米国崩壊の始まり2024年06月23日 18:35

国立国会図書館デジタルコレクション「尾張屋内長尾」を加工して作成
【概要】

 トルコ・メディアが報じた記事によると、サウジアラビアが米国とのオイルダラー協定を終了したことは、米国にとって大きな誤算であり、超大国としての米国の崩壊の始まりを意味するとされている。これは、バイデン大統領がサウジアラビアのサルマン皇太子を「ならず者」と呼び、ジャーナリストのジャマル・カショギ氏の殺害事件に関連して厳しく批判したことへの復讐だと見られている。

 トルコ紙「サバ」の国際ニュースデスクのトゥタル氏によると、グローバルバランスと西側諸国の立場が劇的に変化しており、「古い秩序は急速に崩壊しつつある」とのことである。オイルダラー制度の終焉はポスト米国時代の主な兆候の一つであり、この動きは世界の金融秩序に大きな混乱を引き起こし、米国の終焉をもたらすとされている。

 1973年のオイルショック後に締結されたオイルダラー協定では、サウジアラビアが輸出石油の価格を米ドルで設定し、余剰収入を米国債に投資することが定められていた。この協定はドルの世界基軸通貨としての地位を高め、米国経済に多くの恩恵をもたらしていた。しかし、この協定の終了により、米国とサウジアラビアの関係は大きく変わり、世界の金融秩序にも大きな影響を与えることが予想されている。

【詳細】

 トルコメディアの報道によると、サウジアラビアがオイルダラー協定を終了したことは、国際的な金融および地政学的なバランスに深刻な影響を及ぼす可能性があるとされている。この出来事の背景、影響、そして今後の見通しについて詳しく説明する。

 オイルダラー協定の背景とその重要性

 オイルダラー協定とは、1973年のオイルショック後にサウジアラビアと米国の間で締結された取り決めである。この協定の主な内容は以下の通り。

 1.石油のドル建て取引:サウジアラビアは輸出する石油の価格を米ドルで設定し、全世界に対して石油取引をドル建てで行う。
 2.米国債への投資:サウジアラビアは石油販売による余剰収入を米国債に投資する。
 3.軍事支援と庇護:米国はサウジアラビアに対して軍事支援と安全保障の提供を約束する。
 
 この協定により、米ドルは国際的な取引通貨としての地位を確立し、米国経済は多くの恩恵を受けた。特に、ドルの需要が高まり、米国は他国からの資金流入を得やすくなり、経済的な安定と成長を享受した。

 サウジアラビアの決断の背景

 サウジアラビアの決断は、バイデン政権との対立が背景にある。バイデン大統領は選挙戦中、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子を「ならず者」と呼び、ジャーナリストのジャマル・カショギ氏の殺害事件について皇太子を厳しく非難した。この発言はサウジアラビアに対する外交的な圧力と見なされ、両国の関係に亀裂を生じさせた。

 オイルダラー協定終了の影響

 1.ドルの地位の低下:オイルダラー制度の終焉により、ドルの国際基軸通貨としての地位が揺らぐ可能性がある。これにより、他の通貨(例えばユーロや人民元)が国際取引でより多く使用されるようになるかもしれない。
 2.金融市場の混乱:ドル需要の減少は米国の金融市場に混乱をもたらす可能性がある。特に、米国債の需要が減少すれば、米国の借入コストが上昇し、財政赤字の拡大を招く可能性がある。
 3.地政学的な影響:米国の影響力が低下する一方で、サウジアラビアや中国、ロシアなどの影響力が増す可能性がある。これにより、中東をはじめとする地域の政治的なダイナミクスが大きく変わるだろう。

 今後の見通し

 ポスト米国時代に突入する中で、以下の点が注目される。

 1.多極化する世界秩序:米国一極支配から多極化した世界秩序への移行が加速するでだろう。中国やロシアが経済的および軍事的な影響力を強める可能性がある。

 2.新たな同盟関係:サウジアラビアが新たな同盟関係を模索する中で、中東地域における国際関係が再編されるだろう。特に中国やロシアとの関係が強化される可能性がある。

 3.エネルギー市場の変動:石油市場における価格設定や取引の方法が変わることで、エネルギー市場に大きな変動が生じるだろう。

 このように、サウジアラビアのオイルダラー協定終了は、国際社会にとって重要な転換点となり得る出来事である。米国の影響力の低下と新たな国際秩序の形成が進む中で、世界の経済および政治のバランスは大きく変わる可能性がある。

【要点】

 オイルダラー協定の背景と重要性

 ・1973年のオイルショック後にサウジアラビアと米国が締結。
 ・石油のドル建て取引:サウジアラビアが石油をドルで取引。
 ・米国債への投資:サウジアラビアが余剰収入を米国債に投資。
 ・軍事支援と庇護:米国がサウジアラビアに軍事支援と安全保障を提供。
 ・協定によりドルが国際取引通貨として確立し、米国経済が恩恵を受ける。

 サウジアラビアの決断の背景

 ・バイデン大統領がサルマン皇太子を「ならず者」と呼び、カショギ氏の殺害事件で非難。
 ・これがサウジアラビアと米国の関係に亀裂を生じさせる。

 オイルダラー協定終了の影響

 1.ドルの地位の低下

 ・国際基軸通貨としてのドルの地位が揺らぐ。
 ・他の通貨(ユーロ、人民元)の使用が増加する可能性。

 2.金融市場の混乱

 ・ドル需要の減少で米国の金融市場が混乱。
 ・米国債の需要減少で米国の借入コストが上昇し、財政赤字が拡大。

 3.地政学的影響

 ・米国の影響力低下。
 ・サウジアラビア、中国、ロシアの影響力が増加。
 ・中東地域の政治的ダイナミクスが変化。

 今後の見通し

 1.多極化する世界秩序

 ・米国一極支配から多極化した世界秩序へ移行。
 ・中国やロシアの影響力が強まる可能性。

 2.新たな同盟関係

 ・サウジアラビアが新たな同盟関係を模索。
 ・中東地域の国際関係が再編。
 ・中国やロシアとの関係が強化される可能性。

 3.エネルギー市場の変動

 ・石油市場の価格設定や取引方法の変化。
 ・エネルギー市場に大きな変動が生じる。

【引用・参照・底本】

飼い犬に手をかまれた米国の誤算、超大国の崩壊始まる=トルコ・メディア sputnik 日本 2024.06.23
https://sputniknews.jp/20240623/18683986.html

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