軍閥の巨魁西郷隆盛は大盗棒2022年03月17日 19:03

明治奇聞』第六篇
『アメリカ樣 全』宮武外骨 著

 (一〇頁)
 軍閥の巨魁西郷隆盛は大盗棒 2022.03.17

明治初期に軍閥と云ふ語はなかつたが、軍閥その者は存在して居た、西郷隆盛はその巨魁であり、桐野利秋、篠原國幹、村田新八等はその閥下であつた、此西郷隆盛が征韓論を唱へたのは軍國主義、侵略主義の張本であるからだ、明治十年の錦繪に「都城新座顔見世」と云ふのがある、其一枚に市川団十郎が西郷隆盛に扮し、陸軍大将の服にドテラと羽織を着せ、百日鬘の大親分盗賊姿に描いてあるのが面白いので、予は大正十五年六月発行の『明治奇聞』第六篇に「軍國主義は大泥棒」と題し、百日鬘の姿を寫眞版として長い記事を載せた、その一節に

 西南戰闘記の類を見ると、薩軍は熊本城へ迫つた前後、肥前肥後の各部落を荒してゐる「人民貯蔵の米穀を掠奪し、野菜物を無償にて抜取り、酒醤油塩類を徴発し、鶏を略取し牛を殺して食ひ、金銭を強借し、婦女を強姦す」等、暴虐の行為ならざるは無しであつた、これだけでも、盗賊の長たるの資格は充分である……軍國主義者を大盗賊に見立てたのは、時勢超越の新思想から出た傑作である

と記述した、此西郷隆盛一人だけでない、軍國主義は悉く大泥棒である

引用・参照・底本

『アメリカ樣』宮武外骨 著 (蔵六文庫, 1946)
『繪本道化遊全』宮武外骨 著 明治四十四年二月十日發行 雅俗文庫
(國立國會圖書館デジタルコレクション)