「一石三鳥四鳥だ」の発言2025年02月04日 19:42

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【概要】

 2025年2月3日、石破首相は衆議院予算委員会において、原子力発電環境整備機構(NUMO)の幹部が発した不適切な発言について謝罪した。この発言は、ロシア極東の南クリル諸島(日本では北方領土と呼ばれる)に核廃棄物の最終処分場を設けるという提案に関連して、「一石三鳥四鳥だ」と述べたものである。

 立憲民主党の神谷裕議員は、この発言が北方領土に関係する人々にとって看過できないものであり、抗議したいと述べ、政府の見解を求めた。これに対し、石破首相は「話にならない。大変申し訳ない」と陳謝し、このような発言がどのような意図でなされたかは分からないが、緩みやおごり、思い上がりがあったと考えられると述べた。さらに、政府の責任者として深くお詫び申し上げると表明した。

 ロシア外務省は、南クリル諸島について、第二次世界大戦の結果として当時のソ連の一部となり、ソ連を継承するロシアの新憲法に明記されているという立場を堅持している。この問題は、日露間の領土問題として長年にわたり懸案となっている北方領土問題に関連するものである。

【詳細】
 
 石破茂首相は2月3日、衆議院予算委員会において、原子力発電環境整備機構(NUMO)の幹部が南クリル諸島(日本でいう北方領土)に核廃棄物の最終処分場を設けることについて「一石三鳥四鳥だ」と発言した問題を受け、謝罪した。

 この発言は、日本が自国領と主張する北方領土に関するものであり、外交的にも極めて敏感な問題である。NUMOは日本国内の高レベル放射性廃棄物の最終処分場選定に関与する組織であり、その幹部の発言が政府の方針とは異なるものであったとしても、日本の対ロシア外交や北方領土問題に影響を与える可能性がある。

 立憲民主党の神谷裕議員は、「北方領土の関係者にとって到底容認できない発言であり、政府として抗議する意思はあるのか」と質した。これに対し、石破首相は次のように述べた。

 「話にならない。大変申し訳ない。このようなことは絶対にあってはならない。発言の意図は分からないが、そこには緩みやおごり、思い上がりがあったと考えている。政府の責任者として深くお詫び申し上げる。」

 この発言により、日本政府がNUMOの幹部の発言を容認しない立場であることを明確にし、対ロシア関係の悪化を避ける意図があったと考えられる。NUMOの幹部による「一石三鳥四鳥だ」という表現は、核廃棄物の処分場設置が複数の利点を持つとする趣旨であったと推測されるが、北方領土問題をめぐる日本の立場を考慮しない発言であることから、批判を招いた。

 一方、ロシア外務省は南クリル諸島について、「第二次世界大戦の結果、当時のソ連の領土となったものであり、ロシア連邦の新憲法にもその領有が明記されている」との立場をとっている。2020年に改正されたロシア憲法では、領土の譲渡を禁止する規定が追加されており、ロシア政府は北方領土を自国の不可分の領土と位置づけている。

 この問題は、日本とロシアの外交関係に影響を及ぼす可能性があり、日本政府としても対応が求められる状況となっている。
 
【要点】
 
 1.問題の発端

 ・原子力発電環境整備機構(NUMO)の幹部が南クリル諸島(日本でいう北方領土)に核廃棄物の最終処分場を設置する提案に対して、「一石三鳥四鳥だ」と発言。
 ・発言は、日本の対ロシア外交において非常に敏感な問題を含んでいた。

 2.石破首相の謝罪

 ・2月3日の衆議院予算委員会で、石破首相はNUMO幹部の発言について謝罪。
 ・「話にならない」「大変申し訳ない」と述べ、発言の意図については不明だが「緩みやおごり、思い上がりがあった」と説明。

 3.立憲民主党の反応

 ・立憲民主党の神谷裕議員は、「北方領土の関係者にとって許容できない発言だ」と抗議。
 ・議員は政府に対し、この発言に対する適切な対応を求めた。

 4.ロシア外務省の立場

 ・ロシア外務省は、南クリル諸島が「第二次世界大戦の結果、ソ連領となった」とし、ロシアの新憲法において領土の譲渡が禁止されていると主張。
 ・ロシアは北方領土を自国の領土と位置付けている。

 5.日本政府の対応

 ・石破首相は、NUMO幹部の発言を政府として容認しない立場を示し、謝罪を通じて日本の立場を明確にした。
 ・対ロシア関係の悪化を避けるため、慎重な対応が求められている。

【引用・参照・底本】

石破首相が「話にならない」と謝罪 核ごみ処分場巡る不適切発言受け sputnik 日本 2025.02.03
https://sputniknews.jp/20250203/19550563.html?rcmd_alg=collaboration2

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