竹箆返し2022年03月22日 12:38

伊勢道中恋紀行 6巻
 竹箆返し 2022.03.22

 <雉も鳴かずば打たれまい>であるが、鳴かずには済まされないアメリカ隷従一辺倒の姿を、此の日本に見る。

 1951年9月、片面講和のサンフランシスコ対日講和条約、日本丸呑みとなる日米安保条約に調印、翌年4月28日発効。既に70年が過ぎる。

 そう、70年過ぎようが、百年過ぎようが、此の日本の脳髄を侵すインベーダーの如き米国の魔手にかかっては<蛇に見込まれた蛙>である。骨の髄までしゃぶり付き、巻き揚げ続ける。

 岸田首相の眼を見ると、常に焦点は、無限の彼方に発散しているようだ。遠隔操作された無人航行のドローンのようにも見える。

 此の時期になぜ岸田首相、インド・カンボジア訪問(2022.03.19-21)なのだろうか。突然で奇異な感じを抱かせる。

 勘繰れば、まさかの"あの説得"ではあるまいと思うが。

 日米豪印、クワッドの仲間なのだ。否、仲間と勝手に思い込み、仲間であるなら、米国の策謀には従う筈だと、丸呑みされ、飼い馴らされた側は躊躇いもなく思うのだ。

 が、インド、其のまさかの国連総会緊急特別会合(3月2日)で、中国と並んでの棄権である。自主外交の<是々非々>の判断なのだが、大袈裟に言えば、日米豪にとっては<寝耳に水>であり、クワッドの仲間割れに等しく、存続に影響を与える仕打ちと映ろう。

 しかし、反対、棄権、或いは意志を示さなかった国々は、米国という短期決算国に害を受けない限り、将来のある国々ではないのか。

 インフラ整備、そして経済発展と向かうには、何よりも重要なことは安定した"長期計画"に基づく、海外の支援が必要なのだ。
 今それを提供できる国は中国以外にないのではないか。

 世界的規模での「一帯一路(the Belt and Road)」構想などは其の好例であろう。長期安定国(政権)でなければ、相手国への真の確約は不可能である。
 政権が変わる度に"出入り"を繰り返すような不安定な国には不可能である。

 つまり、ロシアも今次の事が済めば、恐らく発展が大いに期待できよう。

 そして反面、世界に嫌悪の情を抱かせていることに気づかないほど、米国は政治的鈍感、さもしい国に成り下がっている。米国は世界の足を引っ張るしか能のない国である。
 実態は世界の爪弾きものであろう。

 今次のウクライナへのロシアの侵攻を招いたのも、其の淵源は米国主導の西側諸国(NATO)にある。其の下手人は明解に米国である。
 西側諸国も米国に引き摺り込まれる形で、自国民を苦しめている。

 さてカンボジア、「フン・セン首相より、今般カンボジアが国連総会決議の共同提案国入りするに至った問題意識」の紹介があったと(https://www.mofa.go.jp/mofaj/s_sa/sea1/kh/page4_005534.html)。其の問題意識というのは、「フン・セン首相は、自分自身の経験から、戦争で戦争を終わらせることは決してできず、平和的解決が追求されるべきであると強調した」(日本・カンボジア王国共同声明:和文仮訳)を言うのであろうか。

 だとしたら、侵略国、そして敗戦国の日本、権略の米国に追従政策を取るだけでなく、フン・セン首相と経験を共有・共感できたであろうか。

 まあ、無理筋か。「自由で開かれたインド太平洋」などを持ち出すようでは、見透かされている。

 岸田首相にとっては総理大臣として初対面となるフン・セン首相と会談(3月20日、午後5時35分から約2時間10分)。
 そのフン・セン首相、8日午後、習近平国家主席と電話会談を行った。
 
 そして、「フン・セン首相は、「カンボジアは『一つの中国』政策を揺るぎなく遂行し、台湾地区関連や新疆関連の問題における中国の立場を揺るぎなく支持している。来年の両国国交樹立65周年を契機に、『一帯一路』の共同建設を推進し、カンボジアと中国の包括的な戦略的協力パートナーシップを新たな水準へと高めていきたい。そして今年のASEAN輪番議長国として、引き続きASEAN・中国関係の発展を積極的に促進していきたい」と。
 また、「両国首脳はウクライナ情勢についても意見交換を行った。そしてバランスの取れた公正妥当な立場を堅持し、和平交渉促進のために積極的に努力するべきとの考えで一致した」と。(「習近平国家主席がカンボジアのフン・セン首相と電話会談」人民網日本語版 2022年03月21日11:42)
 
 その上での、岸田首相との会談である。果たして"にこぽん"の効果があったのか。

 インド、既に<賽は投げ>たのだ。そのインドと、「平和で安定し繁栄した新型コロナ後の世界のためのパートナーシップ」と題する声明も、その真逆の世界を構築し覇権を遺憾無く発揮する落ち目の米国に、<一言半句>も抗言しない日本、丸で文句を着飾っただけではないのか。

 「核兵器のない世界」を目標にするも、政権内部の否定とは裏腹に、チャンス到来とみて、「核共有」などを声高にする者が政権党内外にある。

 ロシアからは、早速<竹箆返し>が来た。「ロシア 日本との平和条約交渉を拒否」(sputnik2022.03.22)である。

 これに先立ち何かと日本、対露制裁を発動していた。

 日露関係の損なわれた全責任は日本にあるとし、次の報復措置を発表した。

 ➀日本との平和条約締結交渉を拒否
 ②日本国民の南クリル諸島へのビザなし渡航を停止
 ③南クリル諸島における共同経済活動にむけた対話を取り下げ
 ④黒海経済協力機構の分野別対話パートナー国としての日本の地位延長を封鎖

 この決定は「ウクライナ情勢に関して日本がロシアに対して一方的に行った制限措置のあからさまな非友好的性格を鑑みて」とられた(同上sputnikの記事)、とする。

 岸田ドローンも、米国同様に己の立ち位置が他国から如何に見られているかについては、無頓着のようだ。

 映画「007/危機一発」から捩れば、此の幽囚の島国日本、世界中から多くを学んで、さようならよりは賢いこと、それはあなたの元へ飛んで行くこと、だから"ロシアから愛をこめて"と、何時言えるのだろうか。