも指摘されている。
これらの戦術は新しいものではないものの、ロシアがこれらを採用するのは初めてであり、「肉弾戦」から少人数の襲撃チームに移行することは、長い間待ち望まれていた変化であったと述べられている。
ロシアの軍事作戦が遅々として進まなかった理由を、指揮系統のフィードバックループが機能していなかったことや、前線の状況に関する不正確な報告が指揮官の判断を誤らせていた可能性にあるとしている。
【詳細】
ロシアがウクライナ東部のドンバスで新たに採用した戦術が、戦況を好転させた背景を詳しく分析している。ロシア軍がウクレダー(Ugledar)という戦略的な要地を制圧した事例を取り上げ、その成功の要因を解説している。
新たな戦術の概要
ワシントン・ポスト(WaPo)は、ロシアが小規模な襲撃チームを使い、ウクライナ軍に対して効果的な戦術を展開していることに注目している。具体的には、4人程度の小規模な部隊が襲撃を行うことで、ドローンによる監視を回避している点が強調されている。これにより、ロシア軍はウクライナ軍の防御ラインに対して優位性を持ちながら攻撃できるようになっている。
また、ロシア軍はウクライナ軍と比べて圧倒的に多くの装備を保有しており、それを効率的に運用できる状況にある。特に、ロシアの砲撃力はウクライナ軍に対して10対1の割合で有利であると指摘されている。さらに、滑空爆弾を搭載したロシアの戦闘機がウクライナ軍の塹壕や防御線を容易に破壊でき、これに対抗する手段がウクライナ側にはほとんどない状況にあることが強調されている。
ウクレダーの戦いとロシアの新たな攻撃方法
ウクレダーは、ドンバスとザポリージャ前線の接点に位置する重要な町であり、ロシアがこれを制圧したことは戦略的に大きな意味を持つ。ウクライナ第72機械化旅団のある無名の将校は、同じ場所で約2年間も戦闘が続いていたと述べ、ロシアの砲撃の激しさと、滑空爆弾による破壊力が極めて大きいことを指摘している。このように、ウクレダーでの戦いはロシアの新たな戦術の成功例として捉えられており、ロシアが戦況を支配する能力を見せつけている。
ロシア軍の装備と火力の優位性
また、ロシア軍の装備と火力がウクライナ軍を圧倒していることにも注目している。ロシアは兵站(後方支援)においても優れた能力を発揮しており、ウクライナはその損耗を補充することに苦労しているとされている。ウクライナがロシアのクルスク地域に攻撃を行うことで戦線が分散していることも、ウクライナ軍の戦力が弱体化している要因の一つとされている。
ロシアの軍事物流への攻撃
さらに、ロシアがようやくウクライナの前線近くの軍事物流施設を標的にしていることも指摘されている。ポクロフスク周辺の鉄道や橋が破壊されたため、この地域が事実上ロシアの支配下に入ったとされている。これは、ウクライナの戦略的拠点が減少していることを意味し、ドンバス前線でのロシアの優位性をさらに強固なものにする可能性があると述べられている。
ただし、ロシアがまだドニエプル川の橋や、ウクライナとポーランドを結ぶ主要な鉄道を攻撃していない点も挙げられている。これらのルートが生きている限り、ウクライナは物資を補給し続けることが可能であり、この状況が今後どう変化するかが注目されている。
遅れた改革とその背景
後半では、ロシアがこれらの効果的な戦術を採用するまでに時間がかかった理由について言及している。特に、ロシア軍内部でのフィードバックループが機能しておらず、前線の状況が上層部に正確に伝わっていなかった可能性が高いとしている。これにより、指揮官は現実を正確に把握できず、戦術の変更が遅れたと分析されている。
ロシアの文化や組織構造において、上司に対して厳しい現実を伝えることが難しい状況も指摘されている。下位の者が上位の者に対して批判的な意見や助言を提供することが非常に稀であり、その結果、上層部は問題が深刻化するまで認識できないことが多いとされている。また、一度改革が行われた後も、責任が明確にされないため、同じ問題が再発する可能性がある点も批判されている。
結論
「ロシアは遅く鞍をつけるが、速く走る」という有名な言葉を引用し、ロシアがようやくこれらの戦術的な改善を行ったことで、今後の進展が加速する可能性があると記事は締めくくっている。しかし、なぜこれらの改革がこれまで遅れたのかという疑問も残されており、軍事指揮の構造的な問題がロシアの軍事活動全体に影響を及ぼしていると指摘されている。
【要点】
・ロシアの新戦術: ロシアは、小規模な襲撃部隊(4人程度)を使い、ドローン監視を回避しながら攻撃を行うようになった。
・ウクレダーの制圧: ロシアは戦略的に重要なウクレダーを制圧。これにより、ドンバスとザポリージャ前線での戦術的な優位性を獲得した。
・火力の圧倒的優位: ロシアの砲撃はウクライナの10倍に達し、滑空爆弾によってウクライナの塹壕や防御線を容易に破壊できる。
