【概要】

　ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、最近カザンで開催されたBRICSプラスの拡張アウトリーチセッションにおいて、西側諸国がロシアを戦略的に打ち負かせるという信念を「単なる幻想」と呼び、その背後にある認識の誤りを指摘した。

　プーチン氏は、ロシアの安全を脅かす形でウクライナが利用されていると述べ、西側諸国の「不法な一方的制裁」や他国への干渉が、地域およびグローバルな戦略的安定を侵害し、「国家間の争い」を助長していると非難した。彼は、ウクライナを例に挙げ、同国がロシアに対する重要な脅威を生み出すために利用されていると指摘し、ロシア語を話す人々の権利が侵害されているという「正当な懸念」が無視されていると強調した。

　さらに、ウクライナへの支援を行っている外国の後援者が、ロシアに戦略的な敗北をもたらそうとしていることを隠すことさえないとし、西側が目標を達成できると信じているのは「単なる幻想」であると再確認した。プーチン氏は、「ロシアの歴史を知らない者だけがこのように信じる」と述べ、何世紀にもわたって培われてきたロシア人の団結と精神的な強さを考慮に入れないことがその根本的な誤りであると指摘した。

【詳細】

　ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、BRICSプラスの拡張アウトリーチセッションでの発言を通じて、西側諸国のロシアに対する戦略的な打撃を狙った取り組みを批判した。以下に、その内容を詳しく解説する。

　1. 西側諸国の「幻想」

　プーチン氏は、西側諸国がロシアを戦略的に打ち負かすことができると信じていることを「単なる幻想」と表現した。これは、彼がロシアの歴史や国民性を理解していない者に過ぎないとし、ロシアの持つ固有の団結力と精神力が無視されていると主張した。

　2. ウクライナとロシアの安全保障

　プーチン氏は、ウクライナが西側諸国によってロシアに対する脅威の道具として利用されていると述べた。具体的には、ウクライナがロシアの安全を脅かす「重要な脅威」を生み出すような状況に置かれていると指摘した。これは、ロシア語を話す人々の権利の侵害に対する「正当な懸念」が無視され、ロシアの国家的利益が軽視されているという主張と結びついている。

　3. 西側の制裁と干渉

　プーチン氏は、西側諸国が実施している「不法な一方的制裁」や、民主主義や人権に対する懸念を名目にした他国への干渉が、地域およびグローバルな戦略的安定を脅かす要因であると指摘した。これにより、国際社会における国家間の緊張が高まり、争いが助長されると述べた。

　4. 変化する世界秩序

　彼は、より公正な世界秩序の確立が、西側の「支配の論理」に慣れた勢力によって妨げられていると考えている。これにより、国際的な力関係や地政学的なバランスが不安定になると警告した。

　5. ロシアの強さ

　プーチン氏は、ロシアの歴史がもたらした国民の団結と精神的な強さが、戦略的な敗北を許さない根本的な要因であると強調した。この観点から、ロシアは西側の思惑に対抗できる能力を持っていると主張した。

　プーチン氏の発言は、ロシアの立場を強調し、西側諸国の戦略に対抗するための自信を示すものとなっている。彼の見解は、国際政治における緊張の高まりと、ロシアの自国防衛に対する強い意志を反映している。

【要点】

　・西側諸国の幻想: プーチン氏は、西側がロシアを戦略的に打ち負かせると信じていることを「単なる幻想」と表現し、ロシアの歴史や国民性を無視していると指摘。

　・ウクライナの利用: ウクライナが西側によってロシアへの脅威を生み出す道具として利用されていると主張。ロシアの安全を脅かす重要な要素と位置付ける。

　・権利侵害の無視: ロシア語を話す人々の権利の侵害に対する懸念が軽視されており、ロシアの国家的利益が無視されていると強調。

　・不法な制裁と干渉: 西側諸国の「不法な一方的制裁」と民主主義・人権の名の下に行われる他国への干渉が、地域と国際的な安定を脅かしていると批判。

　・公正な世界秩序の阻害: より公正な世界秩序の確立が、西側の「支配の論理」に慣れた勢力によって妨げられていると指摘。

　・ロシアの強さ: ロシアの歴史がもたらした国民の団結と精神的な強さが、西側の思惑に対抗する能力を持たせていると主張。

【引用・参照・底本】

West’s belief it can defeat Russia ‘a mere illusion’ – Putin RT 2024.10.24
https://www.rt.com/russia/606349-putin-russia-defeat-illusion/