NATO:「インド太平洋情勢にも責任を持つ」2024年07月20日 10:02

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【概要】

 NATO首脳サミットがワシントンで開催され、日本を含む35のパートナー国が参加した。このサミットは、NATOがインド太平洋地域での役割を拡大する意図を示すものであり、日本や韓国、オーストラリア、ニュージーランドとの協力を強化する方向性が議論された。

 ロシアの軍事評論家、ビクトル・リトフキン氏によれば、NATOの動きはインド太平洋地域におけるアメリカの同盟国との連携を深め、事実上の「アジア支部」を形成する一歩となると述べている。特に、日本とオーストラリアはQUADやAUKUSといった枠組みを通じて、対中抑止を目的とする連携を強化しており、NATOとの定期的な連絡や情報共有が進められている。

 NATOのこの戦略は、ロシアや中国との関係をさらに緊張させる可能性があり、これが両国の更なる接近を促進するかもしれないとリトフキン氏は指摘している。

【詳細】
 
 NATO首脳サミットでは、北大西洋条約機構(NATO)の枠組みを超えた国際的な協力と連携が強調され、インド太平洋地域におけるNATOの役割が議論された。以下はサミットの主要なポイントとその背景である。

 1. NATOのグローバルな役割の拡大

 NATOは伝統的に北大西洋地域を中心とした防衛機構であるが、最近ではグローバルな安全保障の枠組みとしての役割を強化している。ストルテンベルグ事務総長は、NATOが「インド太平洋情勢にも責任を持つ」と表明しており、これは単なる言葉ではなく、実際に政策として進められている。

 2. アジア太平洋地域でのNATOパートナーシップの強化

 サミットでは、日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランドといったインド太平洋地域のパートナー国との連携が重要な議題となった。これらの国々との定期的な連絡や情報共有、共同訓練などの協力枠組みが議論され、NATOのアジア太平洋地域における影響力を高めることが目指されている。

 3. QUAD(クアッド)とAUKUS(オーカス)との連携

 ・QUAD: 日本、アメリカ、オーストラリア、インドによる戦略対話で、主に中国への抑止力を目的としている。NATOの戦略とクアッドの目的は重なる部分があり、QUADとNATOの協力が強化されることで、中国への対応が一層強化されることが期待されている。
 
 ・AUKUS: アメリカ、イギリス、オーストラリアによる軍事的枠組みで、日本やインドも関与が検討されている。AUKUSは中国への抑止を目的とし、特に軍事技術や情報共有での協力が中心である。この枠組みがNATOの戦略と連携することで、アジア太平洋地域でのNATOの影響力がさらに強化されると見られる。

 4. ロシアと中国との関係

 ロシアと中国はNATOにとって地政学的な敵と見なされており、NATOの戦略は両国の影響力を抑えることを目的としている。NATOのアジア太平洋地域への関与が進むことで、ロシアと中国の連携が強化される可能性もある。このような背景から、NATOのアジア太平洋地域での活動がロシアと中国のさらなる接近を促すかもしれないという指摘がある。

 このように、NATOのサミットでの議論は、アジア太平洋地域における安全保障の枠組みを大きく変える可能性を持っており、特にアメリカの指導の下でのNATOのグローバルな役割の拡大が進められている。

【要点】
 
 NATO首脳サミットの主要なポイントを箇条書きで説明する。

 1.NATOのグローバルな役割の拡大

 ・ストルテンベルグ事務総長が「インド太平洋情勢にも責任を持つ」と発言。
 ・NATOの伝統的な北大西洋地域を超えた国際的な安全保障の枠組みとしての役割を強化。

 2.アジア太平洋地域でのNATOパートナーシップの強化

 ・日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランドとの連携が議論される。
 ・定期的な連絡、情報共有、共同訓練などの協力枠組みの強化が目指される。

 3.QUAD(クアッド)との連携

 ・日本、アメリカ、オーストラリア、インドによる戦略対話。
 ・中国への抑止を目的としており、NATOとの協力で対中抑止が強化される可能性。

 4.AUKUS(オーカス)との連携

 ・アメリカ、イギリス、オーストラリアによる軍事的枠組み。
 ・日本やインドの関与も検討され、軍事技術や情報共有が中心。
 ・NATOの戦略と連携することで、アジア太平洋地域でのNATOの影響力が強化される可能性。

 5.ロシアと中国との関係

 ・ロシアと中国はNATOにとって地政学的な敵。
 ・NATOのアジア太平洋地域への関与が、両国のさらなる接近を促す可能性がある。

【引用・参照・底本】

【視点】日本、NATOアジア支部化にまた一歩 岸田首相のサミット参加 sputnik 日本 2024.07.10
https://sputniknews.jp/20240710/nato-18796576.html

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