・ウクライナの弱体化: ウクライナは兵力の補充に苦しみ、ロシアのクルスク地域への攻撃で戦力が分散されている。
・軍事物流の標的化: ロシアはようやくウクライナの前線近くの鉄道や橋を攻撃し、ポクロフスク地域を事実上奪取した。
・残る重要なルート: ロシアは依然としてドニエプル川の橋や、ウクライナとポーランドを結ぶ主要鉄道を攻撃していない。
・遅れた戦術改善の理由: フィードバックループの欠如や前線の状況把握の誤りが、戦術改善の遅れにつながった可能性がある。
・組織文化の問題: 上司に対して批判的な意見を述べにくい文化があり、問題の認識や改革が遅れる傾向がある。
・改革後の課題: 改革が行われても責任追及が不十分で、同じ問題が再発する可能性がある。
・結論: ロシアは戦術改善により今後の進展が加速する可能性があるが、組織的な問題が残されている。
【引用・参照・底本】
WaPo Detailed The New Tactics Responsible For Russia’s Latest Successes In Donbass Andrew Korybko's Newsletter 2024.10.03
https://korybko.substack.com/p/wapo-detailed-the-new-tactics-responsible?utm_source=post-email-title&publication_id=835783&post_id=149747005&utm_campaign=email-post-title&isFreemail=true&r=2gkj&triedRedirect=true&utm_medium=email
ロシアがウクライナ東部のドンバス地域で新たに採用した戦術により成功を収めたと報じている。ワシントン・ポスト(WaPo)は、ロシアがウクレダー(Ugledar)という戦略的に重要な町を制圧したとし、その背景には小規模な襲撃部隊の導入や、優れた火力と効果的な装備の活用があるとしている。
ロシア軍は現在、たった4人ほどの小規模なチームで襲撃を行い、ドローン監視を回避しているとのことである。また、ウクライナ軍と比べて、はるかに多くの装備を有し、攻撃の調整もより効率的に行えていることが強調されている。
ウクレダーで戦っていたウクライナ第72機械化旅団の無名の将校は、「砲撃の割合が10対1でロシアに有利だ」とし、さらに滑空爆弾がウクライナの塹壕や防御線全体を破壊できると述べている。ワシントン・ポストはまた、ウクライナが損失を補充するのに苦労していること、さらにロシアのクルスク地域への攻撃により注意が散漫になっていることも指摘している。
さらに、ポクロフスク周辺の鉄道や橋が破壊されているため、その地域が事実上失われたことにも言及されている。ロシアがついに前線近くのウクライナの軍事物流を標的にしていることも注目すべき点で、これは戦況に影響を与える可能性があるとされている。ただし、依然としてドニエプル川の橋や、ウクライナとポーランドを結ぶ鉄道には手を付けていないことも指摘されている。
これらの戦術は新しいものではないものの、ロシアがこれらを採用するのは初めてであり、「肉弾戦」から少人数の襲撃チームに移行することは、長い間待ち望まれていた変化であったと述べられている。
ロシアの軍事作戦が遅々として進まなかった理由を、指揮系統のフィードバックループが機能していなかったことや、前線の状況に関する不正確な報告が指揮官の判断を誤らせていた可能性にあるとしている。
【詳細】
ロシアがウクライナ東部のドンバスで新たに採用した戦術が、戦況を好転させた背景を詳しく分析している。ロシア軍がウクレダー(Ugledar)という戦略的な要地を制圧した事例を取り上げ、その成功の要因を解説している。
新たな戦術の概要
ワシントン・ポスト(WaPo)は、ロシアが小規模な襲撃チームを使い、ウクライナ軍に対して効果的な戦術を展開していることに注目している。具体的には、4人程度の小規模な部隊が襲撃を行うことで、ドローンによる監視を回避している点が強調されている。これにより、ロシア軍はウクライナ軍の防御ラインに対して優位性を持ちながら攻撃できるようになっている。
また、ロシア軍はウクライナ軍と比べて圧倒的に多くの装備を保有しており、それを効率的に運用できる状況にある。特に、ロシアの砲撃力はウクライナ軍に対して10対1の割合で有利であると指摘されている。さらに、滑空爆弾を搭載したロシアの戦闘機がウクライナ軍の塹壕や防御線を容易に破壊でき、これに対抗する手段がウクライナ側にはほとんどない状況にあることが強調されている。
ウクレダーの戦いとロシアの新たな攻撃方法
ウクレダーは、ドンバスとザポリージャ前線の接点に位置する重要な町であり、ロシアがこれを制圧したことは戦略的に大きな意味を持つ。ウクライナ第72機械化旅団のある無名の将校は、同じ場所で約2年間も戦闘が続いていたと述べ、ロシアの砲撃の激しさと、滑空爆弾による破壊力が極めて大きいことを指摘している。このように、ウクレダーでの戦いはロシアの新たな戦術の成功例として捉えられており、ロシアが戦況を支配する能力を見せつけている。
ロシア軍の装備と火力の優位性
また、ロシア軍の装備と火力がウクライナ軍を圧倒していることにも注目している。ロシアは兵站(後方支援)においても優れた能力を発揮しており、ウクライナはその損耗を補充することに苦労しているとされている。ウクライナがロシアのクルスク地域に攻撃を行うことで戦線が分散していることも、ウクライナ軍の戦力が弱体化している要因の一つとされている。
ロシアの軍事物流への攻撃
さらに、ロシアがようやくウクライナの前線近くの軍事物流施設を標的にしていることも指摘されている。ポクロフスク周辺の鉄道や橋が破壊されたため、この地域が事実上ロシアの支配下に入ったとされている。これは、ウクライナの戦略的拠点が減少していることを意味し、ドンバス前線でのロシアの優位性をさらに強固なものにする可能性があると述べられている。
ただし、ロシアがまだドニエプル川の橋や、ウクライナとポーランドを結ぶ主要な鉄道を攻撃していない点も挙げられている。これらのルートが生きている限り、ウクライナは物資を補給し続けることが可能であり、この状況が今後どう変化するかが注目されている。
遅れた改革とその背景
後半では、ロシアがこれらの効果的な戦術を採用するまでに時間がかかった理由について言及している。特に、ロシア軍内部でのフィードバックループが機能しておらず、前線の状況が上層部に正確に伝わっていなかった可能性が高いとしている。これにより、指揮官は現実を正確に把握できず、戦術の変更が遅れたと分析されている。
ロシアの文化や組織構造において、上司に対して厳しい現実を伝えることが難しい状況も指摘されている。下位の者が上位の者に対して批判的な意見や助言を提供することが非常に稀であり、その結果、上層部は問題が深刻化するまで認識できないことが多いとされている。また、一度改革が行われた後も、責任が明確にされないため、同じ問題が再発する可能性がある点も批判されている。
結論
「ロシアは遅く鞍をつけるが、速く走る」という有名な言葉を引用し、ロシアがようやくこれらの戦術的な改善を行ったことで、今後の進展が加速する可能性があると記事は締めくくっている。しかし、なぜこれらの改革がこれまで遅れたのかという疑問も残されており、軍事指揮の構造的な問題がロシアの軍事活動全体に影響を及ぼしていると指摘されている。
【要点】
・ロシアの新戦術: ロシアは、小規模な襲撃部隊(4人程度)を使い、ドローン監視を回避しながら攻撃を行うようになった。
・ウクレダーの制圧: ロシアは戦略的に重要なウクレダーを制圧。これにより、ドンバスとザポリージャ前線での戦術的な優位性を獲得した。
・火力の圧倒的優位: ロシアの砲撃はウクライナの10倍に達し、滑空爆弾によってウクライナの塹壕や防御線を容易に破壊できる。
・ウクライナの弱体化: ウクライナは兵力の補充に苦しみ、ロシアのクルスク地域への攻撃で戦力が分散されている。
・軍事物流の標的化: ロシアはようやくウクライナの前線近くの鉄道や橋を攻撃し、ポクロフスク地域を事実上奪取した。
・残る重要なルート: ロシアは依然としてドニエプル川の橋や、ウクライナとポーランドを結ぶ主要鉄道を攻撃していない。
・遅れた戦術改善の理由: フィードバックループの欠如や前線の状況把握の誤りが、戦術改善の遅れにつながった可能性がある。
・組織文化の問題: 上司に対して批判的な意見を述べにくい文化があり、問題の認識や改革が遅れる傾向がある。
・改革後の課題: 改革が行われても責任追及が不十分で、同じ問題が再発する可能性がある。
・結論: ロシアは戦術改善により今後の進展が加速する可能性があるが、組織的な問題が残されている。
【引用・参照・底本】
WaPo Detailed The New Tactics Responsible For Russia’s Latest Successes In Donbass Andrew Korybko's Newsletter 2024.10.03
https://korybko.substack.com/p/wapo-detailed-the-new-tactics-responsible?utm_source=post-email-title&publication_id=835783&post_id=149747005&utm_campaign=email-post-title&isFreemail=true&r=2gkj&triedRedirect=true&utm_medium=email